ガサ……コト……
「んん……?」
微かに聞こえてきた物音に意識がゆっくりと浮上してくる。
「……朝か」
体を起こそうとすると右腕に何かに引っ張られるような、何か重りでもぶら下げているような、そんな感覚に襲われる。
「っ!」
その感覚に急に目が冴えて来て慌てて右腕を確認すると……そこには幸せそうな寝顔の幼女れいかが……
「……すぅ、むぅ……重くないです」
「……いや、なんかすまん」
寝言で抗議されてしまった……
バサッ……
謝りながら頭を撫でていると、今度は後ろから物音が……!
バッと、振り向くと着替え中らしく椅子に腰掛け、ソックスを引き上げている途中のせつなと目が合った。
「おはよう…………って、それより何?急に振り向くから驚いたじゃない」
「………………」
そうか……そういえば、れいかとせつなは俺の部屋に泊まってたんだよな。
「……どうしたのよ?そんなに固まって……ああ、惜しかったわね。もう少し早く振り向いていたら私の下着姿が見られたのに」
「なっ///」
「ふふっ、今からでも見たいなら見せてあげるわよ?貴方の
「……?……あっ?!これは生理現象でだな!?」
せつなの視線の先、朝から元気よく起立している我が分身に気付き、慌てて布団を掻き抱きながら弁明をする。
「知っているわ。でも、何度見ても凄まじいわね……何か薬でも使ったの?」
「使うか!」
「はいはい、そんなに元気なら目も覚めたわね。下で朝食の準備をしてるから、れいかを起こしたら降りて来てね」
せつなはくすりと笑うと後ろ手に手を軽く上げ、部屋から出て行く。
「揶揄われたのか……いや、まぁいいか。……れいか起きろぉ」
「……ん、んん……」
朝から揶揄われて目が覚めた所為か、なんとも微妙な気分になったが、取り敢えずはせつなに言われた通りれいかを起こして朝食の準備を手伝おう。
「おーい、れいかぁ」
「んん……ん?八幡君……?」
「起きたか?おはよう、朝だぞぉ」
眠気まなこで俺の名前を呼ぶれいか。
「……んん?んー……あっ!おはようございます八幡君」
最初はただ不思議そうに俺の顔を眺めていたれいかだったが、意識がはっきりしてくると昨日の事を思い出したのか直ぐに朝の挨拶を返してくれた。
「〜♪ふふん〜♪」
れいかと連れ立って階段を降りてリビングへ入ると、キッチンでは鼻歌を歌いながら調理を進めるせつなの背中が揺れている。
「おはようございますせつな。朝からありがとうございます」
「あら、起きたのね。おはようれいか。料理の事だったら気にしなくても良いわ。私がしたくてしてる事だもの」
「それでも感謝は受け取ってくれ。俺は刹那を手伝うかられいかはみんなを起こしてきてもらえるか?」
「そう、なら受け取っておくわ」
「はい!お任せ下さい!」
全員揃って朝食を取り、俺達はマジョリーナを探すために昨日れいか達が子供になってしまったという場所。公園にやって来た。
「手掛かりが無いんじゃ先ずはこの場所で手がかりになりそうな物を探すしかないわよね」
「ああ、聞いた限りだと突然空から液体が降ってきて、今みたいな状態になっちまったらしいからな」
「そうなのね……これはなかなか骨が折れそうね」
「まぁ……なぁ……」
俺達の視線の先では公園に着くなり走り出して、今は遊具で遊んだりどんぐりを拾ったり、追いかけっこをしている幼女達の姿……
「そのぉ……恥ずかしながら、私もあの中に混ざりたいと思っている自分がいまして……///」
唯一ここに残っているれいかも偶々、俺とせつなと三人で手を繋いで居たからここに留まって居るだけで最初はみんなと一緒に走り出そうとしてたんだよなぁ……
「手がかり……見つかるかしら……」
「いやぁ…………どうだろうなぁ……」
なんて、ため息を吐いていたのが数分前……
「おい!お前ら、押すんじゃねぇ!早く逃げるぞ!」
「オレ様が鬼だオニ!みんな逃げるオニ〜!」
今、俺達の目の前では、その
「……………で?どうするの?
「スー……」
「八幡君?」
「……いや、なんでもない。そうだなあいつらに「こらぁぁぁ!!お前達!プリキュアを探さないで何を遊んでるだわさ!」」
『……………』
「……ちょっと、探してる本人来ちゃったわよ?」
「まさに噂をすれば影が差す……ですね」
「……まぁ、ともかく本人が居るなら話は早いな……おい!マジョリーナ!」
もうなんか面倒くさくなって来たので普通に声をかけてしまった。
「アタシの名前を呼ぶやつは誰だわさ!って!?お前はプリキュアのっ!……んん?それによく見たらウルフルン達と遊んでるのはプリキュア達だわさ!?」
「そうだよ……どうせプリキュア達が幼女になっちまったのもお前の所為だろ?」
「なんでもアタシの所為にするんじゃないだわさ!ふんっ、まぁプリキュア達がコドモニナ〜ルを使ったのなら好都合だわさ!世界よ!最悪の結末バッドエンドに染まるだわさ!白紙の未来を黒く塗り潰すだわさ!!」
マジョリーナは嘲るように言うとバッドエンド空間を展開する。
付近が重苦しい雰囲気に包まれ、公園で遊んでいた子供達やその親らしき人達が項垂れるように座り込む。
「ひーっひっひっひっ!人間達の発したバッドエナジーが悪の皇帝ピエーロ様を蘇らせていくだわさ!」
「ちょっと、迂闊に声をかけない方が良かったんじゃないの?」
「……すまん、なんか色々面倒くさくなって……」
「ちっちゃくなったプリキュアを倒してこのまま一気にバッドエンドだわさ!」
「あー!マジョリーナだ!!みんな!」
『うん!!』
「あっ、私も!」
遊びに夢中になっていてこちらに全然気がついていなかった幼女達だがマジョリーナがバッドエンド空間を展開した事でこちらに気が付いたようだ。スマイルパクトを握り締めて駆け寄ってくる。
そしてれいかも慌ててみんなの所へ行き、一緒に光に包まれた。
「きらきらかがやく、みらいのひかり!きゅあはっぴー!」
「たいようさんさん、ねっけつぱわー!きゅあさにー!」
「ぴかぴかぴかりん♪じゃんけんぽん!きゅあぴーす!」
「ゆうきりんりん、ちょっきゅうしょうぶ!きゅあまーち!」
「しんしんとふりつもる、きよきこころ!きゅあびゅーてぃー!」
「いつつのひかりが」
「いつつのひか」
「いつつのひかりがみち」
「いつつのひか」
「いつつのひかりが」
『あう……』
「あっ!せーの!」
『いつつのひかりがみちびくみらい!かがやけ!すまいるぷりきゅあ!』
「やったぁ!」
「そろったぁ!」
「見てみて!変身できた!」
「あれ?!でもやっぱりこどものままだよ!?」
「どうしましょう……」
プリキュアに変身することは出来たが子供の姿のままな事に慌てるプリキュア達。
「ひーっひっひっひっ!これならひとひねりだわさ!出てよ!ハイパーアカンベェ!!」
マジョリーナが呼び出したのはどんぐりを元にしたハイパーアカンベェだった。
ハイパーアカンベェはマジョリーナを飲み込むとその額には緑の帽子を象ったようなマークが現れ、その頭には何処からか現れた緑色の帽子が被さる。
「どんぐり!!」
ここでもどんぐりかよ……
『ハイパーアカンベェ!!』
ハイパーアカンベェは小さなプリキュア達に向かって大股で近付いて行く。しかし、その前を遮る者達が現れたのだった。
「おい、マジョリーナ!オレ達を早く元に戻せ!」
「そうオニ!今のちっちゃいプリキュアなんてオレ様にかかればイチコロオニ!」
「お前だって今はちっちゃいじゃねぇか!」
「なんだと?!ウルフルンだってちっちゃいオニ!」
「やるかぁ?」
「やるオニぃ?」
『バカヤロー!このぉ!離せー!』
こいつらハイパーアカンベェの前で喧嘩始めやがったぞ……一体何がしたいんだよ……
「ああもうキーキーガキが
突然ハイパーアカンベェからマジョリーナの声が聞こえてきたかと思えば、ハイパーアカンベェが自分の口の中へ手を突っ込むと口の中から小瓶を取り出した。
「ほら、これで早く元に戻るだわさ」
小さな小瓶を子供になったウルフルンとアカオーニに差し出すハイパーアカンベェ。
「あれはっ……せつな!」
「もう動いてるわ!」
その声はハイパーアカンベェのすぐ側から聞こえた。
「貰っていくわね」
『あーっ?!』
手を差し出して、律儀に待っていたウルフルンとアカオーニの目の前でせつなが小瓶を掠め取ると、直ぐにせつなの姿が消える。
「ただいま」
「あ、ああ、おかえり?」
声はすぐ隣から聞こえた。……いや、もう本当にチートじゃね?
「スンスン……特に変な匂いはしないわね。これでいいのかし…らっ!」
せつなは小瓶の栓を抜くと、何故か一度匂いを嗅いだ後に幼女化したプリキュア達に向けて振り撒いた。
『わぁぁ……!』
モトニモド〜ルを浴びたプリキュア達とキャンディが光に包まれそのシルエットがどんどん大きくなっていく。そして光が消えると――
『戻ったぁぁぁ!!』
――そこには元の姿に戻ったプリキュア達がいた。
「お前!変身してなかったから気付かなかっただわさ!あの時の増えたプリキュアだわさ!」
「せつなよ、覚えなくても良いわ」
めっちゃ煽るじゃん……
「オレのモトニモド〜ルがお前の所為で取られちまったじゃねぇか!」
「オレ様のモトニモド〜ルオニ!」
「やるかぁ?」
「やるオニぃ?」
『ふざけんな!おい!尻尾は引っ張るんじゃねぇ!髪の毛を引っ張るのは反則オニ!』
そしてまた喧嘩を始めるガキ共……
「…………お前達がふざけるなだわさぁ!!」
『ハイパーアカンベェ!!』
『ギャー?!』
目の前でまた喧嘩を始めた二人に遂にキレたハイパーアカンベェが二人を空の彼方へと蹴り飛ばした。
『アカン……べェ……べェ……』
怒りからか息切れをしているハイパーアカンベェ……
「……チャンスじゃね?」
プリキュア達の方を見やると彼女たちも困惑しながらもお互いに顔を見合わせ頷きステッキを構える。
『ペガサスよ!わたし達に力を!』
その言葉と共にステッキから黄金の光が放たれ、プリキュア達を包み込む。
そして黄金の光が弾けると装いを変えたプリキュア達が現れる。
『プリキュア!プリンセスフォーム!!』
そしてプリンセスフォームに返信したプリキュア達の前にロイヤルクロックが現れる。
「開け!ロイヤルクロック!」
ハッピーがロイヤルクロックに何かするとロイヤルクロックから吹き上がった黄金の光が弾け、不死鳥の様な姿をかたちどる。
「届け!希望の光!」
『羽ばたけ!光り輝く未来へ!』
『プリキュア・ロイヤルレインボーバースト!!』
五人の持つ蝋燭に見立てたステッキから溢れ出た光が合わさり、不死鳥の姿を模すとその口元から、輝く虹色の光の奔流を解き放つ。
『アカーンべェ…』
ハイパーアカンベェはその光の奔流に呑み込まれ浄化される。
「輝け!」
『ハッピースマイル!』
浄化されたハイパーアカンベェからマジョリーナが弾き出される。
「あの馬鹿二人の所為だわさ!今度は覚悟しておくだわさ!」
捨て台詞を残して消えるマジョリーナ。
「いやぁ〜えらい目にあったなぁ」
「でも、なんだかなんでもない事なのにすっごく楽しかった!」
「うん、わたしもなんだかはしゃいじゃったかも!」
「アタシもなんだか昔に戻ったみたいで楽しかったなぁ」
四人が楽しそうに話しているのを横目に俺達もベンチに腰を落ち着けて、ふりかえる。
『せつな、大活躍でしたねぇ」
「まぁ、ね。れいかに大きく貸し付けてあげるわ」
「ふふっ、今回は本当にせつなに助けられましたからね。大きく借りておきます」
「れいかも大変だな……」
せつなに大きな貸しだなんて……あれ?何を要求するか全然想像出来ねぇや
「……?大変なのは八幡君ですよ?」
「……え?」
「当たり前じゃない。私とれいかとの貸し借りなんて八幡の事以外にないわよ……楽しみにしてるわね♪」
「……え?……え?俺何されんの?」
「あー!皆さんお揃いで!遊んでたんですか?」
「あ!小町ちゃん!あのね、昨日みんなで小町ちゃんのお家に泊まったんだー!」
「なんですとー?!お兄ちゃん!小町聞いてないんですけどー!?」
「小町はちょっとまて、え?マジで何されんの?」
「ふふっ♪」
「おにぃーちゃーん!!」
その笑顔は怖い!!
デートでした。
いやぁ……せっちゃんってえっちですね!あれれ〜おかしいな?ヒロイン化するとみんな積極的でえっちなってる気がするぞ?まさか……作者の性癖!?
あ、次回はあんま八幡君が関われなさそうなみゆきちゃんのシンデレラ回なのでオリジナル回に変更になります。まぁ、デート回ッスね