俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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最近9時頃に急に眠くなってくるのを何とかしたいです

もう意識がバリバリに飛ぶんですよね気づいたら1時とかザラですよ……



(3)

「では、そろそろお風呂にしましょうか。八幡君、行きましょう」

 

 

 

 …………んんんん?!!

 

 

 

 呆然としている俺をよそに、れいかは俺の目の前に手を差し出して来た。

 

「さぁ、乗って下さい」

 

 れいかに促されるままに、手のひらへ乗ってしまう。すると、俺を乗せたままその手を首のすぐ横まで近付ける。

 

「お母様達とすれ違う事もあるかもしれませんが、その時は私の髪の中に隠れてください」

 

「……おう、わかった」

 

 返事を返しながら首元へ乗り移る。この位置はほぼ全方位をれいかに囲まれているので、れいかの甘い香りに自然と呼吸が深くなってしまう。……まぁしょうがないよな。

 

「掴まりましたか?それでは行きますよ」

 

 一度、俺に声をかけるとれいかは先程持って来ていた籠を持ち、歩き出した。

 

 

 

 れいかは一つの扉の前まで行くとそこで止まった。どうやら風呂場に着いたようだ。れいかは壁に掛けてあった【入浴中】とやけに達筆な字で書かれた札を扉に掛けて中に入る。 

 

 れいかの肩の上から家の中を見ながら風呂場までやってきたがここまで来るのに俺の家の二倍以上に長い廊下を通って来た。全体をゆっくりと見た訳では無いがやはりれいかの家はかなりの大きさらしい。

 

 扉の中は脱衣所になっていたようだ。磨りガラスの扉もあるのでその向こうが浴室なのだろう。

 

「では、ここで降りてもらいますね」

 

 そう言って手を近付けてくれるので、また乗り移る。そのまま手の上から洗濯機の上に降ろしてもらった。

 

 れいかも持ってきていた籠からタオルや着替え等を取り出していく。

 

 入浴の準備が整ったのか、れいかは俺の事をじっと見た後に、頬を染めて……

 

「……その、八幡君。あまりじっと……見つめないで下さいね///」

 

 ……強烈な台詞をぶち込んできた。

 

「なっ……///はっ///」

 

 そしてそれに返答する間もなく、れいかは服を脱ぎ始めていた。

 

 シュルッ……

 

 ネクタイを解く音すら、今は艶めかしく感じる……

 

 今……俺の目の前では同級生が服を脱いでいるのだ。一度、一緒に風呂に入り、お互いに生まれたままの姿を見せ合ったとはいえ、それは体が入れ替わっていた時の事だ。

 

 出来るだけ自分(れいか)の体は見ないように気を使っていたし、あの時は俺がれいかだったのだから、自分の着替えを客観的に見ることなんて無かった。

 

 しかし……今は違う。

 

 パサっ  シュッ

 

 

 俺の目の前では、上着は脱ぎさり、スカートをおろして、淡い青色の下着姿となったれいか居るのだ。れいかはあまり見つめないでくれと言っていたが、そんな事は無理だった……俺は未だに、れいかから視線を逸らせないでいる……

 

 そこで俺の視線に気づいたのか、れいかと目が合った。

 

 れいかはクスリと笑うと、俺の方に顔を寄せて……

 

「もう///そんなに見られてしまうと恥ずかしいです。そ・れ・に、八幡君も早く脱いで下さい。私が脱ぎ終わったら今度は貴方の事を私がじっと見つめてしまいますよ?」

 

「ちょっ///そっ、待っ///」

 

 驚きで言葉にならない俺をよそにれいかは既にブラのホックに手をかけていた。俺がれいかにしてしまっていた事とはいえ、今度は俺がれいかにじっと見つめられながらの脱衣なんて考えただけでも頭が沸騰しそうになる。

 

 

 

 急いで服を脱ぎ捨てると、丁度れいかは胸元にタオルを当て用意を終えた所の様だった。

 

「あら、間に合いませんでしたか……やはり男性の服の方が脱ぎやすいんですね」

 

 どうやら何とか間に合った様だ。ただ、れいかが持っているようなタオルを俺も欲しかったりする。……ほら、自己主張しちゃうとことかさ、隠したいし……

 

「れいか、図々しいかもしれんが、なんか俺にもタオルみたいなのないか?」

 

「…………ええ、ガーゼで良ければ、折って使えば丁度いいサイズになるのではないでしょうか///」

 

 少し視線を逸らしてガーゼをさしだしてくるれいか。少し赤面しているが理由は聞かないことにした。……いやだって一瞬視線が下がったのわかったし……///

 

 俺がガーゼを巻き終わったところで、れいかが手を差し出してくる。

 

「それでは参りましょう」

 

 差し出してくれているれいかの手に乗り移る。もう躊躇はあまり無くなっていた。……限界を超えたとも言うが。

 

 

 

 浴室はThe和風というような感じだ。床はタイル張りで、浴槽は木で造られている。コレって(ひのき)風呂なんじゃねーの?

 

「実は八幡君の為に、とっておきの物を用意しておいたんです」

 

 そう言ってれいかが籠から取り出したのは漆器のお椀だった。

 

「……それって、もしかして俺用の風呂か?」

 

「ええ、正解です!私が前に使っていたお椀なのですが、今の八幡君には丁度良いサイズだと思って持ってきたんです」

 

 確かにこれなら俺もゆっくり浸かれそうだな。

 

「お気に召していただけましたか?」

 

「勿論だ。わざわざありがとな、れいか」

 

「それならよかったです!では、掛け湯をして先ずはお風呂に入りましょう」

 

 

 

 

 くるくる、ぷかぷか

 

「……やはりお湯に浸かるのは気持ちいいですね」

 

「……ああ、心の洗濯なんて言うくらいだしなぁ」

 

 くるくる、ぷかぷか

 

「ええ、それに……八幡君が一緒というのもあるのかもしれません。まさかこんなにも早く、また御一緒出来るとは思ってもいませんでしたもの」

 

「それは俺もだ。でも……悪くはないなぁ」

 

「………その言い方はちょっと納得出来ません」 つんっ

 

 くるくるくるくるくるくる

 

「あ、いや訂正する!嬉しいから、またれいかと一緒に風呂に入れて嬉しいよ!ちょっと気恥しかったんだよ!だから突っつかないでくれ!」

 

 俺の乗ってるお椀がくるくる回る回る……

 

 ザパッと、回っていたお椀が持ち上げられ、目の前には少しだけ頬を膨らませたれいかの顔。

 

「反省しましたか?」

 

「……ああ、でも恥ずかしいものしょうがないだろ?」

 

「………確かに少し、やり過ぎてしまったかも知れません。私は貴方のそんな所も含めて……好きになった訳ですし///」

 

 急にそういう事言うし///

 

 

 

 

 

「体も温まりましたし、そろそろ洗いましょうか」

 

 俺の入ったお椀を持ち、れいかは湯船から上がる。

 

「先ずは頭からですね。八幡君、少し待ってくださいね」

 

 お椀をリンスやボディソープ等の隣に置くと、シャンプーを手に出し髪を洗い始める。泡立ってくるとその泡を指で掬って俺の頭に乗せてきた。

 

「はい、八幡君の分です。その大きさだと原液では少し多い気がしたので、今日は私の泡で洗ってくださいね」

 

「……ありがとう」

 

 いつもこのシャンプーでれいかは髪を洗ってるのか……じゃあ何時も、れいかからする甘い香りってこのシャンプーの香りなのか?それにしては少し甘さが足りないような……

 

 

 

 

 

「最後は体ですね」

 

 れいかはボディタオルで泡を立て始める。そしてまたそこから少量泡を取ると俺に分けてくれる。

 

「はい、これが八幡君の分です。あ、そうです!後ろを向いてください。今日は私がお背中をお流ししますね」

 

 半ば無理やり背中を向けさせられるが、優しく、両手の人差し指で背中を洗われる。

 

「どうです?気持ちいいですか?」

 

「んっ!……ああ、良いな」

 

「ふふっ、なら次の時は八幡君が私の背中を洗ってくださいね♪」

 

「……っ///」

 

 

 

 

 

「はぁ〜……いい湯でしたね」

 

「……ああ、少しのぼせ気味かもしれんがな」

 

 どうしてのぼせたとは言わんが……

 

「まぁ、でしたら早く着替えてお部屋で休みましょう」

 

 れいかは体を手早く拭くと、髪を纏めて白の下着を身に纏う。青の寝巻きに袖を通してボタンを閉じればれいかの着替えは終わった。

 

「あ、八幡君の着替えはどうしましょう……流石に脱いだものを着せる訳にはいきませんし」

 

「別に今まで来てたのでもいいぞ?」

 

「いえ、それは私が洗濯をして明日の朝には、また着れるようにしておくのでそれまで待って下さい」

 

 それじゃあ……

 

「さっきのガーゼでいいぞ。折らないで体に巻きつければ簡易的な服の代わりにはなるだろ?」

 

「そうですね……。では、申し訳無いですが今晩はこちらでお願いしますね」

 

 濡れていない新しいガーゼを受け取り体に巻きつける。れいか的には納得がいって無いようだが、ないものはしゃーないしな。

 

 

 

 

 

 

 

 今はまた、れいかの部屋に俺一人でお留守番状態だ。れいかは俺の服の洗濯などしてもらっている。ありがたや、ありがたやだ。

 

 そして先程の暇を持て余していた時とは違い、今回はれいかに言って園芸の本を出しておいてもらった。この前、秘密基地を決めた時の事だが、あの時は結局殆ど教えて貰うことなく時間になってしまったので、今夜は寝る前にれいかに色々教えて貰いながら読むつもりだ。今はその予習として読んでいる。………

 

 

 

 

 

 

 

side:れいか

 

 

「八幡君をお待たせしてしまいましたね」

 

 洗濯を終え、乾燥機に入れたり明日の用意をしていたら予想以上に時間がかかってしまいました。クッキーの空き缶にタオルを詰めた、簡易的な布団を作っていたのも原因かもしれませんが……

 

 

  少しだけ小走りで廊下を進み、そっと障子を開けます。

 

「八幡君、お待たせしてしまいましたか?」

 

 一声かけて部屋の中に入りますがお返事がありません。

 

「……八幡君?」

 

 慌てて辺りを探そうとしましたが幸い直ぐに視界の中に入ってきました。

 

 私が出してあげた園芸指南の本に挟まれるようにして、丸まって眠っていたのです。どうやら読んでいた途中で寝てしまったようですね。

 

「……今日は色々な事があって疲れてしまっていたのかもしれないですね」

 

 私はそっと、起こさないように八幡君を抱き上げて、用意したタオルのベットに寝かせます。今日はもう私も寝てしまいましょう。

 

「……八幡君、明日には私が必ず、貴方を元の姿に戻して差し上げますね」

 

 小さくなってしまった八幡君の額にキスを落とし、私も布団に包まります。枕元の八幡君の事を思いながら、ゆっくりと、眠気に身を任せました…………

 

 




今回はだいぶ前に書いたお風呂のお話のリベンジ的な部分もありました前の話よりも結構描写を濃くしたつもりです。まぁ、このくらいなら大丈夫でしょう…………大丈夫です、よね……?
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