母の日までちょっと間があり過ぎるので閑話挟みます!
(1)
「たでーまー」
大阪から東京まで新幹線、そこから更に特急、各駅停車と電車に乗り継ぎ、乗り継ぎ……遂に家に着いた。
帰るまでに電車を間違えかける場面もありかなり疲れた……
ダッダッダッ!
「お兄ちゃんおかえり!ほら、お土産は?」
帰宅と同時に駆け寄って来た小町からの辛辣な言葉が胸に突き刺さる……
「ほら小町、照れないの。おかえり八幡、じゃあはい、お土産」
母ちゃんもかよ……
「いやまぁ、予想は出来てたけどよ……はい、土産の茶団子」
「えぇー……冗談だったのに…小町、息子がつまんない」
「え?冗談だったの?小町普通にお母さんなら言いかねないと思ってたんだけど……」
「そんな無表情で冗談って言われても説得力が無さすぎんだよな」
そもそも初っ端から冗談言うなよ……結構疲れてんのに……
「……どっちも酷いなぁ。でもまぁ、その顔を見るに今回は楽しめたみたいだねぇ……彼女ちゃんのお陰かな?」
「あ、小町も思った!一昨年まで修学旅行とか課外授業から帰って来た時とか、お兄ちゃんもっと顔が死んでたもん!」
目の前でそんな話されるのも大分むず痒いんだが……つか、早く家に上がらせて?
結局あの後も俺を抜きにして小町と母ちゃんが俺の話で盛り上がり始めたので、無理矢理二人の間を通って荷物を置きに部屋までやってきた。
「これが俺の分の茶団子で、着替え類は……後で洗濯機にぶち込んどけばいいだろ」
あ、あとあぶらとり紙だ。クラスの奴らが結構買ってたから一応買っといたんだよな……小町と母ちゃんに二個ずつだけど、流石に少ないとか言われねーよな……
カメラとあぶらとり紙を持って居間に入ると既に茶団子が広げられもう残り僅かとなっていた。
「……流石に早くね?つかこんな時間に甘いもんバクバク食って体重とか大じy……いやなんでもないわ」
うっわ、地雷踏んだかも小町の顔が一気にやさぐれてくわ……
「……お兄ちゃんさぁ、もっとデリカシーを持たなきゃ駄目だよ?そんなんじゃお義姉ちゃんも……意外と大丈夫そう……?」
「あたしは気にしないかなぁ……そもそも太んないし」
そうなんだよな……母ちゃん、結構食う割には太らないんだよな……体質?
「……なんか小町だけ負けた気分だよ。お義姉ちゃんはお兄ちゃんにぞっこんだし……お母さんはズルいし……」
「まぁまぁ、あたしの娘なんだからきっと大丈夫だよ……多分」
「小町、昔にもそう言われて安心してたら少し太ったんだよね……」
「あはははは……あ、八幡カメラ持ってきてるじゃん見よ見よー」
「話題逸らすの強引過ぎるだろ……まぁ、好きに見てくれよ」
「うーい、みるみる〜。………おー彼女ちゃん以外にも写ってる子みんな可愛い子なんだけど、小町見た事ある?」
「んーどれどれ?あ、この人達はみんなお兄ちゃんの友達になってくれた人達だよ!お義姉ちゃんからの繋がりだったみたいだけど、今は普通にお兄ちゃんだけの時でも話す事があるみたい。この前なんか、ここに写ってる人達みんなで家に泊まりに来たんだよ!……あ、お母さんに言うの忘れてたね……」
「えー……なんか知らない間に息子がハーレム作ってたんだけど……」
「……いやハーレムはねーだろ……そもそも俺が好きなのはれいかだけだし………っ//////」
あれ、俺こんなに普通に好きとか言うキャラだったか?!家族の前だとしてもすっげぇ恥ずいんだが……!?
「うっわ……あたし八幡のこんな顔初めて見たんだけど、小町、最近はコレが普通なの?」
「いやいやいや、小町だって初めてだよ!……いやうーんでも初めてでもないのかな?」
「て言うと?」
「いや、お兄ちゃんがお義姉ちゃんに迫られてた時もあんな顔してたかなぁって」
「あー、確かになんか押しに弱そうだもんねぇ。あ、この写真とか良くない二人のツーショット」
「わあ!あのお兄ちゃんのこんな写真見れるなんて、人生何があるかわかんないもんだね……」
二人とも本人の前で失礼過ぎるだろ……
「あとこれ、あぶらとり紙な、二人に二個ずつ一応これもお土産だから」
『……………』
「……なんだよ」
なんか二人とも目を見開いてこっち見たまんま固まったんだけど……
「……お兄ちゃんが気遣い出来るようになってる……」
「いやほんと彼女ちゃん凄いね……人ってここまで変わるもんなんだねぇ」
ほんとに失礼だな……
あれ以上居たら二人の反応にこっちも疲れそうだから、カメラを置いて退散してきた。
「ここは静かでいいなぁ」
荷物を持って退散してきた場所は不思議図書館の秘密基地。自分の部屋だと小町に突撃される危険性があるしな。
それにもうこの時間帯なら彼奴らも来ることも無いだろう。サプライズに「八幡君?」………ん?
振り返るとれいかが入口前で立ち止まっていた。
「ああ、れいかか……珍しいなこんな時間にここに来るなんて」
偶にこの位の時間にここに来て、
「ええ、なんだかふと、そんな気分になりまして……でもここの来て正解でした。八幡君に会えたんですもの」
「……そうか///」
「ええ♪……所で八幡君は何をしに?その
「ああ、コレな」
俺もただここに逃げて来た訳ではない。待ってきた手提げ袋から取り出したのは……
「ホワイトボード……ですか?」
「ああ、折りたたみ式のちょっと小さめのヤツな」
言いながら壁に金具を押し込んでいく。途中までは押し込めたのだが抵抗が強くなったので持ってきた金槌で打ち込んでいく。
「よし、これでいいだろ」
金具にホワイトボードを引っ掛ける。
「……伝言板ですか?」
「まぁそういう使い方も出来るが俺がしたい事じゃないな」
れいかの質問に答えながらも手提げから更にマグネットを取り出して適当な位置に貼り付けていく。
「……更に分からなくなってしまいました」
まぁ俺もいきなりコレを見せられたら何がなんだか分からねぇだろうな。
「最初は持ってくるのコルクボードにしようかと思ってたんだよ」
「コルクボード……あ、もしかしてですけど写真を飾るんですか?」
「おぉ、正解だ。それで写真に画鋲は刺したくないなって思ってホワイトボードに変えたんだわ。まぁまだ写真自体は現像して無いんだけどな、それに本当はサプライズでみんなを驚かせたかったんだが上手くいかないもんだわな」
「あら、じゃあ私はお邪魔でした?」
「そんな訳ないだろ?れいかと二人で過ごすのもそれはそれで良いもんなんだから」
「ふふっ♪では私はお茶の用意をしておきますね。八幡君は緑茶でよかったですか?」
「ああ、よろしく頼む。俺もクリップの用意だけしたらそっちにいくわ」
「はい、お待ちしてますね」
「ふーっズズッ、温まるな」
「ええ、温まります」
れいかが淹れてくれるお茶は自分で淹れるものとはやはり違う気がする。……飲み慣れてないから詳しくは分からないが……
「あ、ところで八幡君、疲れが残っているとは思うのですが、明日も花壇の手入れを一緒にやっていただくことは出来ますか?」
力仕事みたいな言い方だったから少しだけ身構えてしまったが何時もの花壇の手入れのお誘いだった。
「勿論いいぞ。俺もれいかとの花壇の手入れは好きだし、何よりもダリアとグラジオラスの芽がそろそろ出るって先週れいかが言ってたからな。それが気になるからな、俺の方から一緒に行かせてくれって頼みたいくらいだぞ」
「ふふっ、そう言っていただけるのなら誘って正解でしたね」
「ああ、俺も今じゃああの花壇には愛着が湧いてるから何がする時は呼んでくれよ?」
「ええ、その時は是非に」
「あら……」
二人で他愛もない話に花を咲かせていると急にれいかが残念そうな声を上げた。
「……?どうかしたか?」
「ええ、今チラッと時計が視界に入ったのですが随分と時間が経ってしまったみたいで……」
俺もれいかの視線を辿るように時計に目をやるとここに来てから既に一時間以上も経過していた。
「そろそろお母様が食事に呼びに来てしまいますので、名残惜しいですが今日はこれで戻りますね」
「ああ、俺もそろそろ戻らないと流石に小町が心配し始めるかもしれないしな」
二人で急いで片付けを行う。……まぁ急ぐとは言っても慌てるような事はないけどな……
「ではまた明日、おやすみなさい」
「ああ、また明日な。おやすみ」
挨拶を済ませると二人で同時に本の扉を開く。扉を抜けた先は先程退散して来た時と変わらぬ俺の部屋。
修学旅行から帰ってきて必要最低限の事はしたがまだ片付いていない鞄が目に入ったが、……そっと視線を逸らす。
「明日も花壇の手入れがあるし今日は疲れたからな……よし、明日帰って来てからやろう」
何となく、れいかに叱られながら片付ける未来の自分の姿が想像出来たがその時はその時だ。
風呂に入って疲れを取るため部屋を後にした。
やっぱり二人だけの会話って良いですわ。書いてて自然にニヤけてくるんですもの
ママンは偶に登場って言いましたけど結構な頻度で出てくるかもです……ママンのキャラ、結構気に入ってます!