俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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なんかバトル多めだと意外と書くことなかったんすよねぇ

あと、きょかちゃん可愛い


(2)

 プリキュア達を包囲した怪物達は、ゆっくりとその輪を狭め、プリキュア達に近づいていく。

 

「……考えるな」

 

 近づいて来る怪物達に身構えるプリキュア達を見下ろし、ピエーロが口を開く。

 

「考えてもお前達にはどうにも出来ない。……敵わない者に逆らうな」

 

 ピエーロは淡々と事実を並べるかのように続ける。

 

「自分の無力さを嘆き悲しめ……明るい未来等無い。……叶わない夢など見るな」

 

「そんなことない!わたしは未来への可能性を信じる!!」

 

 ハッピーの声をきっかけとして、再び怪物達に攻撃を始めるプリキュア達……しかし、その攻撃は怪物達には効かなくなっていた。

 

 まるで、先程殲滅出来たのがより絶望を与える為のパフォーマンスだったかのように、怪物達は再生する体を活かし、攻撃され半身が砕かれようとも怯みもせずにプリキュア達に襲いかかる。

 

「……みんな」

 

 一人、また一人と倒れ……

 

「……っ!!ビューティ!!」

 

 遂にビューティまでもが怪物達の前に膝を着いてしまう。俺は咄嗟に駆け出そうとして……

 

「なっ、八幡殿!今は危険にござる!」

 

 ポップに脚を掴まれコケた。

 

「ぐふぅっ!?」

 

 だが、そのお陰である意味助かったのだ。コケた直後、頭の上をナニカがすごい勢いで通り過ぎて行った。慌てて振り返れば視線の先で軽い爆発が起こった。……軽くと言っても人間なんて簡単にバラバラになる威力だ。

 

「……コケてなかったら死んでたぞ……」

 

 その威力に背筋に冷たいものが走る。

 

 

「……八幡殿!?大丈夫にござるか?!」

 

「あ、ああ……っ!そうだ!それよりみんなが!」

 

 焦りと共に顔を上げた先には先程までプリキュア達と戦っていた怪物の姿があった。

 

「……はっ?ぐっ?!!」

 

 無造作に振るわれた腕により吹き飛ばされる。

 

「ぐっ、ぐぅぅ……」

 

 痛みに呻きながらも起き上がろうとして()()を地面につき、その存在を思い出す。

 

「プリキュアの絵本がっ……」

 

 抱えていた筈の物を探し両手を彷徨わせる。

 

 

 

「やっ、やめるでござる!」

 

 ポップの声に反射的にそちらに目を向ければ、目に入ったのは、地面に開かれた白紙の絵本とそこへ腕を振り上げる怪物の姿だった。

 

「や、やめろぉぉぉ!!」

 

 咄嗟に上げた制止の声は何も意味をなさない。

 

 怪物の腕は振り下ろされ…………後に残るのは絶望の黒い絵の具で汚されたプリキュアの、俺達の未来だった。

 

 

『………………………』

 

 

ㅤ辺りは水を打ったように静まり返る。

 

ㅤ先程まで聞こえていた皆の抵抗の音が消えたのだ。

 

ㅤプリキュア達は動かない。動けない。絶望に染まったその身からはうっすらとバッドエナジーが立ち昇る。

 

「うそだろ……みんな、ビューティ……」

 

ㅤ膝から崩れ落ち、涙で視界がぼやけ始める。

 

「ここで……終わりなのか?」

 

「諦めちゃだめクル!!」

 

「……キャンディ?」

 

ㅤぼやけた視界では上手く見えないが、先程より強い光を放つキャンディの姿に惹き付けられる。

 

「みんなの事は、キャンディが絶対に護るクル!!」

 

ㅤその言葉と共にキャンディから更に強い光が放たれる。

 

「キャンディ、まさかミラクルジュエルの力でプリキュアにっ……!」

 

 

「何をしようと無駄だ……」

 

『ルゥゥラァァォォォォ!!』

 

ㅤピエーロの言葉とは裏腹に傘下の怪物達は一斉に口から闇の力を凝縮したビームのようなものをキャンディに向かって打ち出していく。やはりミラクルジュエルの力はピエーロにとっては脅威なのだろう。

 

「キャンディ!!」

 

ㅤ怪物達の攻撃はキャンディの周りのオーラに弾かれ逸れていくがそれでも少しずつ、少しずつ、オーラの量が減っていっている。

 

ㅤキャンディは怪物達の猛攻に晒されながらもミラクルジュエルの力を使う事を辞めようとはしない。

 

「……っ!……らぁっ!」

 

ㅤ何かを考えての行動ではなかった。だが、少しでもキャンディへの攻撃を和らげようと足元の石くれを無我夢中で怪物達へ向かって投げていた。

 

ㅤコツンッ……

 

ㅤその石くれは偶々怪物の一体に当たり……そして、石くれが当たった怪物は煩わしそうにこちらへとビームを吐き出した。

 

「八幡殿ぉぉ!!」

 

「……ははっ、結局俺は何も出来ずにここで……」

 

ㅤ…………死ぬ

 

ㅤ目を瞑り……数秒経ったが何も感じない。

 

「…………死んだか?」

 

ㅤただ何となく呟いた言葉だ。だが……

 

「死なせるわけ……ないじゃないですか」

 

ㅤ……返答があった。

 

「………………」

 

ㅤ目を開ければそこには見慣れた後ろ姿。一つだけ違うのは、その衣装の普段は白い部分が黒く染まっていること。

 

「……きょうか、なのか?」

 

「貴様……絶望に染まりながら、何故動くことが出来る?」

 

「ええ、ふふっ♪私がどうやって生まれたのか、みんな忘れてしまっているようですねぇ」

 

ㅤそうか、きょうかは……

 

「私の原点はあの腐れ道化師がバッドエナジーによって作り出した存在……絶望に染められて言うことを聞かないれいかを引っ込めるのに苦労して遅れましたけど……キャンディがみんなを引きあげてくれるまでの時間くらいは、暴れ回って稼いで見せますよぉぉぉぉ!!!」

 

ㅤダンッ!!

 

ㅤまるでロケットの様に飛び出していったきょうかが怪物達の中心へ着弾する。

 

「さぁ!!私が八幡君に褒めてもらう為の糧になりなさい!!」

 

ㅤその姿は圧巻だった。

 

ㅤバッドエナジーを吹き上げながら怪物達を打ち砕いていく。

 

「な、なんなのだ貴様はっ!?」

 

「それはテメェの中に消えた腐れ道化師に聞きやがれよぉ!!」

 

ㅤきょうかを中心にバッドエナジーを纏い、先の尖った氷柱が外に広がるように乱立していく。

 

「きょうか殿……なんて力でござろうか……」

 

ㅤ怪物達も体を再生させながら襲い掛かるが、次々に突き出す氷柱に貫かれ、全く再生が追いついていない。

 

「おのれ……だが、所詮は我が元となった力。その力では我が手勢を倒す事は永久に出来ん」

 

ㅤピエーロと怪物達は完全にきょうかに釘付けになっていた。

 

 

 

 

「しつこい奴め、消えろ!!」

 

ㅤきょうかが暴れ始めた当初は余裕の態度を崩さながったピエーロも今では自らきょうかに攻撃する程になっていた。きょうかの目論見は完全に成されていた。

 

 

 

ㅤそして、遂に……

 

「みんな!!希望を諦めないでクルゥゥゥ!!」

 

 頭上で強烈な光が瞬く。

 

「なにィィィッ!?」

 

「ふん、ざまぁみさらせですよ!……れいか、後は任せましたよ

 

「おぉ!プリキュアの絵本が!!」

 

 絶望の絵の具に汚されたプリキュアの絵本もキャンディと共鳴する様に輝き、絶望の黒い絵の具を消し去っていく。

 

「フザケルナァァァァ!!!」

 

 ピエーロは両手の間で絶望の力を凝縮し、キャンディ目掛けて放つ。

 

『させないっ!!』

 

 だが、地上から五つの光が飛び上がり、その攻撃を(さえぎ)る。

 

 煙が内側から吹き飛ばされ、現れた五人の姿は装いを変えていた。背に翼が着いて、プリンセスモードよりも更に装飾が豪華になっている。

 

「五つの光が導く未来」

 

『輝け、スマイルプリキュア!!』

 

 絶望の淵から更なる力を得て戻ってきた五人。そして、ハッピーの腕の中には力を使い果たしたのか、少女の姿から元に戻ったキャンディが抱かれている。

 

 

 

「八幡殿!拙者の背へ!」

 

「うおっ?!」

 

 いつの間にやら巨鳥の姿へ変身していたポップが無理やり俺を背に乗せてプリキュア達の所まで飛んでいく。

 

「皆の衆!!必ず戻ってくると信じていたでござる」

 

「ああ、本当に無事で良かった」

 

「二人とも、心配かけてごめんね。もう大丈夫」

 

「あ、でも八幡君は後でお説教です。きょうかにまた無茶をしたって聞きましたからね!」

 

「……お手柔らかに頼む」

 

 こんな絶望的な戦いの中でもいつも通りなビューティに、つい笑みがこぼれてしまう。

 

「キャンディは拙者の背へ」

 

「うん、お願い」

 

「任された」

 

 キャンディをハッピーから受け取るとポップは直ぐさまプリキュア達から離れる。

 

 

「おのれぇぇぇ!!なぜ絶望に抗う!!」

 

「そんなの当たり前でしょ」

 

「私達は絶対に未来を」

 

『諦めない!!』

 

『はぁぁぁぁぁ!!!』

 

 各々が手をかかげるとそこから凄まじい力の奔流が解き放たれる。

 

 炎が、雷が、風が、吹雪が、そして光が……

 

「な、なんだとっ?!たった一撃で、全てを消し去ったと言うのか!!」

 

 絶望の荒野で動くものはもう俺達とピエーロだけになっていた。怪物達も、絶望の巨人達も……皆、先程の一撃で穿たれ消え去ったのだ。あれ程厄介だった怪物達も再生する気配さえ無い。

 

「わたし達はもう負けない」

 

「キャンディが、絶望の中でウチらの道標になってくれた」

 

「キャンディのお陰でわたし達は絶望の中でも光を見出す事が出来たの」

 

「その光を追いかけて、あたし達は今此処にいる」

 

「私達の中の希望……その光は決して消えません」

 

 

「希望だと?光だと?……認めんぞ!希望など無い!光など無い!全ては絶望の中へ呑み込まれるのだ!!集まれ!全てのバッドエナジーよ!!」

 

 ピエーロが手を振りかざすと四方八方からバッドエナジーが集まりピエーロを呑み込み、渦巻き、空へと昇っていく。

 

「あれは……なんて量のバッドエナジーでござるか」

 

「我は世界を呑み込む絶望となろう!!」

 

 四方八方からいや、それどころではない、言葉通りに世界中から全てのバッドエナジーが集まって来ているようで、その大きさはどんどんと肥大していき……

 

『グルァァァァ!!!!』

 

「なんやん……あれ」

 

「怖い……」

 

「信じられない……」

 

「世界を呑み込む……」

 

『ガァァァァァァ!!!』

 

「ブラック……ホール……」

 

 ……見渡す限りの宇宙(そら)はブラックホールへと変じたピエーロで覆い尽くされてしまった。

 

「世界が………」




 はいっ!という訳できょかちゃん大活躍な要素を追加しました!原作だとキャンディ滅多打ちにされてんのによくあそこまで持ったなぁって思ってたんですよ……ポップとかなんもしないですし……

 前回三話くらいとか言いましたけど二話で終わりましたね……まぁ、今話が少しいつもより分量増えましたけど……

 そして次章はいよいよ最終章でございます!!

 それではみなさん、次回もお楽しみに!!
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