俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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お正月ですねぇ
なんだがあっという間の一年でした。

今年はいい年になるかなぁ

あ、今年も作者と拙作をよろしくお願い致します。


(5)

「はぁ……///はぁ……///やってくれたわね……///」

 

「……すいません」

 

 落書きブースの暖簾を潜り、横長の椅子に三人並んで座っている。強制的に俺は真ん中に座らされているのだが…

 

『とっても刺激的な体験でした♡八幡君、また()てもいいんですよ?」

 

「いやぁ、それは……ちょっと今は勘弁して下さい」

 

 あれは、その場の雰囲気と言うかなんというか……

 

「ふふっ、それではまたの機会に期待ですね。……ですが、こうやって形に残るのはやっぱり素敵ですね」

 

 れいかは落書きをしながらそう言って俺の肩へと頭を預けた。

 

 預けられたその頭に、おずおずと手を伸ばし撫でる。

 

 髪に手を通すと滑らかな手触りと共にふわっと甘い香りが漂う。

 

「んん……///」

 

 れいかの頭を撫でながら、先程までれいかが落書きしていた画面に視線を落とすと……

 

【今日は三人で♡】 【ラブラブ♡】

 

 言い方……いや、もう何も言うまい……

 

 

 スリスリ……

 

「ん?」

 

 れいかの頭を撫でていると反対側の肩にも私も撫でろと言わんばかりに頭が()り付けられる。

 

 スリスリ……

 

「ふっ」

 

 その可愛いらしさに、つい笑がこぼれてしまう。

 

「……なによ」

 

「いや、可愛くってな」

 

「もう///」

 

 せつなは恥ずかしそうに顔を逸らすがスリスリと頭を擦り付ける動きは決して辞めなかった。

 

 

 そうして、プリクラへの落書きが続き、最後の一枚が落書きをしやすい様に画面に大きく表示された。

 

「なっ///」

 

「まぁ……こうして見ると凄いですねぇ」

 

「……思い返してみるとちょっと悔しいわね」

 

『せつなは負けちゃったんですねぇ」

 

 きょうかがそう呟きながら画面のせつなの下に【負けちゃいました♡】と書き込んでいる。

 

「負けてないわよ!って、変な事書くのは辞めなさい!」

 

 せつながきょうかの落書きに気付き慌てて消す。

 

『あぁ、せっかく書いたのに……せつな酷いです」

 

「酷くないわ……当然の処置よ」

 

「まぁ……一理ありますね」

 

『れいかまで……八幡君」

 

「……いや、俺に言われてもどうにも出来ないぞ。むしろ俺が負けるまである」

 

 そもそもあのプリクラに【負けちゃいました♡】は流石にヤバいから今回は俺も内心はせつな側だ。

 

『つーん、それならいいですよう」

 

「あらあらきょうか、拗ねないの」

 

『つんつーん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 落書きも無事?終わり時間も丁度いいということで、ゲームセンターを出て昼食にする事になった。

 

 

 向かうのは勿論前にデートした時にも食べたラーメン屋だ。

 

『ぷくぅー」

 

「えい」

 

『ぷしゅ〜」

 

「………何やってんの?」

 

 先程から俺を挟んできょうかが頬を膨らませ、それをせつなが指で突っついて空気が抜ける……というのを繰り返している。

 

『八幡君もやります?ぷくぅー……ん!」

 

 そう言ってふくらませた頬をこちらに向け、どうぞ!とばかりに短く声を出す。

 

「えっと、こうか?」

 

 せつなの見よう見まねでその膨らんだ頬を突っつくと……

 

『ぷしゅ〜……あはっ♪」

 

 何この子、可愛過ぎ……

 

「可愛いわよね、さっきまで拗ねてたのになんだか楽しくなっちゃったみたいなのよ」

 

「あ、ああ」

 

 せつなからの話を聞き、納得する。

 

『ぷくぅー』

 

「ふふっ」「ははっ」

 

 また頬を膨らませたきょうかにせつなと顔を見合わせて笑ってしまった。

 

 

 

『ぷくぅー…「コホンッ、三人共そろそろお店が見えてくる頃ですよ?遊びはそこまでにして下さい」

 

 せつなと一緒になってきょうかの頬で遊んでいると、いつの間にかもうこんな所まで歩いて来ていたようだ。

 

「あと、流石に頬が変になって来たので今日はもう禁止です」

 

 しかもほっぺつんつんも禁止されてしまった……

 

『え〜?」

 

「きょうか?」

 

『ひゃい……」

 

 

 

 ガラッ

 

「らっしゃーい!」

 

「らっしゃーい、何名様……え?」

 

 人数確認に来たバイトらしい青年がせつなとれいかに抱かれている俺の両腕を見た後に信じられない様なモノを見たような顔で俺の事を見てきた。

 

「三名でお願いします」

 

「………あっ、三名様入りまーす!」

 

 バイト君はれいかに人数を告げられると慌てて取り繕う様に大きな声で人数を繰り返すと俺達を奥の席に案内して厨房へ戻って行った。

 

「八幡君もせつなもトマトつけ麺でいいですか?」

 

「ああ」

 

「ええ、勿論。話に聞いていたトマトつけ麺、どんな味なのか楽しみだわ」

 

『れいかに聞かされてばかりでしたからね。ずっと食べてみたいと思ってたんです」

 

 

 

 

 

 

「想像以上に美味しかったわね」

 

『はい!期待通りいえ、それ以上でした!」

 

 食事を終え、ラーメン屋を後にしながら先程食べたトマトつけ麺の味を思い出し、幸せに浸る。

 

「久しぶりでしたけど相変わらず美味しかったですね」

 

「ああ、俺の好きな物が皆にも美味しいって思って貰えるってのはいいもんだな」

 

「ええ、好きな物の共有?と言えば良いのでしょうか?」

 

「そうね、それって「ああああぁぁぁぁ!!!」何よ?うるさいわね」

 

 せつなが不機嫌そうに声の方を向くとそこにはこちらを指さして口を大きく開きっぱなしにしたウルフルンが居た。

 

『ウルフルン?!』

 

「おまっ!?お前らデートか?!デート中なのか?!しかも二人相手に?!」

 

 どうやら偶々俺達を見つけて声を上げてしまったようだ。

 

「くっそぉぉ!!イチャイチャ幸せそうにしやがって!俺がぶち壊してやる!世界よ!最悪の結末、バッドエンドに染まれ!」

 

 ウルフルンは懐から黒の絵の具と白紙の絵本を取り出し、その絵本へと握りつぶした黒の絵の具を叩き付けた。

 

「白紙の未来を黒く塗り潰すのだ!」

 

 辺りが重苦しい空気に包まれ夜でもないのに空に満月が浮かぶ。

 

「ウルッフッフッフッ!人間共の発したバッドエナジーが悪の皇帝ピエーロ様を蘇らせて行くのだぁ!」

 

 ウルフルンはそのまま、また懐に手を入れ赤い絵の具玉を取り出す。

 

「そして仕上げだ!出てよ!アカンベェ!!」

 

 ウルフルンは()()()()()()()()手を掲げ自信満々に叫ぶ……が何も起こらない。

 

「………ん?出てよ!アカンベェ!!」

 

 勿論何も起こらない。

 

「出て来いよ!!なんで出て……って無ぃぃぃ??!!」

 

 ウルフルンは何も持っていない手を見て驚愕の声を上げる。

 

「探し物はこれかしら?」

 

 せつながこれみよがしに手の上で赤い絵の具玉を弄びながら、ウルフルンに声をかける。

 

「ああぁぁぁ!!あ、お前!何でそれをっ!?」

 

 俺達には見えていたがウルフルンが自信満々で絵の具玉を取り出した直後。瞬間移動でウルフルンの直ぐ横に現れたせつなが絵の具玉を掠め取り、何食わぬ顔で俺の隣に戻って来ていたのだ。

 

「今は貴方が言った通り、大切なデートなのだから貴方に構ってる暇は無いのよ」

 

「ええ、せつなの言う通りです。今日のところは大人しく帰って下さい」

 

「てめぇら……」

 

 ウルフルンはこちらを一度強く睨みつけ……

 

「覚えてやがれぇ!!」

 

 捨て台詞を残して消えていった。展開されたバッドエンド空間も役目を終えたと言わんばかりに消え、重苦しい雰囲気も無くなる。

 

「え?マジで?」

 

 これで終わり?

 

「さっ!邪魔者も居なくなりましたしデートの続きとまいりましょう。この絵の具玉は後で浄化してデコルに戻せばいいですし」

 

「ええ、次は雑貨屋さんよね」

 

『【比翼の鳥】でしたっけ?素敵な名前ですよね」

 

「八幡君」

 

「変なのに絡まれて遅くなっちゃったし早く行きましょう」

 

「お、おう……」

 

 ウルフルン……どんまい……

 

 

 

 

 




なんかうちのウルフルン酷い目にしかあってねぇ気がすんね。

ウルフルンは実は不憫枠だった?

雑貨屋回は次回に持ち越しで、次でラストになる予定です。

それでは次回もお楽しみに!
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