俺がれいかと体力作りを始めて一週間は経っただろうか?相変わらず俺達は時間があれば自然とふしぎ図書館にある秘密基地に集まっている。
「って訳でな、今じゃすっかりバレー部に馴染んでしもてなぁ、練習にも混じってんねん」
別に予定を合わせているわけでもないので普段は大体三、四人集まるか集まらないかくらいなのだが、今日は珍しく全員が集まっていた。
「へぇ、あかねはすっかりブライアンのお世話係だねぇ」
「お世話係……せやなぁ、ほんまにお世話係って感じやわ」
確かにブライアンも何かとあかねの後を追っかけてるイメージが定着しつつあるよなぁ……カルガモかな?
「最近は私も八幡君に付きっきりで
確かに……そういえばあかねって英語が一番苦手な科目だったよな……
「あー、そういや意外と何とかなってるなぁ。まぁ、ブライアンと話す分には英語も「じー……」……なんやん……」
じーっと自分で口にしながらあかねの事をガン見するやよい。
「あかねちゃんってさ……最近ブライアンの事しか話してないよね」
「んー?そうか?……そうやったっけ?」
まぁ……確かになぁ。
俺は二人の会話に耳をそばだたせながら緑茶を口に含む。
「あかねちゃんさぁ、もしかして……」
「ん?なに?」
「ブライアンの事……好きなの?」
「…………え?」
「えぇぇぇぇぇぇ!!?そうなのあかねちゃん!?」
「どうなの!?どうなの!?」
「あかね!……本当の気持ちを聞かせて?」
俺とれいかを除く三人はバッとあかねに詰め寄り次々に言葉を投げかけていく。
「わあ゛ぁぁぁぁ!!そんな急に寄るなや!びっくりするわ!?」
「それで!?本当のところは?」
「ドキドキしちゃったり?」
「顔が熱くなって来たり?」
「………はぁ……し!と!ら!ん!」
大声で三人の追求を否定するとあかねは頭をガシガシと掻き、更にため息ひとつ。
「あんな、確かにブライアンと居て楽しいし、友達としては好きやわ」
『……うん』
三人もあかねの雰囲気から何か感じ取ったのか、茶化す様な感じから一転、真面目に聞いている。
「……でもな、ブライアンは後二週間でイギリスに帰るんやで?それなのに好きとか言って残りの二週間変な感じになりたないやん?むしろウチはこの残り二週間をめいっぱい楽しんで欲しいんや」
『………………』
パンッ!と柏手一つ。
「みなさん、あかねさんもこう言っていますし、これからは私達も一緒にブライアンさんに日本の楽しい事を沢山教えてあげましょう」
三人が黙りこんでしまったのを紛らわせる様にれいかが席を立って三人に声をかける。
「……そういえば俺達って好きな事も得意な事も結構バラバラだろ?色々教えてやれるんじゃねーの?」
『………………』
「……なんか言えよ」
意外そうな目でこっち見んな……
「八幡って空気読むんやな」
「お前にだけは言われたくないんだが……」
「……ふふっ」
「ぷっ!あははははっ!」
『あははははははっ!』
俺が嫌そうにそう言えばあかねやれいかのみならず黙りこくっていた三人まで笑いだした。
……………俺は拗ねた。
「ブライアン、紹介するでウチの親友達や!」
それからは俺達も時間が合えばあかねとブライアンと行動するようになった。
やよいはスーパーヒーローやロボッターなどアニメや特撮を中心に教えていた。この辺りは海外の人にかなり人気なのは知っていたがブライアンも案の定どハマりしてやよいと一緒に決めポーズまでしていたのには驚いた。っていうかこれはある種の洗脳なのでは?
休日には皆でなおの家に遊びに行った。なおの
みゆきが教えていたのは日本の童話だ。絵本好きのみゆきらしく日本の童話にもかなり詳しい様で、俺が知らない話まで持ってきたのには驚いた。だが一番感動したのはやはりその中でブライアンが気に入っていたのが『にこの絵本』だった事だろう。みゆきが持って来た本の中に入っている事に気付いた時には、なんとも言えない気持ちになった。
れいかは弓道を教えていた。一射一射、呼吸を整え、射る度に的のど真ん中を射抜くれいかの腕に、ブライアンだけでなくみゆき達まで口を開けて固まって居たのには笑った。……俺はれいかの指示で筋トレ中だったのだが笑ってたら、れいかも笑顔でもう一セット追加された……
俺は特に教える様な事も無かったので何時もれいかと一緒にやっている花壇の手入れをみんなにも手伝ってもらいながらやった。……特に事件は無かった。
そんなこんなでブライアンが留学して来てから三週間が過ぎた。聞いた話によると最後の休日にはあかねが動物園と水族館にブライアンを連れて行ったらしい。
「ソレでは皆サン、お世話にナリマシタ」
花束を抱えて頭を下げるブライアン。
「楽しかったぞー!」
「元気でねー!」
クラスの奴らからも別れを惜しむ声や、送る言葉がちらほらと聞こえてくる。
「……ブライアン!」
その中でも多くの時間をブライアンと過したあかねの気持ちはひとしおだろう。
「……アカーね」
ブライアンも感慨深気にあかねの名前を呼んでいる。
「楽しかったで!!」
あかねは大きな声でそう伝えると手を振って見送る。
「ありがとうゴザいました!」
ブライアンはもう一度大きく頭を下げると、大きく手を振りながら曲がり道に消えていった。
「行っちゃったね」
「……せやな」
「三週間ってあっという間だね」
「アタシ達も結構楽しんじゃったよね」
「出会いがあれば別れもある。これもまた人生と言う『道』なのです」
「れいかのその『道』、なんか久しぶりに聞いた気がするわ」
俺は結構好きなんだよな。
ブライアンの見送りを終え、みんな教室へ戻る。佐々木先生の計らいで帰りのHRに皆でブライアンの見送りをしていたのだ。
「あれ?
「知らないよ、どこにあったの?」
「ブライアン君の机の中だけど……」
HRを終え帰り支度をしているとブライアンの机を片付けていた奴らが騒ぎ出す。
「どしたーん?なんかあった?」
あかねも気になった様でその騒ぎの中へと入っていく。
そして……
「ブライアァァァァァン!!?」
あかねの絶叫が響き渡った。
「どうしたのあかねちゃん!?」
「ブライアンくんが何か遺してたの!?」
みゆきとやよい、片方はあかねを心配そうに、そして片方は何かを期待した顔であかねに声をかけたのだが……帰って来たのは怒声だった。
「どうしたもこうしたもあらへん!アイツ最後の最後に忘れもんしよってん!」
あかねが言いながら掴んでいるのは猿の刺繍が施された御守りだった。
「ウチ届けてくる!」
「わ、わたし達も行く!……ほらっ!みんなも!」
「えっ……みゆきちゃん!?」
「あははっ、面白そうだしアタシも行くよ!」
御守りを握りしめ、駆け出すあかね。そしてそれを追うみゆきと手を掴まれて強制的に走らされているやよい……と、何故か一緒に行くことになった俺達……
「なぜ?」
「ほら八幡君、私達も行きましょう!これも体力作りの一環ですよ!」
「お、おう……」
れいかにそう言われてしまえばついて行くしかないわけで……
何故か、急遽マラソンが始まってしまったのであった。
えっと……流石に空港行きのバスには乗るよな?
という訳であかねちゃんの気持ち回?でした!
今回はかなり改変しまくって居るのでちゃんと整合性が取れているか不安だったりしてます……
まぁ、多分題しでしょう……
次回で前半バトってラストって感じになると思います。
それでは次回もお楽しみに!