ゆっくり丁寧に書いていこうと思います。
(1)
修学旅行……読んで字のごとく学を修める旅行だが、
……まぁ、俺もその一人である自覚はあるので、何か噛み付く様なことはしないがな……
「お兄ちゃーん?なーにをそんなにブスっとした顔でテレビなんて見てるのさ?せっかく明日から行く京都の旅番組やってるんだからもうちょっと楽しそうな顔して見れないの?」
「うるせぇ。俺のこの顔はブスっとしてる訳じゃなくて通常時でこの顔なんだよ。この顔だってな眼鏡を掛ければ【何か物憂げな顔】って言われるんだよ……たぶん」
いや、マジで最近れいか達のお陰で目の澱みが少しはマシになってきたらしく、初対面の相手に怯えられる事が減ってきた気がするんだよな……
「じゃもう常時掛けてなよ……」
「いやそこは……なっ?れいかがそのまま俺の方が良いって言ってくれるし///」
最近は学校でもたまに掛けている時もあるが、れいかは二人きりになると眼鏡を外す様にいつもお願いしてくる。
「ハイハイ惚気け話ご馳走様ですー」
小町が冷たい……前はあんなにれいかとの話をせがんで来てたというのに……
「っていうかお兄ちゃん、明日の準備はもう大丈夫なの?出発前になってから慌てる事になっても小町は手伝わないよ?」
あー、準備か……あ……
「やべぇ……財布入れてなかったわ……」
「……お兄ちゃんなにやってんの……まさかお
「いや、流石にそれはねぇよ。そんな事したら格好悪過ぎだろ俺……」
「格好いいとか悪いなんてお兄ちゃんなんだから気にするものでもないでしょ?でもお義姉ちゃんってすっごい礼儀正しいし、良いところのお嬢様みたいだよねぇ」
「……気にはするわ。つーかれいかは実際良いところのお嬢様っぽいぞ?家は和風で庭付きだし結構デカかったし、れいかの母ちゃんも会った時は和服着てたしなぁ………あ」
「……ほうほう。家も知ってるし母親に挨拶も済んでると……もぉー、やだお兄ちゃん♪いつの間にお義姉ちゃんとそんなに進んでたの?もしかしてBとか?まさかCまで行っちゃってたり?!きゃー///!お兄ちゃんの誑し!」
コイツなにいきなりオヤジ臭ぇ事言い出してんだよ……
「小町ちゃん?ちょっと言葉がお下品よ?」
「いやん!小町としたことが……で?実際のとこどうなの?」
「だからいきなり真顔になるんじゃねぇよ……じゃ、俺は明日は朝早いし荷物の確認もしなきゃならんから、もう部屋に戻るぞーおやすみ〜」
「あー逃げたー。もう、帰ってきたら追求するからねー!旅行中の進展も期待してるからー!おやすみ〜」
小町のやつ、修学旅行中にそんな進展があったら風紀が乱れ過ぎだろ……
無事、小町の追求を
取り敢えず、この事は帰ってきた時の俺が何とかしてくれるだろ。今は忘れて明日の準備の確認をしておこう。
……結構危なかったな。財布だけじゃなくて、カメラとか替えのジャージも一日分足りてなかったわ。でもこれで足りないものは詰め直したし、荷物の再確認も終わったしで、後は寝るだけだな。これで明日寝坊しました、なんてなったら目も当てられないけど。
〜♪〜〜♪
「……くぅー!……ん!……くぁ」
目覚ましのアラームを止め、寝起きの体を伸ばして眠気を飛ばす。
「ん?メールが来てるな?」
『八幡君、おはようございます。明日は、いえもう今日ですか、今日は修学旅行ですね。楽しみで調べ物をしていたらこんな時間になってしまいました。学びも忘れずに楽しい旅行にしましょうね。』
「……お、おう。着信時間が二時十二分になってやがる。れいか大丈夫か?寝不足になってなけりゃいいが……」
まぁ、れいかなら大丈夫か?いや、でも眠いようだったら新幹線の中で少しは寝てもらうか。今日は九時半に東京駅に集合だし、それまでの鈍行で少し寝てもらうのもありかもしれないな。まぁ、東京駅までに会えたらの話だけど……
「一応返信しとくか……俺も、楽しみに、してるっと」
修学旅行だったとしても、やっぱり朝食は変わらねーもんだよな。
「あ、そだ小町」
「んにゃ?」
んにゃって……まだ寝ぼけてるのかしら?
「土産は食いもんでいいか?」
「あー……そだね。お兄ちゃんのセンスは期待するだけ無駄だし、それだったらちゃんと消費出来るものの方がいいもんね」
「小町ちゃーん?お兄ちゃん泣くよ?泣き腫らした目で修学旅行に行くよ?」
「え?マジでやめてよね……」
え?そんなガチで返す?
「……お、おう」
「じゃ、行ってくるから」
「ほーい、行ってらっしゃーい。お義姉ちゃんとの写真撮って来てねー。絶対だよー?」
「おーう覚えてたらなー」
まぁ、絶対撮って来るけどな。俺もれいかと撮りたいし……
小町に手を振ってから重たい荷物を担ぎ直す。やっぱ二泊分の荷物は重いし嵩張るな……
大荷物を担いだまま、家の前に横付けされた車の後部座席に乗り込む。
「ん?……ああ八幡、おはよ」
「おはよ、じゃあ母ちゃん駅まで頼むわ」
「オッケー。じゃ、しゅっぱーつ」
俺の修学旅行中は小町が家に一人になってしまう為、母ちゃんがこっちの家に戻って来ている。俺も荷物が多いのでついでに車で最寄りの駅までは送ってもらえることになった。
つか母ちゃんと会うのは大分久しぶりな気がする。
「そろそろ着くわよ。アンタと同じで送って来てもらう人が多いせいか普段よりも車も人も多いねぇ」
皆考える事は同じなのか、駅の前で車が列になっており大荷物の生徒が続々と車から降りてきている。
「ねぇ八幡?アンタの彼女いるー?」
「……いきなりだな。居るかもしれないがそんな「あ、見つけたー」………早ぇよ」
れいかは駅の中へと入っていく生徒たちからは少しだけ離れたところに立っていて、空の方をボーッと眺めている。……寝ぼけてる訳じゃないよな?
「小町に写真送ってもらってたんだー。いやぁ、写真でもわかってたけど実際に見ると凄い美人さんだねぇ。あんな綺麗な子、そうそう居ないよ?八幡、ちゃんと大事にするんだよ?それと後であたしにも紹介してねー」
そんな事を話していると車の列も進み、俺も降りられる所まで来た。
「あはは、見てよ八幡。彼女ちゃんに手振ってたら気付いてくれたよー。あたしが誰か分からなくて困惑してるみたいだけど」
「……そういう事は自重しろよ。はぁ……取り敢えずここまでありがとな」
「んー、楽しんで来なよー」
俺が降りると母ちゃんの運転する車はスイーっと他の車と同じ様に車列から
母ちゃんを見送り、駅の方へ歩き出すとれいかが手を振りながら近づいて来た。
「八幡君!おはようございます」
「おう、れいかもおはようさん」
「八幡君、先程手を振ってくださった女性の方はもしかして?」
「……ああ、母ちゃんだ。悪いな、急に手を振られて驚いたろ?」
「いえ、別にそこまででは。それに八幡君のお母様を知ることが出来たのでよかったですね。後で改めて紹介してくださいね?」
「……お、おう」
れいかにも言われちまった。こりゃマジで後で紹介しなきゃだなぁ……
「さぁ、それではホームに入って電車を待っていましょうか。時刻表ではもうすぐ来るようですし」
「そうだな、乗り遅れたら料金とか余計にかかりそうだし……」
ホームで待っているとそれ程待たずに電車がやってきた。
「けっこう丁度良い時間だったみたいだな」
「ええ、そうですね……はぁう……ふぁ。あ、すいません」
電車に乗り込むと珍しくれいかが大きな
「やっぱ少し眠いか?」
「ええ、すみません。昨日は楽しみでつい、夜更かしをして調べ物をしてしまいました」
やっぱ鈍行で少し寝てもらうか。
「れいか、この後乗り換えたら東京駅まで寝ちゃってもいいぞ?」
「いえ、でも悪いですし、私の落ち度なので……」
――なんて言っていたれいかも、流石に眠気には勝てなかったのか、乗り換えてから直ぐに俺の腕を抱き、肩に寄りかかるようにして眠ってしまった。れいかの寝顔は随分と久しぶりに見る気がする。そうして安心しきった様に眠る姿に癒されながら電車に揺られるのだった。……起きた時の反応をこっそりと楽しみにしながら……
八幡ママン初登場
名前の由来は鎌倉の御霊神社(ごりょうじんじゃ)です
やっと修学旅行開始ですね
名前:比企谷 御霊(ひきがや みたま)
一人称:あたし
ママンはこの先も偶に出てくる予定です