俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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意外とスマプリ世界の日付の管理が大変ですね。ここは今何曜日なんだろうとか、この小説は花壇の時間ともリンクさせなきゃなので結構最近は園芸関係のサイトを読み漁ってたりします。

この話書いててふと気づいたんですけど八幡って未だに敵の三幹部ではアカオーニに一回も会ったこと無いんですよね……


(5)

 時間は残酷にも過ぎ去っていくもので、町内会長さんの食事会は明日にまで迫って来ている。日野はまだ自分の目指す父親の味を出すことが出来ていないでいるらしい。

 

 おまけに午前中は町おこしのイベントを商店街でする為とかで日野の店も出店するらしく、試作時間がとれるかすら怪しい。

 

 件の食事会というのも町おこし後の打ち上げというのが実態だそうだ。

 

 俺も夕食の時間、食べ終わってから、最近行き詰っている日野の話を小町に相談していた。

 

「……という訳でだ小町、隠し味とかってなんか心当たりないか?」 

 

「何がという訳なのさ?まぁ話は聞いてるけど……小町、隠し味なんて前にハンバーグにりんごジャム入れたみたいに、テレビで見たようなのしかわかんないよ?」

 

「まぁ普通は隠し味なんてそんなもんだよなぁ」

 

 一般家庭で隠し味を入れるなんて、余程凝っている主婦くらいだろう。

 

「あ、でもでも小町もいつも入れてる隠し味はあるよ」

 

「お、マジか」

 

「うん!それは小町の……あ・い・じょ・う♪」

 

「……ほーん」

 

 そんな事だろうとは思ってたわ……

 

「あー、お兄ちゃん、小町がふざけてるとか思ってるでしょ!小町これでも真面目に教えてあげたのになー」

 

「いや、思うだろそりゃ、愛情で何が変わるんだよ……」

 

「え?小町のやる気」

 

 えぇ……あんなニコニコ話してたのに急にすんってなった……

 

「いきなり真顔になるのやめて……」

 

「いやだってお兄ちゃん、愛情なんて綺麗な言葉で飾ってるけどさぁ、実際は作る側のやる気でしょ」

 

「例えば、バレンタインとかの本命チョコと義理チョコ。これなんてやる気どころか手間すら違うよね」

 

 わぁ……わかりやすい。

 

「あとはお兄ちゃんとお義姉(ねぇ)ちゃん。あのお泊まりの時はいつもと違って気合い入れて作ったからね!」

 

 小町ちゃん、そんなにれいかの事が好きなのね……

 

「もーそんな顔しないの、当たり前でしょ。お兄ちゃんといい雰囲気だったし、実際に今は付き合ってるしね。もう小町からしたら天使!いや女神だよ!」

 

「それにお兄ちゃんにも愛情込めて作ってるって最初に言ったでしょ!」

 

 あ、言ってたな……というか、女神は流石にれいかも困ると思うわ……

 

「でも愛情はやる気ねぇ……確かに真理だわなぁ」

 

「まぁ、小町が思いつくのはそんな感じ?くらいだね」

 

「いや、結構参考になったわ、ありがとな」

 

「どういたしまして。小町も、初めてお兄ちゃんが友達のために何かしてるのを知れて嬉しかったよ」

 

 その言葉に、今まで小町にかなり心配を掛けてきたことを痛感した。

 

「まぁ、これからはその手の事は心配しなくていい。なんたってもうボッチじゃないからな!」

 

同性の友達が一人も居ないくせに何言ってんだか……

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「全然!小町も嬉しいなぁって!」

 

「そうか」

 

 よし、小町の意見も聞けたし、明日れいか達と話し合ってもう少しつめていこう。

 

 

 

 

 

 日曜、遂に食事会の日を迎えた。今日はイベントの準備もあるということで八時前にはみんな日野の家に集まっていた。

 

「ええっ!じゃあげんき君も出店の方に行ってくれるの?!」

 

「いやぁ、この状況で流石に手伝わないなんて言えないですわ。皆さんにも姉がえらいお世話になってますし」 

 

 試作とイベントの出店を同時に行うためイベント側には日野母と星空、黄瀬の二人に行ってもらう予定だったのだが、急遽日野の弟のげんき君も手伝ってくれることになった。

 

 日野母が居るとはいえ三人で大丈夫なのか不安だったが、男手があるなら少しは安心出来る。

 

「げんき、ありがとうな」

 

「はいはい、さっさとはじめんと時間なくなるでぇ」

 

 これは照れてんのか……いや、普通に鬱陶しがってるみたいだな。

 

「こいつ……」 「まぁまぁ、あかねも抑えて」

 

「じゃー行ってくるから、試作もいいけどこっちへの補充も頼むで」

 

 げんきくんの言うように今日、日野は試作と並行してイベントに出すお好み焼きも焼かなくてはいけない。試作にだけ時間を割けないのは結構厳しいと思う。

 

「わかっとるわ!みゆき、やよい、よろしく頼むで」

 

「うん!行ってきまーす!」 「行ってくるね!」

 

 四人は作り置きしたお好み焼きを持って出かけて行った。

 

 

 

 

 

「じゃあ、みんな今日もよろしく頼むわ」

 

「ええ」 「うん」 「おう」

 

 試作の為に残った俺達は早速エプロンをつけ調理を始める。この三日間、毎日日野が試作に集中出来るように下準備や手伝いをやっていたお陰か、焼く工程以外はもう覚えてしまった。今度小町と家でお好み焼きを作るのもいいかも知れないな。

 

 

 

 

 

「うーん、なんか違うんよな……」

 

 ある程度作って今は試食をしている。日野はまだ納得のいくモノが作れてはいないようだ。

 

「あかねのお母さんは何か教えてくれてたりしないの?」

 

 緑川が日野に問いかける。さっきから何か考えていると思っていたが、確かに日野の母親なら旦那である父親の隠し味を知っているのかもしれない。

 

「あー、そう言えば昨日の夜に………」

 

 日野によると、昨日の夜に母親から、日野が小さな頃。母親が熱を出して寝込んでいた時に、日野が作ったお好み焼きが、焦げまみれだったにも関わらずとても美味しかった。という話をされたらしい。

 

「それおもっきしヒントだったんじゃねーの?」

 

「え?マジで……」

 

「私もそう思います。あかねさんのお母様もそのタイミングで関係のない話をするとは思えませんし……」

 

「うーん……でもなんであかねのお母さんは、そんな焦げたお好み焼きが美味しかったんだろ?」

 

「なんでって言われても、ウチお母ちゃんやないし……」

 

 やっぱ娘が作ったからか?あ、そう言えば小町に聞いた事話してなかったな……

 

「ちょっといいか?少しだけ話が変わるかもなんだが俺も小町から隠し味の事聞いてきたんだよ」

 

 三人を見回すと続きを促してくれたので続ける。

 

「小町曰く小町の隠し味は愛情らしい。まぁ、愛情っても要はその料理に対してのやる気なんだと、愛情はその分だけ作るものの出来に影響するらしい例えば………」

 

 話を終えると三人とも微妙な顔をしながらも頷いていた。

 

「……まぁ、ぶっちゃけ過ぎてるけど確かに小町ちゃんの言う通りだよね」

 

「ええ、普段作っている時よりも八幡君に朝食を作った時の方が上手く仕上がったのを私も覚えています」

 

 あの時からそんな風に想っててくれてたのか……嬉しいんだがこの場だと恥ずかしいな///

 

「……///ん、んん!と、言う訳だ。日野は参考になったか?」

 

「……二人は何かにつけてイチャつかないと死ぬんかいな……ちょっと待って、今考えをまとめてるから、何か分かりそうなんや」

 

 いやそんな事言われても……緑川もジト目でこっちみてくるし……

 

「ふふっ、怒られてしまいましたね」

 

 こっちは全然反省してないぞ……まぁ可愛いからいいんだけどさ……

 

 

 

 

 

「じゃあキャンディ」

 

「え?キャンディって、で?それともい?」

 

「どっちでもいいんじゃねーか?」

 

 日野が思考タイム中なので、手持ち無沙汰になった俺たちはしりとりをして時間を潰していた。

 

「じゃ、いって事でイタ「わかったでぇ!!」チ、え、ほんと?」

 

「これや!父ちゃんの隠し味!よし!いっちょ作ったるでぇ!」

 

 どうやら日野は無事、答えに辿り着いたらしい。直ぐにお好み焼きを焼き始めた。

 

「あかねー、隠し味ってなんだったの?」

 

「よく聞いてくれた!あんな、比企谷の話がヒントになったんやけど、何を作るかやなくて、誰に作るかっていうのが大切だったんや」

 

「ウチは父ちゃんの味の事しか考えてへんかったけど、お母ちゃんの話もウチがお母ちゃんに元気になって欲しくて作ったから美味しく感じたんや。小町ちゃんの話も愛情やって気持ちのひとつや、食べる人の事を考えるから結果的に出来も良くなる」

 

「父ちゃんのお好み焼きも同じやったんや、お客さんの事を考えて美味しく食べて欲しい、元気になって欲しい、そういう気持ちをぎゅうぎゅう詰めにして作るからお客さんを笑顔にするお好み焼きが出来るんや!この事に気づけたんはみんなのお陰や、本当にありがとうな!」

 

「どういたしまして、でも一番頑張ってたのはあかねだよ」

 

「ええ、私たちが手伝わなくてもあかねさんなら、いずれ気づけたと思いますよ」

 

「まぁ、なんにしても助けになったのなら良かったよ」

 

 れいかや緑川の言うように一番頑張ってたのは日野だし、いずれ一人でも日野ならこの事に気づけたのは確かだと思う。ただ、それでも俺達がしたことが日野の助けになったのならそれが何よりだ。

 

 

「よっしゃ完成や!名付けてあかねちゃんスペシャル!」

 

 完成したお好み焼きはネーミングはともかく、見た目は美味そうだ。

 

「最初はみんなで食べたいし、このあかねちゃんスペシャルと出店の補充持ってみゆき達のとこに行こか!」

 

「そうだね、みゆきちゃん達を驚かせちゃおうか」

 

「きっと喜んでくれますよ」

 

 こうして俺たちは、完成品と補充分のお好み焼きを持って商店街のイベント会場へ向かうのだった。




げんきくんの口調ムズい、感覚的にあかねちゃんよりも訛りが強く感じます。

次回バトルでラストです。


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