side:ビューティ
「これが美しき力です!!」
飛び上がり、氷柱の上へと着地するとバッドエンドビューティは歌劇の様に大仰な動作で腕を大きく振り上げる。
すると黒い氷の結晶がバッドエンドビューティの背後にズラリと浮かび上がりそこから氷の針とも弾丸ともつかないモノを高速で打ち出して来たのです。
『ちょっとぉぉぉ!!??」
「なんなんですかこの物量はっ!?」
始めは両の手の氷剣で弾こうかと思いましたが、後から後からと止まることなく氷の結晶から撃ち出され続ける氷の礫。
今では走り続けて避けるしかありません。しかしそれでも後ろからは、何かが私が通り過ぎた場所を穿つ音が追いかけて来るのです。
「あははははははっ!逃げなさいっ!逃げなさいっ!貴女達のその姿とっても滑稽ですよ!!」
……残念ながら振り返っている余裕はありませんが、非常に不愉快な笑い声が響いて来ました。
『れいか、どうします?」
「このままではじり貧ですね……打って出ます」
ㅤ一定に保って逃げていた速度を一気に上げ……
「はぁぁぁぁっ!!」
ㅤ脚を振り下ろした先から地面を突き破る様に高速で氷柱が伸びていく。
「あははははは...…あ、はぁぁっ?!」
ㅤそして伸びた氷柱は未だに高笑いを続けていたバッドエンドビューティの乗る氷柱を勢いのままにへし折った。
『よしっ!』
ㅤ
ㅤしかし、喜んでばかりでは居られませんでした。
「って、あそこはっ!?」
『八幡君の所じゃないですか!」
ㅤ足場を崩されバッドエンドビューティが落ちていくのは八幡君を寝かせて居たはずの半円の中だったのです。
ㅤside︰八幡
ㅤ微睡みの水の中で浮かぶような……今、俺はそんな感じだ……
ㅤここが夢の中なのは分かる。明晰夢ってやつだろうか?なにか大切な事があった気がして、必死に目を覚まそうとはしたのだが……まぁ、無理だったので諦めた。
ㅤそこからはただただ、この水の中で浮かんでいる。
「きゃぁぁぁぁっ!?」
「……?」
ㅤなにか遠くの方で聞こえた気がしたが、気のせいだろう……ここに自分がどれくらいでの間居るかははっきり覚えてないが、多分長く居る気がしてるし……
「きゃぁぁぁぁっ!?」
「あれ?でもなんかマジで聞こえる気が……ぐへっ?!」
ㅤ思いっきり腹パンをされたかのような衝撃と共に俺の意識は目覚めた。
ㅤ
「くぅ……いつつ」
ㅤ腹の底に響く鈍痛に顔を顰めながら身を起こす。
「あのアマ……やってくれましたね……」
ㅤするとすぐ隣でも何者かが身を起こす。
『……ん?』
ㅤお互い顔を見合わせ固まる。
ㅤ最初に動いたのはバッドエンドビューティだった。
「……どうやら目が覚めたようですね。起きたのならもう少し離れて下さい。邪魔です」
ㅤこちらに気付いたバッドエンドビューティは本当に邪魔くさそうにそう言い、手でしっしっ……と払うような仕草までしてくる。
「……いや、ここに連れて来たのお前だろ。というか今どんな状況?」
ㅤどうやらバッドエンドビューティがぶつかった衝撃で俺は目を覚ましたらしく、妙にバッドエンドビューティと身体同士が絡まってしまっている。
ㅤあまり無理やりにならない様に腕を抜き、軽く辺りを見回せば、氷柱の立ち並ぶ満月に照らされた夜の荒野というかなりおかしな場所だというのは分かるのだが……
「八幡君!!」
ㅤそうこうしている内に聞き覚えのある声に呼ばれ振り返るとそこには驚いた顔のビューティの姿。
「ビュ『やっぱり……八幡君に手を出してるじゃないですかぁぁ!!」……てぇ??」
「はぁ?ここに落としたのは貴女達でしょう?これは……不慮の事故です」
「まぁ、確かに……」
『れいか!騙されないで下さい!ほらっ!あそこ!あいつの脚が八幡君の足に絡んでます!あれってれいかが昨日の夜、せつながヤッてる時に寂しくて絡ませてた動きに似てます!」
「ちょっ?!は///?きょうかっ!!」
『………………』
ㅤ非常に気まずい雰囲気……というか、バッドエンドビューティの方から凄い視線を感じるぅ……
「……どきなさい」
ㅤバッドエンドビューティにまるで汚いモノでも見るような目で見られながら、慌てて絡まっていた足を解かれる。
ㅤなんか……ちょっと悲しい……これ、俺が悪いの?
「んんっ……やはり貴女達はビューティと言う名前に相応しく無いようですね」
「はぁ……はぁ……きょうか?後で覚えておきなさい///…………それはどうでしょう?美しさとは外見や、傍目から見ただけでは分かるものではありません」
「……いえ、貴女は内面もどピンクじゃありませんか」
『…………』
ㅤバッドエンドビューティの的確?なツッコミにより、れいかが固まる。……あ、復活した。
「……っ//////ほ、本当の美しさとは!相手を思う心!人を愛する清き心……それは静かにゆっくりと降り積もる雪のようで……」
「……もう何も言いませんよ?貴女が清かろうが淫乱だろうがここで勝ち、最後に立っていた者こそが美しい!真の美しさを持つものなのです!」
ㅤなんか、バッドエンドビューティが良い奴に見えてきたわ……
「ええ、受けて立ちます!私はキュアビューティ!!愛を知った私は貴女には負けません!!」
ㅤビューティの叫びに呼応する様にスマイルパクトが光を放ち、ビューティを包み込む…………
『………………』
「……マジかぁ」
ㅤ遂にスマイルパクトまでも……かぁ
「凄い……力がお腹の奥底から湧いてきます!!」
「ぜ、絶対に負けられない……あんな淫乱ピンクに負けたら……私の美しさが……」
ㅤバッドエンドビューティは最初の威勢など見る影もなく青い顔でブツブツと呟いている。
「私の美しさを否定はさせない!!終われ!バッドエンドブリザード!!」
「私は悟ったのです!母の愛を知りなさい!ビューティブリザード・ドーム!!」
ㅤバッドエンドビューティの背後に無数に現れた氷の結晶から数え切れない程の氷の礫が射出される。
ㅤしかし、その攻撃はビューティには届かなかった。前に一度だけ見た事のあるビューティブリザード・ドーム、その名前は変わってはいないが使い方が変わっていたのだ。
ㅤビューティの生み出したドームはバッドエンドビューティを氷の結晶ごと広範囲で覆い尽くし、結晶から放たれる氷の礫は全てこちらに届く前にドームに遮断されてしまっている。
「クソっ!クソっ!クソっ!」
「……これが母の愛です」
ㅤビューティが抱きしめるような動きをすると共にバッドエンドビューティを覆っていたドームが一気に収縮する。
「こんの淫乱ピンクがぁぁぁぁ!!」
ㅤあんまりにもあんまりな断末魔を最後にバッドエンドビューティはドームの収縮に呑まれ、ドームが消え去った後にはバッドエンドビューティの代わりに出口の様な光の渦が出現していた。
「さぁ、戻りましょう。八幡君」
ㅤ笑顔で俺に手を差し出すビューティ。普段通りだったら直ぐに手を取って戻るところなのだが、今はどうしても聞いておかなければならない事がある。
「ビューティ、いや、れいか」
「どうしました?」
「……出来たん?」
ㅤと言うか、そんな直ぐにわかるもんなの?
ㅤビューティは俺の問いの意味が理解出来たのか口角をにぃっと持ち上げ……
「それは未来のお・た・の・し・み・です♡」
「……うす」
ㅤ何とか返事を返せた所で手を取られ、光の渦に引っ張り込まれた……
ㅤや、責任は取るけど……どっちなん?なんかもう気になり過ぎでピエーロどころじゃねぇよぉ……
はい、という訳で深夜テンションの怖さを知りましたね!
ㅤ因みにれかちゃんは孕んでないです。
そしてとんでもねぇ覚醒をしてくれましたね。ピンクの光……もうスマイルパクト公認のピンクちゃんって事で……因みに力が溢れ出してるお腹の部位は子宮です。
ㅤ原作アニメではキャンディの秘密をジョーカーが中継してましたがこの世界線にそんな描写はないです。みんなが外に出てきてからの公開になります。
ㅤとまぁそんな感じで次回もお楽しみに!