俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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原作アニメでは省かれてる中間テスト開始前からスタートです


第16話 はたと、青木麗華は思い悩む
(1)


 充実した母の日から空けて二日、水曜日。小町の機嫌がかなり良くなったのでひと安心だ。……というのもれいかと母ちゃん達への湯呑みを買ったり、四人で昼食をとったりと過ごしている内に小町に頼まれていたお土産の事をすっかり忘れていて、帰ってからお土産がないと知るとすっかりへそを曲げてしまったのだ。

 

 母ちゃんも久しぶりのれいかの母ちゃんとの再会で気分が良かったからか家に帰ってから直ぐ、小町がお土産が無いのに気づく前に、親父にも話すんだとか言って都心の方へと戻ってしまっていた。

 

 そんな中、俺の救世主となってくれたのはやはりれいかだった。小町の事を相談すると、来週が中間テスト(忘れていた)で前に俺に勉強を教えてくれるという話があったのを覚えてくれていたようで勉強を教えるついでに小町の話し相手になってくれるらしい。

 

 この事を小町に伝えたらそりゃもう一発だった……。れいかに相談するまでに犠牲になったコンビニスイーツ達はなんだったのだろうか……

 

 

 

 

 放課後

 

 

 

「おかえりなさいお義姉ちゃん!」

 

「ただいまです小町さん!」

 

「……俺には?」

 

「あ、うん、おかーりー」

 

「ざっつ……」

 

 

 

 

 勉強に時間が掛かりそうだったので、今日はれいかにうちで夕食をとってもらう事になった。れいかの母ちゃんに連絡した時はかなりあっさり許可がおりて、俺にかわって欲しいと言われたのでかわると、今度は俺と小町が青木家の夕食に招待された。日取りは何時でも良いからまた連絡してくれとの事だった。母ちゃん効果すげぇな……

 

 

 

 夕食時

 

「えぇ!?じゃあお母さんとお義姉ちゃんのお母さんって親友だったんだ!ちょっとお兄ちゃん!小町そんな事きいてないんだけど!?」

 

「………いや、お前が拗ねて俺の話聞かなかったんだろ?」

 

 実際何度も話そうとしたしな。

 

「そうだけどー」

 

「小町さん、あまり八幡君だけを責めてはいけませんよ?自身にも非があったのならそれは認めないといけません」

 

「……はい、ごめんなさいお義姉ちゃん」

 

 何このれいかの小町特効……小町めちゃくちゃ素直なんだが……

 

「はい、素直に謝れる事は大変良いことです。そんな小町さんにはコレを」

 

 れいかは手提げからノート数冊を取り出すと小町へと手渡す。

 

「お義姉ちゃんこれは?」

 

「私が六年生の時に使っていたノートです。小町さんの勉強の役に立てばと思って持ってきたんです」

 

「ふわぁ……すっごい見やすくてわかりやすい」

 

「これは……すげぇな」

 

 小町の見ているものとは別の教科のノートを俺も手に取り見ると所々に色を変えて注釈が入っていたり、重要な所は強調する様に書いていて小学六年生がとっていたとは思えないノートだった。もちろん俺のノートなんて酷いもんだし、もしかしたら高校生のノートよりも綺麗なんじゃ無いだろうか……

 

「お義姉ちゃん、ありがとう!小町これさえあれば成績すっごい上がっちゃうかも!」

 

「ふふっ、そんなに喜んで頂けたのなら何よりです。小町さんがその調子で頑張っていれば来年もなにかの折を見てまたノートを差し上げますね」

 

 れいかは来年の分までノートを渡すことはせずに小町のやる気を持続させる為の釣り針にしたようだ。これなら俺でも頑張っただろうな。……多分

 

「やったー!小町このノートで頑張ります!」

 

「小町は良いなぁ。俺もあの頃そのノートがあればもうちっと成績が上がってたかも……」

 

「お兄ちゃん何言ってんの?お兄ちゃんはお義姉ちゃんに直接教えて貰えるんだからそっちの方が良いでしょ!手取り足取り……腰取りまで?!いやん!お兄ちゃんの……エッチ」

 

 ……こいつほんとに小学生か?偶に思うが発想がおっさんなんだよな。

 

 

 

 

 

 夕食を終え、片付けは小町が引き受けてくれたのでれいかを連れて部屋に戻る。

 

「ふぅ、小町さんのご飯が美味しくて少しだけ食べ過ぎてしまったかもしれません」

 

 普段よりも少しだけ張ったお腹を撫でながら、こちらに笑いかけるれいか。

 

「……っ//////そ、そうだな。小町の作る晩飯は美味いからな」

 

 その仕草に()()()()()()()を想像してしまい、一気に頬が紅潮するのを感じながら慌てて平静を装う。

 

「……?どうかしましたか?」

 

「いや、なんでもねぇさ。早速なんだが数学を教えてもらってもいいか?」

 

 突っ込まれる前に慌てて話を変える。実際一番教えてもらいたい教科は数学なわけだしな。

 

「ええ、もちろん構いませんよ。それでは教科書とノートを出してください。復習も兼ねてテスト範囲の少し前からやっていきましょうか。教科書の問題を解きながら適宜、説明やポイントをお教えしますね」

 

 

 

 

 

 

 れいかに教えてもらいながら進めていくと、あれ程面倒くさく苦行だった数学がなんとなく分かるようになってきた。

 

 れいかは俺が問題に詰まっても直ぐに答えを教えるのでは無く、少し見守ってくれて俺が自分で答えを出すと優しく撫でながら褒めてくれるのだ。……それがもう///……言葉に出来ないがヤバいのだ。そしてもっと褒めて欲しくて問題を解くことの繰り返し。今、俺の脳は過去一冴え渡っているぜ!!

 

 

 そんな中で遂に、奴が現れた事でこの幸せループが断ち切られてしまった。

 

「なんで……」

 

 こいつが現れなければ俺はまた問題を解いてれいかに褒めてもらうことが出来たのに……

 

「どうして……」

 

「八幡君……」

 

 こいつに苦しめられているのは俺以外にもきっと沢山いる筈だ。

 

「なんで……なんで動くんだよ……点Pぃぃ……」

 

「………そう言われましても……」

 

「いや、すまん。れいかに言った訳じゃないから安心してくれ」

 

 この動く点Pの問題、こいつはきっと日本中で怨まれている事だろう。俺も初めて見た時はビビった。……コイツ……動きよる……って。

 

「ふふっ、八幡君から聞いていたよりもスラスラといてしまっていたので私の立つ瀬がないかと思っていたのですが少しだけ安心してしまいました。これで私の面目躍如ですね」

 

 れいかはにっこりと微笑むと、隣で褒めてくれていた時よりも更に近付いて来て俺に寄り添うと、ノートの数式を指差しながら囁くように問題の解き方を教えてくれる。

 

「まずこの動く点Pの問題のポイントですが………」

 

 やっぱどっちでも良かったかも知れないわ……

 

 くっついたれいかの肌から伝わってくる体温があったかい……

 

「………八幡君?聞いていましたか?」

 

「……もっかいお願いします」

 

「もう、しょうがないですね。もう一度説明しますから今度はしっかり聞いていてくださいね?」

 

「………うす」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はお疲れ様でした。八幡君の飲み込みの良さに私びっくりしてしまいましたよ」

 

 勉強会も終わり、れいかを家に送っている道中でれいかに褒められる。

 

「そんな事ねぇよ。あれはれいかの教え方が良かったからあんなに出来たんだ。やってる俺が内心驚いてたんだから間違いねぇよ」

 

 この言葉に嘘は無い。俺もれいかに褒められたい一心で問題を解いていただけで、テスト中に出来るかと聞かれたら正直分からないとしか言いようがない。

 

「ふふっ♪そう言われるとなんだか照れてしまいますね」

 

「照れてくれていいぞ。本当に世辞とかねぇしな」

 

「ありがとうございます。そう言って頂けると自信になりますね」

 

 月明かりの中そう言って照れくさそうに笑う姿は見蕩れてしまう程に美しい。

 

「あら、八幡君とお話しているとあっという間に時間が経ってしまいますね。ここまでありがとうございました」

 

 れいかの言うようにいつの間にかれいかの家に着いていたようだ。

 

「……いや、気にしないでくれ。俺がもう少しれいかと居たかっただけだしからな」

 

「まぁ♪とっても嬉しい事を言ってくれますね。ではテスト期間まで毎日、今日のように八幡君の家にお邪魔しても?」

 

「それは……こっちこそお願いしたいくらいだ」

 

「ふふっ、では明日からもお願い致しますね♪」

 

「おう、こちらこそ頼むよ」

 

「ええ、ではおやすみなさい」

 

「ああ、おやすみ」

 

 れいかは軽く一礼すると、門を潜り敷地の中へ入っていった。

 

 れいかの背を見送り、家の中へ入ったのを確認する。

 

「よっし!」

 

 勢い余ってガッツポーズまで出た。

 

 来週のテストまでれいかと毎日勉強会か……最高だな!

 

「あっ、小町にも連絡しとかねーと……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お母様、明日からテスト期間まで毎日八幡君のお家へお邪魔することになりました!」

 

「……そ、そうですか。うちは大丈夫ですが比企谷さんにはあまり迷惑をおかけしないようにね」

 

「はい!」

 

 

 

「……あなたってそんなにガツガツ行く子だったのねぇ」

 

 




この作品は出来るだけ【話し言葉】をキャラクター達に喋らせることを意識して執筆しています。私が小説を読んでいて一番よく違和感覚えるポイントが話し言葉なので
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