俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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(2)

『こういう時ってこうするんでしたよね……プギャー?」

 

 叫び声上げ固まるジョーカーの姿にいつの間にか起きていたきょうかが覚えたてのネットスラングを使い、ジョーカーを指さし、嘲笑します。

 

「やめなさいきょうか、はしたないですよ……って起きていたのですか?よく今まで我慢出来てましたね?」

 

 流石にジョーカーが相手でも、人を指さすのははしたないので止めさせながら問い掛けます。

 

『ふふっ、ごめんなさい♪でも起き抜けに不愉快な道化師がいるかと思えば、見当違いな事を得意げにペラペラと……ふふっ、今思い出しても笑えてきますね」

 

「くすっ……もう、きょうか思い出させないで下さい……ふふっ」

 

 きょうかの言葉につい先程の自信満々に見当違いな事を語っていたジョーカーの姿が思い出されて笑いが零れてしまいました。

 

「キサマら……ワタシを、笑うなぁァァァ!!出てよ!ハイパーアカンベェ!!」

 

 私達の態度に激昂したジョーカーはいつもの余裕そうな態度を崩し、叩き付けるように黒い絵の具玉を何かにぶつけました。

 

『ハイパーアカンベェ!!』

 

 そして現れたのはくるみ割り人形を元にした様なハイパーアカンベェです。

 

「せっかく貴女の為にイギリスのお土産まで用意してやってたのに……ここまでコケにされたのは初めてですよ……!!タダで済むと思うんじゃねぇぞ!!」

 

『どうせあの人形も私達を煽る為に用意していたんでしょうね……とことん性格の悪い道化師だこと……反吐が出ますね」

 

 きょうか……言葉遣いが最初に出会った頃に戻って来ているような……あんなに丸くなっていたのに……

 

「さぁ!覚悟して頂きましょう!」

 

 そう言ってジョーカーは三幹部達の様にハイパーアカンベェの口内に飛び込み呑み込まれ――

 

「……なんですか、アレは……」

 

 ――ジョーカーを呑み込んだハイパーアカンベェの直ぐ後ろに、大きなトランプのジョーカーが現れたかと思うとそこから飛び出すかの様に巨大なジョーカーの顔が現れ、ハイパーアカンベェを呑み込んでしまったのです。

 

『……気持ち悪い」

 

 ……きょうかの感想はさて置き、ハイパーアカンベェを一呑みにした巨大なジョーカーの顔はカードの中へと戻っていきます。

 

「いったい何が……」

 

 ボンッ!

 

 そしてトランプが大きな音を立てて煙に包まれ、煙が晴れるとそこには、くるみ割り人形の様な装いに変化し、胸元には黒い絵の具玉を着けマスケット銃を両手に携えたジョーカーの姿があったのです。

 

『ふんっ……格好を取り繕ったくらいでは滑稽なのは変わりませんよ」

 

「コロスッ!!」

 

 一言吠え、ジョーカーはいきなり両手に携えた二丁のマスケット銃で攻撃してきます。

 

『ふっ!」

 

 タンッ!

 

 一瞬、反応の遅れた私の体が勝手に動き、右脚を踏み鳴らすと、迫って来る二発の銃弾を遮る様に氷柱が生え、銃撃を防ぎます。

 

『れいか!集中して下さい!」

 

「ごめんなさい!もう遅れは取りません!」

 

 きょうかに叱責され散漫になっていた意識をジョーカーに集中します。

 

(『私がサポートします!れいかはあの道化師を〆て下さい!」)

 

 きょうかの言葉と共に胸元から体外へと、一気に力が解き放たれたかと思うと辺り一面が凍てつき、所々鋭利な氷剣が突き出す銀世界へと変えられていました。それと同時に一気にだるさとも疲れとも言えないものが襲いかかってきます。

 

「……っ!きょうか!貴女少しは加減というものをっ!」

 

(『来ますよ!」)

 

「ああもう!!」

 

 足元で爆発的に成長し、その身を貫こうとする氷柱を避けながらジョーカーが此方に襲いかかって来ているのでした。

 

 私も使えと言わんばかりに手元まで伸びてきた氷剣を掴み、ジョーカーへと振り抜きます。

 

「はああ!!」

 

 今の戦い方は一度、八幡君と一つになった時に使った戦法です。しかし今はその練度が違います。習熟した氷結の力と氷剣の扱い方。

 

 八幡君の力を借りずともこの道化師をもう一度屠って見せます!

 

 降り注ぐ鉛玉を切り払い、此方もジョーカーに向けて飛び込みます。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 タイミングよく足元から伸びてきてジョーカーを刺し貫こうとする氷柱に、無理矢理意識を割かれるジョーカーの隙を着くように氷剣で突きます。

 

 氷剣はマスケット銃を弾き飛ばし、空いた空間へ地面から氷柱の群れが殺到しますがそれは突如現れたトランプに防がれてしまいました。

 

 ジョーカーは袖から吹き出し、空中に不自然に浮かび留まるトランプから引き抜く様に新たなマスケット銃を取り出し構え、私達に向けて撃ち出したのでした。

 

 

 

 

 side︰八幡

 

「なっ?!」

 

 図書室で本を探していると突然、重苦しい雰囲気に辺りが包まれた。

 

「これは……バッドエンド空間か?」

 

 手に持っていた本を急いで棚に戻すと急いで図書室を飛び出す。

 

 廊下では放課後、校舎に残っていた生徒や教員達が項垂れ、座り込んでいる。

 

「れいかは、みんなは無事か!?」

 

 最近は奴らも卑劣な手を使う様になって来ているように感じる、俺に出来ることは少ないがいてもたっても居られずに廊下を走り出した。

 

 

 

「八幡くん!」

 

「八幡!」

 

 校舎を飛び出して、まずは弓道場に居る筈のれいかの所へ向かおうと思っていると俺を呼ぶ二人の声に呼び止められる。

 

 振り返るとそこにはれいか以外のみんなが集まっていた。

 

「れいかは一緒じゃないのか?」

 

「それはこっちの台詞だよ!八幡こそれいかと一緒じゃないの!?」

 

 なんか最近俺とれいかをセットで考えてねぇか?

 

「今日はれいかが少し一人で弓を引きたいって言って今は別行動なんだよ。帰る時は一緒に帰ろうと思ってたけど……ってそんな場合じゃねぇな!」

 

 今はアカンベェも三幹部も見当たらないし、全員で合流する事が先決だ。

 

「じゃあれいかちゃんは弓道場に居るんだよね!直ぐに行こう!」

 

『うん!』

 

 

 

 

「……なにこれ」

 

 弓道場の中にれいかの姿は無く、異様な物が残されていた。

 

 先程まで弓を射って居たのだろう。的には数本の矢が突き立っており、射場には弓と道着がまるで中身だけが消えてしまったかの様に残されているのだ。

 

「れいかは……」

 

 一瞬過ぎった最悪な想像に一気に嫌な汗が噴き出してくる。

 

「こんな時はいぬデコルクル!」

 

 レッツゴーイヌ!

 

 キャンディがいぬデコルを使うとキャンディの顔に犬の鼻が現れた。

 

「そりじゃあ探すクル!クンクン……ん!れいかのにおいはこっちクル!!」

 

 キャンディの後に着いていくと弓道場の奥、的場までにおいが続き、そこで消えているらしい。

 

「……ジョーカー?」

 

 必死に頭を回転させ、ふと引っかかった名前を呟く。

 

「八幡、ジョーカーってどういう事?」

 

「れいかちゃんを連れ去ったのはジョーカーなの!?」

 

 口にして改めて思い出してみると今回の黒幕がジョーカーだという考えが更に強くなる。

「みんな覚えてるか?きょうかが初めて俺達の所に来た時の事を」

 

「え?うん」

 

「八幡くんとれいかちゃんが……あっ、そっか!!そう言えば八幡君、今のれいかちゃんみたいに居なくなってたんだよね」

 

「ああ、どうやらジョーカーには自分の空間を創る力があるみたいなんだ」

 

「でもそれやったらどうやって……その空間?に入るん?」

 

「……ぶっ壊すんだよ」

 

『ぶっ壊す?!』

 

「ああ……キャンディ!この場所で急にれいかの匂いは消えてるんだよな」

 

 攻撃する場所をしっかりと確かめて起きたいし、今のキャンディならわかる筈だ。

 

「そうクル!丁度ここでにおいが消えてるクル!」

 

 そう言って的場の一箇所で跳ねるキャンディ。

 

「……って事だ。成功するかも分からねぇが頼む!れいかを助ける為に力を貸してくれ!」

 

 だが、必死で下げた頭は直ぐに無理やり上げさせられた。

 

「八幡くん!そんな事しないで!」

 

「ウチらやってれいかの為なら何でもするわ!」

 

「れいかちゃんはわたし達にとっても大切な友達だもん!」

 

「八幡、れいかの事を心配してるのはアンタだけじゃないんだからね」

 

「お前ら……」

 

 そうだよな……俺が変に気負い過ぎてただけだったんだな。

 

 

 全員変身し、技のタイミングを揃える。

 

「みんな!準備はいい?」

 

『うん!』

 

「いくよ!プリキュア・ハッピーシャワー!!」

 

「いくで!プリキュア・サニーファイヤー!!」

 

「よーし!プリキュア・ピースサンダー!!」

 

「合わせる!プリキュア・マーチシュート!!」

 

 四人のタイミングを合わせた技が絡まり重なり、何も無いはずの虚空へと叩き込まれた。

 

 ガシャーン!!

 

 空間の壁を打ち壊し、現れた(ひず)みの先、そこには普段とは雰囲気も格好も異なるジョーカーとそれに対峙するビューティの姿があったのだった。

 




前回のジョーカーとのバトルの二番煎じ感がやばい……もうちょっと捻った方が良かったかなぁ?って思うわけですよ……もしかしたらこっそり修正かけるかもしれません。

次回で今章は終わる?かも?

まぁそんな感じで次回もお楽しみに!
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