俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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お知らせ。
前話とその前のお話のキャンディの大きな声の描写を修正して、文字拡大や震えを無くすことにしました。

ご了承くださいませ。


(3)

 どうにかしてキャンディに早く追いつく策を考えねーと……

 

「あ、ポップに連絡するのはどうかな!」

 

 おお、確かにそれなら!

 

「それや!……いや、やっぱ無理やったわ。デコルデコールはキャンディが持ってるやん……」

 

 へぇ、そうだったのか……え?何処に持ってんの?

 

 

 

 

 俺たちは机に定規の橋を架け、キャンディが飛び出して行った窓際へとやってきた。

 

「あれ?キャンディだ」

 

 星空の視線を辿り下を見ると草むらにいるキャンディを見つけた。まだキャンディは遠くへは行っていなかったようで、俺たちの居る窓の、すぐ下にある草むらで俺達を探しているようだ。……あれか?俺が教室にみんなが居るって行ったからあまり離れないようにしてるのか?

 

「……キャンディが彼処に居る間に間に合うかな?」

 

「少し、厳しいか?」

 

 何時までも彼処にキャンディが留まっているとも考えづらいしな……

 

「むー、お空が飛べたらいいのに、はっぷっぷー」

 

「……あ!みゆきさん、それです!」

 

「えっ?!なにっ?!………どれ?」

 

「ふふっ、ですから、空を飛べばいいんです」

 

 そう言って、れいかはスマイルパクトを取り出すと昨日手に入った、かさデコルをセットした。すると……

 

 \レッツゴー!カ・サ!/

 

 スマイルパクトから光と共に各員を象徴する色の傘が飛び出してきた。因みに色は、星空がピンクに日野がオレンジ、黄瀬は黄色で緑川は緑、そしてれいかは青だ。……俺?普通に黒だわな。

 

 まぁ、そんな事は置いといてもっと重大な事がある。

 

「えなに?コレって変身以外にも使えんの?」

 

「あ、そういえば八幡君の前でこのようにして使うのは、初めてかもしれませんね」

 

 へぇ、結構便利なもんなんだなぁ……

 

「………ねぇ、れいか」

 

「どうしました?」

 

「……まさか、この傘で?」

 

「はい!映画の中みたいですよね」

 

「無理無理無理無理!あかねぇ!」

 

 おー、まさか緑川も親友に裏切れるとは思はなかったんだろうな……つか、高所恐怖症だったんだな。定規の橋を渡ってる時から薄々そうかもとは思っていたが……

 

「ちょ?!まっ?!なお!あかん!?」

 

『あっ……』

 

『ああああああああぁぁぁぁぁ!!』

 

 緑川が日野に勢い良く抱きついたせいか、日野はバランスを崩して、二人仲良く落ちていった……まぁ、かさ開いてたし大丈夫だろ……多分。

 

「では、私達も行きましょうか!」

 

 れいかは俺の手を取ると緑川達の後を追うように飛び降りる。すると、当然手を繋いだいた俺も引っ張られるように飛び降りることになる。

 

「うおっ?!」

 

 ………ん?落ちる恐怖に一瞬目を瞑ってしまったが、特に風を切る感覚を感じない。ゆっくりと目を開けると、傘がしっかりとパラシュートの様な役割を果たしているのか、予想以上にゆっくり、ゆっくりと、キャンディの元へと落ちていっていた。視線を下に向けると緑川達も抱き合いながらゆっくりと降下していっている。

 

「予想はしていましたが、こんなにもゆっくり降りられるなんて……本当に映画の世界にいるようですね!」

 

「……ま、まぁ、そうだな」

 

 輝く様な笑顔で言われると直視出来なくて困る……

 

 傘で風を受け飛んでいる姿は幻想的で本当に妖精に見えそうな気さえする。

 

 

 

 ゆっくりとキャンディに近づいていき、丁度キャンディの頭の位置に差し掛かった時だった。

 

「おーい!キャンディ!」

 

 星空がキャンディに大声で呼び掛ける。

 

「クル!みゆきの声クル!」

 

 お、ここまでして漸く気付いたか……なんかどっと疲れが出そうだぜ……

 

 漸くキャンディが気づいてくれて元に戻れると安堵した瞬間だった。

 

「何処クル?!」 ブワッ!!

 

「うっそだろ?!」 『きゃーっ?!』

 

 星空の声に反応して勢いよく振り向いたキャンディ。しかし、ただ振り向くという動作が起こす風でさえ小さくなった俺達には突風の様なモノであった。

 

 キャンディが勢いよく振り向いた時に起こった風を、傘が受け止めてしまい俺たちは吹き飛ばされてしまった。

 

 しかも、れいかと繋いでいた手さえ離れてしまう。

 

「あっ!れいか!」 「っ!八幡君!」

 

 吹き飛ばされる中、お互い必死に手を伸ばすがその手を取ることは叶わなかった。

 

「八幡君!?」

 

 更に運の悪い事にどうやら俺だけ飛ばされる方向が少しズレてしまったらしい。徐々に離れていく中で此方に手を伸びしているれいかの悲痛そうな顔に胸が傷んだ。

 

 

 

 

 

「いっつつつつ……まさか俺だけはぐれるとはなぁ」

 

 吹き飛ばされて地面に落ちたものの、特に怪我といった怪我はなかった。キャンディに吹き飛ばされる迄にだいぶ高度を落としていたのと、俺自身が今は相当軽いからなんじゃないかなんて推測してみたり……

 

 まぁ、俺の事なんかはさておいて、れいか達は大丈夫だろうか?別れ際のあの顔を見るに今頃相当心配してくれているような気がする。

 

 れいかに心配を掛けてしまうことに胸が痛み心苦しく感じている事は事実だが。その反面、俺の為にあそこまで心を動かしてくれているのだと思うと少しだけ嬉しく思ってしまう自分もいるのだ。

 

「何はともあれ早く合流しよう」

 

 合流するにもまず、れいか達が何処に居るのか分からないことには迂闊に動けねーな……

 

「どっか高い草にでも登ってそっから見てみるか?」

 

 ガサッ!

 

 手頃な草はないかと周りを見渡していると直ぐ後ろから草をかき分けるような音が聞こえた。

 

「っ?!なんだっ!?」

 

 振り向くとそこには草を齧っているバッタがいた。

 

「なんだバッタか……驚かせないでくれよ。………にしてもでけーな。苦手って訳ではないがこうもデカいのをマジマジと見るとなるとなんかキモイな……」

 

 草を齧っている口元なんか特にわしゃわしゃと動いていて嫌いな人はまじで無理だと思うぞ……

 

 

 

 気を取り直して目に付いた草を登ろうとした時だった……

 

 突如影が掛かったかと思うと上から蝶が降ってくる。いや、蝶だけでなく先程草を食んでいだバッタやどこかに隠れていたのか蟻やてんとう虫等も一様に倒れてしまっている。

 

 上を見上げるとその理由がはっきりとした。そこには空間の所々にに蜘蛛の巣がかかっている。またそれだけでなくどことなく重苦しい雰囲気までもが漂い始める。

 

「これってマジョリーナのバットエンド空間じゃねーかよ……!」

 

 あんな小さくなっている状態では戦いにならないんじゃないだろうか?

 

「……チッ!急がねーと!」

 

 俺がいた所で何か変わる訳でもないだろうが、俺の知らないところでれいかが傷付くのは耐えられねぇ!

 

 

 

 

「くそっ!何処なんだ?!」

 

 先程は勢いで駆け出してしまったが、どこに向かえば良いのかも分からないことに気づいてしまった。

 

「……ふう、落ち着け。こんな時こそ冷静にだ」

 

 はやる気持ちを押さえ込み、耳を澄ませる。今はバットエンド空間に包まれているため音を立てるような物はこの周辺にはプリキュア達とマジョリーナくらいだろう。

 

「………よし、こっちか!」

 

 微かに聞こえた音の方向に向かって駆け出していく。

 

 

 

 

 

 急な運動で痛む脇腹を押さえながら、れいか達の元へ急ぐ。だいぶ近づいてきたのかもうマジョリーナの顔が見える位の所にまでやってきた。

 

「……はぁ、はぁ、もう少しだな。……おっ!?」

 

 マジョリーナを睨みながら息を整えていると足元から空き缶がマジョリーナの顔面に直撃していた。

 

「……やってるな」

 

 小さくなっていても戦えている事に少し安心する。

 

 そしてまたれいか達の元へ駆け出そうとした時だった……

 

 

「悔しいだわさ!悔しいだわさ!悔しいだわさ!」

 

 マジョリーナは足をばたつかせながら悔しがる。マジョリーナからしたらただ悔しがっているだけなのだろうが小さくなっている俺からしたら大地震が起きているようなものだ。立っていることすらままならない。

 

「ん?」

 

 マジョリーナは何かに気付いたのか悔しがるのをやめると、ただ足をばたつかせる。

 

「くっ……立ってられん」

 

 体を地面に倒し、草を支えにして、マジョリーナが起こす揺れに耐える。

 

「あー!?ちっちゃいんだからアカンベェ出さなくても倒せるだわさ!」

 

 ん?さっきまで戦ってたんじゃなかったのか?

 

「纏めて叩き潰してやるだわさ!」

 

 マジョリーナは何処からか手にした見覚えのある木槌を振り上げるとそれを思い切り叩きつけた。

 

 ピカァ! 「……あっ」

 

 マジョリーナの手にした木槌から目を開けていられないほどの光が放たれる。

 

 光が収まり目を開けると、そこには元の大きさに戻った五人のプリキュアの姿。

 

「やったぁ!元に戻った!」 「しまっただわさ!?」

 

「やはり、あの光をもう一度浴びれば元に戻れるようですね」

 

「くぅぅ!生意気だわさ!こんなもの!」

 

 マジョリーナは自分の失敗に余程頭きたのか、木槌を遠くに投げ捨てると消えてしまった。

 

「今回俺は何もしてないが、これで一件落着かねぇ……」

 

「ああ?!そんな……」 

 

 その時だった。俺が安堵の息を履いた瞬間、ビューティの悲鳴じみた声が響き渡る。

 

「ビューティ?どうしたの?」

 

「……八幡君が、まだ見当たりません」

 

「え?!」

 

「八幡君が、まだ小さいままなんです!それなのに、チイサクナールが……」

 

 ……確かに。そういえば俺、まだ小さいままじゃん!?

それなのにあのクソ魔女。元に戻るための木槌を投げ捨てやがったな……

 

「ビューティ!一旦落ち着いて、今はまず小さいままの比企谷を探さなくちゃ!」

 

「あ……そう、ですね……はい!まずは八幡君を探しましょう」

 

『うん!』

 

 五人は変身を解くと俺の名前を呼びながら探し始めた。

 

 ……ここまで身長?に差が出ると俺の声は聞こえねーだろうな……なんかそこら辺の草でも揺すってみるか。

 

 丁度良く、れいかも俺がいる近くを探している。

 

 ほっ!ふんっ!はっ!

 

 結構揺するのって大変だな……明日筋肉痛になりそうだわ。

 

「え?草が急に……八幡君ですか?!」

 

 草をかき分け、覗き込んできたれいかと視線が合う。

 

「ああ……良かったです……無事だったんですね」

 

 れいかの手に救い上げられるように持ち上げられる。

 

「本当に良かった……とても心配したんですよ」

 

 うっすらと目元に涙を滲ませるれいかに俺は何も言えなくなる。

 

 

 

 

 

「こんな状態だとあれかもだけど見つかって良かったよ。あんなれいかはこっちが見てられなかったからね」

 

「もうなお!///」

 

 みんなあつまって来たので、これからの話し合いが始まるんだと思ったが早速じゃれあいが始まった。照れれいか可愛いな。

 

「……ねぇ、もうすぐ暗くなっちゃうけど比企谷くんはどうするの? 流石に今日はもうチイサクナールは探せないよね?」

 

「あ、そうだよね小町ちゃんに連絡する?」

 

 あー……小町なぁ。

 

「実は今、家に小町いないんだよなぁ……」

 

「え?!なに?小町ちゃんいないん?喧嘩でもしたんかいな?」

 

「いや、普通に親の方の家に明日まで泊まりに行ってんだよ。帰ってくるのは早くて明後日だな」

 

「え?じゃあ比企谷くん、家に帰っても一人?て言うか帰れるの?」

 

「……まぁ無理だな」

 

「えぇ!?じゃあ比企谷くん、小町ちゃんが帰ってくるまでどうするの?」

 

 どうすっかなぁ……

 

「……私が八幡君の面倒をみます」

 

『え?』

 

「ですから、私が八幡君の面倒をチイサクナールが見つかるまでみます」

 

「れいか……マジか?」

 

「ええ、元々は私が八幡君に協力をお願いしようとしたのも原因のひとつですし……それに何より」

 

「何より?」

 

「私は八幡君の彼女、ですから♪」

 

 oh......

 

 

 

 

 

 

とぅーびーこんてにゅー………

 

 

 




前回バトルと言ったな……あれは嘘だ!

あ、すいません。でも八幡君が現場に向かって走っている間にれかちゃん達はバトってるんで一応バトル回なんじゃないかな?かな?

第11話はこれでおしまいです。……と、いうことは?
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