俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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巻いていきますよー


(2)

「〜〜清き一票をよろしくお願いいたします!」

 

 朝、れいかと花壇の手入れをしていると他の生徒会長候補者らしき声が聞こえて来た。

 

「立候補者ってれいか以外にもいたんだな」

 

「ええ、私以外にも二人程立候補していた筈です」

 

 現生徒会副会長で最有力候補のれいかが居るのに立候補するなんて何か秘策でもあるのか?

 

 まぁ、今考えても仕方ないことか……

 

「ところでれいかは票の呼びかけはしなくていいのか?」

 

 他の候補者の声を聞きながられいかが今やっているのは花壇の水やりだ。幾ら有力候補候補だとしても心配はしてしまう。

 

「今日はお昼休みや放課後に呼びかけをしようと思っています。朝はお花(この子)達にお水を上げなくては行けませんから。明日は朝から呼びかけを行おうと思います」

 

 そう答えながら、慈しむように花達に水をあげる姿は目が目が離せなくなるほど綺麗だった。

 

 

 

 

 選挙期間はあっという間に過ぎて行き、とうとう投票直前の立会演説会の日を迎えた。

 

 立会演説会は要するに会長候補者達が各々の主張を全校生徒に改めて伝え、支持を集める為の学校側が用意した機会みたいなもんだ。

 

 今日までに呼びかけも何度も行ったし、みゆき達も協力してくれて、選挙ポスターを作ったり、れいかとは別の場所でのれいかへの投票を呼びかけたりしてくれた。

 

「〜〜という訳で僕は運動部の予算を多く割り振りたいと思っている!運動部が活躍すればこの学校の名前が広く知られる様になるんだ!僕は見てみたい!校舎に大きな垂れ幕で『〜〜部全国大会出場』と書かれている光景を!そんな未来の為にも僕への応援をよろしくお願いします!」

 

「〜〜君、ありがとうございました。続いて〜〜さん、よろしくお願いいたします」

 

 最初に演説をしたのは運動部所属の男子生徒だった。公約は運動部の部費増額、この学校は文化部よりも運動部の方が多いからそっちの支持を集める為の公約だろう。まぁ自分達の部の予算を引き上げる為……という事かもしれないが……

 

「はい!」

 

 司会の言葉に返事をして俺達の前で集まっていたグループの中から一人が演説台へと上がっていく。

 

 学校側の意図かは分からないがれいかはこの演説会のトリだ。舞台袖には俺とれいかを含めて八人程が待機している。今この場に居るのは立候補者とその後援者数名だ。後援者側に人数の指定は無いがこの場に来る事の条件として、投票権が失われるので大勢で押し掛けることは無い。

 

「れいか、緊張はどうだ?」

 

「八幡君のお陰で大分落ち着けています。直前迄このままでもいいですか?」

 

 今、俺とれいかは両手を絡ませ、れいかが額を俺の胸に当てたまま目を瞑って静かに呼吸を整えている。

 

「ああ、れいかが落ち着けるならなんでも言ってくれ」

 

 まぁこの体制になってから後援の生徒達が立候補者の演説そっちのけでこっちの事ガン見してるのは勘弁してもらいたいのだが……

 

『ふふっ、もしれいかが緊張して何も喋れなくなってしまったら私が代わりに演説してあげますよ」

 

「いや、それはちょっと……」

 

 きょうかの演説とか何を言い出すか分からなくて怖いんだが……

 

「ふふっ、きょうかもありがとうございます。でも、大丈夫ですよ」

 

 

 

 

 

「〜〜そうして私は……」

 

 れいかの前の候補者の演説が佳境に差し掛かった時、事件が起こった。

 

 ダンッ!!

 

 突然響き渡った大きな音に候補者の演説が止まる。

 

「ウルッフッフッフッ!」

 

 そして聞き覚えのある笑い声も響いてきた……

 

「八幡君っ……!」

 

「おう」

 

 二人で舞台袖から顔を覗かせると、まず目に入ったのが体育館の扉に寄り掛かるようにして笑うウルフルンの姿だった。

 

 どうやら先程の大きな音はウルフルンが扉を思い切り開けた時に出た音のようだ。

 

「ウルッフッフッフッ!聞いたぜ、お前らここのリーダーを決めようとしてるらしいじゃねぇか!」

 

「な、なんだね君は!?ここは関係者以外立ち入り禁止だよ!出て行きなさい!」

 

 体育館の端で演説を聞いていた教師陣の中から体育教師がウルフルンの前に立ち出て行くように促す。

 

「先生ダメ!」

 

 

 咄嗟に立ち上がったみゆきが声を上げるが既に遅い。

 

「うっせぇ!雑魚は引っ込んでろ!」

 

「ぐわぁっ!?」

 

 先生はウルフルンに蹴り飛ばされ体育館の床を滑る様に生徒達の中へと突っ込んで行った。

 

『きゃぁぁぁぁぁ!!??』

 

 それを境に体育館中央で座って居た生徒達は皆、一斉に悲鳴を上げて壁際に逃げ出していく。……お、先生も引き摺られながらも一緒に連れて行ってもらえてる……意外と人望があるのかもな……

 

 今、体育館中央に残っているのはウルフルンの事を知っているみゆき達だけになっていた。

 

「リーダーってのは強ぇ奴がなるもんだ!だからなってやるよ!このオレ様がなぁ!!」

 

 ウルフルンはそう言うと懐から本を取り出す。

 

「世界よ!最悪の結末バッドエンドに染まれ!」

 

 そうして黒い絵の具を手の中で握りつぶし、開いた本に叩き付けるように塗り付ける。

 

「白紙の未来を黒く塗り潰すのだ!」

 

 途端に辺りの空気が重苦しくなり、生徒や教師達が膝を着き(うつむ)きだす。

 

「生徒会長なんてもうどうでもいいよ……」

 

「わたし、なんでこんなに頑張ってたんだろう……」

 

「無駄なことしてたわぁ……」

 

「皆さんっ!?」

 

 俺達の周りに居た立候補者達も皆、座り込み溜息をこぼす。

 

「ウルッフッフッフッ!人間共の発したバッドエナジーが悪の皇帝ピエーロ様を蘇らせていくのだ!!」

 

「ウルフルン!」

 

「おい!オレ様とお前達でどっちが強ぇか勝負だ!」

 

 ウルフルンはそう言うと体育館の窓をぶち破り外へと飛び出す。

 

「……っ!皆さん!」

 

『うん!』

 

 れいかの声に一斉にスマイルパクトを構えた五人が光に包まれる。

 

 

 そして、光が収まってくると変身した五人の姿が現れる。

 

 

 

「キラキラ輝く、未来の光!キュアハッピー!」

 

 

「太陽サンサン、熱血パワー!キュアサニー!」

 

 

「ぴかぴかぴかりん♪じゃんけんぽん!キュアピース!」

 

 

「勇気凛々、直球勝負!キュアマーチ!」

 

 

「しんしんと降り積もる、清き心!キュアビューティ!」

 

 

『五つの心が導く未来!輝け!スマイルプリキュア!』

 

 変身を終えた五人は直ぐさま体育館を飛び出して行く。

 

 飛び出して行ったプリキュア達に続き、俺も体育館から出るとそこでは既にハイパーアカンベェとなったウルフルンとプリキュア達の戦闘が始まっていた。

 

 

『ハーイパー!!』

 

 どうやら今回ハイパーアカンベェの元になったのは演説用のマイクだったようだ……ってこの感じ前にもなかったか?

 

 ハイパーアカンベェとプリキュア達が激しく攻撃を撃ち合う中で急にハイパーアカンベェが後ろに飛び距離を取る。

 

『ハイパーアカンベェ!!』

 

 そして手元のマイクを口元によせ胴体部分に着いているスピーカーから増幅された声を衝撃波として放ってきた。しかし……

 

「二度も同じ手は通用しないよ!」

 

 奇しくも一度マジョリーナが使った戦法なだけに対抗策は同じというわけだ。

 

『アカンベェ?!』

 

 マーチを先頭にして周囲を分厚い空気の層で囲ったプリキュア達が矢印のような隊列で、ハイパーアカンベェの放つ衝撃波をものともせずに突っ込んでいく。

 

『アカンッ?!アカンアカンアカンッ!?』

 

 衝撃波を放ち続けていたハイパーアカンベェも流石に効かない事を悟ったのか突っ込んで来るプリキュア達にマイクを振り上げたが、一手遅かった。

 

『ンベェッ?!』

 

 振り上げられたマイクは振り下ろされる事無く、スピーカー部分に叩き込まれた五つのキックによってハイパーアカンベェはコの字になって吹き飛んでいく。

 

「どんまい……ウルフルン」

 

 あれだけ強がっていながらも、手も足も出ずに吹き飛ばされるハイパーアカンベェを見て、何故か敵方に同情してしまう俺が居たのだった。

 




はい、という訳で三幹部の学校潜入&選挙活動は全カットでお送りしました。

ぶっちゃけアニメだと何故先生が止めに入らないのか理解に苦しむ程の公約掲げてるんですよね……

次回で浄化!からのれかちゃん演説ぅぅ!!で〆ですね。はよロリが書きたいので……

それでは次回もお楽しみに!
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