俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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 最近新しいゲームを買ってしまってついついそっちに気を取られてしまいがちです……めっさ楽しい!(ポケ○ンじゃないです)

週一更新はよっぽど(意識不明とか)の事がない限り続けますのでそこは無問題です


(3)

 

 あの約束から数日、遂にこの日を迎えてしまった。俺が友人達と休日に出掛けるなんて事がいままでにあっただろうか?いや無い。……れいかと二人で行ったのは別枠で……

 

「……まぁ出かけるって言っても、どっかに買い物とか行くわけじゃねーんだけどな」

 

 それに持っていきたいものも基本全部持っていってあるし……強いて言うならクーラーボックスに新しいマッ缶を補充することくらいか?

 

 まぁ部屋に居ても特にやることも無いし、予定の時間までまだあるが、先に行ってるかね……

 

 

 

 

「……っと」

 

 やはり、少し早かったようで不思議図書館にはまだ誰も来ていないようだ。 

 

「他の奴らが来るまで読書でもしてるかね……」

 

 ひとりごちて、数日前に持ってきておいたアウトドアチェアに腰を下ろす。読む本は昨日買ってきた『初めての庭いじり』という園芸初心者向けの本だ。

 

 れいかと花壇の手入れをするようになってから、マジで花の世話やらなんやらに興味が出てきて自分でも驚くレベル……

 

 

 

 読んでいて思うが、なんでこういう本はところどころ曖昧な書き方をするんだろうか?前に専業主婦になるための予備知識として、料理のレシピ本を読んでいた時も、こいつ教える気あんのか?とか思いながら読んでいた事を覚えている。

 

「八幡君?」

 

「ふぁっ?!」

 

「ひゃあっ?!」

 

 考え事していたら、突然耳元で名前を呼ばれて変な声が出てしまった……

 

「……れいかか、びびったわ……」

 

「……ええ、おはようございます。驚かせてしまったみたいですね。八幡君の声で私も驚いてしまいましたが……ふふっ」

 

 声をかけて来たのはれいかだったらしい。やばい、めっちゃ変な声出てたわ……

 

「……ああ、おはよう、れいか。それより耳は勘弁してくれ……俺耳が弱いんだよ……」

 

「そうだったんですね。すみません、次からは別の声のかけ方にしますね」

 

 うん、よろしくね?

 

「ところで、今八幡君が読んでいた本って園芸関連の指南書ですよね?」

 

「そうだな、前にも言ったが、れいかと花壇の手入れをしているうちに興味が出てきてな……」

 

「ほんとですか!嬉しいです!」

 

 いつの間にか、れいかに握られている俺の手……このやり取りはもう慣れたが、恥ずかしいものは恥ずかしいんだよな///

 

「これからも一緒にお花のお世話をしていきましょうね!」

 

「ああ……よろしくな」

 

「はい!あ、その本何ですが、何か分からない所などありましたか?」

 

「ん?ああ、ちょくちょく少し曖昧な書き方でわかりづらいところが何個かな……」

 

「やはりそうですか……大抵の指南書は少しぼかした表現を取っている物が多いんです」

 

 やっぱそんなもんだよな……この本の著者にすりゃこれが飯の種でもある訳だしな……

 

「何処が分からないんですか?私の分かる範囲で説明しますよ」

 

「マジか、助かるわ。……じゃあ彼処の丸太の所にでも行くか……」

 

 流石に教えてもらうのに俺だけ座ってるのもおかしいしな……

 

「ええ、そうですね。……でもこうして八幡君と自分の好きな事についてお話出来るなんて、本当に凄く嬉しいです」

 

「……ならこっちとしても良かったわ」

 

 園芸に興味が出ていたのは本当だが、こうして、れいかと話を合わせられるんじゃないか……という打算があったのも事実だ。だけどここまで喜んでくれるのなら行動しといて良かったと心から思う……

 

 

 

 

「れいかー!比企谷ー!おーい!」

 

 二人で丸太に腰を下ろし、いざ本を開こうとしたところで緑川の俺たちを呼ぶ声が聞こえたきた。

 

「……こりゃ時間切れだな」

 

 れいかと話していたらいつの間にか予定の時刻になっていたようだ。

 

「そうですね……でも、また後で一緒に読みましょうね。分からないところはお教えしますので」

 

「……そうだな。その時はよろしく頼むわ」

 

「はい、お任せ下さい!」

 

 

 

 二人で声の方に向かうと、もう四人は揃っていた。

 

「あ、やっぱりいた。二人のことだから時間前にはいると思ったんだ」

 

「お待たせしてしまったようで申し訳ありません」

 

「そんなに気にしないで!これでみんな集まったね!」

 

「全員集合クル」

 

「迷子にならなくてよかったぁ」

 

「自分の家から来るの初めてだもんね」

 

「それにしても本棚から来られるなんて、不思議ですね」

 

「不思議図書館の本の扉を使えば、何処へでも行きたいところに行けるクル」

 

「なぁ、もう此処が基地で良くないか?この前みたいに何処かにあの魔女とかが現れてもここからなら駆けつけられるし……」

 

 つか、俺はもうそういう認識だったんだけどな……

 

「そっかぁ!」 「いいかも!」

 

 答えるや否や黄瀬が駆け出していく。

 

「やよい?どこ行くクル?」  「探検してくるー!」

 

 ……黄瀬ってあんなに活発だったか?

 

「……そんなに走ると危ねー「きゃ!」ぞって……言ってる側から」

 

 注意の途中でもうコケてるし……

 

「いったーい……」

 

「大丈夫?!やよいちゃ…キャー!」

 

 今度は星空かよ……木の枝にフードを引っ掛けて暴れてるし……

 

「……何やってんねん。今…おわっ!「きゃ!「へっ?」」」

 

 今度は日野が足を滑らせて緑川とれいかを道連れに、ちょっとした段差を滑り落ちて止まった。

 

「何をやってんだか……」

 

「おーい、早く起き上がれ一応地面なんだから服とか汚れるぞ?」

 

「ないわー!」

 

 ……え?何事?

 

「やっぱ秘密基地、ここちゃうわー!」

 

「うん……せっかく何処へでも行けるんだしもっと素敵なところにしようよ……」

 

『素敵なところ?!』

 

「それならば私、プリキュアに相応しい素晴らしい場所の心当たりがありますよ」

 

 ……何?この流れ?それにれいかまでもかあ……

 

「何処や?!」

 

「それは……行ってみてのお楽しみです!」

 

 れいかは言葉とともに本の扉を開けた。

 

 

 

 

「ここ何処クル?」

 

 辿り着いた場所はどっかの資料室っぽいな。まぁ本棚のある場所にしか繋がらないんだし基本はこういう所に出るのか?

 

「皆さん、此方へ」

 

 辺りを見回しているとれいかに呼ばれる。れいかの先導に従い進み、開けられた扉を潜ると……

 

『うわぁ!』

 

「風が凄いな……」

 

 扉の先は外に繋がって居たようで、そこには鉄骨の物見台の様なものが立てられている。その物見台の上で風に服を靡かせでれいかが立っていた。

 

「れいかちゃん!ここって?!」

 

「富士山です!」

 

 星空の問いかけにとんでもない答えが帰ってきた……

 

『ええぇ!?』

 

「……なんで……富士山?」

 

 黄瀬の問いに答えず、れいかは今日不思議図書館に来た時から持っていた物を広げる。

 

 それは達筆な字で‘’道‘’と書かれた掛け軸だった……え……何で?

 

「そう!プリキュアとして歩む私達の道は険しいわ。人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し。でもその道の先にはこの日本一の富士山があるの!私達にとってこれ程相応しい場所があるかしら?」

 

『………………』

 

「……何言っとんのか、全然わからん」

 

「い、いい所だけど……寒いね!」

 

「はくしゅん!」クル……ずずっ」

 

 黄瀬とキャンディもくしゃみをしている。

 

「こんなとこいたら風邪引いちゃうよ!」

 

「……そ、そうよね……ごめんなさい」

 

 こうして、反省して縮こまった様なれいかを見るのは初めてな気がするが……なんていうか、萌えるな……

 

「……それじゃあ、戻るか」

 

 

 

 

「もー!れいかちゃんったらだめだめ!秘密基地ってものが全然分かってない!」

 

「なんや?めっちゃ気合入ってるな、やよい」

 

「とーぜん!秘密基地って絶対あんなものじゃないんだから!」

 

「そーなんですか?では、一体どのような?」

 

「ふふん、私が本当の秘密基地に連れてってあげる!」

 

 黄瀬はノリノリだな……ただ、れいかでさえあのチョイスって事は、他はもっと酷いことになりそうな気がするな……

 

「あ、黄瀬、少し待ってくれ。俺は此処で待ってるわ。お前たちが行った先で何かあるかもしれないし、戻ってきたら休憩出来る様に用意しとくから安心して行ってこい……あ、でも戻って来れない様な状況にはならないでくれよ」

 

「えー、本当の秘密基地がどんなものか比企谷くんにも教えてあげようと思ったのに」

 

「それはまた後で頼むわ」

 

 だいたい想像つくし……

 

「……わかったよ。それじゃあみんな、行くよ!」

 

 

 

 

 

 

 光を放つ本の扉に、れいか達が吸い込まれるように消えていく。

 

「よし、アイツらも行ったことだし、言った手前お茶の準備でもするかね」

 

 

 

「星空は……甘けりゃ何でもいいよな、日野は……わかんねーな、麦茶でいいか、黄瀬……髪の色的にレモンティーでいいだろ、緑川……は、れいかと一緒に緑茶でいいよな幼馴染だし……」

 

 家に戻って適当に好きそうな飲み物をグラスについでトレーに載せる。

 

「お茶請けはクッキーでいいよな……煎餅も持ってっとくか……」

 

 

 

「戻ったぞっと……」

 

「あ、八幡君、おかえりなさい」

 

 ……戻ってくんの早くね

 

「全く二人ともしょうがないな……ここはアタシに任せて」

 

 今度は緑川か……どうせまた直ぐに戻って来るんだろうな……

 

 

 

 

「……はい、おかえりってか……」

 

『あはは……ただいま』

 

 あの後、また直ぐに戻って来て、今度は日野が開いた本の扉を潜ったのがついさっき……で今に至るんだが……

 

「たった数十分で何があったんだよ……息が切れてるじゃねーか……」

 

「それは……なんといいますか……」 

 

「まぁ……色々?」

 

 色々?じゃねーよ……

 

「……取り敢えず休憩しとけばどうだ?そこの切り株のとこに飲み物置いといたから」

 

「比企谷くんありがとー!ところでわたしのってどれ?」

 

「ああ、それは星空がMAXコーヒー、日野が麦茶、黄瀬がレモンティーで緑川とれいかが緑茶だ」

 

「へえ、みんなバラバラなんだね」

 

「……適当だけどな」

 

「これコーヒー牛乳かと思ったらすっごい甘いよ!」

 

「MAXコーヒーだって言ったろうが……」

 

 

 

 

 

 

「じゃあ最後はわたしだね!」

 

 暫く飲み食いしたところで、星空が声をあげた。

 

「今度はわたしがみんなに秘密の場所を教えてあげる!わたしね、小さい頃から赤毛のアンが大好きなの」

 

 

 

 星空の話を聞きながら、本の扉へ消えていく後ろ姿を眺める。……別に態々探さなくても此処でいいと思うんだかなぁ……コケてたのは自業自得だし……

 

「……俺も読書の続きでもするかね」

 

 れいか達が食べきれなかったクッキーを齧りながら本を開いた……「あ、グラス片付けねーとだ……」

 

 

 

 

 

 グラスを洗いながら先程までの事を思い出す。最初はれいかだけが俺の傍に居てくれたが、最近は賑やかになってきたと思う。騒がしくて、呆れることもあるが、まぁ、悪い気はしない。

 

「ふふふ〜ん、ふふふ〜」

 

「……お兄ちゃん、どうしたの鼻歌なんて……病気?」

 

 小町ぇ……

 

 

 

 

「……なにこれ」

 

 片付けを終えて不思議図書館に戻ってみると、図書館の中心部にあった大きな切り株が、切り株の形をした家になっていた。

 

「おーい!比企谷くーん!」

 

 立ち尽くしていると家の窓が開いて、中から星空が手を振ってくる。

 

「比企谷ー!すごいやろ!」

 

「此処がわたし達の秘密基地だったのー!」

 

「今度はアタシ達がお茶の用意したから早く来な!」

 

「八幡君!一緒に本の続き、読みましょ!」

 

 ……やはり少し騒がしいが悪い気はしないな

 

 

 

 普段よりも少しだけ早足で、呼ばれるままに向い、俺たちの秘密基地のドアノブへ手をかけた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけ

 

「比企谷くんは小さい頃に秘密基地とか作って遊んだことないの?」

 

「作っただけならあるぞ」

 

「どういうこと?」

 

「……作った次の日に年下のガキ共に占拠されてただけだ」

 

『……………』

 

「……ほら、笑えよ」

 

 

 




 今回は戦闘シーンなしですね

八幡はようやく、れかちゃん以外のプリキュアメンバーへも心の壁が剥がれてきました!

 騒がしいけれど、それも苦じゃない騒がしさ……なんていうかいいもんだなぁって思います
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