次回 城之○死す レベルかもしれないかなと自分でも思いました。
れいかは、卵酒と一緒に持ってきていたカップに口をつけ、唇を湿らしゆっくりと今日あった事を話し始めた。
「……実は今日、学校でやよいさんの転校騒動があったんです」
「………は?マジか……黄瀬が?」
昨日までそんな素振りはみせなかったが……そんな事になってたのか?
「あ、いえ。転校騒動と言っても実際にやよいさんが転校するという訳ではなく、エイプリルフールの嘘だったのですが……」
「……あー、誰かが黄瀬の転校の嘘をついて、それが広まっちまったのか……」
エイプリルフールっていっても意識してる奴なんてそんなに多くないだろうしな……
「……ええ、まあ嘘をついたのはやよいさんなのですが……」
「……黄瀬かよ」
黄瀬ってそんな奴だったっけか?
「あの、やよいさんも悪気があった訳ではなく……なんと言えばいいのでしょう……事態の収拾よりも拡散の方が速かったと言いましょうか……」
「……つまり?」
「やよいさんは少し、自分の意見出すのが苦手ですよね。勇気をだして嘘と言おうとする度に、私達が遮ってしまっていたらしく……」
うーん、聞いているだけでなんとなくその場面が想像出来る……
「思い返してみれば確かに、やよいさんが何かを言おうとしていたんですよね……」
「……まあ、相手の事をわかってるつもりになっていても分からない事もあるっていう教訓だわな」
いつもあんなに仲の良い五人も、言葉にしないと伝わらない事もあるんだな。
「実はそれだけではなく、やよいさんの送別会までクラスのみんなと開いてしまって……」
え……何その公開処刑……
「それにやよいさんの嘘がわかったのもアカオーニとの戦いの途中でして……」
「……ほんとに色々あったな……」
ぶっちゃけ今日風邪ひいて良かったかも?……あ、卵酒無くなった。
「ですが、アカオーニもやよいさんのお陰で撃退出来ましたし、クラスの皆さんにもしっかりと謝って解決したんですけどね」
「へえ、じゃあそれで無事に解決したんだな」
「ええ、最後に皆さんと、やよいさんに一つ嘘をついておあいこにしたんです」
まぁ、それなら黄瀬も自分だけ嘘をついてた……なんて自責の念を持つこともないのかね
「……あ、ところでどんな嘘をついたんだ?」
「私ですか?私は……やよいさんの事嫌いです……と」
……ええぇ、怖……え?マジ……?容赦な……
俺も言われたらどうしよ……でも……
「……嘘でもれいかには嫌いだなんて言われたくないな」
「……え?」
「ん?」
ふと、嫌な考えが頭の中を過ぎって少し気分が落ち込んだため、話を変えようとれいかの顔を見ると、呆気に取られたように固まっていた。
「どうした?」
「……今のは……本当ですか?」
呆気に取られていた顔から一転、まるで俺の風邪が移ってしまったかの様に、頬を上気させ……近づいてくる。
「お、おい、れいか?!」
突然のれいかの行動に、カップが手からこぼれ落ちるのにも構う暇なく、れいかが近づいてくるのに合わせて後ずさりしてしまう。しかし、元よりベッドの上にいる身、直ぐに背が壁に着いてしまった。
「もう、逃げないで下さい……」
言葉の通り俺をこれ以上逃がさない為か、れいかは俺の脚を跨ぐようにして腰を下ろす。
「……八幡君、さっき言った事は本当ですか?」
「……お、俺、なんか言ったか?」
れいかにのしかかられるような体制のためにいやがおうにも緊張してどもってしまう。
「ですから、先程八幡君が口にした、『嘘でも私に嫌いだなんて言われたくない』というのは本当ですかと言っているんです」
どうやら考えていた事が口に出ていたらしい。
「……口に出てたのか。まぁ、それは本当だが……」
「……ふふっ、八幡君は……嘘は嫌いですか?」
「嫌いは嫌いだが、さっきのはそういう事じゃ無いんだけどな……」
嘘は嫌いだが、そういう事じゃなくて、ただ単純にれいかに嫌いと言われたくないだけなんだよな……
「……では、私は八幡君にはこれから一切、嘘をつかないと誓いますね」
そう言いながら、れいかは俺の頬に両手を添え、目を合わせる。もう既にれいかの顔は目と鼻の先まで近づいて来ていた。
「さっき誓ったように、今から私が言う事に嘘偽りは一切ありません。……よく聞いて下さいね?」
そう口にするれいかは、普段の様な、凛として清らかな雰囲気とは違い、瞳は揺れ、頬を上気させ、どこか
「
「……すまん、もう一度言ってもらっていいか?」
一瞬、言葉の意味が理解出来ずに聞き返してしまった。れいかが……俺を?嘘じゃないのか……いや、嘘であるはずがない。直前に俺に嘘をつくことは無いと、誓ってから言った言葉だ……
「……もう、これでも恥ずかしいのですよ?ですが八幡君がそう言うのなら、何度だって言って差し上げます。
れいかは苦笑しながらも、もう一度、俺の目を見つめながら告白してくれた。
「……俺、俺も!れいか……お前が好きだ。……すまん普通こういう事って俺からすべきだったよな……」
「……八幡君。普通なんて気にする事はありません。今、私は八幡君と想いが通じ合った。私はそれだけで幸せなんですよ」
「……ありがとな。れいかとこんな関係になれるなんて夢にも思わなかったけど……俺も、なんていうか、すげぇ嬉しい」
突然過ぎて、今は嬉しさよりも驚きの方が勝っているが、とにかく幸せだ
「私達、これで恋人ですよね」
少しだけ不安そうに、尋ねてくるれいかに俺は頷く。
「ああ、恋人……だな」
これだけ俺の事を想ってくれている人がいるんだから、もう少しだけ、自分に自信を持てる気がする。
「……なぁ」
「なんです?」
「告白からずっとこの姿勢で見つめられてるんだが、……何時までこうしてるんだ?」
実は告白されてから体感で十分位経つが、ずっと両手を頬に添えられ見つめられ続けている。
「……実は、やめ時がわからなくなってしまって……これでも私、緊張していたんですからね」
そう言いながら、いそいそベッドから降りていくれいか。
「あ……カップ。……良かったぁ零れてないですね」
ベッドに転がっていたカップを拾い上げ、ベッドにシミがついて無い事に安心している様子を見ると、先程との違いが大きすぎて、なんだか可笑しくなってしまう。
俺、れいかと恋人になったんだな。
今更のように実感が湧いてくる。
「あら、もうこんな時間……八幡君、私はそろそろ帰りますね」
「……そうか、今日はありがとな」
恋人になったばかりだからか、れいかから帰ると聞いた時、柄にも無く少しだけ、そう……少しだけだが寂しく感じてしまった。
「……もう、そんな顔をしないで下さい。私達は今日、恋人同士になったのですから……そんな顔をされては私まで帰りたくなくなってしまいますよ?」
れいかは、そう冗談めかして言いながらも、そっと隣に腰を下ろし俺の肩に頭を預ける。
「こうしていると……なんだか不思議な気がしてきます。始めはただ、気になるだけの男の子だったのに……今ではこんなにも愛おしく感じるなんて」
正直れいかとこんな関係になるなんて思いもしなかった。始めは周りに馴染む気も無かった俺に声を掛け続けてくれた恩人としてしか思っていなかった。確かに好意を持っていたのは事実だが胸に秘め、伝えるつもりの無い感情だと思っていた。
「……俺も、まさかれいかから迫られるとは思って無かったよ」
「……なんです?私に不満でもあるんですか?」
「いや、まさかそんな事……」
未だに夢かと思うくらいに嬉しいのに
「ふふっ、冗談です」
「勘弁してくれ……」
友人から恋人へ、関係は変わったとしても二人の日常が変わる訳でもないし……いや、少しは変わるかもしれないが、それもまた良い変化だろう。
「……ねぇ小町ちゃん、アタシ達やっぱり今日は帰るね」
「せやな、流石にこの中には入れんわ……」
「……れいかちゃん嬉しそう」
「比企谷くんも元気そうだしウルトラハッピーだね」
「……そうですね。皆さん今日は兄のお見舞いに来ていただいてありがとうございます。後で小町から伝えておきますね」
「……お兄ちゃん、良かったね」
いやー、ついにここまできましたね!
何事も疑ってかかる八幡にあえてのエイプリルフールに嘘はつかないと誓っての告白。
この矛盾が個人的にグッと来てます。
次章からは恋人となった二人をよろしくお願いします!