俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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この寒暖差……勘弁して欲しいところですねぇ

あ、私ですか?もちろんぶっ倒れましたの。寒暖差には弱ぇんですのよ……


(2)

 「クリスマスプレゼント……いや、それに限定するのも違うか……あっ」

 

 一人になるとつい、考えが口から漏れてしまう。これは昔からの癖の様なものだ。ただ頭で考えるだけでなく声に出すとより考えがまとまりやすい気がするのだ。

 

 ヒソヒソ……

 

「ん?」

 

 一瞬視線を感じて立ち止まる。

 

「あれ、見て」

 

「うわぁ……」

 

 少し前に居る二人組の女性がこちらを指差して口角を上げている。

 

「……………」

 

 クリスマス前にぼっちで、それもブツブツと独り言を呟きながら歩いてる変な奴。……そんな風に思われている。

 

 

 

 なんて、昨年の俺だったらそう考えて人混みを避け、なんなら家に帰っていたかもしれない。……だが、今は違う。

 

 れいかと関わり、友人が増え、恋人まで居る。

 

 女性の指差す方へ、つまり、俺を越え更に先に視線を向ければそこに居たのは大股開きで壁にもたれる猫。

 

「なふっ……」

 

「…………」

 

 つまりはそんなものなのだ。孤独というものは、人に疎外された経験というものは、えてして人を敏感にする。

 

 こうして一人で人混みを歩くと改めて俺はれいかに救われたのだと実感する。

 

 だから……という訳ではないがれいかへのクリスマスプレゼントはちゃんとれいかの喜んでくれそうな物を選びたい。

 

 きょうかとせつなのプレゼントももちろん選ぶが、今年だけはきっかけとなったれいかへのプレゼントを優先させてもらう。

 

 ん?プレゼント交換用の買い物?んなもんついでだ、ついで……

 

「……おっ」

 

 

 

 

 

「ありがとうございましたー!」

 

 ぱっと目に付いた洗顔用のタオルを箱ごとラッピングしてもらい購入した。

 

 これで交換用のプレゼントは完璧だ。……つかめちゃくちゃ肌触りが良くて俺と小町の分まで購入してしまったまである。

 

「よし……こっからが本番だ」

 

 制限時間は残り五十分程だろうか、この時間をフルに活かして素敵なプレゼントを見つけちゃうぞ♪……まぁ、キモイな

 

 

 一件目、服屋……は無いな、うん。

 

 今入ろうかなって見てたら中の店員に怪訝な顔されたし、これは勘違いじゃなくてガチで俺だった。だってよく店見たら服屋は服屋でもレディース専門店だったもん……次!

 

 

 二店目、文具店……うん、なかなか面白い文房具が多かったわ。

 

 ちゃんとしたお値段のボールペンってあんなに書きやすさが違うんだな……後でもっかいれいか達と見に来よ……次

 

 

 三店目、ぬいぐるみ屋……可愛いんだが、なんかなぁ違うんだよなぁ……あ、でもコレはこれでせつなに………うさぎのお人形さんご購入………

 

「……はっ!?つい衝動的に買っちまった……いや、でも恥ずかしがりながらうさぎのお人形さんを抱きしめるせつなとか……想像するだけで可愛すぎだろ……」

 

 期せずしてせつなへのプレゼントが決まったが、れいかのプレゼントはまだ見つからない……次!

 

 

 四店目……本屋……やよいが居るな……次  

 

 

 五点目…………園芸屋か?

 

 チラッと見えた店の中で主張の激しいPOPには『クリスマスサボテンはじめました!!』の文字。んん??

 

 クリスマスサボテンって何?

 

 気になってつい、店の中に入ってしまう。

 

 どうやらクリスマスの時期に花を咲かせるサボテンらしい……だが、俺が気になったのはその隣でサンタの帽子を被って居る小さな丸いサボテンだった。

 

「なんか可愛いじゃねぇか……」

 

 これはきょうかのだな。購入して眺めて見れば、自然と楽しげにサボテンに水を吹きかけるきょうかの姿が想像出来てしまった。……………はっ?!和んでねぇでれいかのプレゼントを探さねぇと!

 

 六店目、雑貨屋……やばいあと十分切ってるな……だが此処こそ大本命だ。この店はこの時期だからか、クリスマスを意識させる商品が固まって多く置かれている。……まぁサンタの格好をしたくるみ割り人形なんて誰が欲しがるんだって物も置いてあるが……ん?

 

「……おっ、これは良いんじゃねぇのか」

 

 それはくるみ割り人形の陰に隠れるように置いてあった。

 

 商品を並べた時に奥へと押しやられてしまったのか、くるみ割り人形の陰に、他の商品と違い照明が上手く当たらずに目立たなかったが、手に取って見てみるとキラキラと輝き光を反射する。

 

「……決まりだな」

 

 答えは直ぐに出た。

 

「コレ、クリスマス用のラッピングでお願いします」

 

 

 

 

 

「あー!八幡くん来たよ!」

 

「遅刻やでー!」

 

 集合場所の銅像前にはもうみんな集まっていた様で、俺を見つけたみゆき達が手を振りながら跳ねている。

 

 俺はプレゼントが傷つかない様に、少し小走りで銅像前まで駆け寄る。

 

「すまん!遅れた!」

 

「ふふっ、大丈夫ですよ。みんな少しだけ早く集まっただけで、まだ一時間がたった訳ではありませんから」

 

「そうそう、アタシ達もそんなに待ってたって訳でもないしね」

 

「そう言ってもらえると助かる」

 

 まぁ実際ぶーぶー言っていたあかね達もニコニコしてるし本気でなかった事が(うかが)える。

 

「あれ!?八幡くんなんか凄いいっぱい買ってる!」

 

「うわ、ほんまやん!それ絶対プレゼント交換用のだけやないやろ……」

 

「あ、だから一番遅かったんだ」

 

「それでぇ?他には誰にぃ何を買ってたのぉ?このこのぉ」

 

「……なお、うっぜぇ……」

 

「…え、ガチのトーンじゃん」

 

「八幡君……声に出てます」

 

 え?

 

「あ、わり本音が出ちゃったわ」

 

「えぇ……うわぁーんあかねぇ!八幡が酷いよォ」

 

「おーよしよーし、でも実際さっきのはウチもやられたらウザいって思ったでー」

 

「あ、うん。気を付ける」

 

 急に真顔になるじゃん……

 

「ねぇねぇ、それで結局八幡くんは何を買ったの?」

 

「えぇ……みゆき、それ今聞くんかい……」

 

「ええ?!ダメだったかな!?」

 

「まぁ小町から指定されてたお土産だな」

 

 まぁ、ついでに小町へのお土産を買ったのも事実だし、嘘は言ってねぇよ。

 

「って!こっちは答えるんかーい!」

 

「ふふっ、小町さんなら言いそうですね」

 

「まぁ、小町だからなぁ……」

 

 

 

 

 

「それじゃあ交換用のプレゼントはみんなも買えたんだね!」

 

「もちろんや!楽しみにしとき!」

 

「わたし、すっごく悩んじゃった!」

 

「でもこうゆうのってそんな時間が良いんじゃないの」

 

「受け取った人の反応を思いながら選ぶのとても楽しかったです」

 

「うし、じゃあみんなプレゼントは買えたって事で、帰るか」

 

『うん!……うん?』

 

 おっと、軽く冗談のつもりだったんだが……タイミングが悪すぎたか?

 

「……八幡君?」

 

「すいません冗談でした。許してください」

 

 れいかに笑顔を向けられただけなのに、一気に体感気温が下がった気がする。ははっ、膝が震えそうだぜ……覇王色の覇気かな?

 

「なんだ冗談だったんだ、びっくりしたぁ」

 

「今のは八幡が言うとマジにしか聞こえんからなぁ……」

 

「……はぁ、今回は許しましょう。それでは皆さんで一緒に「見つけたぞぉ!!プリキュア!!」……はぁぁ……」

 

 あら、おっきなため息……じゃなくて、この声は……

 

『ウルフルン!?』

 

「ふんっ!」

 

 ウルフルンはこちらを鋭く睨みつけるといつもの様に白紙の本と黒い絵の具を取り出し、黒い絵の具を叩き付けるように本のページへと塗り付ける。

 

 辺りが重苦しい雰囲気に包まれ空には満月が登る。バッドエンド空間が展開されたのだ。周りを歩いていた人達が皆、項垂れるように座り込む。

 

「……俺にはもうあとがねぇんだよ……全員、今日此処でぶっ潰しやる!!」

 

「わたし達だってアナタの思い通りになんてならない!みんな!いくよ!!」

 

『うん!!』

 

 みゆきの号令でスマイルパクト手にしたみんなが一斉に光に包まれた。

 

 

 




皆さん、うさぎのお人形さんはおっきめのキャンディよりちょい大きめで想像して下さい。それをちょっと頬を染めながらせっちゃんがぎゅっ……って…………くっそ可愛いですね!

 今回はプレゼント選びが主の回でした!次回でバトルが終わればそこで、終わらなくてもその次で今章は終わりになる予定です。

 次章は閑話でクリスマスパーティ回を挟んで、三幹部とのラストバトルがスタートする予定です。

 それでは次回もお楽しみに!
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