もうこの話を書きたいが為に執筆を始めたと言っても過言じゃないくらい楽しみにしてました!
やっぱ入れ替わりものは最高ッスよ
(1)
誰かになりたい。成り代わりたい。誰しもこのような事を考えた事が一度はあるのではないだろうか?大抵それは憧れであったり、羨望であったり、嫉妬であったりと、プラスかマイナスか等は関係なく、皆似た様な感情に起因するものである。
かくいう俺も金持ちの奴になりたいと思った事はある。しかし、実際そのような妄想みたいなものが実現する事はないし、ましてや実現したとしても急激に周りの環境が変わるのだから、こんな筈じゃなかったと後悔するのがオチだろうと、そんな風にしか考えて来なかった……今日までは……
「八幡君、この前植えたところには余り水がかかり過ぎない様にして下さい」
先程れいかに言われた事を思い出しながら朝の水やりを行っていく。植えた部分はまだ芽も生えておらず、少し寂しげ印象を抱かせるが、れいかいわく、もう数日もすれば芽を出すだろうとのことだ。
「……早く育てよーおっ?」
水やりをしていると朝日に反射して何かがキラリと光った。
「……なんでこんなとこに?」
拾い上げてみると、どうやらそれはペアリングであるようだ。二つの同じ装飾がされたリングが折り重なるように落ちていたところを見るに、誰かの落し物の可能性が高そうだ。
「まぁ、れいかに渡しとけばなんとかなるか……」
生徒会で落し物の管理もしてるだろ……してなかったら職員室行きだな……
水やりは終わったのでれいかのところに向かう。
「れいか、こっちは終わったぞ」
「あ、八幡君、ありがとうございます。それでは片付けをしてから戻りましょうか」
「おう、そうだな……っと、忘れるとこだった」
さっき言おうと思ってもう忘れるってやばいだろ俺……
「……どうかしましたか?」
「ああ、さっき花壇のとこで落とし物っぽいのを拾ってな」
先程拾った指輪を片方れいかに渡す。
「見たかぎりペアリングっぽいんだが、生徒会で落し物の預かりとかってやってるか?」
「そういう事はやってませんが、今から職員室に行って落し物の事を皆さんに聞いてもらえるように頼んでみましょうか……」
お互い、日にかざしたり、色々な角度から見たりして持ち主の手掛かりになりそうなものはないか探してみるが、それらしきものは特に見つからない。
「きゃっ?!」
「ん?どうしっおわ?!」
れいかの悲鳴が聞こえたので其方の方を向くのと同時に、手の中から指輪の感触が消える。慌てて指輪を持っていた手を見ると、指輪は左手の薬指にはまっていた。
「どういうことだよ……」
てかなんでよりにもよって薬指……
「……どういうことでしょうか?」
隣を見るとれいかも左手の薬指に指輪がはめられている。
「……八幡君、これっ……?!」
れいかと状況の整理をしようとした瞬間、一際強く心臓が脈打つ様な感覚に襲われ、一瞬意識が飛ぶ。
「って……なんなんだよ。今すげー変…な感じがした……ぞ?」
俺の前に俺が居るし……しかも俺ってこんな声だったか?
「……どうして目の前に私が?」
『…………』
……すっげー嫌な予感がするわ。
「……れいか……か?」
目の前の俺に向かって話しかける。
「……はい、ということは……八幡君……ですか?」
「……あ、ああ、比企谷八幡だ」
『…………』
「……ちょっと来てください!」
目の前の俺、もといれいかに手を掴まれどこかへ連れていかれる。
連れてこられたのは校舎の前だ。
「ここならお互いの姿がある程度確認できるでしょう」
覗き込んだガラス戸には目の淀んだ、普段よりも幾分猫背気味のれいかの姿が映っていた。
「……これは、私が八幡君になってしまったのですかね」
「……というよりも、お互いの意識が入れ替わった……が正しいんじゃねーか?」
「なるほど……」
『……………』
「どうしましょう?」 「どうするよ?」
取り敢えず少しでも負担を軽減するために星空達に集まってもらった。
「比企谷くんもれいかちゃんも、大事な話があるなんて一体どうしたの?」
「いやいやみゆき、言われんでも分かるやろ!なぁ?」
「うんうん、見れば一目瞭然だよ!」
「比企谷……諭したのはあたしだけどさ、ちょっと行動がはやすぎない?」
れいかと手分けして大慌てで集めたから、特に説明とかはしてなかったがこいつらなんか盛大に誤解してねーか?
「おい、お前らなんかすげー勘違いしてるだろ?」
『…………』
「……ちょ、れいか?どうしたの、何時もと雰囲気が少し違うけど……」
「いや、ちょっとどころやないやろ……」
「あの、皆さんにお伝えしたい事があるんです」
「え?今度は比企谷くんが……」
話が出来ねぇ……
「……良いから話をきけ!」
「俺が比企谷だ」 「私がれいかです」
ようやく本題に辿り着けたぞ……
「えーと、つまり二人が入れ替わっちゃったってこと?!」
「だからさっきからそう言ってるだろ……」
ったく、何度話が脱線しそうになったことか……
「どうにも信じ難い話だけど……」
「この二人を見る限り本当っぽいなぁ」
「……でもどうしてそんな事になっちゃったの?」
「それがなぁ……」
「どうやらこの指輪が原因の様なんです」
れいかが指輪を見せ、皆に先程の事を説明する。
「なーんだ、その指輪って勝手にはまったんだ……わたしはてっきり、れいかちゃんと比企谷くんが婚約指輪してる!って思ってたのに……」
「なっ?!」 「婚約///」
確かに薬指でペアリングだが……それはまだ早いっていうか……//////
「二人とも照れてんな」
「アタシも勘違いしてたけど、本当にこうなるのも意外と遠くないかもね」
「わたしは二人が幸せならそれでウルトラハッピーだよ!」
「キャンディもクル!」
「んっ!話を戻そうか」
さっきは黄瀬のせいで他の事が考えられなくなっている内に話が脱線させられていたが、早くしないと授業が始まっちまう。
「俺とれいかが入れ替わっている訳だが、ここで問題になるのが俺とれいかが異性だっていうことだ」
「ああ、そういう事ね……」
流石緑川だな理解が早くて助かる。
「なおちゃんはわかったの」
「まぁね、入れ替わってるから当然なんだけど、比企谷は今れいかの体なんだよね」
「代表的な例えで言えば着替えとかかな?」
「ああ!そっか」
「そうですね。流石に八幡君といえども、着替えを見られるのは恥ずかしいです///」
「まぁ、そういうことだ。ってことでそうなったら助けてくれ」
「まぁいいんやねんけど、普通男やったらそういうのを利用するんちゃうん?」
まぁ、日野の言う事は普通の男子だったら当てはまっていただろうが、そこは俺だ。
「はぁ……日野、考えても見ろよ。俺だぞ?」
「……納得はできたけどれいかの顔で言うなや。なんかムカつくわ」
「でもそうしたられいかちゃんの方はどうするの?流石にわたし達も助けられないよ?」
そうなんだよなぁ
「……れいか、もうこの際俺は見られても気にしない事にする。だからお前も見なかった事にしてくれ……」
「……ええ、なんとかしてみます//////」
「……よし!取り敢えずれいかはなんとかしてくれるらしい」
「えぇ……それでいいんだ……」
「……いいんだよ。それより出来るだけれいかの評判は落としたくないから、れいからしくないところは直そうと思うんだが何かあるか?」
「目やな」
「目だね」
「……だよなぁ……あ、眼鏡持ってきてるわ」
持ってて良かった伊達メガネってな、小町に渡されてからいざという時のために持ち歩いてたんだよな……
「じゃあ目はいいとして他は……今のとこその猫背くらいじゃないかな?」
「わたしもそこ以外は大丈夫だと思うよ」
それくらいならなんとかなるか……?まぁれいかの為だ、出来るだけぼろを出さないようにしよう。
「それではもう授業も始まりますし戻りましょうか。皆さん今日は私と八幡君のフォロー、よろしくお願い致します」
『任せて!』クル!」
……大丈夫だよな?そこはかとなく不安なんだが……
ここからドタバタが始まりますね
ああ、懐かしのココロ○ネクト
あれが入れ替わりものを好きになった切っ掛けでしたね