俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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中学二年生って多感な時期だと思います。

……ほら厨二病とか


(3)

 れいかに話を聞いてほしいと言われたので場所を中庭から校舎裏に移した。中庭はよく人が通るし、れいかも話しづらいだろうからな。

 

「………………」

 

「………………」

 

 

 校舎裏に着いて、それから五分程だろうか?何かを言おうとはしているのだがなかなか言葉にならない様子だ。

 

「……………やっぱりもう少しだけ待って頂けますか?」

 

 数回、深呼吸をして出てきた言葉はそれだった。

 

「まだ……整理が出来ていないんです。本当にやめてよかったのかさえ分からないのです……」

 

 れいかは何かに怯える様に自分の体を(いだ)く。

 

 今のれいかに俺は何が出来るだろうか?

 

 考えたところで良い考えなど浮かびもしない。ただ、何かはしないとと思い、俯き震えるれいかを抱きしめる。

 

「っ!」

 

 一瞬、ビクッと反応したが、その後にれいかからもおずおずと背中に腕をまわしてくる。

 

 

 

 はじめこそ腕の中で震えていたれいかだったが、優しく背中を一定のペースで撫でていると、段々と落ち着きを取り戻してきた。

 

「……もう大丈夫です」

 

「……本当か?」

 

「ええ、八幡君のお陰です」

 

 そう言って笑う顔は、陰りこそあるものの、確かに落ち着きはしたようだ。

 

「それなら良かった。……どうだ?もう話せそうか?」

 

 落ち着いてはいる。が、また話そうとして先程のようになってしまうかもしれない。まぁその時はその時でまた受け止めればいい。

 

「ええ、八幡君に聞いて欲しいです」

 

「そうか、じゃあ話してくれ。俺にれいかの悩みを聞かせてほしい」

 

「はい、実は昨日帰ってから………」

 

 

 

 

 

 れいかの話を要約すると自分が分からなくなった……と、言うのが正しいのだろうか?今自分がやっている事が本当にやりたい事だったのか、人に言われた事だけをなんの疑問も抱かずに続けていていいのだろうかと。昨日の星空の言葉で急に不安になってしまったらしい。

 

 話している最中も

 

「……先程八幡君に話そうとした時も、こうして全てをやめるのもお爺様に言われたからなのだと考えてしまったらどんどん『私』という存在が希薄に感じてきてしまって……私の中で『私』のモノと思えるのはもう、貴方とこの花壇のお花達しか無くなってしまったんです!」

 

 そう言って俺の胸に縋り付くれいかの目からは、溢れ出した感情という名の涙が零れ落ちていく。

 

「もう私には貴方達しか残っていないのですか?!私のモノっていったいなんなんですか?!私の道ってなんなのですか?!」

 

 れいかは、今まで溜まりに溜まっていたものを吐き出すように自分の中のモノをぶちまける。

 

「……教えて下さい。『私』って()()ですか?」

 

 

 そう言ったれいかの目は全ての答えを俺に求めているようだった。

 

 

 

 ……だがそれでは何の解決にもならないだろう?

 

 ここで俺がれいかの望む答えを出したところで、それはれいかの中に、新しく俺から言われた()()()が増えるだけだ。だかられいかには自分で答えを見つけて欲しい。

 

「……れいかはれいかだろ?」

 

 俺の言ったことが上手く理解できないのか、れいかから困惑が感じられる。

 

「話を聞く限り、れいかが自分の意思でやりたいと思って始めたモノは俺の事と花壇の世話だけで、あとは全部人に言われたから始めて今日に至るって事だよな?」

 

 

「……はい」

 

「でも、それで得たモノはれいかのものだろう?」

 

「……え?」

 

 れいかは自頭は良いのだが、ちょっと天然入っているところがあるので、一度思考の沼にハマるともがき続けてどんどん深みにハマっていってしまうのだろう。だから――

 

「れいかは自分の()()が無いって言ってたけど……本当にそうか?」

 

「……だって、私は人に言われるがまま……」

 

「ああ、そうやって弓道部に入って、生徒会に入って、プリキュアになって……れいかは何を得た?」

 

 ――こうして少しだけ手を貸してあげれば

 

「………私は……いえ、私の道は……ちゃんと続いていたのですね」

 

 どうやら自分の中で答えが出せたようだ。

 

「私は弓道部に入って、様々な事への集中力を得ました。生徒会に入って、集団で計画を立てて実行に移し、最後まで管理する事のノウハウを……」

 

 ひとつひとつ、自分が手に入れたモノを再確認する度に、れいかの顔に生気が戻ってくる。

 

「クラス委員では集団を纏める責任感を、そしてプリキュアでは仲間……友の大切さを改めて感じました」

 

 確かに始めたのは人に促されてだったのだろうが、それを今も続けているのはれいかの意思だし、そうして手に入ったモノは、今のれいかを構成する一部だ。

 

「そして私が勉強するのは…………やはり、将来困らない様にするため……ですね」

 

 れいかが悩み始めた原因とも言える星空からの疑問『どうして勉強をするのか』それにも、れいかなりの答えが出たようだ。

 

「そりゃまたどうして?」

 

「私にだって学んだ事が何時役に立つのかは分かりません。けれども、学んだ事が役に立つ時は来ますもの。……それが何時、どんな知識が役に立つのかまでは私にも分かりませんけど……ね?」

 

「くふふっ、違いねぇな」

 

 学んだ知識というのはひょんな時に思いがけないモノが役に立つものだ。まだ中二である俺ですらそういう体験はある。

 

「ええ、そういう事です。……ふぅ、やっぱり八幡君に話をして正解でした。『私』はちゃんと私だったんですね。こうして改めて気付くと、なんだか先程までは一人相撲をとっていたようですね」

 

 れいかの(こわ)ばっていた体から力が抜けていくのが分かる。

 

「まぁ、なんだ?終わり良ければ全て良しってことでいいんじゃないか?」

 

 なんて言って良いか分からなかったので、取り敢えず励ます。

 

「もう、なんですかそれ?ふふっ、でもありがとうございます♪」

 

 そうして満面の笑みを浮かべるれいかに、俺は…………かなりドキドキしていた///ぶっちゃけめっちゃ顔が近い///

 

 先程まで俺の胸元で涙を流していたれいかだが、その体勢は今現在も変わっていない。

 

 まだ目元にはうっすらと涙の跡が残っているものの、それがかえって儚さを演出している様ですらある。

 

「ほ、ほら///そろそろ戻るぞ?緑川達も心配してるだろうし……」

 

 ゆっくり両手をれいかから離して、後ろに数歩下がり距離をとる。

 

「ふふっ♪ええ!戻りましょうか。それと八幡君、放課後私の家に付き合って頂いてもいいですか?」

 

 そう言いながられいかは、離れた俺との距離を一気に詰め腕を絡めてくる。

 

「おお?!い、いいぞ///」

 

 気が動転して特に考えもしないままれいかに頷いてしまった。

 

「ありがとうございます♪是非紹介したい人が居るんです」

 

「……えっ……紹介?」

 

「ええ、楽しみにしていてくださいね?」

 

 その一言に一気に背筋が冷えた気がした。

 

 そうして放心状態の俺はれいかに腕を引かれながら教室に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま帰りました」

 

 れいかが玄関から声をかけると廊下の奥の方から足音が近付いてくる。

 

「おかえりなさいれいか……と比企谷さん?」

 

「こ、こんにちは……」

 

「え、ええ、こんちには。よくいらっしゃいました」

 

 出迎えてくれたのはれいかの母ちゃんだ。いきなりれいかが俺を連れ帰って来たのに若干困惑しているようだが……

 

「お母様、お爺様は今いらっしゃいますか?」

 

「ええ、部屋に居るはずですが……」

 

「それは良かったです。今日は八幡君をお爺様にも紹介したくて来てもらったんです」

 

 それ……俺今初めて知ったんだが……

 

「そう……ですか。あ、では比企谷さん、上がってください。私はお茶の用意をしてから行きますね」

 

「は、はい。おじゃま……します」

 

「はい!いらっしゃいませ。では八幡君、お爺様のお部屋はこっちです。行きましょう」

 

「……お、おう」

 

 やばい、冷や汗が止まんない……俺大丈夫?れいかの話を聞いてた限りかなり厳格そうな人なんですけど……

 

 




やっぱりお悩みの部分って難しいですわ

それでも少しはれかちゃんのドロドロの部分を書けたかなぁと

アニメ版よりもかなり深刻に悩んでいるのでお爺様のやり方だと、多分れかちゃん途中で潰れんなって思いましたので我らが八幡の介入とあいなった今話でした。

次回!ご挨拶!!……コレは書いててなんか勝手に頭に降ってきたので、れかちゃんに病み電波送られたのがワンチャン……
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