(1)
駅前の広場は待ち合わせ等に多く使われる場所だ。座れるようにベンチも数個あるが、あえて俺は端の方の花壇の囲い、そこに腰を下ろして考えに
クリスマスと言う言葉で人は何を思い浮かべるだろうか?
数年前、小学生の頃だったらやはり親からのプレゼントだろう。……サンタさん?知らない人ですねぇ……
そう、アレは忘れもしない小学生になってから初めてのクリスマスイブ。俺がサンタさんへのお願いを紙に書いていると母ちゃんが覗いてきて……
「ふーん、それが欲しいんだぁ。明日までには買って来とくからお母様に感謝するんだぞ〜あ、今までのクリスマスプレゼントもあたしが用意してたんだから六倍感謝しな〜あっはっはっはっはっ!」とかぬかしやがった。
因みにこの時母ちゃんは親父がクリスマス用に買ってきていたシャンパンをラッパで飲んでべろべろに酔っ払ってた……クリスマス当日に「わり、昨日は酔ってたんだわ〜まぁ、事実なんだし許せよ息子よ」とかほざげるのはうちの親くらいなものだろ
う。
閑話休題
まぁなにが言いたいかと言うと、性夜にれいかとせつなが泊まりに来る事がいつの間にか確定してたんだけど俺の貞操大丈夫?あ、考えすぎ?そっすか……
ふと視線を感じ、顔をあげるとこちらを覗き込んでいたみゆきと目が合った……
「うおっ?!っと!」
「わっ!?わわっ?!」
ドシーン!
お互いに仰け反る様に離れる。俺は一瞬バランスを崩したものの直ぐに足に力を入れて花壇の囲いを支えに踏みとどまる。
一方みゆきは立ったままこちらを覗き込んでいたのでバランスを崩して尻もちを着いてしまっていた。
「痛った〜い!」
「みゆき、大丈夫クル?」
「うん、大丈夫……ちょっとお尻が痛いけど……」
「驚くだろ?声ぐらいかけてくれ……」
軽く小言を言いながら手を差し伸べる。
「ごめんね、ありがとう」
みゆきは軽く頭を下げながら俺の手を支えにして立ち上がった。
「それにしても八幡くん早いね!わたしは迷子になっても良いように二時間位早く家から出て来たからいいけど、わたしより先に集合場所にいるんだもん。びっくりしちゃったよ!」
びっくりしちゃったら声を掛けてね?
「まぁ、俺も似たようなもんだよ。女の子を待たせるものじゃないとか言って小町に家から追い出されたからな」
……でも八幡知ってるんだ。掃除の邪魔だから体良く追い出されたんだって……せっかくの休日なんだし、もう少しソファでごろごろしたかったぜ……
「へぇーそうなんだ〜じゃあみんなが来るまでまだ時間あるし……そうだ!さっきまで真剣に何か考えてた見たいだけどどんな事を考えてたの!?」
ねぇ?会話のキャッチボールって知ってる?投げ返したと思ったらバットで打ち返されたレベルで話変わっちゃってるんですけど?
「……いや、クリスマスって言葉で人は何を思い浮かべるか……みたいな?」
まぁ、付き合うんだけどな……
「クリスマスか〜やっぱりわたしはサンタさんかな〜」
「みゆき、サンタさんってだりクル?」
そうか、キャンディはサンタの事は知らないのか……もしかしたらクリスマスも知らなくてみゆきに教わったのかもな……
「キャンディ、サンタって言うのはな……血の様に真っ赤な服を着ていて、クリスマスの夜に何処からともなく家に入り込んで来ては、寝ている子供達の枕元に不審物を置いてニヤリと笑って消え去る……そんな不思議なおじいさんの話なんだ」
「怖いクルっ?!」
「怖いよ!?」
ちょっと誇張したが嘘は言ってないぞ。
「こらっ!なんやその悪意ばりばりサンタの説明は!」
バシッと軽く頭を引っぱたかれ、声の方を見れば呆れた顔のあかねが立っていた。
「あかねちゃん!」
「あかねクル!」
「なんだ?俺達が言えた事じゃないが随分と早いな」
俺とみゆきが早すぎるだけでチラッと時計を確認したが集合時間にはまだ一時間以上もある。
「いやぁ……迷ってもええようにって少し早く出てん」
「お前もかよ……」
「え?ってことは八幡も?」
「俺じゃねぇ……みゆきだよ」
「えへへ///あかねちゃん、お揃いだね」
「なんや……嬉しくないお揃いやな」
「えぇー!酷ーい!」
まぁ迷子対策でお揃いになってもなぁ……
「あっ!そうだあかねちゃん!あかねちゃんはクリスマスって言葉で何を思い浮かべる?」
「唐突やな……まぁウチなら……」
「ふぅ……」
二人が俺を置いてイチャつき出したので軽く息を吐いて少し曇りだした空を見上げる。
そもそも今日、何故みんなで七色ヶ丘から少し離れたこの場所で待ち合わせをしているのかと言えば買い物の為である。もっと詳しく言えばプレゼント交換の為のプレゼントを買いに来た訳だ。
来週のクリスマス当日にお昼から――何故か俺の家に――みんなで集まってクリスマスパーティをする事になっているのだが、参加者はれいか達五人と俺と小町で七人だ。せつなはラブさん達とのクリスマスパーティに参加する為こちらは欠席だ。
そのクリスマスパーティのラストをプレゼント交換で締めくくる予定らしい。そして、そのプレゼントを今日みんなで買う為にわざわざ七色ヶ丘から出て来たのだ。
因みにこのクリスマスパーティは夕方迄で夜はせつなも帰ってきて
「八幡君?」
声が掛けられると同時に顔から少し離れた位置で手を振られる。
「ん?れいかか?」
「ええ♪今朝ぶりですね八幡君」
顔を上げながら確認すれば笑顔で頷くれいか。
『私達も大分早く家を出たつもりだったんですけど三人共早いですね!」
まぁ、そこはみんな思うよな……俺はみゆきとあかねを指し一言。
「この二人は迷子対策」
きょうかは一瞬、不思議そうな顔をしたが直ぐに頷く。
『ああ!納得です!」
「そこで納得されるのもなんかあれやな……」
「えへへぇ///それほどでも///」
「褒めらてへんで!」
「ええ!?」
れいかが来た事で自然と俺の会話への参加率も上がり……
「みんなおはよう、早いね」
暫くするとやよいも加わり、気がつくと……
「あれ?!もしかしてアタシが最後?待たせちゃった?」
最後のなおが到着し、集合時間前に全員が揃っていた。
全員揃ったため、全員で近くのショッピングモールへと移動を開始する。
「ねぇねぇ!ショッピングモールに着いたら、一旦別れてプレゼント買わない?」
「せやなぁ出来るだけ、箱開けるまではプレゼントは秘密にしたいしなぁ」
「中身が分からない方がドキドキするもんね」
「あ、でも変なモノは無しだよ」
「消えものだったり、実用的なものだったり……センスが問われますね」
「まぁ、そんな話をしてたらもうショッピングモールに着いた訳だが……いや、ほんとに近ぇな」
徒歩何分だよ?
「うーんと……あっ!あれ!あそこの目立つ銅像が集合場所ね!えっと……時間ってどれくらいが良いかな?」
「人によって差はあるとは思いますが、まず一時間程度で良いんじゃないでしょうか?時間になったら一旦集まって、それでもまだ時間が足りないようならそこからまた探す時間を決めればいいと思います」
「みんなはそれでいいか?」
『うん!』
「ええで」
「いいよ」
「じゃ、れいかの案の一時間で決まりだな」
俺の言葉に全員が頷く。
「よーし!それじゃあクリスマスプレゼント探し、スタート!!」
「よっしゃ!」
「いくよ!」
「おいこら!走んなよ!」
みゆきの掛け声で前傾姿勢になったスポーツ系二人を慌てて止める。
「時間はありますからゆっくり探しましょうね」
れいかの言葉にも振り返らずに、手を上げただけで返事を返した二人は人混みの中に紛れて行ったのだった。
そしていつの間にかみゆきとやよいも既に居なくなっている。
「おいおい……もう居ねぇぞ」
「ふふっ、それほど楽しみだったということでしょう。それでは私達もプレゼントを探しに行きましょうか」
「そうだな……ある意味出遅れてるとも言えてるし」
「それでは八幡君、また一時間後に」
「ああ、また……」
そうしてれいかと頷き合うとお互いに反対方向にプレゼントを探しに歩き出すのだった。
クリスマス回ですね……私がクリスマス回だといえば例えクリスマス回出なくともクリスマス回なのです!
みゆきちゃんの回想……あれってぶっちゃけよくわかんないっすよね……手鏡の付喪神が何かですかね?
まぁ、そんな感じで今章は蛇足でクリスマスパーティのとこも書くかもです。なので書ききるまでは章タイトルを付けないことにしました……まぁ、勢いで書いてるのでね……
それでは次回もお楽しみに!