(1)
性夜のクリスマスパーティをを終え、目が覚めた翌a……昼。
シャワーを浴び、さっぱりとした俺達は昨日の残り物を昼食として食べていた。
「昨日は少し重いかも、なんて思ったけれどこの時間だと丁度いいくらいね」
「そうですねぇ……まさか八幡君があんなに絶倫だったなんて……」
『ですね〜、本当は朝食を囲みながら甘酸っぱい思い出に浸ろうかなぁ、なんて話してたんですけどね〜」
「………すいませんでした」
俺はそう口にしながらもテーブルの上の料理に視線を落とし、正面から降り注ぐ、じとーっとした視線の雨を気付かないふりをしてやり過ごす。
正直、俺も俺自身ににびっくりなんだけどな……
「………はぁぁ、まぁ、今回は私達が一服盛ってしまった所為とも言い切れませんし八幡君だけに責任がある訳でもないので許します」
「私達も共犯だしね」
『…………』
二人の様子にチラッと視線を上げると二人は同時に下腹部に手をやり……
『はぁ……下半身の違和感が凄い……』
全く同じ言葉を、ため息混じりに呟く。
「そのぉ、すまん……あ、ごめんなさい」
その言葉を聞いた俺はつい、反射的に謝ってしまうのだった。
昼食の片付けが終わるとせつなはラビリンスで休むと一足先に瞬間移動で帰って行った。
そして俺とれいかはと言うと………
「あ、あの、八幡君。もう少しゆっくり歩いてもらっていいですか?」
「ん、すまん。これくらいでいいか?」
「ええ、ありがとうございます」
何故か、昨日の報告会と言う名目でみゆき達から呼び出しのメールが届いていたのでそれに間に合うように着替えて、家から出て来たというわけだ。
ただ、普段と違うのはれいかの足取りが少々おぼつかない事だ。……理由?察せ……
「あ!おーい!こっちこっち!!」
集合場所の公園に近づくと、なんかレーダーでも着いてんのかって勢いで直ぐにみゆきに発見される。
「二人ともこんにちは!」
「おう」
「ええ、こんにちは。皆さんもこんにちは」
各々で挨拶を交わす。ただ、そんな中で唐突に爆弾を投げ込んで来るのがみゆきだ。
「あ、そういえば今日、れいかちゃんの返信がいつもより遅かったけど大丈夫?もしかして昨日夜更かししたゃった?れいかちゃんでも寝坊しちゃうくらい夜更かししちゃう事もあるんだねぇ」
お前……勇者かよ……
『…………………』
れいかを除く全員が、コイツマジかよとでも言いたげな目でみゆきを見る。
「……え、ええ、昨日は我ながらはしゃぎ過ぎてしまって……これからは気を付けようと思います」
れいかは当たり障りのない返しで話を終わらせようとするが……
「あっ!だかられいかちゃん、八幡くんの腕に掴まってるんだね」
「……そ、そうなんですよ」
「やっぱり!足がガクガクになっちゃうくらい凄い遊びだったんだね!」
おいおいおい、こいつわざとなのか!?天然なのか!?
チラッと横目で見たれいかの顔は笑顔であった……目は笑っていないが……
「……ねぇ、それってどんな遊びb「ストッープ!!」ふむぅ!?」
割って入る様にあかねがみゆきの口を塞ぎ言葉を遮る。
「みゆきーっ!?それ以上はあかんで!?ステイやステイ……」
「ふもー……ふもっ!?ふももももももっ!!」
「な、なんやっ!?」
一瞬、落ち着いた様だったみゆきが急にまた暴れ出し、驚きのせいかみゆきの口を塞いでいたあかねの手が外れる。
「ぷはっ!みんな上!!」
『……上?』
みゆきの言葉にみんな不思議そうな顔をして空を見上げ……固まった。
「なんだよ……あれ」
空は朝から曇ってはいた。しかし雲の切れ間からは確かに青空が覗いていたのだ。
「隕……石?」
だが、今雲の切れ目から覗いているものは綺麗な青空などではなく紫色の歪で巨大な物体だった。
「……どんどん大きくなってるよ」
「近づいて……来てるの?」
先程までの和やかな日常は一瞬にして消え、俺達の中に底知れない不安が渦巻き始めているのを感じる……
「クル?!みんなロイヤルクロックが!」
「今度はなんなの!?」
そしてキャンディの慌てた声に振り向けば俺とれいかを待っている間に取り出していたらしいロイヤルクロックから強い光が放たれていた。
「光ってる……だけ?」
「もう……驚かせんといてや」
しかし異変はそれだけでは終わらなかった。
「……クルッ?!み、みゆき!クル、クルゥゥ?!」
「なにっ!?キャンディ!??」
ロイヤルクロックの光に呼応する様にキャンディの体も光出したのだ。
『きゃっ?!』『くっ?!』
そして、そのままキャンディは目を開けて居られないほどの光を放ち……
「うそ……キャンディ?」
キャンディのいた筈の場所には代わりにティアドロップ型の宝石を羽が包み込んでいるような、そんな不思議な物体が鎮座していたのだ。
「なに、なんなの?」
「ちょっと!キャンディ!?」
「一体……何がどうなって……」
「……マジで何が起きてやがる?」
空からは変な隕石みたいなのが近づいてるし、キャンディは変な宝石に変わっちまうし……
「皆の衆!!」
「この声は……」
混乱する俺達だったがタイミングよく、この状況の説明をしてくれそうな者の声が響いて来た。
「大変でござる!」
『ポップ!』
声の方へ皆、一斉に振り向けば青い絵本が羽ばたきながら此方へと向かって来ていた。そして……
「地球に迫っているあの大きな塊は、ピエーロの卵でござる!!」
……俺達の目の前まで飛んできた絵本から飛び出したポップは開口一番でとんでもないことを口にしたのだった。
『………ピエーロの卵?!』
皆、つい反射的に聞き返してしまう。
「そうでござる!信じられないかも知れないでござるが、あの塊はピエーロの卵なのでござる!」
『………………』
「あっ!違うのポップそんなことより!……これっ!」
「……これはっ!?」
「キャンディがこの宝石に変わっちゃったの!」
みゆきはキャンディだった宝石をポップに手渡す。
「……キャンディが……まさか……」
「そのまさかだよ……!」
ポップがこぼした呟きに答えるように、聞き覚えのある声が響く。
「ウルフルン?!」
「こんな時に!?」
しかし振り返った先に居たのは声の主であるウルフルンだけではなかった。
「お前達の妖精がミラクルジュエルだったオニ!」
「ふんっ、アタシ達が知ったのもついさっきだけどね……」
「アカオーニ!」
「マジョリーナまで……いえ、それよりもキャンディがミラクルジュエルとは、一体どういうことですか!?」
「知るかよ!んな事はどうでもいいんだよ!」
ウルフルンは俺達の問いを切って捨てる。
「これからオレ様達が世界中の人間達を絶望させてやるオニ!」
「ピエーロ様に捧げる最後のバッドエナジーだわさ!」
『世界よ!最悪の結末、バッドエンド染まれ!白紙の未来を黒く塗り潰すのだ!!』
三幹部が同時に展開したバッドエンド空間は混じり合い、広く、広く拡がっていく。
「人間共の発したバッドエナジーでピエーロ様が蘇るぜ!」
街中……いや、それ以上拡がったバッドエンド空間により、空に浮かぶピエーロの卵へと、目に見える程に色濃いバッドエナジーが立ち昇る煙の様に吸い寄せられていく。
「街のみんなが!?」
「迫るピエーロの卵にミラクルジュエルへと変わってしまったキャンディ……分からない事だらけでござるがきっと、今日が最後の戦いになるでござる……」
「最後の……」
「……戦い」
……最後の戦い。
「みんな、いこう……!」
『うん!』
みゆきの声に頷き、一斉にスマイルパクトを構え光に包まれた。
こんな感じです!
って事で次回から本格的に三幹部との戦いが始まって行く訳ですがオリジナルはバンバン入れる予定です。
アニメ版は正直、うん、まぁ……みたいな個人的な感想ですのでテコ入れします。
という訳で次回もお楽しみに!