(1)
「ンッフッフッフッフッフッ」
浮遊し、不気味な笑い声を響かせるジョーカーの足元ではバッドエンドプリキュア達が静かに、人形の様に佇む。
「うそ……」
「バッドエンドプリキュアって……」
「うちらにも……」
「……わたし達にも……きょうかちゃんみたいな子が出来るって事かなっ!?」
「そっちかよぉ……」
もうちょい空気読もうぜ?ハッピー……
「いえ、ハッピー、それは難しいと思います」
『そうですねぇ……どうも私とも何か違うんですよねぇ?」
ハッピーに異を唱えたのはれいかときょうかだ。
「ええ、勿論違いますよ。貴女の様な失敗をしない為にちゃーんと調整済みですから」
そしてジョーカーも二人の意見を肯定する。
『チッ……胸糞悪ぃ」
「フフンッ♪」
パチンッ!
ジョーカーが楽しそうに指を鳴らせば、先程まで人形様に動かなかったバッドエンドプリキュア達がスっと顔を上げ前に歩み出る。
『……っ!』
こちらも合わせて身構えるが、攻撃は来ずバッドエンドプリキュア達の歩みも止まらない。
そして、俺達から丁度二メートル程の間隔をあけ、漸く脚を止めた。
「わたしねハッピーな事がだ〜い好き!」
「……なんだ、こいつ」
突然笑顔で語り出したのはバッドエンドハッピーだ。
「他人が不幸になっても絶望しちゃっても、わたしがハッピーならそれでいいよね!それにね、他人が苦しんでるのを見ると、あぁわたしは幸せで良かったぁってとってもハッピーな気持ちになれるんだ!」
こいつっ……やべぇ!
「だ・か・らっ!あなた達も苦しんでっ!!」
『……くっ!』
一瞬で距離を詰めてきたバッドエンドプリキュア達に俺よりも少し前にいた皆が一人ずつ突然現れた光の中へと道連れにされる様に押し込められていく。
「皆さん!?」
そして最後に残されたのはバッドエンドビューティとキュアビューティの二人だった。
「……どうして私だけ残されたんですか?」
「フッ、だって貴女はあんな美しくない事をしなくても着いてくるでしょう?」
そう言って悠々と光の中へと姿を消すバッドエンドビューティ。
そして一人残され、ジョーカーを睨みつけるビューティ。
「フゥ……そんなに睨みつけなくても
「……致し方ありません。八幡君、奴の言うことは信用なりません。十二分に注意して下さい」
「……ああ」
ビューティは無言で頷くと自分から光の中へと消えていった。
「彼女、素直ですねェ?でも、貴方は言われた通りに注意出来ているんですか?ほら、こんな風に」
パチンッと鳴らされた指に気を取られた瞬間、目の前に光が現れる。
「なっ!?」
そして、そこから上半身の現れたバッドエンドビューティに攫われてしまう。
「八幡殿!?」
後ろから聞こえたポップの声を最後に俺の意識は途切れた。
side:ビューティ
光を潜り抜けた先に広がっていたのは満月の光に照らされた氷柱の立ち並ぶ荒野でした。
「彼女は何処に……」
「随分と遅かったのですね……まぁ、そういう事になっていたのですが」
その声に振り向くと……
「八幡君っ?!」
氷柱の上に立つバッドエンドビューティ、そしてその手に抱えられている意識の無い八幡君の姿だったのです。
「この男、そんなに良いものですか?ビューティと名乗る貴女がうつつを抜かすなんて」
バッドエンドビューティは品定めでもする様に八幡君に不躾な視線を向けている。
『八幡君を離しなさい!」
「……まぁ良いでしょう」
なんと、きょうかが叫ぶとチラリとこちらに視線を向け、そのまま八幡からその手を離したのです。
「八幡君っ!!!」
落下する八幡を慌てて受け止め、どこにも怪我の無いことを確認すると安堵のため息がこぼれてしまいました。
「ジョーカーに言われたから彼を連れてきましたが、そんな汚いことで勝っては私の美しさが汚されてしまいますし……」
どうやら彼女は自分の美しさにこだわりがあるようですね……ジョーカーの
「さぁ、どちらが真のビューティに相応しいか理解させてあげましょう」
『ちょーっと待って下さい!」
「……なんですか?」
『こんな危険な所に八幡君を置いたままで戦える訳ないじゃないですか!?」
「…………………」
きょうかの言葉にバッドエンドビューティは不機嫌そうにこちらを睨みつけます。
「……でしたら、シェルターの様なもので八幡君に危害が及ばない様に出来ませんか?」
「……はぁ、まぁいいでしょう。ソレに死なれて貴女のヤル気がなくなったらそれはそれで興冷めですし……」
バッドエンドビューティは言いながら軽く手を振り近くに半円状の氷のドームを作りました。
「ソレはそこにでも入れておきなさい。そう簡単に壊れたりはしません。」
八幡君をソレ扱いは癪ですが作っていただいたものはありがたく利用させてもらいます。
「ふっ!」
バッドエンドビューティの作った氷のドームに重ねる様に更に内側にも氷のドームを作り、八幡君の体を横たえます。
「八幡君、絶対に貴方は私が守ります」
チュッ
キスを落とし立ち上がり、バッドエンドビューティの目の前へと立ちます。
「フンッ、愛だなんて無駄な事を……」
「……愛があるからこそ、より美しくなれるのです」
『………………っ!はぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
お互いに一瞬で氷剣を創り出し叩きつけ合います。
バッドエンドビューティはレイピアの様な細剣を創り、私はマインゴーシュを両手に創り出しました。
「なんですか!その美しくない武器は!」
「知らないんですか!マンゴーシュと言って補助的な相手の攻撃を受ける武器ですよ!」
本当は片手にメインの武器の反対の手で持つものですが、今回は相手の攻撃を受ける事を主にしているので両手に握っていますけどね。
ガンッ!ガンッ!ガンッ!
「そんなことは聞いていません!ビューティと名乗るのならもっと綺麗で優雅な武器を使いなさい!」
「貴女こそ!いくら綺麗なレイピアを使っていたとしても使い方が野蛮です……っよ!!」
バッドエンドビューティはレイピアの使い方を知らないのか、両手に創り出し、ただ闇雲に叩きつけてくるだけだ。時々刃が折れるが直ぐに氷剣が伸び、修復されている。
「チィッ!じゃあ、貴女は本当の使い方を知っているとでも!?」
ガガンッ!!
二本揃って叩き付けられるレイピアを防ぎ、砕く!
「ええ!勿論知っていますよ!この武器だってそうですが、大抵の男の子は変わった武器が好きなんですよ!!」
『これが愛の力です!!」
得物が砕かれ、無防備になったバッドエンドビューティへマンゴーシュをレイピアへと造り替え、きょうかと一緒に調べた通りの所作で突きを放つ。
「くぅぅぅ!?」
レイピアの突きを無理矢理に腕で打払ったバッドエンドビューティは後ろへ大きく距離を取る。
「私の美しい身体に傷を……許せない。」
レイピアを打ち払った時に出来たであろう傷を見て、わなわなと震えるバッドエンドビューティ。
「これ以上傷付きたくないなら私と八幡君をここから出してください!」
震える様子を見て一応、戦わざずに済むならばと勧告をしてみますが……
「……ふざけるなよこのビッチが!!野蛮な近接戦でかったからって調子に乗らない事です!遠距離から優雅に蜂の巣にしてあげますよ!!」
……どうやら、相手を激昂させてしまっただけのようですね……
はいっ、という訳でバッドエンドプリキュア戦、前編でした。ところでこの主人公また攫われてますね……もう桃姫レベルの攫われスキルなんじゃないでしょうか?
上記に書いてある前編という言葉ですが言葉通り前編後編、今章は二話で終わる予定です。……多分
次の話で決着が着く筈なんです。
とまぁ、そんな訳で次回もお楽しみに!