因みに今章の章タイトルはスマプリのタイトルリスト見ながら三秒で考えました。
(1)
昼休み、昼食をみんなで食べ終わった後、久しぶりに本を借りようかと思ってれいかと二人で図書室に向かっている。
思い出してみれば半年くらい前は図書室で幽霊扱いされた事もあったっけなぁ……今では隣を歩く生徒会長様のネームバリューと普段からのベッタリ具合で俺の名前も学校中に知れ渡っているとか……
「青木さん!」
突然れいかの名前を呼ぶ声が廊下に響く。
「青木さん、やっと見つけたわ!」
後ろかられいかの名前を呼びながら走って来たのは我らが担任の佐々木先生だった様だ。
「青木さん!」
佐々木先生はれいかの手を掴み嬉しそうに何かを告げようとして……
「……佐々木先生、廊下は走らないようにお願いします」
……れいかに説教をくらった。しかも握られた手も地味に解かれている。
「え?あ、……え?……ごめんなさい」
心なしか先程まで嬉しそうだった顔がしょんぼりしている様にも見える。
「それで、私を探していたようですが何かあったのですか?」
れいかが問いかければ先程のしょんぼり顔からまたしても一転、ぱぁっと瞳を輝かせる佐々木先生。
「そうだったわ!イギリス留学の選抜メンバーに貴女が選ばれたのよ!」
「……え?それって一年生の時に申し込んだ……」
「そう!こんな事は滅多にないわよ!おめでとう青木さん!貴女は云わば日本代表よ!」
「留学……」
イギリス留学の話は俺も聞いた事がある。曰く、全国の中学校から優秀な生徒を集め、より環境の整ったイギリスの名門校へ留学させて、未来の人材を育てるとか何とか……
そうか……れいかが選ばれたのか……
「…………」
留学するという事はかなりの期間れいかと会えなくなる………事も無いのか?や、ふしぎ図書館使えば何時でも会えるのか。それならここはれいかの為にも笑顔で――
「佐々木先生、申し訳ありません。そのお話はお断りさせて頂きます」
「そうよね、不安もあると思うけど……え?お断り?」
「はい、イギリス留学が素晴らしい機会なのだとは私も理解はしているのですが、お恥ずかしながら八幡君と会う時間が減るのは私には耐えられそうにありませんので」
「……え?」
俺との時間の為に断るのか……
「でもっ!…………いえ、説得は無理そうね。はぁ……これ、私が教頭先生に怒られちゃうかも……」
「ふふっ、ご迷惑をおかけします」
「いいのよ、生徒の気持ちを最優先に考えるのが教師の仕事なんだから……それじゃあ先生はこの事について教頭先生に報告してくるから、二人ともお幸せにね」
「はい♪ありがとうございます。八幡君、お待たせしました。時間が少し少なくなってしまいましたけど図書室へ行きましょう」
「……お、おう」
俺の思考が復活したのは図書室に着き、二人で本を選んでいる時だった。
「……本当に良かったのか?」
「んー?何がですか?あっ、ありがとうございます」
高い位置の本に手を伸ばしていたれいかへ、目当ての本を取ってやりながら先程の事について尋ねる。
「気にしないで良い、……留学の件だ」
俺が言うと、れいかは人差し指を下唇に当て少し考える様な素振りを見せた後に口角をゆっくりと上げ、こちらを下から覗き込む様に見つめて口を開いた。
「八幡君は、私と離れ離れになりたかったのですか?」
「それは違う!!」
思いのほか大きな声が出てしまった事に焦る。
「すまん……だけど、れいかと離れたいなんて事は絶対に無いから……偶に恥ずくて少し離れたい時はあるが……///」
最後にポツリと零れてしまった言葉はアレとして、この言葉は俺の本心だ。れいかと会えなくなる事なんて考えたくもない。……あっ、だから
「大丈夫ですよ。言いたい事はわかっています。私の方こそ意地悪が過ぎましたね。ごめんなさい」
れいかは此方に向き直りぺこりと頭を下げる。
その姿に俺も慌てて頭を下げた。
「俺の方こそすまん!れいかと離れるなんて考えるだけで嫌だった。留学がれいかの為……なんて俺の押し付けだって気付かされたよ……」
「わかってくれればいいんです。あ、でも、恥ずかしくても絶対に離しませんからね」
れいかの放った言葉に俺は両手を上げて降参の意を示したのだった。……やはりれいかには敵わない。
side:れいか
放課後、私は誰も居ない弓道場の中で弓を引いています。今日は弓道部が休みの為本当は施錠されている弓道場ですが、先生に許可を頂いて、鍵を借りてきて使わせて頂いています。
タンッ!
射った矢は的の中心からやや逸れた位置に突き刺さっています。弓道は心を写します。自身の心が乱れていれば矢の軌道も乱れます。
どうやら学校では私がイギリス留学をするという噂が流れているようですが、既に断って終わった事なので後で訂正しなければいけませんね。
ただ、そんなことよりも八幡君は今頃図書室で本を選んでいる頃でしょうか?八幡君のあの時の照れた顔といったら……もう思い出すだけで///
タンッ!
今度も的の中心から大きくそれてしまいました。心を落ち着ける為、態々八幡君との時間を削ってまで弓を引いているのに中々弓だけに集中出来ません。
「はぁ……///」
八幡君///なんて可愛く愛らしいのでしょうか。私の為に一喜一憂する姿……ああ、また昂ってきてしまいました……少し落ち着かないと……
トスッ……!
弓を引き、狙っていた的にの中心に、突然ダーツのようなものが軽い音を立てて突き刺さりました。
「なっ?!」
カランッ!
驚きのあまり引いていた弓を落としてしまいました。そしてふらついた体を誰かが支えてくれました。
「あ、ありがとうございます」
「いえいえ、それほどでも」
「……っ!?」
耳元で聞こえた声に咄嗟に飛びすさって距離を取ります。私は聞き覚えのある声の主を睨みつけます。
「ジョーカーっ!!」
趣味の悪い道化師はニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべながら大仰に頭を下げました。
「こんにちは、青木れいかさん。どうやらいつもと違い、心が乱れて居るようですね」
そして、顔を上げたジョーカーは世間話でもするかのような気楽さで話しながら、片手で絵の具を握り潰しバッドエンド空間を展開したのです!
「貴方はっ!!」
ここは学校の敷地内、そんな所でバッドエンド空間を展開されてしまえばまだ部活中の多くの生徒達が巻き込まれてしまっている筈です。
私は直ぐに懐からスマイルパクトを取り出して変身しようと身構えます。
「まぁまぁ、そう焦らずに……ワタシは別に戦いに来た訳じゃ無いんですから……ほら」
ジョーカーが両手を広げると、いつか見た大きなトランプのカードが左右から私を挟み込むように迫ってきます。
私は次にどうなるのかを察し、大きく深呼吸をして目を瞑りました。
カッ!
目を瞑り、真っ暗だった視界にうっすらと光を感じ、目を開けるとそこはサーカスのテントの中のような空間でした。前にきょうかと共に連れてこられたコロッセオのような所よりも、よっぽどあの道化師然とした男に似合っています。
「ようこそ!ワタシの部屋へ!」
ジョーカーは舞台の中央に私をここに招いた時のように両手を広げ現れました。
丁度きょうかが眠っている時で良かったです。あの子が起きていたら私の静止も聞かずにジョーカーに襲いかかっていたでしょうから……
「ワタシ、今日は貴女と戦いに来た訳じゃないんですよ」
「それはどういう……」
ジョーカーの言葉の意図が読めません。
「お祝いしに来たんですよ、ほら」
ジョーカーが上を見上げるとその動きに合わせる様ライトに照らし出されたくす玉が現れました。
「コレをこう!」
くす玉から垂れ下がっていた紐をジョーカーが引っ張ると、くす玉が割れ、中から大量の紙吹雪と一枚の垂れ幕が降りてきました。
《祝!!イギリス留学!!》
「留学決定!おめでとうございます!」
ジョーカーは嬉しそうに垂れ幕に書かれている字を眺めています。
「これは……いったい?」
ジョーカーは何を言っているのでしょうか?
「だから留学のお祝いですよ。貴女、居なくなっちゃうんでしょう?」
「えぇと……」
もしかしてジョーカーは勘違いをしているのでしょうか?
「ワタシ、凄く嬉しいんです。だって何もして無いのにプリキュアが一人減ってくれるなんて……」
「あの……私、留学の話は既にお断りしていますよ?」
「……は?」
「学校では私が留学するような噂が流れているようですが、私は既にお断りのお返事をしているので留学する事はありませんし、もしかして……早とちりですか?」
「……は、はは……はぁぁぁぁぁぁ??!!」
はい、という訳でジョーカーの勘違いざまぁwwwwな展開でお送り致しました。
既にれなちゃんの中では八幡君>留学……と既に図式が完成しているので即決で留学を断ってます。
この女、秒も迷ってません。
という訳で次回はジョーカーがキレます。
次回もお楽しみに!