軽く読み返して時の流れを改めて実感しました……
咄嗟に瞑った瞼の向こう側で光が収まったのを感じ、ゆっくりと目を開ける。
そこには力を取り戻し、再び翼の着いた姿に変身した五人と少女の姿となったキャンディが、先程の俺と同じ様に目を瞑って立っていた。
「………みんなっ……ってあれ?!八幡くん!?」
ハッピーが目を開け、自分と皆の姿を確認し、
「な、なんだよ?」
え?マジでなに?
「なんだよやないって!?」
「八幡くん!変わってる変わってる!」
「変わってって……うおっ?!なんか変わってんだけど……」
ピースがしきりに俺の事を指差すので、顔を下に向ければ先程まで着ていた筈の私服ではなく、白地に青のライン入ったスーツに変わっていたのだ。
「それ、前にれいかと入れ替わった時のやつだよね」
「……ええ、私が八幡君の身体で変身したキュアダーティそのものです」
「俺が……変身したのか。でも、どうして?」
「きっと八幡のみんなの力になりたいって言う思いをミラクルジュエルが叶えてくれたクル!」
そうか……遂に俺にもみんなと一緒に戦う為の力が……
無意識の内に握りこんで居た手がそっと包み込まれる。
「八幡君……」
その手の温かさを守る為に、俺も戦える……
「……俺も連れて行ってくれるか?」
『……もちろん!』
みんな、一切迷うこと無く頷いてくれる。
「さぁ!みんなで力を合わせてピエーロを打ち倒しましょう!」
包まれていた手を握り直し、ビューティに手を引かれ飛び立つ。
地球から飛び立つ七色の光、それはブラックホールとなったピエーロへ向けて一直線にぐんぐんと伸びてゆく。
翼の無い俺はビューティに手を引かれ空を飛ぶ。だがそこに情緒など無い。雲等なく、空もその先に在るピエーロというブラックホールによって青くもない。
俺達は地球の外でブラックホールとなり全てを潰し、無に変えようとするピエーロを打ち倒すために
『何度立ち上がろうと全て無駄だ!!絶望で呑み込んでくれる!!』
「みんなの力を一つにするクル!!」
『プリキュア・ミラクルレインボーバースト!!』
「プリキュア・ダーティブリザード!!」
「クルゥゥゥゥ!!」
俺達の放った力はキャンディの力で重なり、束ねられ、より巨大な輝く鳳凰の様な姿となり、宇宙の闇を切り裂きピエーロへと向かって羽ばたいてゆく。
『ウルァァァァ!!』
ピエーロは迎え撃つようにブラックホールの中心から巨大な闇の奔流を解き放つ。
鳳凰と闇の奔流がぶつかり合う。二つの力は激しくぶつかり合い拮抗する。
『絶望の力を、思い知るが良い!!』
「……っ!キャンディ達は絶対に、負けないクル!!」
「こんなとこで終われねぇ!俺達の未来のために!」
「例えこの先、どんな困難があったとしても!」
「アタシ達は絶対に
「これからも大変な事が沢山あると思う!……っでも!」
「それを全力で乗り越えて、はじめてほんまもんの笑顔になれるんや!」
「わたし達はどんな時も、本当の笑顔を忘れない!」
俺達は叫ぶ!ただ笑顔溢れる未来を守る為に!
『黙れ!!全ては絶望に呑み込まれるのだ!貴様らも絶望へと堕とし、全てを我が絶望で満たすのだァァァ!!』
ピエーロの叫び共に闇の奔流の勢いが増し、鳳凰が押されジリジリと後退し押し返されて来る。
「わたし達は負けない!!絶対に未来は奪わせない!!」
ハッピーの鼓舞する様な言葉に、一瞬弱気になっていた心が再び燃え上がる。
「クルゥゥゥゥ!!」
「うおおおぉぉぉぉ!!」
「輝けぇぇぇぇ!!」
『スマイルプリキュアァァァ!!』
心を奮い立たせ、絞り出した力は折り重なり紡がれ真に一つとなった。
『はあぁぁぁぁぁぁ!!!』
鳳凰の姿が解け、巨大な女性の姿を象る。
『馬鹿な!?貴様ァァァ!』
巨大女性……ロイヤルクイーン様はブラックホールとなったピエーロを抱きしめる様に掻き抱くとピエーロと共に光の粒となり消えていく。
『止めろォォォォォ!!!』
ロイヤルクイーン様は最後にこちらを見て一瞬だけ微笑む。
パーーンッ!!
そして二人が完全に消え去ると散っていた光の粒が一気に集まり凄まじい光と共に弾けた。
『きゃっ?!』
「くっ?!」
咄嗟に目を瞑ったがなんだが目がチカチカする様な気がする。
「こんなんばっかかよ……」
目頭をつまみながら、ついこぼしてしまうの仕方の無いことだろう。
「わぁぁ……みんな、見て!」
ハッピーの声に瞑っていた目を開ける。
『わぁぁぁ………!』
眼下には蒼く輝く地球の姿。
先程までジョーカーによって絶望の砂漠の星へと変えられてしまっていたのが嘘のように元に戻っているのだ。
「……帰ろう!」
『うん!』
誰が言い出したか、その言葉にみんな一斉に頷き、俺達の町へと帰る。
降り立った場所は近所の公園だった。地面に降り立つと同時に体の力が抜ける様に変身が解ける。
「……はぁぁ〜」
慣れない変身に予想以上に疲労が溜まっていたのか座り込む様に芝生に腰をついてしまった。
「あっ!わたしも〜!」
「ウチも〜」
「え、じゃあ、わたしも!」
「アタシもっ」
「ふふっ♪では私は八幡君の隣に」
それを見ていたみゆき達もみんな続けて腰を下ろし、結局は全員並んで緑の芝生の上に腰を下ろした。
「ねえ、ほらっ!みんな見て!」
「んー?」
ゆったりとした時間が流れる中みゆきが空を指差す。
「綺麗な青い空だね〜」
「……せやな〜」
「……うん」
「アタシ達、守れたんだよね」
「ええ」
「……キャンディもポップもありがとな」
「なんの!」
「みんなで力を合わせたからクル!」
砂漠な乾ききった風ではなく、優しい緑の香りの風が頬を撫でる。
目を瞑り、風を感じていると肩に心地好い重さがかかる。
「ふふん♪」
……肩に乗せられたれいかの頭を優しく撫でてあげれば、嬉しそうに頭を擦り付けて来る。
「……そうであった!皆の衆にコレを見てほしいのでござる!」
皆が思い思いに寛いでいる中、そう言ってポップが立ち上がり、俺たちの前でプリキュアの絵本を広げる。
「皆の衆がピエーロを打ち倒し、バッドエンドを払ってくれたお陰で拙者達の物語もハッピーエンドを迎えたでござる!」
ポップが広げた絵本にみんなの視線が集まる。
「どれどれ?……こうしてピエーロは消え、メルヘンランドに平和が戻り、妖精達は皆、仲良く暮らしましたとさ……へぇ!」
「これでめでたしめでたしやな!」
「クル!全部みゆき達のおかげクル!」
跳ねる様に胸に飛び込んだキャンディを嬉しそうに受け止めるみゆき。
「んふふ〜♪これでみんなウルトラハッピーになったし、明日は何をしよっかキャンディ」
手に持ったキャンディを掲げ楽しそうに尋ねるみゆき。
「………クル」
だが、その問いに普段は嬉しそうにする筈のキャンディの表情が曇る。
「……?どうしたの?」
「………みゆき、ごめんクル」
「……え?」
突然みゆきに謝るキャンディに皆も何事かと目を向ける。
「………キャンディは……みんなに、お別れを……ヒック、言わなきゃ…いけないクル……グス」
ポロポロと涙を零しながら言うキャンディに俺達の間で動揺が広がる。
「………えっ、嘘……どういうこと?」
お別れ……どういう事だ?
「……そこからは拙者が引き継ぐでござるよ」
涙を流し、上手く喋れないキャンディに代わり、ポップが
「ピエーロを打ち破った奇跡の力……あれでミラクルジュエルは最後の力を使い果たしてしまったのでござる」
「それって、どういうことなん」
「ミラクルジュエルはこの世界とメルヘンランドを繋ぐ、楔の役目もしていたのでござる」
「じゃあ、それが無くなるって事は……」
「おそらく、本の扉は消えこの世界とメルヘンランドとの繋がりも絶たれてしまうでござろう」
「そんなっ!?」
「それって……」
つまり……もう俺たちは、キャンディ達に会えなくなっちまうってことなのか……
はい!という訳でピエーロを倒したのはアルティメットキュアハッピーではなくロイヤルクイーン様となりました!!
なんかスマイルパクト最後の思念とか込めて方だなぁって思ったんですよね。あとハッピーからハッピーが出てくんのが違和感がね……凄かったんで……
次回はおそらく最終回となるでしょう……この言葉も最後になるかも知れませんね。
それでは改めて、次回もお楽しみに!!