俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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アニメで言うと三話目スタートです


第3話 何処なの?!引き込まれるは不思議の国
(1)


 『こんばんは、明日の予定ですが水やりをおこないたいと思っています。時間は七時半に物置小屋の前で待ち合わせましょう。それではおやすみなさい。』

 

 昨日の夜に青木からメールが来ていた。初めてのメールが業務連絡なのは青木らしいな、と一人でニヤニヤしてしまったのを覚えている。

 

 物置小屋の前で待っていると集合時間五分前に青木がやってきた。

 

「おはようございます。お待たせしてしまいましたか?」

 

「あぁ、おはよう、昨日も言ったが青木を待たせないようにって、妹に追い出されているだけだから気にするな」

 

「そうですか、ありがとうございます」

 

「おう、じゃあ始めますか」

 

 青木と手分けして花壇に水やりを行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「比企谷君、お疲れ様です。ありがとうございました」

 後ろから声をかけられる。どうやら水を撒き終わったようだ。お互い逆の位置から水撒きを始めているので、必然的に青木と並べば水撒きの終了を意味する。

 

 二人で片付けをして、教室に向かう。

 

 

 

 

 今日も何事も無く終わると思ったのだがLHR(ロングホームルーム)の時間に校内美化週間ポスターを描くやつを選ぶ事になったようだ。

 

「皆さん!お静かに、校内美化週間ポスターのコンクールまで後僅かです!どなたか描いて下さる方居ませんか?」

 

 クラス委員である青木が前に出て呼びかけている。

正直寝ていたいがこういう場面で寝てると、起きたら選ばれてました!なんて事がある。と言うか経験がある……

 

「今日中に決めないと間に合わないですよ!」

 

 佐々木先生も手を叩いて注目を集め立候補を促している。

早く決めないと職員会議とかで色々言われるんだろうな……

「推薦でも構いません!」

「はい!はーい!」

 

 星空が元気よく手を上げる。……いや、君ほんとに元気だね……

 

「はい、星空さん」

 

「黄瀬さんが良いと思います!」

 

 クラスが少しざわつく。

 

 えぇ、大丈夫かよ……

「ウチも賛成!」

 

 日野も乗って来たな。いや、星空とグルか

 

「え?え、え、えぇ……」

 黄瀬もめっちゃ戸惑ってるし……

 

「他に意見はありませんか?」

 

 皆一斉に目を逸らしやがった……まぁ、俺もその一人なんだが

 

「黄瀬さん、引き受けて下さいますか?」

 

 青木が問いかけると、黄瀬もゆっくりとだが頷き、無事に?このクラスの代表が決まった。

 

 

 

 放課後、俺と青木は今日のLHRについて話をしていた。

 

「大丈夫なのか?」

 

「そうですね、黄瀬さんの性格の事もありますし、少し心配です」

 

確かにそれも心配であるがそれだけでは無いはずだ。

 

「まぁ、それもあるが俺が言いたいのは、また今回みたいなケースで黄瀬が押し付けられないかって事だ」

 

 今回は星空達の推薦だから悪意はないだろう。

 

 しかし、今日クラスの他の奴らも黄瀬が推薦され、戸惑いながらも引き受けている所を目にしている。

 

 次もまた黄瀬で良いだろうと考える奴もいるかもしれない。いや、絶対いるな

 

「それは……考えたくはありませんが否定は出来ませんね。ですが、その場合は私が全力で黄瀬さんをお守りします」

 

「まぁ、それなら大丈夫だろうけど、何かあったら俺にでも押し付けとけばいい、慣れてるしな……」

 実際過去に何度か押し付けられたりしたこともある。

 

「何を言っているのですか!比企谷君の事も私が何があっても守ってみせます!」

 

「お、おう……それなら、頼む……」

 え?何この子かっこいい……それ男の子の台詞じゃないの?

 

「はい!おまかせ下さい!」

 

「まぁ、取り敢えず俺の事は置いておいて、黄瀬の様子でも見に行かないか?推薦した星空達も一緒に居るだろうし」

 

 今はこの恥ずい話の流れを変えなくては……

 

「それもそうですね。では、恐らく屋上に居ると思うので行ってみましょうか」

 

 その提案に頷きを返し、青木と二人で屋上に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 青木の提案に従い屋上に向かう道すがら、先程の青木の言葉を反芻(はんすう)する。

 

『比企谷君の事も私が何があっても守ってみせます!』

 

  今まで俺にこんな事を言ってくれる奴なんて居なかったからか不覚にも、凄く嬉しいと感じてしまった。緩みそうになる頬を必死に抑え話題を変えなければ、小町にキモイと定評のある俺のニヤケ面が炸裂してしまっていたかもしれない。

 

 青木は当たり前の様に言っていたが、“守られる側”がかけられるその言葉は、“それ”の外側に居た俺には酷く、暖かくて……

 

 そんな青木だからこそ、たとえ青木自身に非難される事になろうとも、青木の身に何かあったのなら俺は、この身に代えても守ろうと強く思った。

 

 

 

 

 

「比企谷君?」

 

「っと、どうした?」

 

 いかんな、つい、考えに耽ってしまっていた。しかし我ながら中々に厨二臭い事を考えてしまっていたものだ

 

「いえ、どうしたも何も、もう着きましたよ?」

 

「すまんな、少しぼーっとしていたかもしれん」

 

「いけませんよ。昨日もそうでしたが階段を登る時には特に気をつけて下さいね」

 そう言い「めっ!」と人差し指を出し注意する姿が微笑ましい

「気をつけるよ。ほら、そんなことより黄瀬達の様子を見るんだろ」

 

「そうですが……本当に気をつけてくださいね」

 

 何とか誤魔化されてはくれた様だが、しぶしぶと言った様子だ。次はこうも行かないだろう。

 

「では開けますよ」

 音のならないようにゆっくりとドアを開け、開いた隙間を二人で覗き込む。

 

「あら」 「ほう」

 

そこでは黄瀬が指示し、日野が星空にポーズを取らせたりと、三人が和気藹々とポスターの制作を行っていた。

 

 青木が気付かれない様に、そっとドアを閉め二人で顔を見合わせる。

 

「なんつーか、杞憂だったみたいだな」

 

「えぇ、そのようですね」

 

流石は星空と言った所だろうか、押しとか強そうだし……

 

「私はこの後、生徒会の方に行きますが比企谷君はどうしますか?」

 

そうだな、この前は結局本が借りられなかったし図書室にでも寄ってから帰ろうか

「俺は図書室にでも寄ってから帰るわ」

 

「そうですか、明日は花壇のお世話はお休みですのでよろしくお願いします」

 

 青木に、了解と返し図書室に向かおうと踵を返した時

 

「あっ、比企谷君」

 

 青木に呼び止められ振り向くと

 

「また、明日」

 

  少し頬を染めながら青木が小さく手を振っていた……

 

「っ……おう、また明日な」

 

 そう言って軽く手を挙げ、直ぐに踵を返す。

青木を直視して居られなかったからだ。鼓動が早鐘を打つように早くなっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっつ……」

 

 頬に当てた手は予想以上の熱を返してきていた。

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はきりが少し悪かったので早めにきっているので文章量が少し少なくなってしまいました
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