れいかが今日の予定について説明してくれる。
「まず今回植えるお花はダリア、グラジオラス、マリーゴールドの三種類です。サルビアについては、まだ時期ではないのでもう少し経ってから植えたいと思います」
やっぱ買ったらそれをすぐ植える、みたいなのはダメなんだな
「それでは最初は簡単なマリーゴールドからにいたしましょうか。これが八幡君の分の種です。先に私が手本を見せるので同じようにお願いしますね」
そう言い、俺に種を渡すとれいかは花壇の一角に移動し手本を見せてくれる。
「マリーゴールドはこの辺りで育てたいと思ってますので、まずは指で軽く、線を引く様に五ミリ程の溝を掘ってください。」
「そしてそこに、種どうしが重ならないように種をまいていきます」
れいかは指でなぞる様に軽く土を掘ると、そこに種をまいていく。
「こんな感じでいいのか?」
れいかの見よう見まねで軽く土を掘り種をまく。
「ええ、上手ですよ。その調子でお願いします」
「これで種はまき終わったが、あとは土でもかければいいのか?」
「はい、マリーゴールドは土をかけて終わりです。次はグラジオラスを植えましょうか、グラジオラスは少し深めに掘らなければいけないのでスコップを使いましょう」
「……花ごとに結構植え方も違うんだな」
「そうですね、お花事にそれぞれ発育の条件もありますし、それに添わせた方が元気に育ちますからね」
結構奥深いんだな……まぁ、どうせやるならこいつらにも元気に育ってほしいわな……
「そうだな、それじゃあこいつらに元気に育って貰うために頑張るかね……」
「はい!一緒に頑張りましょう」
「……おお、意外と時間たってたな……」
「ふふっ、そうですね。八幡君も集中していましたし私も楽しかったので時間が過ぎるのがあっという間でした」
「ああ、俺も初めての事が多かったがれいかに教えて貰いながら楽しく出来たわ……」
そう、グラジオラスなんかは球根を少し深めに埋める程度だったが、ダリアは球根の向きなんかも重要だったり球根同士の距離も開けなきゃだったりで意外と難しかった。
「少し地味な作業ですが、八幡君がそう思ってくれているならよかったです。これからも一緒に頑張りましょうね」
「おう、これからもよろしく頼むわ……」
「……はい!」
れいかは満面の笑みで頷いてくれる。その笑顔を見ていると俺の心も暖かくなるし、これからもれいかには笑っていて欲しいと思う……
緑川はれいかが俺に好意を持っていると言っていたし、俺自身もれいかの態度から何となくそう感じる時もある。何時までも、このぬるま湯の関係を続けていく事が出来ない事は俺も分かっている。
「俺はどうしたらいいんだろうな……」
「……そんなの小町に聞かないでよ」
目の前では小町がムスッとした顔で投げやりに返してくる。
あの植え付けのあと、れいかと片付けをしてから帰ってきた俺だが、居間で今日の事を色々考えてしまっていたからか、小町の話にだいぶ適当に返してしまっていたらしい。それにブチ切れた小町に謝り倒した挙句全部白状させられた……
「あのねお兄ちゃん、小町的にはお
「さっきの話を聞いてわかったけど、多分緑川さんもお兄ちゃんとお
小町は言うだけ言って先に部屋に戻ってしまった。
「……俺の思うように……か……」
れいかといると心地好い……だから今の関係で満足だった……でも、もしも……れいかがこの関係を変えようと、変わろうと思うのならば俺はそれに応えていこう……
あ、でも離れる事になるんだったら縋り付くかも……
自分の中で気持ちの整理がつくと思ってた以上にスッキリするものだ。これも小町のおかげだし何か今度買ってあげるのもいいかもしれないな!
「小町、昨日はありがとな。おかげでだいぶスッキリしたわ」
「それなら良かった!でもお兄ちゃん……気分が良いのはいいんだけど、そのテンションはちょっとキモイよ」
……小町ぇ
昼休み、また弓道場で飯でも食おうと思っていたら、日野に連行されて中庭の東屋的な場所に来ている。
「なあ、俺はなんで呼ばれたんだ?」
「え?だってみんなでご飯食べた方が美味しいでしょ!」
「……え?」
俺は逆に味わかんなくなるけど?
「いや、比企谷……そんな「マジ?」みたいな顔せんでもええやん」
「あのね比企谷くん、この後みんなでお話したい事があったから、れいかちゃんに比企谷くんの居そうな場所を聞いて、あかねちゃんに連れてきてもらったの」
「ほう……で?話ってなんだ?」
俺を呼ぶくらいだしまたなんかプリキュア関連であるのか?
「その前にさ、比企谷が来るまでみんなでご飯食べずに待ってようってみゆきちゃんが言うから、もうお腹ぺこぺこだよ。話は食べ終わってからにしようよ」
「そうですね、八幡君もそれで大丈夫ですか?」
「そうだったのか……待たせたみたいですまんな、それなら話は後にしようか」
星空のやつ、意外と良い奴だな……真っ先に食いそうに見えるのに……
「それじゃあ!『いただきます』
いつもの様に買ってきたパンを食っていると……
「八幡君、お昼ご飯はそれだけですか?」
「ん?だいたい何時も惣菜パンとか菓子パンだな」
「え?それでは栄養が偏ってしまいますよ。……はい、玉子焼きです。食べて下さいね」
「……え?」
れいかは自分の弁当箱から玉子焼きをさっきまで使っていた箸で摘み俺に向かって差し出してくる。
「………?どうしましたか?口を開けて下さい。はい、あ〜ん」
「……あ、あー、んぐ……」
……あ、普通にすげーうめぇ、緊張しすぎて味がわかんなくなるってよく聞くけど迷信だったんだな……
「どうですか?その玉子焼きは私が作ったのですが……」
「……あ、ああ、めちゃくちゃ美味かったわ」
……つか、あーんだったし間接キスだし……もう心臓がめっちゃバクバクいってやがる……
「本当ですか!嬉しいです!では次はこのお芋の煮っころがしなんてどうですか?お母様の得意料理なんです!」
side なお
目の前でれいかが嬉しそうに比企谷に自分のおかずを食べさせている。れいかとは長年一緒にいるけど、あんなに嬉しそうな顔は久しぶりに見る。
「いやー、ラブラブやなぁ……比企谷もあんなに顔真っ赤にして、見てるこっちが恥ずかしくなってきそうや」
「ねー!れいかちゃんと比企谷君、すっごい仲良しだよね!」
「でもなおちゃん、あの二人ってあれでまだ付き合ってないんでしょ?」
そうなんだよねぇ……
「れいかも初心……は違うか、なんて言うか純真無垢って言うのかな?話を聞いてる分には比企谷の事が大好きみたいなんだけど、まだ好きって気持ちを理解してないみたいなんだよねぇ」
「はー、そりゃ比企谷も大変そうやなぁ……」
「あかねちゃん、そんな人事みたいに……」
「やって人事やもーん!」
まぁ比企谷はアレで意外と信用出来るしアタシはれいかが幸せになってくれればそれで良いんだけどね。
sideout
「たまにはこういうものも美味しいですね!」
れいかが、あれもこれもと色々俺に食べさせてくれたのもあって、そのお礼とお詫びになっているかは分からないが俺の持っていたジャムパンを半分にして二人で分けて食べている。
「悪いな、れいかの弁当なのに俺が結構食っちまったみたいで」
「いえ、いいんですよ。私が八幡君に食べさせたかっただけなので、それにいただいたこのパンも美味しいですし」
「それじゃあ話の続きを聞かせてくれるか?」
「ええで、実はな「みんなで次の休みにプリキュアの秘密基地を見つけに行くの!」……ちゅーことやな」
ん?どゆこと?
「詳しく説明しますと、プリキュアの話を
「それでね!比企谷くんもプリキュアの事知ってるじゃない?だから、秘密基地に持っていきたい物を持って一緒に行こうよ!」
「あー、ある程度わかった、てか、あの場所不思議図書館って言うんだな……」
もうずっと童話の森って言ってたわ。これからは不思議図書館って呼ぼ
「それで……八幡君も一緒に行ってくれますか?」
あんまりこういうのは得意じゃあないんだがな……まぁ、れいかが一緒ならいいか……
「わかった、付き合うよ」
こうして俺の休日の予定が決まった
八幡の心が定まりました!しかし相変わらず受け身というヘタレっぷり!そして怒涛のれかちゃんの攻め!いやぁいいですねぇ!
今回は小町に背中を蹴っ飛ばしてもらいました。ここまで兄を想いやれる小学生って……