俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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コミケ、とんでもない人でしたね。(テレビで観てた人)
現地に行った方はお疲れ様です!わたしは今年は都合が付かず行けませんでしたが、冬コミには絶対行く所存です!(願望)


(7)

「あーもー!八幡、後で覚えとき!」

 

 そんな言葉を残して、サニーはヤケクソ気味に騒乱の場へと駆け出して行った。

 

 

 

「サニー、一人で大丈夫かな?」

 

 サニーの小さな背中を見送りながら、心配そうに呟くのはハッピーだ。その片足は追いかけたそうに半歩進んでは戻すという動作を無意識ながらも繰り返している。

 

「取り敢えず、俺らは今は待機だ。サニーとシンデレラ画元の大きさに戻り次第、その隙をついて一気に制圧するぞ。まぁ、今一緒に行ってもサニーの邪魔なりかね無ぇしな」

 

「……でも、サニーが頑張ってるのを見てるだけなのは……」

 

 ピースもサニーの事が心配なのか俺の顔と騒乱の場への視線が繰り返し行ったり来たりとしている。

 

「……まぁ、そう言いたい気持ちも分かるが、今は信じてくれ。俺じゃなくサニーの事をな」

 

 俺が何かをするわけじゃない。するのはサニーでありみんなだ。

 

 

 

 side︰サニー

 

「八幡の奴、とんでもない事言いよってからに……」

 

 視線の先では今も巨大化したシンデレラが一寸法師やヘンゼルとグレーテル達を追いかけ攻撃している。

 

 あの中に割り込んで行くだけでも勇気がいるというのに、そこから更に一寸法師の攻撃を自分とシンデレラに当てさせろと言うのだから無茶が過ぎると言うものだ。

 

「……まぁ、八幡が言うんやからいっちょ頑張ってみせますか」

 

 あの捻くれ者は言葉遣いはぶっきらぼうだし、目つきも悪いが、出来ない事をやれとは言わない事は今までの付き合いでわかっている。だから――

 

「やーい!一寸法師ー!ウチはここやで〜」

 

「なっ?!お主はっ!?お主の所為でまろは!!」

 

 ――多少は無茶でも言われた通りにこなして、その上で、文句を言ってやろうじゃないか。

 

 

 

 

 side︰八幡

 

 ここからだと細かいところは見えないが、サニーが何か挑発でもしたのか、一寸法師はシンデレラから逃げ続けるのから一変して何かを追いかけ回すように打出の小槌を叩きつけ始めた。

 

「うわっ……急に一寸法師が攻撃的になってる」

 

「サニーが上手くやったみたいだな」

 

(いわ)れの無い罪でシンデレラさんに追いかけ続けられていましたからね……鬱憤が溜まっていたのでしょう」

 

 暫くはシンデレラから逃げ回りながらサニーに攻撃を繰り返す動きをしていた一寸法師だったが、突然、何かを追うように急に反転して打出の小槌を振りかぶり……

 

「おっ、いったな」

 

 シンデレラが振り下ろしていた拳と激突した。……そしてその瞬間、その場所から眩い光が溢れ出し――

 

「ふっっかーつ!!」

 

 ――元の大きさに戻ったキュアサニーが、元の大きさに戻り、悪魔の様な翼も消えているシンデレラを抱えて雄叫びを上げていた。

 

 ……シンデレラの姿が元に戻ったのか?……いや、それは後でも良いか今は……

 

 

「よしっ!今だ!」

 

 俺の声でこの時を待っていた他のプリキュア達が飛び出し、

 

 パンパンッ!

 

 この場では場違いな……しかし、やけに響く手拍子がその足を止めさせた。

 

「ドキドキワクワク絵本の世界!どう、みんな楽しんでる?」

 

 手拍子を打ったのは俺達をこの世界に連れてきた張本人のにこだった。

 

「にこちゃん!」

 

「ええ所に来てくれたわ!」

 

「何かあったの?」

 

 無邪気に尋ねるにこ。……ただその無邪気さが、俺にはかえって不気味に感じる。

 

「物語がめちゃくちゃになってるの!元に戻さないとお話が終わらないみたいでっ……!」

 

「元に戻すの?ふふっ、その必要はないよ」

 

「……えっ?」

 

 ハッピーもにこの様子に何か違和感を感じた様だ…

 

「だって……わたしがめちゃくちゃにしたんだもん」

 

 ……そうだったのか

 

「アイツらがおかしくなった原因はお前かっ……!」

 

「なんで?どうしてにこちゃんがそんなことを!?」

 

「どうして?そんなの全部みゆきの所為じゃない」

 

「……わ、たし?」

 

 なんだ?どういうことだ?

 

「みゆきが……みゆきが約束を破ったからだよ!」

 

「やく、そく?」

 

「どういうことや?」

 

「まだ分からないんだ……それなら、コレを見ても思い出さないっ!」

 

 ニコがそう言って突き付けたのはいつもニコが抱えていた本だった。開いたページは片側だけは無事に残っているがそれ以降のページは破り取られ読めなくなっていた。

 

「……あっ……まさかっ……」

 

 ハッピーは何かを思い出したのか目を見開いている。

 

「みゆきは続きを書いてくれるって約束したよね?それなのに……書いてくれなかった。……ずっと、待ってたのに」

 

「にこちゃん!あのね「大っ嫌い!!」……っ!」

 

「みゆきなんて大っ嫌い!笑顔のみゆきなんてもっと嫌い!……だから!みゆきの好きな絵本をめちゃくちゃにして、悲しませてやろうと思った!……笑顔なんて、無くなればいいんだ!!」

 

 にこが叫んだのと同時に浦島太郎を呑み込んだナニカのような影がにこの足元から湧き出し、にこの背後で怪鳥の様な姿を取る。

 

『―――――――!!!』

 

 影の怪鳥が不気味な叫びを上げると……

 

「ぐあぁぁぁ!?」

 

「ぎゃっ!?」

 

「げふぅぅ!?」

 

 俺達の方へ物語の悪役たちが吹き飛ばされてきた。

 

「なんだアイツら!急に強くなりやがった」

 

 牛魔王の言葉に孫悟空達を見ると先程までとは違い、目を紅く光らせ感情を失ったかのように表情が抜け落ちている。

 

「にこちゃん!待って!」

 

 今度はピースの静止の声が響く。慌てて振り向くとにこは影の怪鳥と一緒に影の中へ沈み何処かへと消え去る瞬間だった。

 

「……ハッピーはにこちゃんを知ってるの?」

 

 しかし、ピースの問いかけにハッピーは答えない。

 

「ハッピー?」

 

 流石にハッピーの様子がおかしいと感じたのか、マーチが心配そうにハッピーに近づく。

 

 そんな二人に急に影が差し……

 

「気ぃ抜いてんじゃねぇ!!」

 

「………………」

 

 その攻撃を防いだのは牛魔王だった。無感情に振り下ろされた打ち出の小槌を受け止め、跳ね除ける。

 

「今の腑抜けたお前らじゃ足でまといだ!ここは俺らに任せててめぇらはさっさと物語がめちゃくちゃになった原因の嬢ちゃんを追っかけろ!」

 

「でも!」

 

「いいから……」

 

「なっ」 「きゃっ?!」

 

 牛魔王の言葉の途中でふわりと俺とビューティの体が浮き上がり、くっつけられる。突然のことにギョッとして周囲を見回すとヘンゼルとグレーテルの魔女がこちらに杖を向けていた。

 

 視界の済では一寸法師の鬼が他のプリキュア達をまとめて抱え上げているところだった。

 

「さっさと行けぇぇぇ!!」

 

『きゃぁぁぁぁ!?』

 

 牛魔王のその言葉が合図だったのか俺達は纏めて同じ方向へと飛ばされていた。魔法と腕力の違いはあれど、かなり高所まで飛ばされていることには変わりない。俺達は悲鳴を上げながら何処かへと飛ばされた。

 

 

 

 

 頭に何かが触れている。……撫でている?そもそも……俺は……っ!?

 

「………ビューティ!!」 「きゃっ!?」 

 

「ぎゃっ?!」 「がっ?!」

 

 バッと起き上がった瞬間、頭に星が飛ぶ様な衝撃がはしった。

 

「痛ぅぅ……なんなんだよ一体……」

 

「なんなん……っじゃないわこの石頭が!」

 

 顔を上げると目の前には俺と同じく頭を抑えているサニーの姿。……どうやら起き上がりざまにサニーの頭にぶつかった様だ。

 

「……あー、すまん。今ってどんな状況だ」

 

 取り敢えず、睨み付けてくるサニーを無視しつつ、頭の痛みに耐えながら現状説明を願った。

 

 

 

 

「……つまり、ハッピーがちゃんとにこに謝れるようにするって事だな?」

 

 どうやら俺は飛ばされた拍子に意識を失っていたらしい、そして俺が意識を失っている間にハッピーからにこの正体が語られたようだ。

 

 にこの正体はみゆきが幼い頃に読んだ絵本の主人公。しかしその絵本はにこが見せていた様に途中から破り取られ続きの無い状態。

 

 幼いみゆきはその続きを書いて上げると絵本のにこに約束したが、上手く書けずに癇癪を起こしてその絵本の事を今の今まで忘れてしまっていたらしい。

 

 因みにサニーは俺がビューティの膝枕で寝かされているのを見てイタズラしようとしたところで俺が飛び起き、頭突きを食らったらしい……俺悪く無ぇじゃねぇか……

 

「うん、わたし……にこちゃんにちゃんとごめんなさいって謝りたいの!許してもらえなくても、にこちゃんに悲しい思いをさせたのは本当だから!絵本であんなに笑顔だったにこちゃんの笑顔を奪ったのはわたしだから!」

 

 ハッピーの強い想いのこもった瞳に圧倒される。

 

「……ああ、しっかりと謝って来い。俺に何が出来るか分から無ぇが、出来る限りの事はしてやる」

 

 ハッピーの瞳から伝わって来る強い想いに、俺も柄にもなく応えたくなってしまっていた。

 

「八幡くん……うん!」

 

「しゃっ!それじゃ八幡も起きたことやし……行くで!魔王城へ!」

 

『うん!』

 

「…………うん?」

 

 えっ?魔王城ってなに?聞いてないんだけど?

 

 

 

 




はいっ!という訳で八幡くんは飛ばされた影響で気絶してました!理由としては普通の人間が急にあんなに飛ばされたら気絶するやろっていうのとみゆきの過去回想と魔王城を目指すまでの説明シーンを書くのがめんどかったからです!(後者の割合八割)

次回からは魔王城行ってバトって2、3話で完結する予定です!

それでは次回もお楽しみに!
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