まぁ安定の改編なんですが……
あとちょっとだけ普段よりも少なめ!ごめんね!
店に入ろうと暖簾を潜った先、急に現れた背中にぶつかりそうになった。
「ん?……緑川、店にも入らねーで突っ立ってたら危ねぇだろ。なんかあんのか?」
「あ、比企谷、それが……」
「なお?比企谷は……来たみたいやな。ちっと見てほしいんやけど……」
緑川の横から顔を出した日野に手招きされ店の中へ入る。俺の後に続いてなんとも言えない顔をした緑川と、俺と同じく状況が飲み込めておらずキョロキョロと周りを見回しながられいかも店に入ってくる。
「あの、何かあったんですか?」
「いや……、なんか見て欲しいものがあるらしいんだが……」
れいかに聞かれるが、俺自身なんでこんな店に入って直ぐの所で固まっているのか分からない。……つかこれマジで店側に迷惑そうだから早く教えて欲しいんだが……
「ほれ、あそこや。見てみぃ」
日野の指差す方を見てみると星空と黄瀬が見知らぬおばさん達と美味しそうにうどんを食っていた。
「……居るじゃんよ」
「あっ!みゆきさん、やよいさん!やっと見つけましたよ!」
れいかは星空達の元へ駆け寄っていく。
「え?って言うかお前らコレが見せたくて待ってたのかよ……さっさと声掛けて来ればいいんじゃねぇのか?」
「いやぁ、なんちゅーか……なぁ?」
「うん……ちょっとイラッとしたよね……」
「……おう、そ、そうか」
まぁ、あんなに必死に探してたのに探されてる方は呑気に飯食ってんだからちょっとイラッとくるよな……
「あ、れいかちゃん!」
「……れいかちゃん、やっと会えた!」
日野と緑川から目を逸らしれいかの隣へ向かう。
「おうお前ら、いったい何処に言ってたんだよ」
「比企谷くん、それは……えへへ。展示物に夢中になってたらみんなが居なくて……」
「……ごめんなさい」
「もう本当に心配したんですよ。止まる時は言って頂けたら止まるのでちゃんと言ってくださいね」
『……はい』
「まぁまぁ、嬢ちゃんも反省してるみたいやし、お説教もその辺にな。みんなが会えたことが一番やで」
「せやせや、無事に会えたみたいでホンマによかったわ」
「……うんうん」
「あなた方は?」
そういや星空達と一緒にうどんを食ってたけど、どんな関係なんだ?
「ウチらか?ウチらはたまたま嬢ちゃん達と会った、ただの大阪のおばちゃん三人組や」
自分で大阪のおばちゃんと言うだけあってかなかなかにクセの強そうな人達だ。
「いやぁーにしても嬢ちゃんもえらいべっぴんさんやなぁ!」
「あんちゃんも目付きは悪いけどきれぇな顔しとるわ!」
「あ、あはは」
「まぁ、はい」
何処に行っても目の事言われんな……いやまぁ慣れたけどさ。
「せや!嬢ちゃんに聞いたけどこの後中之島に行くんやって?」
「はい、ここで食事をしたら向かおうと思っています」
「なら船で行ったらええで、景色も綺麗やしもうちょっとここでゆっくりできるさかい」
「船ですか?予定にはなかったですが良さそうですね」
「れいかそれほんと!?ゆっくり出来るならさっき頼んだきつねうどん大盛りにしてきてもいいかな!?」
「もう、なおったら……いいですけど周りに他の方も居るんですからもう少し声量を抑えて下さいね」
「うんわかった!じゃあ行ってくる!」
緑川は相当腹減ってたんだな……返事してる時にはもう完全に顔が厨房の方を向いてたぞ……
「はぁ……本当にわかってくれているのでしょうか?」
「まぁ許してやれよ。ああしてる方がなんだか緑川らしい気がしないか?」
まぁ、俺に緑川らしさが分かるのかって言われたら、何も言えないんだがな……
「あんちゃんの言う通りやで!元気が有ってええやないの!……ところでさっきから妙に二人だけ距離が近い気がするんやけど……もしかしてコレなん?」
小指を立てるな小指を……ん?なんか前にもこんな事があったような………あぁ、上木さんだわ。修学旅行が終わったられいかと二人で挨拶にでも行くかねぇ。
「ふふっ♪ええ、お付き合いさせていただいてます」
ただ、あの頃とはもうれいかの反応が全く違っていて、前は初心で直ぐに顔を真っ赤にしていたけど、今では顔を赤くするのは俺の方なんだよなぁ……恋は女を強くするって聞くがちょっと強くなり過ぎてない?
「んまぁ!あんちゃんの方が真っ赤になっちゃって、青春やねぇ!」
「若いってえぇなぁ!ウチも若い頃はそりゃもう男を取っかえ引っ変え……」
「アンタその顔で何言うてるん?」
「あらバレてもうた!」
『あはははははははっ!』
なかなかにパワフルなおばちゃん達だな……
「……んっ」
よく喋る二人と違い聞き役に徹してた無口そうなおばちゃんが二人の服を引っ張った。
「ん?あじゃぱーもうこんな時間かいな。ちょっと待ってな」
おばちゃん二人は時計を見ると慌てて鞄をゴソゴソと漁り出す。
「はい飴ちゃん!ウチらはもう行くけど二人ともお幸せにな!」
「大阪いい所やでたのしんでってなー!」
おばちゃん達は三者三葉に別々の飴を俺達に握らせると慌ただしく店を出ていった。
「……とても面白い方達でしたね」
「いや、終始圧倒されてたけどな」
言いながら貰った飴を鞄に放り込む。
「ええ、でも大阪の色々な事が聞けました。あ、私たちの分のおうどんも丁度来たみたいですね」
日野と緑川は余程待ち遠しかったのか厨房前で受け取っていたのが視界の端に入っていた。……え、大盛りってあんなに多いの?器のサイズが俺らの頼んだモノよりも二倍近くあるんだけど……
「とっても美味しそうですね。それにお
れいかの言うように出汁の良い香りが食欲をそそる。
『いただきます』
手を合わせてきつねうどんに口をつける。
「ずっずずっ」
一口啜れば麺に絡んだ出汁の香りが口いっぱいに広がる。
「んんとっても美味しいですね」
「ああ、めちゃくちゃ美味いな」
きつねうどんなんてカップ麺でしか食べたこと無かったからなぁ。ちゃんとしたとこで食べるとこんなに上手いんだな。
「んふふ、やっぱりお出汁が違うからねぇ」
「それ、さっきのおばちゃん達からの受け売りか?」
「うぐっ……」
……図星かよ。
『ご馳走様でした』
「さぁ皆さん、この後は船乗り場へ行って船で中之島へ行きましょうか。幸い観光案内のパンフレットに船乗り場への道順が書いてあるのでそれを頼りに行きましょうか」
「船はええでぇめっちゃ景色綺麗やもん」
「あかねがそんなに言うなら楽しみにしておこうかな?」
『わぁぁ!きれーい!』
「やろぉ?だから言ったやん?めっちゃ綺麗やって」
日野の
「ほんと、すげぇ綺麗だな」
「ええ、日の光を反射して水面が光っているようです」
「あんたら修学旅行なん?」
「あ、はい!」
船からの景色に夢中になっていると星空と黄瀬の後ろに座って居たおば様達が声を掛けてきた。
「もしかしてそっちの子達も同じ制服やけど一緒のグループかなんかかいな?」
「ええ、同じグループです」
「ああ、さよかさよか元気があってええなぁ。ほら、飴ちゃんあげよか。そっちの子達もほら」
おば様達はニコニコしながら飴をくれる。
「わぁ!ありがとうございます!」
「ええんよ、ええんよ。そう言って貰いたくて配ってるんやからあっはっはっはっはっ!」
コレ、今日の大阪観光の間に幾つの飴玉が溜まるんだろうな……
大阪行ったことないのでこの後かなり時間が飛びます。
中之島とか何があるのかすら分からない………