作者の園芸知識はグーグル先生の付け焼き刃知識なのでおかしいと思ったら教えてくださいm(_ _)m直させていただきます。
「八幡くーん!」
物置小屋の前で風に当たって居るとれいかの声が聞こえて来た。声のした方へ顔を向けると手を振りながら歩いてくる、れいかの姿が目に入る。
昨日は解散後にもメールでやり取りを行い今日の集合時刻などを決めていた。決めた集合時刻よりもかなり早めに来ていた筈なのだが、それ程待たずにれいかが来たと言うことは、れいかもかなり早く家を出たのだろう。
「おはようございます、八幡君。私も早めに出たつもりだったのですが……また負けてしまったみたいですね」
「ああ、おはようれいか。別に勝負してるわけじゃないし、勝ち負けは気にしなくていいぞ。……それにこうやってれいかを待ってる時間ってのもそう悪いもんじゃないからな……」
実際にさっきまでもれいかを待っている時間は別に苦ではなかった。
「それは……ええ、確かに良いものですね。次は私もその気持ちを感じられるように、もう少しだけ早く家を出ることにしますね」
少しムキにさせちまったかな?じゃあ今度は少しだけ遅くにでも家を出るかね……
花壇に着くと旅行中もしっかりと手入れがされていたのか雑草も殆ど生えていない綺麗な花壇だった。
「……あの二人、かなりしっかりとやってくれたみたいだな」
「ええ、寺田さん達に頼んで正解でした!二人ともとっても丁寧なお仕事です」
れいかも嬉しそうに二人を褒めている。
「俺も後でお礼を言いたいから次に生徒会のある日を教えてくれないか?」
「はい、それなら修学旅行後という事で明後日の月曜日に予定していますのでその時に一緒に行きましょうか」
「おう、よろしく頼む」
「ですがこれだけ綺麗ですとやる事はまた少し生えてきている雑草を抜くくらいでしょうか?」
「れいかは何かやっておきたい事とかないのか?」
今日やることが少ないなら後々やろうとしてた事とかを前倒しでやってもいいしな。
「あ、そうです!また上木さんのところで新しい肥料を買おうと思っていたんでした!」
こりゃ……またタイムリーな名前が出てきたな……
「八幡君には前にも私は置き肥を使っていることをお話した事があったと思うのですが、今回はマリーゴールドなどで使いたいので液肥も欲しかったんです。折を見て買いに行こうと思っていたんですが……よろしいですか?」
「そりゃ勿論、俺も丁度上木さんには挨拶しようと思ってたしな……」
「上木さんに……ですか?」
れいかは首を傾げるが、ただ理解が追いついていないだけだろう。
「ほら、前にもれいかと二人で上木さんの所に花と肥料を買いに行った時、ただふざけただけかもしれないが、俺をれいかの彼氏として見てくれただろ?あの時、恥ずかしかったけどかなり嬉しかったんだわ」
思い出したのかれいかの頬に若干赤みがさす。
「あ、あの時は私もとっても恥ずかしかったんですからね!結局八幡君の事を好きになって上木さんの言う様に恋人にはなりましたけど……あの時はあの時で……うぅ///今は今です!」
れいかにとってあの時の事はかなり恥ずかしい思い出の様だ。まぁ俺にとっては初めて二人でデートをした時の大切な
思い出の一つなんだけどな……
「もう!この話はおしまいです!早く雑草を抜いてしまって……その///上木さんに改めて、八幡君を紹介に行くんですからね!……っ//////」
「くふっ、ああ、そうだな」
珍しくツンとした態度をとるれいかに笑みが零れそうになるのを隠しながら雑草抜きを始めた………
「こんなもんかな」
二人で雑草を抜き始めて数十分程経っただろうか、校内の花壇を全て周り、最後のここも今抜いたモノ以外は他には見当たらない
「ええ、他に見当たりませんしこのくらいで良いと思います」
「にしても……花壇一つ一つはそんなに生えてないのに、花壇全部をやるとなると少しは時間がかかるもんだな……」
「ふふっ、八幡君、この程度で音を上げていては真夏は耐えられないかもしれませんよ?」
「マジか……そんなにやばいのかよ」
「ええ、夏の暑さもさることながら植物と言うこともあり、抜いても抜いても数日置くともう元通りなんですよね……」
「それはやべぇな……」
「はい、ですが一日置きに花壇一つと決めて回っていけばそれ程苦でもないんですけどね。何事もいっぺんに片付けようとしない事ですね」
まぁ一気にやろうとするとそりゃ大変だわな……
「少しづつでも進めていく事が大切って事か」
「そういう事です。さぁ、片付けたら上木さんのお店へ行きましょう」
「また台車は持ってった方がいいよな?」
「ええ、液肥はある程度重いですし持っていった方がいいと思います」
片付けが終わったら次は必要そうな物を物置から引っ張り出す。台車も前の買い物以来使っていなかった為、少し奥の方まで押しやってしまっていた。……まぁしまったのは俺なんだけどな。
「一応籠も持っていきましょうか。細かい物を買うかも知れませんからね」
「籠も台車に乗せちまえばいいんじゃないか?」
「そうですね、そうしましょうか。手は空いた方がいいですものね」
れいかは俺の押す台車に籠を乗せると少し考え込んでから口を開く。
「もう大丈夫そうですね。それでは行きましょうか」
「おう」
こうしてれいかとの突発的制服デートが始まった。
台車を押しながられいかと校門を出る。
「そういやぁ、上木さんは元気かねぇ」
「まだ八幡君とお付き合いする前にも一度行きましたけど……元気過ぎるくらい元気でしたね……」
悟った様なれいかの態度を見れば、まぁ揶揄われたのだろうということは想像に難くない。
「まぁ……なんだ?元気があってよかったですってことで……」
「ええ、末永く元気でいてくださるのは良い事ですからね。私がその一助になっているのなら……まぁ、揶揄われるのも受け入れましょう……」
「……あんま納得してなさそうな顔だぞ」
「私、揶揄われるのがどうも苦手なようでして、とても恥ずかしいんです。……八幡君を揶揄うのは好きなんですけどね♪」
おいっ!……あー、でもれいかが楽しいならいいか……
「まぁ、俺の事は置いとくとして、今日はその揶揄うネタが本当になったって事を報告しにも行くんだし、堂々と返せばいいんじゃねぇの?」
上木さんも揶揄おうとしたらマジで付き合ってましたって返ってきたら流石に驚くだろ……驚くよな?
れいかと上木さんについて話しながら歩いているとあっという間に視界の先には園芸店【連理】の看板が見えてきた。店先に置かれた品揃えこそ変わってはいるものの前にもれいかと来たお店が建っている。
「もう着いてしまいましたね……八幡君と話しているとあっという間に時間が過ぎる気がします」
「そうか?それなら嬉しいけど、共通の話題があったってっていうのも一因なんじゃないか?上木さんとかインパクト超強いしな……」
改めて考えてみると上木さんとは、たった一回のつきあいの筈なのにこうも親近感が湧いているのは珍しい。上木さんの親しみ易さによるものなのだろうか?
久しぶりに会うとなるとなんだか無性に緊張してくる気がする……
「ふー、はぁー……」
無意識の内に深呼吸までしてしまっていた。
「ふふっ、そんな緊張しなくても大丈夫ですよ。さぁ、一緒に行きましょう」
れいかは当然の様に手を握ると躊躇なく入口の扉を開けお店の中へ入って行く。
「こんにちはー!」
「こ、こんにちはー」
次回久しぶりの上木さん登場!
大阪のおばちゃん達を書いてたら上木さんも出したくなったのでここで登場です!