皆さんも熱中症には気を付けて下さいね。
『グゥォォォォ!!』
バッドエナジーによって造られた翼竜が咆哮をあげる。
「届け!希望の光!」
『羽ばたけ!未来へ!』
『プリキュア・レインボーバースト!!』
翼竜が現れてもプリキュア達のする事は変わらない。手にしたステッキから溢れ出た光を合わせ、ペガサスの姿を模し、その角から、輝く虹色の光の奔流を解き放つ。
「迎え撃つぜ!『バッドエンドバースト!!』
三幹部達の号令で翼竜は口内に禍々しい力を凝縮し解き放つ。
ガガガガガガッッ!!
輝く虹色の光の奔流と禍々しい闇の奔流がぶつかり合い、凄まじい音をたてながらお互いを削り合う。
『はぁぁぁぁぁ!!』
『ガァァァァァァ!!』
気迫の声と共に放たれる光と闇の奔流はその太さを増していく。
だが、両者の中間地点でぶつかり、せめぎ合っていた力の均衡が今崩れる。
「そんな……」
闇が光を呑み込んでいく。
『きゃぁぁぁぁ!?』
光を呑み込み、撃ち抜いた闇の翼竜は役目を終えたとばかりに霞んで消える。
ドサドサッ……
闇の奔流により吹き飛ばされたプリキュア達が俺達のすぐ近くに落ちてくる。
「みんな!」
「皆の衆!」
慌てて助け起こす。だが……
「ありがとうございます。でも……」
「八幡達はウチらの後ろに……」
立ち上がったビューティ達は直ぐに俺達を庇うように前に立ち、何時でも攻撃を防げる様に構える。
「……八幡殿」
「……くそっ!」
まるで察してくれでも言うように首を振るポップに促され、満身創痍のプリキュア立ちを残し後ろに下がる。
「どうだ見たか!?テメェら如きじゃ、今のオレ達には絶対に敵わねぇ!」
「なんて強さや……」
「何処からそんな力が……」
ビューティから零れた独り言のような疑念。
だが、それを聞いた三幹部達は嘲るように答える。
「フンッ」
「教えてやるオニ」
「アタシ達が何度も味わったあの悔しさ!寂しさ!痛み!」
「寂しさ?」
「痛み?」
マジョリーナはピース達の声に頷き、続ける。
「そうさ、アタシ達は絵本の中じゃいつも嫌われ者」
「怖がられて、嫌われて……」
「誰からも相手にされない……」
「そんな時さ、アタシ達の前にジョーカーが現れたのは」
「ジョーカーは言った。悪いのはオレ達を排斥する世界だと」
「全てを破壊すればオレ様達の住みやすい世界になると」
「そして、ピエーロ様がその力を与えてくれるってね」
三幹部の過去に俺達は言葉を失ってしまう。
「……憎いんだよ!ヘラヘラと楽しそうにしてる奴も、未来は明るいとか言ってる能天気なテメェらも……全部なぁ!!」
「疎まれ、蔑まれ、誰からも相手にされない!その悔しさや寂しさ、お前達には分からないオニ!!」
「だからアタシ達は、ピエーロ様と一緒にこの世界全てを壊すのよ!ムカつくこのくだらない世界を全部ね!!」
三幹部達の悲痛な叫びに、もう俺達の中に攻撃の構えをとる事が出来る者は居なかった。
皆、三幹部に同情し、迷い、どうすればいいのかと手を彷徨わせる。
「おい、おいおいおい!ふざけんなよ!!」
「お前らに何がわかるオニ!何時も幸せそうだったお前らに!!」
「今更同情なんてふざけてんじゃないよ!アタシ達はそんなに哀れな存在じゃない!!」
「でも!わたしは絵本が大好きだし、その中に生きていたあなた達の事だって大好きだもん!」
ハッピーが叫ぶ。
「うるせぇうるせぇうるせぇ!!」
「オレ様をそんな目で見るなオニ!!」
「ああ!頭がどうにかなっちまいそうだよ!」
ハッピーの本心からの言葉がわかってしまうのか、三幹部達は頭を押さえ唸り、襲いかかってくる。
「絶対に諦めない!!あなた達の事を知ってしまったから!わたしの大好きな!大切な存在だって事を!!」
ドンッ!!
その瞬間、ハッピーの言葉に応える様にハッピーのスマイルパクトから光が溢れ出し、ハッピーを包み込む。
「ぐぅっ!?なんなんだこれは!?」
そして光と共に放たれた衝撃波に三幹部も足を止めてしまう。
そして解けた光の中から現れたのはその手に
「笑顔で包む愛の光、アルティメットキュアハッピー」
「あ、アルティメットとだがなんだか知らねぇが、今度こそぶっ壊してやるよ!!」
『ウオォォォォォ!!』
装いを変えたキュアハッピーに一瞬、たじろいだものの直ぐに雄叫びと共に襲いかかる三幹部。
だが……
「もう、憎まないで……」
ハッピーが手を広げると飛びかかっていた慣性さえ打ち消し、動きの止められた三幹部を現れた翼が包み込む。
「もう、恨まないで悲しまないで……例え世界があなた達を否定しても、わたしが肯定するから。わたしだけはあなた達を愛するから……」
「あ、愛するだと……」
「こんな、オレ様達をオニ……」
「アタシ達を……否定しない……」
「わたしは絵本の中のみんなが大好き。だって絵本がみんなに夢や希望を与えてくれるのはあなた達が居てくれるおかげだもの……だから、ありがとう」
「オレ達の……」
「おかげ……」
「そんな事、初めて言われただわさ……」
ふっ……と浮き上がったハッピーが三幹部達を抱き寄せる。
「わたしはあなた達も助けたい……だから、やり直そう。一緒に……」
「うっ、うぅ……」
「オニッ……オニッ……」
「ううぅ……」
泣きじゃくりながら頷く三幹部を、ハッピーから溢れ出した優しい光が包み込む。すると三幹部から暗い塊としか表現出来ない様なものが飛び出し、空へ飛び去っていく。
ハッピーの手からも絵本が光の粒子となって消えていき絵本が消えるのと同時に役目を終えたかのようにハッピーの姿も元に戻る。
「……ありがとう、にこちゃん」
そして三幹部達にも変化が起こる。
三幹部のシルエットがどんどん縮んでいくのだ。光が収まり、三幹部の代わりにそこに居たのは眠っている三体の妖精だった。
『わぁぁぁ……!』
「これって……!」
「……うん!」
「ウルフルンさん達はメルヘンランドの妖精だったんですね!」
「……おおっ!おおっ!!」
この事に特に喜んでいるのはポップだった。
「ウルルン……!オニリン……!マジョリン……!そなた等で、ござったか……」
「ポップ、知り合いか?」
「うむ……この者達は、ピエーロのメルヘンランド侵略の折より行方知れずになっていたのでござる。……この様な形とはいえ無事で、本当によかったでござる」
ポップは絵本を取り出すと気遣う様な優しい手付きで三体の妖精達を絵本の中へ避難させる。
「皆の衆、みんなを救ってくれて、本当にありがとうでござる」
頭を下げるポップにハッピー達は静かに頷く。
そしてそこに……ゆっくりと降って来たのは黒の絵の具玉だった。
絵の具は光が弾けるように消え、中のデコルがゆっくりとハッピーの手のひらに収まる……瞬間!
「最後のデコル……きゃっ?!」
ナニカが掠めるようにデコルを奪っていった。
「誰だ!?」
「んっふっふっふっふっふっ、誰だ……なんてワタシしか居ないでしょう?」
『ジョーカーっ!?』
奪ったデコルを指で弾きながら悠然と佇むジョーカー。
「使えない連中でしたが……まぁ、時間稼ぎにはなりましたね」
「アンタねぇっ!」
「お疲れ様でした。皆さんが戦っている間に世界中の人々からバッドエナジーを全て搾り取りました!今、この瞬間!ピエーロ様の復活が始まるのです!!」
「不味いでござる!?このままでは本当にピエーロが復活してしまうでござる!」
「復活したピエーロ様への手土産にあなた方の命をもらいます」
ジョーカーはそう宣言すると懐からナニカを取り出す。
「あれは……」
「そう!これは三幹部から弾かれたこの醜い心。いえ、これは誰しもが抱く世界中の悪感情。そんな世界の絶望とこのデコルを混ぜ合わせて〜っはい!出来上がり」
ジョーカーは作り上げたカードの様なものをばら撒くとそのカードが妖しく輝き……タタンッと、地面に降り立った時には全く別の姿へと変わっていた。
と言うよりも……
「あの姿はっ……!」
「ワタシの傑作バッドエンドプリキュアです!!」
そう、以前退治した事のあるきょうかの様な姿のバッドエンドビューティだけでなく、今度はプリキュア全員の姿を模したバッドエンドプリキュアが現れたのだった。
はいっ、という訳でアルティメットキュアハッピー再臨です!丁度絵本の悪役だしこの世界線は映画編とも地続きですし、よっしゃにこちゃんパワーで浄化したろ!って感じです。
次回はバッドエンドプリキュア戦ですね。
それでは次回もお楽しみに!