俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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やばい……八幡君が空気だ……

因みに章タイトルはこの章の大筋が固まってないのでそこを固めたら付けます。しばしお待ちを……


第47話 そして今、真の絶望が訪れる
(1)


「キャンディ……!」

 

 輝きに包まれたロイヤルジュエルはゆっくりと浮かび上がり、そのシルエットを光の中でゆっくりと変えていく。

 

 そして……

 

「………………クル?」

 

 それはロイヤルクイーン様と同じ金の髪の翼の生えた少女の姿だった。

 

「……ああ、やっと目覚めてくれたのですね」

 

 大きな手が少女……いや、キャンディの頭を撫でようとして()()()()()

 

「…………この手で我が子に触れられない事は残念ですが、今は祝福しましょう。メルヘンランドの未来を担う新たな女王、ロイヤルキャンディの誕生を……」

 

 

 

「……クゥル……みん、な……」

 

 ゆっくりと目を開け、俺達の事を見回すキャンディ。

 

「……キャンディ……なんだよね」

 

「そうクル。さっき、みんなの声が聞こえてきたクル!」

 

「キャンディ……よかったぁ……」

 

 俺を含めみんな、キャンディがミラクルジュエルに変わってしまった時からかなり心配していたからか、少ししんみりとした空気が漂う。

 

「キャンディ……」

 

「……っ!ロイヤルクイーン様!」

 

「キャンディ、ごめんなさい。わたくしに力が無いばかりに貴女には過酷な運命を背負わせてしまいました」

 

 ロイヤルクイーン様は目を細め、辛そうにキャンディに語りかける。

 

「そんな事ないクル!ロイヤルクイーン様はメルヘンランドをみんなを守ってくれたクル!妖精のみんなもキャンディもお母さんが大好きクル!!」

 

「ありがとうキャンディ。貴女のその言葉が聞けてとても嬉しく思います。ポップ、そしてプリキュアの皆さん、貴女達に感謝を……」

 

 その言葉と共にハッピーの前に光が集まり、いつの間にかハッピーの手の中にはプリキュアの絵本が収まっていた。

 

「これは……プリキュアの絵本だけど……白紙?」

 

「ええ、わたくしは貴女達を信じています。貴女達の未来はその絵本の様に未だ白紙のまま、そしてそんな白紙の未来に新しい物語を描いていくのは貴女達自身心なのです」

 

『ロイヤルクイーン様!!』

 

 ロイヤルクイーン様の体から燐光が舞い上がり、その姿をうっすらと透けさせていく。

 

「わたくしはいつでも貴女達の描く物語と共にあります」

 

「お母さん!!」

 

 少しづつ輪郭が薄くなっていくロイヤルクイーン様へ、手を伸ばすキャンディの胸元が輝く。

 

「……っ!?これは、ミラクルジュエル……クル?」

 

「本当のミラクルジュエルには願いを叶える程の強い力はありません。でも、この力があれば暗い絶望の中に落ちたとしても、一筋の希望のひかりを見出す事が出来るでしょう。皆さんの未来にたくさんの光があらんことを……」

 

 ロイヤルクイーン様は笑顔で消えていった。

 

「……お母さんは見えなくてもキャンディ達の描く未来とずっと一緒クル」

 

「うん、ロイヤルクイーン様の言ってたようにわたし達の未来を描いていこう!」

 

『うん!!』

 

 

 

 ヴォォォォォォォォォォ!!!

 

 

 俺たちに現実を思い出させるかの様に絶望の巨人が吼える。

 

 

 ヴォォォォォォォォォォ!!!

 

 

 ヴォォォォォォォォォォ!!!

 

 一体だけでは無い、ピエーロの復活によって呼び覚まされた何体もの絶望の巨人達が連鎖するかのように吼える。

 

 それもただ吠えるだけではない。

 

「ねぇ……なにしてるの……」

 

「世界を……更に絶望に染めているのですか?」

 

 絶望の巨人が吼える度に、砂漠に変わってしまった世界が更に色褪せていっているのだ。

 

「どうしよう!?早く止めなきゃ!」

 

「でも、あんなんどうやってとめんねん……」

 

 サニーの言う通りあんな巨大な奴らをどうすれば……

 

「大丈夫クル」

 

『……え?』

 

「あの巨人はキャンディが止めるクル」

 

「でも、どうやって……」

 

 キャンディは俺達に一度微笑むと背中の翼で空へと昇っていく。

 

「キャンディっ!?」

 

「ハッピー殿!」

 

「……っ!」

 

 キャンディを追うように手を伸ばしたハッピーをポップが止める。

 

「……ここは、メルヘンランドの新しい女王。ロイヤルキャンディに任せて欲しいのでござる」

 

『……ポップ』

 

「見るでござるよ」

 

 ポップに促され、キャンディの方へ目を向ける、キャンディは不思議なオーラのようなものを放出し纏うと手を上げ……振り下ろした。

 

 

 グゥゥゥゥゥゥゥ??!!

 

 その瞬間、苦しげな重低音が辺りから響き渡る。

 

 絶望の巨人達がキャンディが手を振り下ろした瞬間に一斉に何かに押し潰されたかのように平伏(ひれふ)したのだ。

 

「……すごい」

 

「これを……キャンディが……」

 

「まさに女王の力と言うことですか……」

 

 

 

 だが、絶望の巨人を抑えるだけでは何も解決していなかったのだ。

 

「おい、あれ……」

 

 平伏す巨人達のを見下ろすのはただ一人、空中に浮かぶキャンディ……だけではなかった……

 

 突如、空中から湧き出す高粘度の黒い大量の液体。

 

「なにあれ……」

 

「気持ち悪い……」

 

 溢れ出した液体はどんどんと質量を増やし、それが形を成してゆく。

 

「………あっ…あれはっ……あの姿は……」

 

 体が震え、尋常じゃないポップの様子に、()()()()()()()()溢れ出す様子に、その正体に見当がつく。

 

「……ピエーロ」

 

『然り……我が名はピエーロ……皇帝ピエーロ。全てをバッドエンドに』

 

「皇帝……ピエーロでござる……」

 

 その名の通り、道化師の様な姿をしているがこちらへ届く威圧感は尋常ではない。

 

 

 

 ヴォォルァゥゥゥゥ!!!

 

 しかも、ピエーロが現れたのと同時に力を分け与えられたのか、絶望の巨人達もキャンディに押さえつけられていたものが抵抗を始めている。

 

 

「……ックルゥ!」

 

 キャンディもオーラを強め、絶望の巨人を押さえるが、強めた筈の力でさえ拮抗してしまっている。

 

 

 だが、ピエーロの力はそれだけではおさまらなかった。

 

「ねぇ、みんな!あれっ……」

 

 急に大声をあげたピースの指差す先。宙に浮かぶピエーロの足元の地面がまるで溶け落ちるかのように沈み、そこから闇が溢れ出し大小様々な怪物達の姿をとる。

 

「者共よ……プリキュアの本を奪い、未来をバッドエンドに染めるのだ」

 

『ウルゥァァァァァ!!』

 

 怪物達は奇声を発しながら大軍で駆けてくる。

 

「……八幡くん!」

 

「……うぉ!?」

 

 ハッピーに名前を呼びれると同時に投げ渡されたのはプリキュアの絵本だった。

 

「みんなで力を合わせて未来を守ろう!!」

 

『うん!!』

 

「プリキュアの絵本と八幡殿は拙者に任せるでござる!」

 

 ハッピー達は一斉に怪物達の群れの中へと飛び込んでいった。

 

 

 ハッピーが、サニーが、ピースが、マーチが、ビューティが……みんなが戦っている。

 

 怪物の群れを切り裂き、打ち倒し、どんどんと数を減らしてゆく。

 

 技を出し惜しむ暇も無いほど苛烈な戦いの用で、戦場のあちこちで光が、火が、雷が、風が、氷が飛び交っている。

 

 

 

 そして……

 

「プリキュア・ハッピーシャワーシャイニング!!」

 

 ハッピーが放った敵陣地内を貫く、雨のような光線の嵐が最後の怪物達を一掃した。

 

「やったでござる!」

 

 隣で無邪気に喜ぶポップには悪いが、どうもピエーロの用意した敵にしては悪辣さが足りない様に思うのだ。……そして、その考えは間違っていなかった。

 

 

 

「全てを絶望に……世界をバッドエンドに染めるのだ」

 

 ピエーロの声が響くと同時に、プリキュア達に倒され、砕け散り、黒いスライムの破片の様になっていた筈の怪物達が、引き寄せ合い、寄り集まり、元の姿に戻っていくのだ。

 

「なっ……どんどん復活していくでござる!あれでは、幾らプリキュア達でも体力がもたないでござる!」

 

「……なんつぅことを」

 

 

 

「……これが絶望だ」

 

 

 そして、数秒もしない内にプリキュア達が倒した筈の怪物達は全て蘇り、ビューティ達を囲んでしまったのだった。




はい、という訳でピエーロ登場ですね!

こいつまじぶっ壊れチートみたいな性能してますよね。倒しても復活しまくるとかどんなラスボスだよって……まぁ、ラスボスっすね……

 今章は三話くらいで終わると思います。多分、おそらく…きっと……

 まぁそんな感じで次回もお楽しみに!
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