俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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ちょっとだけスピードアップ?


本文には関係ないですが
メルちゃんは諦めました。製品版で狩りたいと思います!


(9)

「わー!高いねぇー!」

 

「ここもよくテレビで見るとこやなぁ」

 

「テレビで見た所に実際に今いるっていうのも、なんだか感慨深いね」

 

 今日から各々のグループで好きな所を回るグループ行動だ。俺達はホテルから近場のバス停でバスに乗り、数分揺られて五条坂で降り、徒歩数十分、こうして清水寺にやってきた訳だ。

 

 今居るのは清水寺の本殿、通称清水の舞台なんて呼ばれている所だが、俺は昨日の渡月橋よりもこの清水の舞台の方がテレビでよく見る気がするから、実は今日を楽しみにしていた。

 

「……ここだと俺も少しわくわくして、アイツらの事をとやかくいえねぇなぁ」

 

 視線の先の四人は清水の舞台が見えてきたと同時に、俺とれいかを置いて駆け出して行き、今漸く追いついたところだ。

 

「そうですね。私も調べている時に知った事なんですが、この清水の舞台は様々な工夫で作られているようなんです」

 

 れいかも修学旅行前日の調べ物で興味を持っていたのか、俺同様にこの清水寺の観光を楽しみにしていたのが窺える。

 

「へぇ、そうなのか分かりやすいとことかあるか?」

 

「そうですね……それならこの舞台に少しだけ傾斜がついている理由についてはご存知ですか?」

 

「……いや、知らねぇな。どうしてなんだ?」

 

「実はこの傾斜、この舞台を雨から守る為にあるんです。この舞台は全て木で出来ていますから雨水が溜まってしまうとそこから腐っていってしまうんです」

 

「そういう事か……それで雨水が流れていくように少し傾斜がついてるのか」

 

「ええ、昔の職人の知恵ですね」

 

 よくもまぁ昔の人はこんな事を考えつくもんだなぁ……でもまぁ、そそっかしい奴とか運の悪い奴なんかはコケて転がり落ちたりなんかしたりな。……例えば少し前を歩いてる星空なんかも昨日の大凶のままだったら………ん!?

 

「あ゛っ?!」

 

「っとおぉ!?あぶねぇ!」

 

 段差に躓いて後ろに倒れ込みそうになった星空の背中を慌てて支える。

 

 危なかったわ……あのままだったら清水の舞台から転げ落ちてたんじゃねーか?……まったく考えた傍からコケんじゃねぇよ……

 

「あ、比企谷くん?ありがとう!」

 

「……おう、気を付けろよ」

 

「うん!あっ!あかねちゃーん!」

 

 

 日野の方へ駆けていく星空を見送りながら嫌な考えが頭を過る。

 

「……あの、八幡君?もしかしてみゆきさんは……」

 

 れいかも同じ考えに至ったのか不安そうな顔を向けてくる。

 

「……ああ、まだ大凶パワーが続いてるのかも知れねーな……」

 

 こりゃ少し星空の周りに注意しとかねーとかもな……

 

 

 

 

 

 

 清水寺の次は祇園に向かう。祇園までは徒歩でもバスでもそれ程掛かる時間に差が無いということで、俺達は徒歩で祇園まで向かうことにした。

 

「……なあ、ちょっと共有しておきたい事があるんだがいいか?」

 

 道中、さっさと話しておいた方が良いと思ったので早速星空の事を話す。

 

「――って訳で星空の周りに注意してやってくれ。特に星空、お前は自分自身の事なんだから尚更気をつけとけよ?」

 

「あはは……まさかそんなわけ……ない、よね?」

 

「……せやで比企谷、そんな大袈裟な……」

 

「……あははは」スイッ

 

「……わかった。気をつけておくよ」

 

 ……おう、緑川以外も目ぇ合わせろや……

 

 「昨日の事もありますし……私も出来るだけ注意を払っておきますね」

 

「もう、比企谷くんもれいかちゃんも心配性なんだからぁ?!ひゃあぁわぁぁ!?」

 

「みゆきぃっ?!」

 

「……言ってる傍から」

 

 星空は道端を流れる水路の様なものに思いっきり片足を突っ込んでいた。

 

「こっち向いて後ろ向きで歩いてるからだぞ……喋りながらでもいいから前向け前」

 

「……ひゃい」

 

 

 

 

 

 その後も星空の受難は続き……

 

「ひゃぁぁああ!?なおちゃーんっ!!たすっ、助けてぇ!!」

 

 散歩中の犬が急に星空を追いかけ始めたり……

 

 

 

 

「ぷぁあああ?!」

 

「み、みゆき……ちゃん?」

 

 土産物屋を覗いていると、積んであった商品が星空に向けて雪崩落ちてきたり……

 

 

 

「あえぁ、大凶だぁ……はぁ」

 

 さっきから連続で災難が振りかかっているせいか星空は若干振らついてる気さえする。

 

「大丈夫?みゆきちゃん」

 

「お祓いでも頼むか?」

 

 日野と緑川も心配そうに声をかけている。

 

「もう、大袈裟だなぁ。わたしなんともないよ?」

 

 それは無理があるだろ……

 

「本当に?大丈夫?」

 

「ほんとほんと!るんたった♪るんたった♪るんたった」

 

 星空は元気をアピールするかの様に調子外れのステップを踏みながら歩いていく。……え?ホントに大丈夫?頭とか打ったんじゃねーの?

 

 

 

 

 

「じゃじゃーん!」

 

「ここが祇園かー!」

 

「わぁ!なんか時代劇みたいだねぇ」

 

 諸事情に寄り予定の時間を少し過ぎてしまったが何とか祇園に辿り着く事が出来た。

 

「……いやぁ、何がとは言わねーけど祇園までよくもったもんだな……」

 

 この俺ですら、いつか怪我でもするんじゃねーかってはらはらしてたぜ……

 

「舞妓さん!舞妓さんと写真撮るの!」

 

 ……うわびっくりしたわぁ。黄瀬、急に元気になったぞ……そういやぁ新幹線の中でも舞妓さんと写真が撮りたいって言ってた気がすんなぁ……それでか。

 

「舞妓さんいないね?」

 

「何処におるんやろ?」

 

 舞妓さんなんてそう簡単に見つからねーと思うけどなぁ……

 

「みゆき!こんな時は口紅デコルの出番クル!」

 

 ……おん?今日キャンディ初めて見るな……まさかついさっき迄寝てたのか?

 

 \レッツゴー!ク・チ・ベ・ニ!/

 

 デコルによって出てきた口紅を塗り、着物とカツラを身に付けるとまるで舞妓……舞妓?の様な姿に……いや、つか今何処から着物とカツラ出した?

 

「さぁ、好きなだけ……撮るどすクル」

 

『……あ、うーん……』

 

「……あの、気持ちだけ貰っとくね」

 

「あ、お前らは撮らねーの?」カシャ!

 

 珍しいし、良い記念にはなると思うんだがな……絵面は置いておいて。

 

「……ま、まぁ、舞妓さんはいつもいる訳じゃ無いから」

 

「ええ、偶然会える事を祈るしかありません」

 

「運が良くないとダメってことか……」

 

「……まっ、舞妓さんらも一箇所に留まってる訳じゃ無いだろうし、俺らも祇園を回ろうぜ?そうすりゃそのうち会えるだろ……多分」

 

 ずっと舞妓さんを探してたのにすれ違ってましたなんて目も当てられないしな。意識してなけりゃ意外と直ぐに会えると思うしまぁ、物欲センサーってやつだよな……

 

「大凶の私が一緒だとみんなも舞妓さんに会えないかも……」

 

『えぇ?』

 

 おいおい、いきなり何言い出してんだよ……

 

「みゆきちゃん、考え過ぎだよ」

 

「でも……」

 

「でももヘチマもあらへん!みゆき、ここに居る中でそんな事考えてるのなんか一人もおらへん!」

 

「あかねちゃん……」

 

「みゆきちゃんが一人になりたいって言ってもアタシは絶対に着いていくからね」

 

「なおちゃん……」

 

「みゆきさん、見て下さい。私も八幡君も大吉です。それにやよいさんも、例え貴女一人が大凶でも私達がそれを補えばいいんです」

 

「……なんつーかさ、星空はもっと周りの奴らのことを信じてやれよ。お前を蔑ろにして気分の良い奴なんて誰も居ないぜ?」

 

「れいかちゃん……比企谷くんも……」

 

「そうだよ!みゆきちゃん一人を追い出して、万一舞妓さんに会えたとしても私、そんなの全然嬉しくないよ!」

 

「やよいちゃん……」

 

 星空は皆に言われた事を噛み締めるように下を向き、目元を少し擦ると顔を上げた。

 

「みんなごめんね!わたし、ちょっと弱気になっちゃってた。そうだよね、みんな一緒の方が楽しいよね!」

 

 やっといつもの星空らしくなったんじゃないか?星空は喧しくはしゃいでいてくれる方が見ていて安心出来る。

 

「それじゃあ改めて、舞妓さんを探しに行こー!」

 

『おー!』「お、おー」

 

 そうした和やかな空気を裂くように突如として空が赤く染まり、場が重苦しい空気に包まれる。

 

『っ!?』

 

「これはっ!」

 

「バットエンド空間クル!」

 

「なんで向こうさんもこんな所まで出張って来てるんだよ……!」

 

「もー!せっかく舞妓さんと写真撮ろうと思ってたのに!」

 

「しゃーない!みんな行くで!」

 

『うん!』

 

「あっちクル!」

 

 俺達はキャンディの案内にしたがってバットエンド空間の発生源へ向かうのだった。

 

 

 




みゆきちゃんはもう下を向きません!(タイトル回収)

アカオーニ……待たせたなやっと次回、お前に会えるよ……
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