俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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もうすぐコミケですね。現地へ向かわれる方はトイレに行きたくないからと水分補給を控えるのは危険ですのでいい塩梅を見極めて気を付けて行ってきてくださいね。


(6)

 俺の頭の上に陣取るあかねを引き剥がそうと手をのばす。

 

「おまっ!少しくらいええやろ!?ウチなんてこんなちっさい体であんなにデカなったシンデレラから逃げてたんやで!?」

 

 あかねの体を掴んだ所で猛抗議と髪の毛を引っ張っての全力の抵抗にあう。

 

「痛っ?!テメェ!髪の毛引っ張るんじゃねぇ!……うん?ちょっと待て、あかねさっきなんて言った?」

 

「へ?やから少しくらい……」

 

「そっちじゃねぇ!あの後ろの女性だよ!」

 

 あかねの言葉は半分聞き流していたのだが先程聞き捨てならない名前が聞こえた気がしたのだ。

 

「やから追っかけて来てるのはシンデレラや!ウチが体を大きくしたって勘違いしてんねん!」

 

「やっぱ弾き出された主人公か……」

 

「そのようですね……流石にこの様な姿になっているとは思ってもいませんでしたが……」

 

 そりゃ普通、シンデレラが巨大化してるなんて思わないわな……

 

 

 

 

「まてぇ!!」

 

「待てって言われて待つ奴がいるかいな!」

 

 後ろから追ってくるシンデレラから逃げ続けているが解決の手段は全く思い浮かばない。

 

「……どうする?」

 

「そうですね、一度()()そうにもあの大きさでは難しいでしょうし……」

「…………」

 

 まだその物騒な考えを持ってたのな……一瞬頭の中でキュアビューティになったれいかが首トンならぬ首ドンみたいな感じでシンデレラの首に回し蹴りを叩き込んでいる姿が想像出来てしまったが慌てて振り払う。……いやマジで言ったらやりかねないのが……

 

 そんな事を考えながら逃げていると、俺達の逃げている少し先で別々の方向から走って来た奴がお互いに衝突して倒れた姿が目に入った。

 

「今度はなんだ?」

 

「……あれは、みゆきさんとやよいさんですね」

 

 少し目を細めたれいかがその正体を教えてくれた。

 

 あの距離でよく見えるなぁ……

 

「つか、あんなに慌ててたって事は俺達と同じで主人公達に追いかけ回されてたり……なんて」

 

「………どうやらそのようですよ?」

 

「……………」

 

「八幡………」

 

 やぶへびだったかぁ……

 

 

 

 

「皆さん!大丈夫でしたか?」

 

「れいかちゃん、八幡くん」

 

「ウチも居るで〜」

 

「あかねちゃんも!……ってそんな場合じゃないの!みんな大変なんだよ!」

 

「うん、そうみたいだね……」

 

「……うぅ、みんなも追いかけられてたんだね」

 

「囲まれてしまった様ですね」

 

「……だな」

 

 

 

 

「もう逃がさねぇぜ?」

 

 周りには皆、浦島太郎が生やしていた様な翼が生えた各物語の主人公と思わしき者たち。シンデレラ、孫悟空一行、ヘンゼルとグレーテル、一寸法師……みながみな、俺達が物語に割り込んだせいで弾き出された者達だ。

 

「これってみんな物語の主人公達……なんだよね」

 

「ええ、それに恐らくですが私達が物語に介入する為に弾き出された主人公達……です」

 

「そんな……わたしたち、そんなつもりじゃ」

 

 

 

「一寸法師さんは変な黒いのに包まれてから、わたしがお姫様を攫ったんだって勘違いしてて……」

 

「こっちもそう、勘違いで追っかけられたんだ」

 

「え?みんなも?」

 

「この騒動、その黒い奴が原因っぽいな。俺らの所にいた浦島太郎もそれで襲って来たし……」

 

「え?でも今、浦島太郎居ないやん」

 

「それは……その、れいかが……」

 

『急に襲って来たので返り討ちにしてましたね!こう、ズドンッ……って!」

 

『……………』

 

「そんなに見ないで下さい……照れてしまいます///」

 

 かわ……いや、うーん……かわ…いい、な!うん、可愛い!

 

「っと、そうやったやよい!一寸法師が持ってるのって打出の小槌とちゃう?」

 

「え?う、うんそうだけど」

 

「しゃ!シンデレラ!!アンタを大きく下のあのハンマー持ってる奴やで!」

 

「なんですって?」

 

「まろでおじゃるか?!」

 

 あかねのやつ、シンデレラのヘイトを一寸法師にこすり付けやがった……えげつねぇ……

 

「ふふんっ!八幡の真似や」

 

「風評被害?!」

 

「いや、妥当でしょ」

 

 ぐぬ、そんな筈は……

 

「皆さん!」

 

「アチョー!」 「カッパー!」 「ブヒ!」

 

 れいかの警戒の声に顔を上げると襲いかかってきていたのは西遊記の悟空一行だった。衝撃に備えるように顔の前に腕を上げるが……一向になんの衝撃も来ない。恐る恐る腕を下ろすと俺達を護るように悟空、沙悟浄、猪八戒の攻撃を受け止めていたのは見覚えのない者たちだった。

 

 

「いくら待っても来ねぇと思ったら……」

 

「お前はっ?!」

 

 それにいち早く反応したのは孫悟空だった。弾き返される前に距離を取り、如意棒を構える。

 

「何やってんだよ!お前ら!」

 

「カパッ?!」 「ブヒッ?!」

 

 他の二人は孫悟空とは違い、弾き返され孫悟空の下まで後退する。

 

「……あなた達は?」

 

 みゆきの口から零れた問に三人の人影は振り返り答える。

 

「俺は西遊記の牛魔王」

 

「ワシは一寸法師の鬼!」

 

「アタシはヘンゼルとグレーテルの魔女さね」

 

 三人の人影の正体は各物語に登場する悪役だった。

 

「……なぜ、悪役のあなた達が私達を助けてくれるのですか?」

 

「別に、助けた訳じゃねぇよ。物語が変になってるから来てみれば……お前ら!なんだこの体たらくは!物語の続きはどうした!」

 

「フッ、続きなんて無いブヒ」

 

「なに……?」

 

「これはハッピーエンドもバッドエンドも無い。終わりの無い物語さ」

 

「終わりの無い……物語?」

 

「それじゃあ、いつまでも物語がおかしくなったままだよ!」

 

「許せねぇ……お前らの物語をお前らが放り出してどうすんだよ!」

 

 牛魔王が吠えると三人の悪役達は悟空一行に向けて駆け出していく。……他の主人公達?シンデレラに追いかけ回されてるよ……やっぱ大きさはパワーなのな……

 

「わたし達も何か出来ないかな?」

 

「あの主人公達が変になった時の黒い奴、あれをどうにか引き剥がしたら元に戻らないかな?」

 

「分からない……でもわたし達が原因かも知れないし、やれるだけの事はやってみよう!みんな!」

 

『うん!』

 

 みんながスマイルパクトを構え、光に包まれる。

 

 

 

 

 そして光が収まってくると五人の姿が現れる。

 

「キラキラ輝く、未来の光!キュアハッピー!」

 

 

「太陽サンサン、熱血パワー!キュアサニー!」

 

 

「ぴかぴかぴかりん♪じゃんけんぽん!キュアピース!」

 

 

「勇気凛々、直球勝負!キュアマーチ!」

 

 

「しんしんと降り積もる、清き心!キュアビューティ!」

 

 

『五つの光が導く未来!輝け!スマイルプリキュア!』

 

「って!?ウチ変身しても元の大きさに戻ってないんやけど?!」

 

「マジじゃん……あっ、でもあかねもシンデレラと一緒で打出の小槌で大きくなれるんじゃね?」

 

「あっ、そういえば一寸法師さんも打出の小槌であの大きさになったんだった」

 

「ホンマか!?っしゃ!そんらなちゃっちゃと元の大きさに戻りに行くで!」

 

西遊記の悟空一行は悪役達が足止めしてくれているので俺達は暴れ回るシンデレラ達の元へと向かう。

 

 

 

 

 

「わたしを元に戻しなさい!!」

 

「まろは何も知らないでおじゃるよ!?」

 

「ヘンゼル!早くこっちに!」

 

「お姉ちゃん!」

 

 ……阿鼻叫喚である。

 

 シンデレラ達を何とかしようと来てみれば、遠目からも見えていたが、実際に近くで見ると巨大シンデレラに逃げ回る一寸法師とヘンゼルとグレーテルという絵面がもう酷い……

 

「おい、なんか申し開きの言葉があったら聞くぞ?」

 

 この光景の元凶、あかねに話を振るが一切目を合わせようとしない……と言うか顔ごと背けてやがる。

 

「……ちゃうねん」

 

 ちゃうくねぇだろ……

 

「えっと、取り敢えず助けに行った方が良い、よね?」

 

「ええ、ナニカの影響で主人公達が操られているとはいえ、大きな怪我でもされてしまうのは心苦しいですからね」

 

 それもそうだよな、あの状況をどうにかするには……

 

「……よし、あかねが一寸法師を惹き付けてシンデレラと一緒に打出の小槌で打たれて来い」

 

「ウチっ?!」

 

 すんごい顔して振り向かれたが先程のあかねを見習って俺も思いっきり顔ごと背けてやった。




もう少しで前半が終わるどー!

 関係ない話ですけど今季のアニメはぶいでんが一番のお気に入りです。ハーメルンで読んでいたというのもあってめっちゃ楽しく見てます!

 次回で前半が終わります!後半はバトル多めなので前半よりは早く終わる予定です!

 それでは次回もお楽しみに!
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