俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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最近やっとスギ花粉が収まってきた気がします……あれ?収まって来てますよね?!

まぁ、油断大敵ですし花粉症が酷い場合はきちんと薬等を飲んで対策していきましょう!


(4)

「は……ん…ん」

 

 微睡みの中で何か声が聞こえた気がした。

 

「おき……だ…い」

 

 俺の好きな……いつまでも聞いていたい声。

 

「もう……しょ…が……んで………」

  俺はその声に誘われる様に、また深く沈んでいく…… むにっ

 

 ………むにっ?

 

 むにーっ!むにっむにっ!

 

 両頬を何かにこねくり回されている……って……

 

「……れいふぁ、やめふぇふれぇ……」

 

 流石の俺も、こんなにも頬をむにむにと押され続ければ目も覚める。

 

「……八幡君ってば、何度も呼んでいるのに全然起きてくれないんですもの」

 

 言っている間も人差し指で俺の頬を、むにむにと揉み続けるれいか。

 

「おひるからやめふぇくれ……」

 

 体を起こすと、漸く頬から指を話してくれた。

 

「ふふっ、すみません。八幡君のほっぺた。あまりにも触り心地が良くて、つい触りすぎてしまいましたね」

 

 起き上がりがけに気づいたが、どうやら俺が昨日寝落ちしたあと、布団のようにしたタオルに寝かせてくれたらしい。

 

「いや、大丈夫だ。それよりもありがとな、このタオル」

 

「喜んでいただけたのなら私も用意した甲斐がありますね」

 

 

 

 

 

 

「なぁ、ところで今って何時なんだ?」

 

 今のこの場所からだと絶妙に時計が見えない。それに今気づいたのだが、れいかはもう既に制服に袖を通していた。

 

「そうですね、七時手前と言った所でしょうか」

 

「なっ?!俺ってそんな時間まで寝ちゃってたのかよ……」

 

 普段だったら朝食も食べきって支度をしてるような時間だぞ……

 

「八幡君、食欲はありますか?朝食が用意してあるのですが……」

 

「え?そりゃもちろん食べたいが……時間とか大丈夫か?」

 

 そろそろ出発しないと花壇の水やりとか……

 

「……?ああ、八幡君はお忘れですか?花壇への水やりは昨日やったばかりじゃないですか」

 

 言われて思い出して見れば、確かに花壇の水やりを行ったのは昨日だった。

 

「……そうだったな」

 

「ふふっ、昨日は色々な事がありましたからね。確かに昨日の朝の事が少しだけ、遠くに感じる気もします」

 

 

 

「今日の朝食はご飯とお味噌汁にだし巻き玉子です」

 

 昨日の夕食と同じように小皿に盛り付けてくれている。

 

「……お味噌汁だけは汁物なので勝手に具材だけにしてしまいましたが、大丈夫ですか?」

 

 れいかは勝手になんて言っているが、れいかがそうしたって事は俺が火傷をしない様にとかの気遣いだろう。でも結構味噌汁は好きだから飲みたかったな……

 

「ああ、大丈夫だ。……でも、今度はれいかの作った味噌汁を飲ませてくれると嬉しかったりする……」

 

「………!はい!毎日でも作らせていただきますね!」

 

「ん?ああ、よろしく頼むわ」

 

「ええ!お任せ下さい!ふふっ……」

 

 なんだか急に機嫌の良くなったれいかに戸惑いつつも、美味しそうな朝食の良い匂いに負け、手を合わせる。

 

「それじゃあ、いただきます」

 

「……あっ、どうぞ。召し上がれ」

 

 

 

 

「ふぅ、ご馳走様でした」

 

 ……お腹いっぱいだ。れいかは昨日の夜、俺が食べた量を覚えていてくれていたのか、今日の朝食は丁度良い量で無理することなく食べ切る事が出来た。

 

「今日も美味しそうに食べていただけましたね」

 

「まぁ、実際美味いからな」

 

「ふふっ、八幡君のお口に青木家の味が合うようで良かったです」

 

 

 

 

 

 

 今俺はれいかの肩の上に座り、話しながら登校している。

 

「今日中には必ずチイサクナールを見つけたいですね」

 

「……そんなに焦らなくても俺は大丈夫だからな。授業だって今日もある訳だし」

 

 れいかは、俺だけ元に戻れなかった事への負い目を感じているのか、少し肩に――比喩表現の方の肩だが――力が入りすぎている気がする。このままだと授業中に抜け出してでも探しに行きそうな雰囲気だったので一応釘を刺しておく。

 

「……ですが、八幡君もそのままでは生活し(にく)いですよね?」

 

「……まぁ、それもそうだが俺はそんなにこの体も悪くはないと思ってるぞ?流石にずっとこのままってのは厳しいが、今はれいかにサポートしてもらってそんなに不自由してないしな」

 

 まぁ、結局はれいか頼りになってしまっている訳だが……

 

 

「……そうですか?そう思っていただけるのなら幸いですが……でも休み時間にはできるだけ探しますね。私も早く元に戻った八幡君に触れてもらいたいですから」

 

「……お、おう///」

 

 れいかの言葉って真っ直ぐだから、何時も反応に困ってしまう。……まぁ、嬉しいんだけどさ///

 

 

 

 

 

 

 

「れいか、比企谷、おはよう!」

 

 学校に着いたので、HRまでの間に少し探していると朝練終わりの緑川に声をかけられた。

 

「あらなお、おはようございます」

 

「おう、おはよう相変わらず緑川は早いな」

 

「まぁね、二人はチイサクナールを探してるの?」

 

「ええ、少しでも早く、八幡君を元の姿に戻してあげたいですからね」

 

「そっか、でもここら辺はアタシが朝練の前に探したから無いと思うよ?」

 

「マジか、緑川も探しててくれたんだな……」

 

 朝練の前って事は、結構早くに来て探してくれたんだろう。

 

「ちょっと比企谷ぁ、その言い方ってまるでアタシが探してた事に驚いてるように聞こえるんだけど?」

 

「……いや、普通に驚いてるわ」

 

「なお、八幡君はなおが探していた事ではなくて朝練の前に探してくれた事に驚いてるんですよ?……ですよね?」

 

「……あ、ああ、れいかの言う通りだ。わざわざ早くに探してくれたみたいでありがとうな」

 

「あ、そういう事ね。でもそこは気にしなくてもいいよ。朝練があったから、アタシの探せる時間はその前くらいしか無かっただけだしね。……あ、もうすぐ予鈴がなるよ。アタシは着替えてから行くから二人とも早く教室に行きな」

 

「もうそんな時間でしたか、なお、ありがとうございました」

 

「それじゃあ緑川、先に言ってるぞ。改めてありがとな!」

 

 声が届く様に、少しだけ声を張ってお礼を言いれいかと二人で教室に戻った。

 

 

 

 

 

 

 時は経って放課後。

 

 休み時間、昼休みには星空を始め、プリキュアメンバーも加わりみんなでチイサクナールを探したが結局この時間になっても見つからないでいた。

 

「……見つからないね。チイサクナール、ほんとにどこに行っちゃったんだろ」

 

「なんや探し物が見つかる秘密道具でもあればええのになぁ」

 

 秘密道具なぁ。俺からしたら、もうスマイルパクトが秘密道具見たんなもんだよな。

 

「ね~、どこでも〇ア~みたいな感じで、チイサクナールのある所へ!って」

 

 んん?!あるじゃん!どこでもド〇じゃないけど、似たようなもんが!

 

「なあ!本の扉って使えないか?」

 

「あ、確かに使えそうですね。チイサクナールに一番近い本棚が分かれば必然的にその周辺にチイサクナールがある訳ですし」

 

 

 

 

 

 という訳で早速やってみようか。扉はれいかに開けてもらう事にした。

 

「……チイサクナールに一番近く、周りに人が居ない本棚へ」

 

 確かに近くに人がいない方がいいよな。突然本棚から人が出てきたら通報ものだろ……

 

 

「あれ?ここって……」

 

 本の扉を潜った先は校長室だった。周りの壁には歴代校長の顔写真が飾られている。

 

「……なんで校長室?」

 

「この窓の外にあるってことなのかな?」

 

「いえ、校長室の外は既に探している筈ですが……」

 

「じゃあ校舎の中ってことなの?」

 

 校舎の中か……その可能性は考えてなかったな……

 

「校舎の中……そうですね。もう一度本の扉を使って確かめてみましょう」

 

 

 

 

 

 

 という事で一旦、不思議図書館に戻ってきた。

 

「チイサクナールに一番近く、周りに人の居ない、校長室以外の本棚へ」

 

 本の扉って便利だな……もう検索ツールみたいになってるじゃん……

 

 

 

 本から溢れる光に吸い込まれるようにしてたどり着いた場所は……

 

「……ここは社会科準備室でしょうか?」

 

「ウチ初めて入ったわ」

 

「わたしも!」

 

「ここは基本的に授業の準備で必要な物がある時くらいにしか入らないですし」

 

 俺も初めて入ったわ……結構埃っぽいのな。

 

「でもここに出たって事はここの近くにあるのかな?」

 

「近くっていうよりも、ここと校長室の(あいだ)にあるんじゃないの?」

 

 間か……何があったっけな?

 

「正確に間……という訳では無いですが職員室ですかね。この準備室の真下が職員室でその隣の部屋が校長室ですし……」

 

「職員室かぁ。じゃあもしかしたら落し物で届いてるのかもしれないね!」

 

『あ』

 

 

 

 

 「はい、ありがとうございます。以後気を付けます

 

 ガラッ

 

「失礼しました」

 

 一礼して職員室かられいかが出てくる。

 

「ありました!落し物として届いていたようです。最初は生徒会に届けられていたそうなんですが……確認を怠っていました……」

 

 少し落ち込み気味のれいかの手には、確かに見覚えのある木槌が握られていた。

 

 

 

 他の生徒達に見られないようにと図書室から不思議図書館にまた戻ってきた。

 

「これでやっと八幡君を元の姿に戻せますね!」

 

「良かったね、れいか」 

 

「ええ!では八幡君、行きますよ。大きくなーれ」

 

 ピカッ!!

 

 強い光に、一瞬視界が白く染まる。ゆっくりと目を開けると、目の前には不思議そうな顔をしたれいか。

 

 れいかは直ぐにその顔を歪めると俺の胸に飛び込んでくる。

 

「八幡君!!」

 

「おっと!?……ありがとなれいか」

 

 れいかを受け止め、俺の胸で震えるその髪を優しく撫で付ける。

 

「本当に……本当に良かったです……」

 

 濡れるワイシャツに気付かないふりをしながら……

 

 

 

 

 

 

 

 

「これでやっと一件落着やな」

 

「……でもまさか落し物で届けられてるなんて思わなかったなぁ」

 

「ほんとにびっくりだよね!」

 

「れいかもあんなに嬉しそうにして……見つかってよかった」

 

「……まぁウチらは結局いつも通り、最後は空気なんやけどな」

 

「……あかね」

 

「ん?」

 

「……それがいいんじゃん」

 

『………………』

 

 




劇中の茶番

八幡「今度また味噌汁飲ませてくれよ」

れかちゃんフィルターON!

八幡「俺に毎日味噌汁を作ってくれないか?」

れかちゃん「喜んで!!」
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