俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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あー、うっす三話です。

その、前編、中編、後編って事で……っす


(3)

ㅤ光の渦に吸い込まれると共に視界が光に満たされる。

 

ㅤギュッ……!

 

ㅤ目を瞑り何も見えない中、ビューティが俺を抱きしめる感触だけがはっきりと感じられる。

 

ㅤ数分か、はたまた一瞬か、気がつけば身体が浮遊感に包まれていた………

 

「……ん?落ちっ?!」

 

「大丈夫です。落ち着いて下さい」

 

ㅤ一瞬、落下しているのかと思い慌ててしまったが、直ぐに体を包む柔らかい感触とビューティの声に、動かし掛けていた体から力を抜く。

 

ㅤスタッ!

 

ㅤと、軽い足音と共に軽く身体が揺さぶられ、ゆっくりと目を開けるとそこには微笑むビューティの笑顔があった。

 

「お、下ろしてくれ///」

 

「ふふっ♪どうぞ」

 

ㅤお礼よりも先に出てしまったのは照れ隠しだったが、れいかはわかっているとでも言いたげに笑うとゆっくりと地面に足から下ろしてくれた。

 

「あ、ありがとな」

 

「いえいえ♪」

 

ㅤお礼を伝えればれいかは楽しそうに笑う。

 

 

 

ㅤパァンッ!

 

ㅤ頭上で、何かが弾けた様な音が連続して響く。

 

「っ!?」

 

ㅤ何事かと音の方を見れば先程の俺達もそうであったのだろう。光の渦から他のプリキュア達が吐き出され落下してくる。

 

ㅤスタッ!

 

「あっ!みんな!」

 

「おう!あれ?なんで八幡がおるん?」

 

「はぁ、みんなが無事で良かった」

 

「よし!それじゃあ残るはアイツだけだね……」

 

ㅤ皆、綺麗な着地を決めると周りを見回し、お互いの無事を確かめ合う。

 

ㅤそして、マーチの言葉で思い出したかのように、慌てて敵の姿を見据えればジョーカーは何故か打ちひしがれていた。

 

「そんな……馬鹿な……」

 

「皆の衆、あれを!」

 

ㅤポップの視線の先、ゆっくりと落ちてくるのは、最後のキュアデコルだ。

 

「最後のキュアデコル!」

 

「これでロイヤルクイーン様も!」

 

 

 

「まさか、まさかバッドエンドプリキュアが倒されるなんて……いけません……希望は、潰えなければいけないのです!!

 

ㅤ皆の視線が落ちてくるキュアデコルに集まった一瞬、それに気づいたのは本当に偶然だった。

 

ㅤ体勢を低くし、無言で近付いてくるジョーカー。狙いは俺達ではなく、少し離れたポップとその手の中にあるミラクルジュエル(キャンディ)だった。

 

 

「ポップ!!避けろ!!」

 

「ぬっ!?」

 

「え!?」

 

「キャンディ!!」

 

ㅤポップ達へ貫手を放つジョーカーの姿がスローモーションの様にゆっくりと見える。……しかし、俺の身体は動いてはくれない。

 

「ポップ!!」

 

カッ!!!

 

ㅤ「ぬぉぉぉ!?」

 

ㅤだが、ポップ達が傷を負うことはなかった。突如ジョーカーとポップ達との間にロイヤルクロックが出現すると光と共にロイヤルクイーン様が現れ、ジョーカーの攻撃を打ち払ったのだ。

 

「……うそ」

 

「……ロイヤルクイーン様?」

 

「女王様……でござるか?」

 

ㅤロイヤルクイーン様はそのまま手を広げポップ達を護る様に立ち塞がる。

 

「ロイヤルクイーン……!貴女が何故ここに!?」

 

ㅤジョーカーの誰何の声にロイヤルクイーンは默したまま答えない。

 

ㅤ両者とも睨み合うかの様に固まり……

 

「……ん?」

 

ㅤなんだ?今、一瞬ロイヤルクイーン様の姿が透けた様な……

 

「なるほど……フッフッフ…アッハッハッハッハッハッ!」

 

「……なんなの」

 

「何がおかしいの!」

 

ㅤ何かを察したのかジョーカーが急に笑い出す。

 

「フフッ貴女達には分かりませんか?ロイヤルクイーン!奴は、既にこの世には居ないのですよ!」

「……っ!どういう事!?」

 

「女王様はメルヘンランドで眠っているのでは……」

 

「おそらく、ここに居るのはロイヤルクイーンの幻影。ミラクルジュエルを守りたいという意思だけが残っていて最後の抵抗をしているのですよ。そうでしょう?……女王様?」

 

「……………キャンディには、わたくしの娘には手出させません!」

 

『………!!』

 

「ロイヤルクイーン様が……キャンディのお母さんってこと!?」

 

「つまりは、あの妖精がメルヘンランドの次の女王と言う事ですね。……これまでに見せて来た数々の不可解な力、これでようやく合点がいきましたよォ」

 

 そうか、今までのキャンディの不思議な力は次期女王としての力だったんだな……

 

「まんまと騙されましたよ……ミラクルジュエルとは新しい女王が生まれる卵のこと。なんでも願いを叶える宝石だなんてその秘密を守る為のデタラメだったんですねェ?」

 

「……………」

 

「答えませんか……まぁ良いでしょう。それならばそこで見ていなさい世界が絶望に染まる様を………地球よ!世界中の生きとし生ける全てのもの達よ!アナタ達の絶望をバッドエナジーを捧げなさい!!

 

「な、なに!?」

 

「これは……」

 

 ジョーカーの声に呼応する様に辺りから無作為に、何本もの疎ましい力の渦が立ち登り、ピエーロの卵へと吸い込まれその力が辺りに波及していく。

 

「……嘘」

 

「私達の町が……いえ、もしかしたらそれ以上……」

 

 町の建物が、植えられていた植物が、枯れ果て霞み、気がつけば辺り一面、見渡す限りの砂漠へと変わり果てていたのだった。

 

「ンッフッフッフッフッ!素晴らしい!最高の眺めですねぇ!どうです?女王様、今のご気分は」

 

 俺達の世界をめちゃくちゃにしたジョーカーは煽る様にロイヤルクイーン様の残滓へと語りかける。

 

「……まだ終わっていません」

 

「はぁ?」

 

「絶望の淵に立たされようとも、未来を見る力を失わない限り希望はあります。わたくしは信じています。キャンディならどんな困難も乗り越えてくれると、プリキュア達と共に」

 

「………………クフッ……フッフッフッ、アッハッハッハッハッハッハッハッ!」

 

 ジョーカーはロイヤルクイーン様の言葉に一瞬、呆けた様な表情を浮かべたが直ぐにゲラゲラと笑いだした。

 

「何がおかしいの!」

 

「アッハッハッハッ………はぁぁぁぁぁ………アナタ達な〜ンにもんかってないんですねぇ?」

 

「………どういうことだ」

 

「……アナタ達はもう、終わっているんですよ。……時は来た!お待たせいたしましたピエーロ様!!さぁ!お目覚め下さい!!」

 

 ジョーカーは天を仰ぎ、頭上に浮かぶピエーロの卵へ向けて両の手を挙げ呼びかける。

 

 すると、ピエーロ卵は一瞬、胎動するかのように震え、その姿を消し去った。

 

「……消えたの?」

 

「……怖い」

 

 ナニカが起こる……そう警戒し、頭上から視線を戻した先には異様なモノが映った。

 

「ひっ!?」

 

「ジョー……カー?」

 

 先程までジョーカーが居たはずの場所には黒い粘性の高い液体が蠢いて居たのだ。

 

『ひっひっひっ!光栄ですピエーロ様の一部になれるなんて……ご一緒に……世界をバッドエンドにぃ……』

 

 それはジョーカーだったモノだ。

 

「あれって……絶望の黒の絵の具……だよね」

 

「ええ、あの絵の具自体がピエーロの一部だったようですね……」

 

 絵の具となったジョーカーは地面に染み込む様に消えてしまった。

 

「一体……なんなの……」

 

 ヴォォォォォォォォォォ!!!

 

「今度はなに!?」

 

 おぞましい呻き声の様な声が響き渡る。

 

「ねぇ……あれ……」

 

 そして、その呻き声の主はゆっくりと姿を現した。

 

 遮るもののない砂漠だからこそ、その大きさがとんでもないものなのだと理解出来る。

 

 地面から湧き上がるように立ち上がった巨大な人影。

 

「あ、あれは……メルヘンランドをバッドエンドに染めた。絶望の巨人でござる……!!」

 

「あれが……」

 

「絶望の、巨人……」

 

「このままではダメでござる!キャンディ!これが最後のデコルでござる!」

 

 ポップがデコルデコールへ祈るように最後のデコルをセットした瞬間、ミラクルジュエルが輝き出す!

 

 

『…………………クル?』

 

 

 そして、聞き覚えのある声が響いた……




はい、という訳でほぼほぼ説明会みたいなもんですね……ぶっちゃけ原作と対して変わってないし時系列が少し変わってるくらいですね。

 はいというわけで今章は流石にこれで終了です。

 次回は決戦ピエーロのスタートですねぇ……バトル回ってどうしても八幡君が空気になりがちなんで書きづらいんすよねぇ……

まぁそんな感じなので次回もお楽しみに!
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