『はぁぁ……』
なんだコイツら……
テストが終わったら屋上に集合と聞かされていたので、れいかと屋上へ向かい扉を開けると、四人の重たいため息に迎えられた。
「……どうした?」
「あ……比企谷くんにれいかちゃん」
四人は柵に腕を着き、何処か遠くを見つめながら黄昏ていた。
「ウチな、中間テスト……英語がアカンかった」
「わたしは数学……」
「アタシは歴史がね……」
「わたしなんか……わたしなんか全部だよぉ!」
『はぁぁ……』
あぁ……テストな。俺はれいかのお陰でほぼほぼ去年よりもいい結果だったな。答案はまだ帰ってきてないから多分だが……
「皆さん、元気を出して下さい」
あー、今はその励ましは逆効果……
「……れいかは学年トップだったんでしょう?」
「え?……ええ」
ほらやっぱり……
「またぁ?入学してからずっとだよね?」
「きちんと勉強すれば皆さんも次はいい成績が取れますよ」
「それが出来たら苦労しないって」
緑川がれいかに噛み付くって……相当参ってんな。
「でもさぁ?どうして勉強しなきゃいけないのかな?」
「将来困るからです」
「ホンマ?学校の勉強が出来へんくてもそんなに困らん気がするけど」
「そうよね。数学とか化学とかなんの役に立つのかいまいちよく分からないし……」
『うんうん』
一度は考えるよなぁ……勉強とかダルいし。
「れいかちゃんはどうしてそんなに勉強するの?」
「え?………んん」
星空のアホな問に真面目なれいかは答えを出そうと考え込んでしまった。
「………れいかちゃん?」
黙り込んでしまったれいかに星空がどうしたのかともう一度名前を呼ぶがれいかは黙り込んだままだ。
軽くれいかの前で手を振って見たが反応は無い。
「……反応がねーな。緑川、前にもこんな事とかあったのか?」
こんなれいかを見たのは初めてだ。俺よりも付き合いの長い緑川なら知っているかと思い聞いてみる。
「んー?ただ周りが見えなくなるくらい考え込んでるだけだと思うよ?肩とかに触れば気づくんじゃない?」
「そういう……れいか?」
緑川に言われたように軽くれいかの肩を叩きながら名前を呼ぶ。
「……はい?あっ、私ったら、すみません。つい深く考え混んでしまっていて……」
「んーんわたしこそごめんね!なんか変なこと聞いちゃったみたいで……」
「いえ、星空さんが悪い訳ではなく……少し私自身思うところがあったので……」
そう言いながらも、れいかは未だに上の空だ。
「んー、今日はこれで帰るか?」
特に何かをしようと集まった訳でもないし、れいかがこの調子じゃあ何も出来ないしな……
「……そうだね。アタシもちょっとテストで気分が落ち込んでてれいかに当たっちゃったかも」
「ウチもや……比企谷、れいかのこと頼んだで?」
「……わたしもれいかちゃんに酷いこと言っちゃったかも」
「わたしも……比企谷くん、れいかちゃんのことお願いね」
こいつら、こうやって直ぐに自分の非を認められるのは素直にすげぇと思うよな……
「おう、れいかの事は任された」
「それじゃあ、ごめんね。アタシ達は先に帰るよ」
「………あら?皆さんは何処へ?」
れいかが再起動したのは緑川達が帰ってから十数分ほど経ってからだった。
「今日はれいかの調子も悪そうだし解散にするってよ」
謝るんだったら俺からよりも自分の口で言った方がいいだろうしな……
「そうでしたか……今日は私もこれで帰らせていただきます。……もしかしたら後で八幡君に話を聞いてもらうかもしれませんがよろしいですか?」
相談かね……
「ああ、勿論いいぞ。俺もれいかに相談に乗ってもらったりしたからな」
「ふふっ、ありがとうございます。ではお先に失礼しますね」
最後は笑顔を見せていたが、やっぱり何時ものれいかよりも覇気が無いように感じられた。
side:れいか
『れいかちゃんはどうしてそんなに勉強するの?』
帰宅してから机に向かっていると、みゆきさんに言われた言葉が頭の中で繰り返し再生されます。
……どうして私は勉強をしているのでしょう?将来困るからと私は皆さんに言いましたけれど、その言葉自体、誰かに言われたのか、何処かで聞いたのかすら定かではありません。
勉強をする事は当り前でしたし、義務教育という言葉がある様に義務だと思ってやってきました。
そう考えると私という人間は、自分で何かを決めた経験が殆どありません。
自分で何かを思い、行動したのは八幡君の事と学校の花壇の事だけ……私は何をするにしても周りの意見に
周りに言われるがままにクラス委員になりました。勧誘されるがままに弓道部に入りました。推薦されるままに生徒会に入りました。プリキュアは……いつの間にかなっていた、
と言うのが正しいのでしょうか?
しかしどれも自分の意思でなろうとしたものはひとつもありません。私はこのままでいいのでしょうか?私の道は何処へ向かっているのでしょうか?
考えている間にも、足はいつの間にかお爺様の部屋へと向かっていました。人生の
「失礼します。お爺様、入ってもよろしいでしょうか?」
部屋の前で座り先に声を掛けます。
『……入れ』
襖を開けると書道の最中だったのかお爺様の前には半紙と硯が置かれていました。
「ご相談したい事があります」
座卓を挟んでお爺様と向き合い、私の悩みを相談します。
「……つまり、私はいつも人に言われるがままに始めて、今日まで続けて来ました。しかし急に気づいてしまったのです。全て私がやりたくて始めた事では無いと……そして分からなくなってしまったのです。こんな私のままで良いのか、私の道は何処にあるのか……分からないのです」
「……ならばすべてやめてみるが良い」
私の話を全て聞いたお爺様は、一呼吸置くとそうおっしゃいました。
「……え?」
「……やめて、見える事もあろう」
「……やめる」
全てを一度やめて、私に何が見えるのでしょうか……
sideout……
昼休み、れいかに呼び集められたのは生徒会メンバーに、弓道部、俺たちと何かしられいかに関わっているグループのメンバーだった。
俺は他のみんなより少しだけ離れてれいかの言葉を待つ。
「……私、やめます」
「……やめるって……なにを?」
「生徒会副会長を……」
『えっ?!』
「弓道部を……」
『ええ?!』
「勉強を……」
『ええー?!』
「プリキュ『わぁぁー!?』 」
……お前ら、気持ちは分かるが空気読めよぉ……
「全てをやめさせて下さい……」
朝、登校してきた時には何か覚悟をしたような顔をしていたがこういう事だったか……
「なっ、なんで?」
「……分からなくなってしまったのです。自分がこれからどうすれば良いのか……このままで良いのかと……」
昨日の星空の言葉がれいかの中でかなり大きな問題に繋がっちまったのかねぇ……
「こんな中途半端気持ちではかえって皆さんに迷惑をお掛けしてしまいます。ですからやめさせて下さい」
『…………』
皆がれいかになんて声を掛けていいのか分からず固まっている中で最初に動いたのは生徒会長だった。
「……話はわかったよ。ただ、青木君。そう結論を急がないでくれ。辞めるのは何時でも出来るんだし……そうだ、一度休止するという事でどうだろう?一度落ち着いてしっかりと考えてみてくれないか?……そうして考えて結論が出た時、その時にまだ今と答えが変わらないのなら僕は君の意志を尊重するよ」
「……そう、ですね」
やっぱ生徒会長をやってるだけあるんだな。俺はれいかがそう思うのならって止めようとしなかったが、行き過ぎだと思ったら止めて一緒に考えていかなきゃだよな……
「……と、そういうことだ。青木君は一度全ての活動を休止する。みんなもそれでいいね?……流石に授業には出てもらいたいけどね」
『………はい』
「皆さん、ありがとうございます。そしてご迷惑かけて申し訳ありません」
あの場は解散となったが、俺たちはれいかを中心にまた集まっていた。
「れいかちゃん!ごめんね。わたしが昨日変なこと言ったからだよね?」
「わたしも……」
「ウチも……」
「アタシも……」
「いえ、皆さんがどうと言う訳では無いんです。確かにみゆきさんの言葉が切っ掛けだったのは事実ですが、少し……私自身の事で思う事があったので……」
「そっか……わかった。でも無理だけはしないでね?」
「ええ、皆さんありがとうございます」
星空達がチラチラと振り返りながら戻って行くのをれいかと見送る。
「……それで?昨日言ってた相談か?」
「……ええ、八幡君にも聞いてもらいたいんです」
戦闘以外はかなり改変していく予定なので夜露死苦!