俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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栄養剤ってほんとに効くんですねぇ。寝不足気味で仕事の前に飲んでから行ったら眠気が殆ど無くなったんですよねぇ(あくまで個人の感想です)

まぁ、私自身単純なので思い込みだけなのかもしれませんがね。


(2)

「今年の校内芸術コンクールのテーマは【私の宝物】に決まりました」

 

 宝物ねぇ……パッと思い浮かんだのはれいか、きょうか、せつなの笑っている姿。俺の大切な人達。

 

「皆さん、自分の大切な宝物はありますか?」

 

 佐々木先生の問いかけでクラス中で近くの人と話す声が聞こえ出す。

 

「やっぱ俺はギターだな。寝る時以外はずーっと弾いてるぜ?」

 

 みんなに聞こえるようにわざと大きな声で話し出したのは豊島だ。そう言えば前にコイツのギターがマジョリーナにハイパーアカンベェにされてたよな……

 

「僕は天体望遠鏡!」

 

「あたしは人気俳優さんのサイン!」

 

「ボクは柔道の黒帯!」

 

 豊島に触発されたのかみんな周りに聞かせるように自分の宝物を挙げていく。

 

 ……ちょんちょん

 

 ん?ぼーっと周りの声に耳を傾けていたら肩に何か触れた。触れられた肩の方を向けば、笑顔のれいかと目が合う。

 

 れいかは周りの喧騒に隠れるようにそっと顔を寄せると俺の耳元に顔を寄せ、

 

「……私の宝物は八幡君。貴方ですよ」

 

 そう囁くと「……れぇ♡」 去り際に俺の耳をひと舐めして離れていった。

 

「っ///」

 

 咄嗟に口を塞いだ俺を自分で褒めてやりたい。

 

 それからホームルームが終わるまではぶっちゃけ周りが何を話しているかなんて聞こえていても、聞いていないも同然の状態だった。

 

 

 

 

 昼休み、屋上で弁当を食べながらいつものメンバーで雑談に興じる。

 

「ん〜宝物かぁ……」

 

【私の宝物は八幡君。貴方ですよ】

 

「……いきなりどうしたよ」

 

 あかねがふと漏らした言葉に、朝のれいかの声が頭の中で蘇って来て、つい、反応してしまう。

 

「いやな、ホームルームの話が頭に残っててなぁ、皆はなんか宝物あるん?」

 

「わたしは小さい頃におばあちゃんに貰ったシンデレラの絵本」

 

「アタシはスパイクシューズ」

 

「わたしは太陽マンとのツーショット写真」

 

 やばいぞぉ……各自の宝物を言う流れになっちまってやがる……流れ的にこの次はれいかでれいかの宝物は……

 

「私は勿論八幡君です」

 

 やっぱね!?

 

「……なんの恥じらいも無く言いきるやん」

 

「八幡君を好きな事に恥ずべき事などありませんから」

 

「……そこに恥ずかしがってる奴()るで……」

 

 ……こっち見んな

 

「〜〜……っくはー!やっぱれかはちなんだよねぇ!」

 

 ……興奮すんな

 

「……なおちゃんは放っといて、八幡くんの宝物はなんなの?」

 

 一瞬れいかとなおに気を取られて俺の事は忘れてくれるんじゃないかと期待したが、そんなに都合良くはなかった様だ。

 

 なおに冷めた目を向けたやよいが話を戻してしまった。

 

「それで?八幡くんの宝物ってなに?」

 

「小町」

 

『え?』

 

 みゆきの問いに秒で返す。

 

「ホンマは?」

 

「だから小町だよ」

 

 勿論この答えは方便だ。だが俺のシスコン具合を知っている奴等からすれば真実となる。

 

「っか〜シスコンが!そこは嘘でも『れいかだよ』くらい言わんと」

 

「……シスコン極まれり」

 

「しそ昆布クル?」

 

「もう……れいかの方見なよこんなに笑顔で……って笑顔?!」

 

 なおの言葉にれいかの方を見るとマジで笑顔だ……もう【ニッコォォ】って後ろに出そうな感じ……

 

「八幡君、本当は?」

 

「こま「ほ・ん・と・う・は?」れいかときょうかとせつなです」

 

 負けたわ、勝てるわけねぇって……羞恥よりも恐怖の方が勝ってんだよ……

 

「よく出来ました。私の名前だけじゃなく、二人の名前を上げたのも評価点ですよ」

 

「わーい」

 

「……調教されとるやん」

 

 調教とか言うなや

 

「はぁ、でもホンマに宝物ってなんなんやろな……約二名が特殊過ぎて余計分からんくなったわ」

 

 特殊過ぎて悪かったな……

 

「そんな悩む必要ある?普通にその人にとって大事なものって事じゃないの?」

 

「それか自慢の物……とか?」

 

「かけがえのないもの……とかでしょうか?」

 

「んー、きっとわくわくして絶対に無くしたくないもの!とかじゃないかな?」

 

「失くしたくないものなぁ」

 

「まっ、あかねなら好きな物も多そうだし、直ぐに見つかるだろ?」

 

 そもそもこれってそんなに悩むことか?

 

「好きな物なぁ、よし!ヒントはウチの好きな物!なんや見えてきたでぇ!!」

 

 あかねはそう言って立ち上がると残っていた弁当を口にかき込み走り出して行ってしまった。

 

「……おい、アイツ何処行く気だ?」

 

「……何処でしょうか?」

 

 結局あかねは昼休みが終わってから教室に戻ってきた。あかね曰く走ってたらしい……どういうことよ?

 

 

 

 

 放課後、校庭に行きアポを取っていたバレー部員にボールを持って来てもらってよく見せてもらう。あかねへのサプライズだと言えば喜んで承諾してくれた。

 

「……上手いな」

 

「ね、やよいちゃん凄いよね」

 

「……………」

 

 集中してスケッチしているのか俺達の言葉にも反応が無い。

 

 

「ふう」

 

 数十分程経ちやよいが遂に動き出した。

 

「終わった!?」

 

「わっ?!びっくりした。出来たよ後はみゆきちゃんの家に行ってキーホルダーを作ろう」

 

 

 

 

「みゆきちゃん、縫うとかはこうやって……」

 

 なおがみゆきの指導をしている傍らで俺達は既にキーホルダー作りに着手していた。

 

「みんなで少しずつ縫うなんて縫い方がバラバラにならないか?」

 

「逆にそれが目的なんですよ?みゆきさんは()()()()()()()キーホルダーを送りたいそうですから」

 

「なるほどなぁ……」

 

 れいかと話しながら自分の指定された範囲を縫っていく。

 

 

 

 

 

 そして木曜日の夕方……

 

『出来たぁぁ!!』

 

 終わったぁぁ……疲れた

 

「よし、じゃあ今日は解散か」

 

 明日あかねが試合に行く前に渡さねえとな……

 

「八幡くん何言ってるの?」

 

「今からあかねの所に行くんだよ!」

 

「よーし!突撃だぁ!!」

 

「という訳ですので八幡君もう少しお付き合い下さい」

 

 

 

 ガラッ

 

「いらっしゃーい!」

 

 扉を開けると元気の良いあかねの声が聞こえてきた。

 

「あかねちゃーん」

 

「お、みんな……上がってってや」

 

「あかね、今日はもういいからみんなと一緒に上がりな」

 

「ええの?よっしゃ!」

 

 母親からの許可を貰ったあかねの後に続き、店の奥から母屋にはいる。

 

「ここがウチの部屋やから遠慮なく上がってな」

 

 初めてあかねの部屋に入ったがあまり女の子女の子している様な部屋ではなく畳張りの和風な部屋であった。少しれいかの部屋に近いかもしれない。れいかの部屋との大きな違いはベッドがあることくらいだろうか。

 

「はいこれ煎餅と麦茶な」

 

「ありがとー」

 

「あかりがと、あかねちゃん」

 

「ありがと!」

 

「ありがとうございます、いただきます」

 

「すまんな」

 

 貰った麦茶で喉を潤し、煎餅を食べながら軽く雑談。

 

「そう言えばみんな揃って今日は何かあったん?」

 

「あっ!お話に夢中になっててすっかり忘れてた」

 

 確かに……なんかいつも通り普通に雑談してるだけだった。

 

 今日はあかねに完成したキーホルダーを渡しに来たんだったわ。

 

「あかねちゃん、今日ね実はこれを渡そうと思って来たんだ」

 

 

 みゆきがカバンから完成したキーホルダーを取り出してあかねに渡す。

 

「えっ……これ、みんなが作ってくれたん?」

 

「えへへ」

 

「うん」

 

「まぁね」

 

「ふふっ」

 

 俺は何となく気恥ずかしく視線を逸らす。

 

「あっ!もしかしてみゆきの指って!」

 

「う、うん、わたしお裁縫下手だからなおちゃんに教わりながら……ね?」

 

「…………っ!」

 

『きゃっ?!』 「うぉっ?!」

 

 腕を広げ飛び付いてきたあかねに全員纏めて抱きしめられる。

 

「あかねちゃん……」

 

「ありがとう……めっちゃ嬉しい」

 

「ほんと?」

 

「当たり前やん!もうめっちゃ嬉しいめっちゃ最高!ああ、幸せやわぁ……ほんまに、ほんまにほんまにおおきに!」

 

 あかねは俺達から離れると、その場でクルクルと回りながらキーホルダーを胸にだきしめ、満開の笑顔でそう言った。

 




という事であかねちゃんへのプレゼントでした!

ちょっとラストが変な所で切っちゃいましたが、次話が短くなりそうな予感がしたので次話の水増し様です(正直者)

次話はこの続きとウルフルンとのバトルで終了となる予定です。

それでは次回もお楽しみに!
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