俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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時間が足りない……本も読みたいしゲームもしたい、アニメも見たいし、この物語の続きも書きたい……………働きたくねぇなぁ……


第37話 れいかの決意!これが私の理想の生徒会長!!
(1)


『おはようございます!』

 

「おはようございます」

 

 朝の校門前、生徒会のメンバーが登校して来る生徒達に挨拶をしている。

 

 今週は挨拶週間で生徒会メンバーは朝の登校時間に校門前で元気よく、挨拶をする挨拶運動を行う事になっている。

 

「……おはようございまーす」

 

 そして今、何故か俺もれいかの隣で挨拶運動に参加しているのだが……

 

 まぁ、何故か……とは言ってはいるが実際には俺の方から言い出した事が発端なんだが……

 

 先月かられいかと一緒に行っている体力作りのジョギングや護身術だが、付き合って貰っている対価に初めは金銭を渡そうとしたのだが頑なに受け取って貰えず、どうしても何かしたいと伝えると、丁度今週から始まる挨拶運動に付き合ってくれれば良いと言われ今に至る訳だ。

 

 ……まぁその後にきょうかが『対価はちゅーがいいです!』とか言った時に『それを対価に求めるのは間違っています!奪うからこそ興奮するんじゃないですか!』って反論したれいかにはちょっと背筋に冷たいものが走ったが……

 

 

 

「八幡君、聞いていますか?挨拶は伸ばさないで元気良く……ですよ?」

 

「……おう」

 

「挨拶はする方もされる方も気分が良くなる事が大切です。嫌々されているのが相手に伝わってしまう様だと、それはもはや挨拶とは言えません」

 

 まぁ、なんの為の挨拶かって事だよなぁ

 

「言いたい事は分かる。俺も少しやる気が足らない様な挨拶だったしな」

 

「ええ、それでは一緒に皆さんの気分を良くしていきましょう」

 

『おはようございます!』

 

 

 

 

 昼休み、今日は久しぶりにれいか達と二人で飯を食っている。普段はここに他のメンバーも居るので少し新鮮な気分だ。

 

「ですから私は思うんです、顧問の先生方のやり方は間違っているとは言いませんが、朝の挨拶運動の中では周りと合わせてほしいと」

 

 今れいかが話しているのは、今日の挨拶運動に途中から参加してきた運動部の学生達の挨拶についてだった。

 

 まぁ、なんというか……運動部の学生達はとにかく声が大きかったのだ……

 

 朝の静けさが残る時間帯だ。学生達のお喋りの声を押し退けるように、運動部学生達の声が響くこと響くこと……

 

 俺も見ていたが、耳を抑えて顔を(しか)めながら通る学生も居たくらいだ。お互いの気分を良くする事を信条としているれいかとしては看過できない事なのだろう。

 

「それも向こうさんは好意でやってくれてるわけだし言い辛い事だよなぁ」 

 

 実際普段よりも朝練の時間を減らして挨拶運動に来てくれてる訳だしなぁ……

 

「でもまぁ、実際に言ってみたら何とかなるかも知れないぞ?あいつらは朝練を切り上げてそのまま挨拶運動に参加してるから部活中の感覚で挨拶をしてるだけだろうし」

 

 実際にアイツらの中にクラスメイトも居るがあんなに張り上げた声で普段挨拶なんかしてねぇし……

 

「ええ、……ええ!そうですよね!直接何も言わずに陰で文句を言うなんて卑怯ですし、何の解決にはなりません。明日、丁寧に説得してみたいと思います!」

 

「おう、頑張れ」

 

「はい!」 『では、明日頑張れるようにちゅーを下さい♡」

 

「きょうか!!」

 

 

 

 

 

 

 って訳で今日、挨拶運動中にやって来た運動部員達を集めてれいかはマジで言った。

 

 結果としては俺の心配をよそに説得はあっさりと成功した。なんでも昨日クラスに戻ってからクラスメイトに『うるせぇ』と言われた部員が結構居たらしい……

 

 

 

 

 登校時間も終わりに差し掛かり、登校してくる生徒達も疎らになった頃、ふと思い出した事があったのでれいかに尋ねる。

 

「なぁ、そう言えばそろそろ生徒会長選挙の時期だろ?副会長だし、れいかは立候補するのか?」

 

 例年、生徒会長は生徒会のメンバーが務めて居るのが現状だ。現会長も昨年は副会長だったと記憶している。

 

「……実は、私は立候補を考えて居ないんです」

 

「………すまん、話し辛い事だったか?」

 

 何か地雷を踏んだかと思い、咄嗟に引こうとれいかに確認を取ると……

 

「あ、いえ、そんな何か重大な問題がある訳ではないんです……聞いてくださいますか?」

 

「ああ、勿論だ」

 

 俺が頷くとれいかは口を開きかけ、周りを見回すと口を閉じた。

 

「少し長くなりそうなのでやっぱり今日の放課後でいいですか?」

 

「あっ、とそりゃそうだよな。もちろん俺は何時でも大丈夫だ」

 

 

 

 放課後、俺とれいかは二人で校舎裏の花壇がよく見えるベンチに横並びで座って朝の続きの話をしていた。

 

 そうしてれいかは何故自分が生徒会長選挙に立候補しないのかを話し始めた。

 

「私にとって生徒会長とは生徒達の先頭に立ち道を示すべき存在です。ですが、私にはその示すべき道が分からないのです」

 

「あー……公約が無いみたいな感じか?」

 

「ええ、私が前に…………いえ、そうですね……」

 

 れいかは何かを口にしようとして、ふと一瞬考え込んだかと思うと何かに納得した様に頷いた。

 

「どうした?」

 

「……いえ、思い出したんです。前にもこうやって八幡君に相談した事があったなと……」

 

「ああ、確かに……」

 

 思い起こされるのは数ヶ月、れいかが殆どの事を辞めさせて欲しいと言ってきた時の事だ。あの時はほんの少しれいかの視点を変えて見ればれいかの中で答えが出るものだった。だが今回はどうだろうか?

 

「私は一度考えが固まってしまうと、どうにもそこから形を変えることが出来ないようなんです。……ですので今回だけ、私の話を聞いてアドバイスを下さいませんか?」

 

 キラキラと上目遣いで見上げてくるれいか。どうもあの一件以来、俺の意見のハードルが高いバカ高くなった気がしないでもない。

 

「わ、わかった///」

 

「ありがとうございます。それでは聞いてください。先程も言ったように私にとって生徒会長とは私達の、今は学生として交わっている道の先頭に立ち道を指し示す存在です。しかし、私にはその指すべき道が分からない……!一人一人の道が重なっているこの道を私がどう導けば良いのか分からないのです……」

 

 苦しそうに、噛み締めるようにして話すれいか。れいかの話を聞いていて俺は直ぐにれいからしからぬ言葉に気付いた。

 

「……れいかは今言ったことにに頭を悩ませてるのか」

 

「ええ、生徒会長に立候補するのならこれくらい出来なければと……」

 

 一瞬、気付いた事を言おうか迷ったが言うことにした。

 

「……れいか」

 

「…………」

 

「それは、傲慢だと思うぞ」

 

「傲慢……ですか?」

 

 れいかは不思議そうに小首を傾げる。

 

「れいかは生徒会長はが生徒達に道を指し示すべきだと本当にそう思っているのか?」

 

「え?だって……それは……」

 

 れいかは俺に考えを否定されたと思ったのか、視線がおろおろと彷徨わせ、言葉が掠れていく。

 

「道を決めるのは生徒会長なんかじゃない、生徒自身だ」

 

「……あっ」

 

 れいかの口から零れる様に息が零れ、俺の言葉を咀嚼する様に目を閉じる。

 

「そう……ですね。私は知らず知らずのうちに、上から見下ろす様な考え方をしてしまっていたのかも知れません……」

 

「俺もれいかの考えが全て間違っているとは思わない。生徒会長がれいかの言う()、その先頭に立つっていう考えは俺も好きだ」

 

 生徒会長とは生徒達の代表であり、学校の顔とも言える存在だ。大抵の学校でも他クラスの生徒の顔は知らないが生徒会長の顔は知っている、というやつも多いだろう。

 

「ええ、そうですね。………決めました。私、青木れいかは生徒会長としてその行動、態度によって生徒達の目標、規範になり、その後ろ姿で歩む道を照らしていこうと思います」

 

「……そうか。ってことは」

 

「ええ、生徒会長選挙に立候補します」

 

「そうか、頑張れよ」

 

「はいっ!やっぱり八幡君に相談して良かったです。貴方は私の事をしっかりと見てくれている。わかってくれている」

 

 れいかはベンチから立ち上がって振り返る。

 

「やっぱり私は八幡君が大好きです!」

 

 その言葉と共に唇を塞がれた。

 

「んっ……ぷはっ///ふふっ♪立候補届けを出して来ます!一緒に帰りたいので待ってて下さいね!」

 

 そう言ってスキップでもしそうなほど浮かれて去って行くれいかの後ろ姿を見つめながら、柔らかい感触の残る唇に指を当てる。

 

「やっぱ幾らやっても慣れるもんじゃねぇよな///」

 

 熱くなっていく頬の熱を覚ますように顔を扇ぎながらベンチに体をもたれさせるのだった。

 




という訳でれなちゃん説得回でした。個人的に原作のこのお話はせっかくのれかちゃん回なのにあんまり好きではないんですよねぇ軽くアンチっぽい話ですし……

 あと今回のお話の中に結構個人的な偏見が入っちゃってるかなぁと思ってます。まぁ一個人の意見なので軽く流して下さい。

それでは次回もお楽しみに!
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