俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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これ、なかなか続くぞ……


(3)

 二人に腕を組まれUFOキャッチャーコーナーを回る。なかなか二人のお眼鏡にかなう景品が無いようで未だに二人が立ち止まる様子は無い。

 

「何かないかしら?」

 

「今日の記念の一生物ですし、記念の品だからという理由でなくても素直に大切に出来るものがいいですよねぇ」

 

 えっ?!一生物になるの?今日俺が取る事になる物が?と言うか、取れる事前提で二人共話してるけど、取れなかった時はどうすれば……

 

 やばいなんか変な汗かいてきたかも……

 

 だが、二人はそんな俺の心配事など知らないので楽しそうに管体を覗き込んでは吟味している。

 

 そしてとうとうその瞬間が訪れてしまった。

 

『あっ!八幡君です!」

 

「え、なに?俺?」

 

「まぁ……本当にそっくり」

 

 突然きょうかが一つの管体を指さして立ち止まったのだ。

 

 そしてれいかも直ぐに同意するように言葉をこぼす。

 

「八幡?どこどこ?」

 

 そしてきょうかとれいかの声に反応して、れいか達とは逆方向の管体郡を確認していたせつなが顔を寄せてくる。

 

『ほらっ!見て下さいこの子達!八幡君にそっくりです!」

 

 きょうかに腕を引かれ連れてこられた管体の中には【くたびれたにゃんこ】と銘打たれた、つまらなそうな顔をした猫の人形が様々な姿勢でだらけきっていたのだった。………俺か?…………………まぁ、俺かも……

 

「……かわいい」

 

『ですよね!」

 

「あの斜に構えた様な表情がまさしく八幡くんですよね♪」

 

「……それ、褒めてる?」

 

「………もちろんよ」

 

 あれれ?目が合わないぞー?

 

「はい!」

 

 きょうかはマジだな……ある意味一番純粋だし……

 

「では八幡君、お願いします」

 

 俺達の話が一段落着いたと見て、れいかが大量の百円が詰まったコインケースをカバンから取り出し俺に渡してくる。

 

「……コレで?」

 

 取れるまでやれと?

 

「出来れば私はあの机に肘を着いて面倒くさそうにコチラを見ている子で……」

 

 リクエストだとっ!?

 

「私は……八幡、貴方が私に似合っていると思う子を取って」

 

 こっちはおまかせっ?!

 

『えっと、じゃあ私は……私は……私が八幡君に取ってあげます!」

 

 きょうか……ええ子や……

 

 

 

 チャリンッ

 

 コインを入れると光を放ち始める横移動のボタンに手を添える。

 

『……ドキドキ、ワクワク♪』

 

「おい、それ煽ってるだろ?」

 

「あら?見てたの?」

 

「ずっと見られてると……照れます///」

 

「見張ってたんだよ……」

 

 絶対なんかしてくると思って管体に映った二人を見てると案の定二人で目を合わせ、タイミングを合わせて声を掛けてきたのだ。

 

「応援のつもりだったのに……失礼しちゃうわ」

 

「あらあら、可哀想なせつなこれはせつなを悲しませたお詫びとしてキスで慰めて貰うしかないですね」

 

 またとんでもない要求してきたぜおい。

 

「あー集中してて聞こえなかったなー」

 

 言葉にしつつボタンを押しこみアームを横に移動させていく。

 

「八幡君はそういう事言うんですね……」

 

「それなら私達にも考えがあるわよ……」

 

『おっ!いい所に止まりましたね!……え?二人共どうしたんですか?」

 

 きょうかが良い子!

 

「きょうかありがとな。直ぐきょうかの分取ってやるからなぁ」

 

『ほんとですか!嬉しいです!」

 

「うっ……目先の欲にとらわれすぎました……」

 

「そうね……私もきょうかの素直さが眩しいわ」

 

 

 勝手に打ちひしがれてる二人を後目にアームの位置の微調整をして……ここだ!

 

「どうだ?」

 

 ゆっくりと降りていくアームが人形を挟み込み……

 

「あっ!」

 

『すごいです!」

 

 偶々片方のアームが人形のタグに引っかかったのだ。

 

「れいか見て!」

 

「あっ、取れてます!」

 

 人形はアームからタグでぶら下がる様に浮いたまま、取り出し口の方へと運ばれていく。

 

 そしてそのままアームが開き……

 

「よっしy…………あれ?」

 

『……え?』

 

 アームは開いたもののタグは依然としてアームに引っかかったまま、人形もまた管体の中心まで運ばれ、その見た目からか、どこか悲しそうに吊るされている。

 

「え?取れてたでしょ?」

 

「……大丈夫よ、まだ最初の一回目なんだがら、諦めないで」

 

「……そ、そうですよ!次こそは取れる筈です!」

 

 振り向いて同意を求めると、先程の態度とはうってかわって、優しくなっていた。解せぬ……

 

 チャリンッ

 

 今度はれいかのリクエストしていた人形を狙ってみる事にする。

 

 横移動のボタンを押しこみ、アームを移動させる。

 

 この時にも勿論、先程の人形がアームにぶらさがり続けている。

 

 

『…………』

 

 チラッと管体に映る二人の姿を確認するも意外な事に今度はじっとアームの先を見ている。どうやら先程の一ゲーム目で取れそうだったからか取れる瞬間を見逃さないようにしているようだ。……いや、そんな簡単に取れねぇけど?

 

「……あっ」

 

『わぁっ……!』

 

 なんて、俺の考えとは裏腹に、降りてきたアームから挟んだ人形零れ落ちそうになった瞬間、吊るさがっていた人形に引っかかり、そしてそのまま……

 

 ガコンッ!

 

「マジで取れたよ……」

 

 そんな言葉を零しながら、景品取り出し口から人形を取り出し、驚き固まっているれいかの腕の中へと入れる。

 

「……っ!!八幡君!」

 

 感極まって飛びついてくるれいかを抱きとめる。

 

「どうだ?取ったぞ」

 

 ちょっとカッコつけて言ってみたが全然取れる気がしなかったのは内緒だ。

 

「ありがとうございます、宝物にしますね。……この調子でせつなときょうかの分も頑張ってくださいね!」

 

「おう!………おう?」

 

 そーじゃん!マジで取っちゃったからあと二人分も取らなきゃなんじゃん!

 

 

 

 

 

 

「八幡、UFOキャッチャーってこんなに簡単なものなの?」

 

「そんなわけ無いだろ?まぐれ当たりが続けて出ただけだよ」

 

 結局あの後に狙ったせつなへの人形も、最初の人形と同じ様に吊るされている人形に支えられて無事確保……それだけでなく二つの人形を支え続けていたからか、遂に引っかかっていたタグが外れ、そのまま穴の中へ……まさかのダブルゲットである。

 

 そして二つ取れた人形を一つずつ二人に渡していく。

 

「……あの、本当に取ってもらえると思ってなかったから良いことは言えないけど……その、ありがとう」

 

 いつもと違い、少ししおらしいせつなの姿が見れただけでも今日デートをしたかいがあったと言えるだろう。

 

『わー!ありがとうございます!れいか!」

 

「ええ、良かったですね」

 

 せつなに続いて人形を受け取ったきょうかが飛び跳ねて喜び、れいかに見せるように掲げている………可愛い。

 

『はい!えへへ///あっ!この子達も入れてみんなで撮りましょう!」

 

「良いわね」

 

「ええ、そうですね。元々は最後のつもりでしたけど、この子達を持ち歩いて汚すのも気が引けますしプリクラを撮ったら貸ロッカーに預けて残りの時間は見てまわりましょう」

 

「そうと決まれば早速移動ね」ぎゅっ

 

『はい!少しも時間を無駄には出来ません!」ぎゅー!

 

「考えても見ればプリクラなんて本当にあのデート以来ですね……たのしみです!」

 

 両腕を包……あれ?これ間に人形が挟んであって上手く感じられないんだがッ?!

 

 こうして俺は人形と一緒に抱きしめられながらも、プリクラの管体が並ぶエリアへと向かうのだった。

 




プリクラに、辿り着けませんでしたァァ!!

いやまぁだいたいそんな気は最初からしてたんですわ(言い訳)

うん、まぁ次回は絶対プリクラですし、そんな感じでアレがあれで……

 次回もお楽しみに!
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