俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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最近、章タイトルの話数見る度にこの作品も終わりに近づいている事を実感しています。

書き始めたあのころは……なんて長い話をするのは完結してからにしましょう。今章は原作アニメだと大半があかねちゃん視点のお話になるのでその裏側をじっくりと書ければ良いなと思っています。ではどうぞ!


第40話 かくして、日野茜は宝物を知る
(1)


 とある月曜日、俺はふしぎ図書館にある秘密基地の椅子に座り、一人読書をしていた。

 

 いや、別に何時も誰かしらがここにいる訳でもないし、俺は結構な頻度でここに居るけどそれはここが好きだからで……って、俺は誰に言い訳してんだ?

 

「にしてもここは本当に最高だなぁ」

 

 ここは文字通りのふしぎ空間だからか、何時でも気温が変わらず暑くもなく寒くもない。最近秋に入り少し肌寒く感じる様になってきた自分の部屋に居るよりも余程快適だ。

 

「それに静かだ……」

 

 まぁ、それは今日携帯を部屋に忘れて来たからなんだが……あれ?れいかとかせつなから連絡来てないよな……一回朝起きたら隣にせつなが寝てた事があるんだよな……俺が電話が掛かって来てたのに気付かないで寝ちまってたらしいんだが、せつなが心配して部屋に瞬間移動で見に来て、俺が普通に寝てたのを見て、少し添い寝する位の気持ちだったらしいんだがそのままガッツリ寝ちまったんだとせつなが起きた後に聞いた。

 

「やっぱり携帯だけは持って来るか」

 

 立ち上がり、秘密基地から出ようとドアノブに手をかけようとすると、ドアノブがひとりでに離れていく……おう?

 

「それであかねちゃんがわぁぁぁ!?」

 

 どうやらタイミング悪く、丁度みゆきが扉を開く瞬間に俺がドアノブ握ろうとしていたらしい。前傾姿勢のまま現れた俺にビビって後退る姿が目に入る。ノブに体重をかけようとしていた俺はそのままバランスを崩し……ぽふ。

 

「ぽふ?」

 

「あらあら、八幡君の方から抱き着いて来るなんて……これは護身術のご褒美だったりします?それでしたら毎日所望したいところですけど……」

 

 柔らかい感触に甘い匂い、そしてその奥から感じるトットットッという規則正しい音。

 

「っ?!」

 

 身を委ねていた感触からバッと勢い良く起き上がると、幸せそうに微笑むれいかと目が合った。

 

「こんばんわ、何度連絡しても繋がらないと思ったらここに居たんですね」

 

「あ、ああ……連絡もらってたのか。すまなかった……って、もしかしてみんな集まってるって事はなんか用事でもあったか?」

 

 俺を受け止めてくれたれいかの後ろには、ニヨニヨとこちらを見る三人が居たのだ。

 

「ええ、これから皆さんである議題について、話し合おうと思っていたので八幡君がここに居て丁度良かったです」

 

 れいかは俺の手を握って立たせると、握った手をそのまま絡めて秘密基地の何時もの定位置に座る。

 

「あれ?あかねはいないのか?」

 

 俺がふと気になって尋ねると待っていましたと言わんばかりにみゆきが立ち上がる。

 

「そう!あかねちゃん!あかねちゃん達がね!」

 

 

 

 

 みゆき曰くあかねのバレー部の試合が今週金曜日にあり、その応援のために何がをサプライズで送りたいらしい。

 

「なんだ、応援は行かないのか?」

 

「なんで?行くよ?」

 

 みゆきに何当たり前のこと言ってるの?みたいな顔された……解せぬ。

 

「つまり、みゆきちゃんは応援以外にも何かしてあげたいって事だよね?」

 

「うん!なおちゃんの言う通り!あかねちゃん、最近すっごく頑張ってるからわたしも何かしてあげたいの!」

 

「そもそも今日はその()()を考えるためにみんなで集まったんだよね」

 

 そういう事らしい。

 

 

 

 

 

 

「お手紙なんてどうでしょう?日頃口には出来ない思いも書き綴って文にしたら意外と伝えられるものですよ?」

 

「拝啓……敬具?」

 

「みゆきはなんでも全部口から言えそうだよな……」

 

「あはは……」

 

 

 

「絵なんてどうかな?文だと表現出来ない事も絵なら……ごめんみゆきちゃん、やっぱり忘れて」

 

「なんで?!」

 

 やよいは話してる途中でみゆきの絵の腕前を思い出した様だ。

 

 

 

「手作りのキーホルダーなんてどうかな?サッカーの試合とかでよく友達の子達がバッグに付けてるのを見た事あるんだ」

 

「……かなりいい意見なんじゃないか?」

 

「うん!すっごく良さそう!」

 

「……わたしはいいと思う!」

 

「ええ、思いが伝わりそうでとてもいいと思います。ただ、八幡君はどんな意見を出さそうと思ってたんですか?」

 

「俺か?でももう決まった様なもんだし」

 

「えー!聞きたい聞きたい!」

 

 ガキかよ……

 

「たく、しょうがねぇなぁ……必勝祈願の御守りみたいのを作ったらどうかって思ってたんだよ」

 

「それだ!」

 

 どれだよ……

 

 

 

「よーし!それじゃあ手作りの必勝祈願キーホルダーを作るぞー!」

 

『おー!』

 

 なんか合わさったらしい……

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日は、昨日話し合ったキーホルダーを作る為に実際に動き出している。

 

「やよい、デザインの方はどうだ?」

 

「うん、いい感じ、後はバレーボールの部分だけは最後にしっかりと本物を見てそれに近付けたいかな」

 

「了解、明日実物が見られるように手配しとくわ」

 

 やよいにはキーホルダーのデザインを描き出してもらっている。こういう事は絵を描きなれてる奴に頼むのが一番効率的だ。やよいはオリジナルの絵をよく描いてるからデザイン案を出すのも早かったし、絵も上手いから見栄えも良い。

 

 〜♪〜♪

 

「れいかからも連絡が来たな」

 

 れいかには生地や糸を探しに行ってもらっている。最初にやよいに大まかな色合いだけ決めてもらい、その色の生地や糸をれいかに探してもらっていたのだ。

 

 れいかからは生地も糸も確保出来たから今から戻る事の連絡だった。これであと残る問題は……

 

「痛ったぁぁぁぁ!?」

 

 部屋の奥から聞こえてくる悲鳴は本日何度目だろうか?

 

「調子はどうだ?」

 

「うーん、まぁまぁって所かな?」

 

 奥の部屋ではなおが、みゆきに裁縫を教えている。みゆきがみんなで作るものだから、必ず何処かしらは誰かが担当して作りたい……なんて言っていた本人が裁縫が苦手なのだと言うのだからなかなかどうして大変だ。

 

「みゆきも今日中にもう少し上達しねぇとな?キーホルダー作りは明日が本番だぞ」

 

「うん、あかねちゃんに綺麗なキーホルダーを渡したいもん、出上手く出来るように頑張る!」

 

「ああ、その意気だ」

 

 みゆきのこの心意気には素直に感心する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝、俺達は一足早く教室に集まって最後の話し合いをしていた。

 

「今日の放課後で良いか?」

 

「え?何が?」

 

「何がって昨日お前がバレーボールをよく見たいって言ったんだろ?」

 

「あ、そうだった」

 

 

 

「これが昨日買ってきた生地と糸ですね」

 

「わっ……綺麗ぇ」

 

「流石れいかだよね」

 

 ガラッ!

 

「おっはよー!」

 

『っ!?』

 

「あっ、あ、あかねちゃんおはよぉー?」

 

 演技ド下手かよ!?

 

 あかねも()()を察したのか、ニヤァっと口角を上げるとこちらへ近づいて来て俺達の顔をジーッと見回すと、

 

「なんやぁ?ウチに隠し事かぁ?」

 

 ニヤニヤと笑いながら俺達が何を隠しているのか確かめようとしてくる。

 

「ちがっ!やっ、やだなぁあかねちゃんそんなことあるわけないじゃ〜ん」

 

 バレバレなみゆきが両手を顔の前で振りながら言い訳をしているが……それもう答え言ってんのと同じじゃね?

 

「あれっ?みゆきその手どうしたん?」

 

 あかねが気付いたみゆきの手は昨日、針で刺しまくった所為で絆創膏まみれになっているのだ。

 

「え゛っ?!えーとー……」

 

「んー?さては料理かなんかで失敗したなぁ?」

 

「そっ、それだ!」

 

 それだ!じゃねぇのよ

 

「はぁ?」

 

「わたしっておっちょこちょいだから〜」

 

 キーンコーンカーンコーン

 

「あっ!ホームルーム始まっちゃうよ!あかねちゃん早く支度しなきゃ!」

 

「ちょっ!あんま押すなや!みゆきどうしたん?」

 

 無理やりすぎるだろ……

 

「ふふっ、少し強引でしたがみゆきさんのお陰でサプライズがバレずに済んだみたいですね。それでは続きは放課後に、予鈴もなりましたし私達もホームルームの支度をしましょうか」

 

「うん」

 

「そうだね」

 

 れいかの言葉でなおとやよいも自分の席に戻っていく。

 

「さぁ八幡君も」

 

「あ、ああ」

 

 そして俺も促されるまま準備を始めるのだった。

 




はい、という訳で毎度おなじみの導入回でしたね。アニメで言ったら始まって五分も経ってないと思います。次回からはもう少しテンポ良く進むかな?

それでは次回もお楽しみに!
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