俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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今回ちょっと内容が暗いです。



(3)

「……んっ、……あれ?ここは?」

 

 ふと、目が覚める。長く眠ってしまっていた為か、少し目が開きずらい。

 

 ギュッ

 

 「んん?」

 

 仕方なく、周りを触って周囲の確認をしようと手を動かそうとしたのだが、何かに拘束されているのか肘から先しか動かせない。

 

「……すぅ、……すぅ」

 

 意識が段々とはっきりとしてきて気づいたのだが、頭のすぐ後ろから誰かの寝息が聞こえている。そしてやっと目が開いたので見える範囲で周りを確認してみたが、たいして情報は得られなかった。

 

  ただまぁ、一つわかったのはおれを拘束しているのが縄やロープ等ではなく後ろから回された腕によるものだったという事だけだ。

 

「……あー、多分アイツだろうな」

 

 後ろから腕を回しているのは十中八九、黒ビューティだろう。……何が原因かは分からないが黒ビューティからは並々ならぬ想いを感じた。それに最後に覚えているのが黒ビューティに……その、かなり濃厚なキスをされた事だし……

 

 かなり強引に襲われたのは覚えているのだが不思議な事に、あまりこの黒ビューティに不快感を感じて居ない自分がいるのだ。

 

「……おい。起きてくれ」

 

「……すぅ、んっ...///もっと……///……すぅ」

 

 どんな夢見てんだよ……///

 

「はぁ……しゃーねぇな」

 

 声を掛けるが起きる気配がないため仕方なく起こすのを諦め、周りの出来る限りの状況把握に努める。

 

 辺りが真っ暗な為、輪郭くらいしか分からないが棚のようなモノが近くに並んでいて、埃臭いというのが追加でわかった情報だ。

 

 どこかの倉庫だろうか?それにしてはかなり狭い気もするのだが……

 

 

 

 

 

 

side:れいか

 

「くぁ……はふぅ…………はぁ……」

 

 朝の爽やかな筈の目覚めがここまで憂鬱なのは初めてではないでしょうか?

 

 昨日はあの後八幡君の行きそうな所や道中の道、公園など思いついた場所には手当たり次第に行ってみましたけれど、八幡君を見つける事は出来ませんでした。

 

 ただ、道の端にまだ新品の本の入ったレジ袋が乱雑に落ちていたのが気になります。もしかしたらそこで八幡君が何者かに襲われていたのかもしれませんし……

 

 

 

 

 

 

「おはようれいか。比企谷の事はアタシも小町ちゃんから聞いたよ。アタシも探すの手伝うからさ、少しでも元気出して?……れいか今……酷い顔してるよ?」

 

 登校中も何か手掛かりはないかと、寄り道をしながら登校していると時間ギリギリになってしまいました。教室に入り、席でぼうっと八幡君の事を考えているとなおが励ましてくれました。

 

 ホームルームでは佐々木先生が八幡君が風邪で欠席する事を話していました。小町さんと話してバットエンド王国が原因の可能性もあるので明日までは風邪と誤魔化してもらうことになっています。

 

 休み時間にトイレの鏡で確認すると確かに少し隈ができていてなおの言うように酷い顔でした。

 

 授業に身がはいりません。教科書とノートを開いていても頭の中にあるのは八幡君の事だけです。

 

 お弁当を食べました。星空さん達も八幡君を捜すのに協力してくれるそうです。人数が増えればきっと八幡君も見つかりますよね?

 

 

 

 

 …………見つかりませんでした……日が沈んできましたが私がまだ捜そうとすると、一度食事を取ってから皆さんも捜してくださるそうです。小町さんの厚意で八幡君の家を拠点に暗くなってからも時間を決めて捜す事になりました。

 

 二回目の八幡君の家でのお泊まりですが八幡君がいないので楽しくないです。

 

 ……また見つかりませんでした。唯一の収穫は学校近辺に居るということが分かったくらいでしょうか?不思議図書館の本の扉を使って八幡君の近くへ行こうとすると決まって学校の図書室に出てしまうのです。学校の中はもう探して無いところの方が少ないくらいで八幡君が何処に居るのか見当すらつきません。

 

 八幡君元気にしているでしょうか?お腹を空かしていないか心配です。八幡君がいないなら私は……

 

 

「れいか!!」

 

「……っ?!」

 

「れいか!今日のれいか、ずっと変だよ?!心ここにあらずって感じで、アタシ達が話しかけても中身の無い返事が返ってくるだけ!比企谷が見つからないのが悔しいのはアタシ達だって同じだよ!それに今自分がどんな状態かわかってるの?!比企谷を探す時だって、フラフラ何処見てるのか分かんないような状態で歩き回って!そんなので比企谷が見つかる訳無いでしょ!?」

 

「……ですが」

 

「アタシを見て!」

 

「……っ」

 

「アタシの目を見ろ!れいか!本当に比企谷を探す気があるの?!あるんだったらもっと気をしっかり持ちな!しっかりご飯を食べて休む時は休んで、本気で比企谷を捜しな!今のれいかじゃあ何日探したって比企谷なんて見つかる訳無いよ!」

 

「……なおちゃん」

 

「言い過ぎじゃないよ。今のれいかにはこれくらい言わないと届かない」

 

 ……なおの言う通りですね。思い返すと私、なんて酷い状態だったんでしょうか。…ですが……

 

「……グスッ……八幡君が…居ないんです。私の大切な人が……グスッ、安否も分からないままで……もう頭がぐちゃぐちゃになってしまって……」

 

「うん、わかってるよ?……れいかが比企谷のこと大好きなんだってのは周りも見てれば分かるよ。でもね、だからこそ、こんな時だからこそしっかりしなくちゃ……ね?」

 

「……ええ、ありがとうございます。なおの言うように私、少しおかしくなっていたみたいですね」

 

 こうして、気をしっかり持って周りを見ると星空さん達や小町さんが心配そうに私となおの事を見守っているのが分かります。

 

「……大丈夫だよ、れいか。大丈夫……きっと比企谷は見つかるから……いや、アタシ達で見つけ出そう……ね?」

 

「……はいっ」

 

「うん、じゃあまずはそのためにゆっくり休まなくちゃね」

 

「ええ、ありがとうございます。……なおにはかないませんね」

 

「へへん、まぁ長い付き合いだからね!」

 

 少し照れくさそうに笑うなお。

 

「皆さんにもご迷惑をお掛けしました。図々しいとは思いますがそれでもまた、明日も一緒に八幡君を探すのを手伝って頂けませんか?」

 

『もちろん!』

 

「それを言ったら小町だって皆さんに頼んでいる訳ですし、皆さんの頑張りを応援できるように明日の朝食は頑張っちゃいますよ!」

 

「ふふっ、皆さんありがとうございます」

 

 なんだか頭にかかっていた霧が晴れたような感覚ですね。明日こそは見つけてみせます!待ってて下さいね、八幡君!

 

 

 

 

 

 

 

side:ジョーカー

 

「んんー!ブラボー!もぉーとーっても素晴らしい状況ですねぇ!キュアビューティのあの変わり様は見物でしたよ!」

 

 ただ、バットエンドビューティのいる場所が問題ですねぇ。たまたま見つかって無いようですが()()()場所にこもって居るようでは直ぐに取り返されてしまいますよ。

 

「あっそーだ!ワタシの方であの子を隠してあげちゃいましょうか!んー!的確にサポートなんてしちゃってワタシってほんと優しいですねぇ」

 

 扉を開けて中を覗き込むと月明かりに照らされて、比企谷八幡と彼に抱きついて眠りにつくバットエンドビューティの姿が浮かび上がる。

 

「あらあら抱きついたまま寝ちゃってぇ。安心したお顔!よっぽど彼の事が大切なんですねぇ」

 

 まっ、当然ですよねぇ!彼女の中にあるのは比企谷八幡への愛だ〜け!他はな〜んにも無いんですから!

 

「……そう創ったのはワタシなんですけどねぇ………アハッ!」

 

 パチンッ!

 

 指を鳴らして彼をカードの中へGET!アララ?なんだかバットエンドビューティの顔色が急に悪くなってきましたねぇ!

 

「しーらないっと!」

 

 偶然はそう何度も続くものでもありませんし、明日こそは二人のビューティが顔を合わせるでしょうその時にどうなるのか楽しみですねぇ。おつまみなんて用意しちゃいましょうか?

 

「おっとよだれが……うるさいその他に二人の邪魔をさせないようにウルフルンさんにでも頼んでおきましょうかねぇ」

 

 

 

 鼻歌を歌いながらその場を後にするジョーカー。残されたバットエンドビューティはそこにあった筈の()()をかき(いだ)く様に身体を丸めると、その閉じた瞳から涙を流しながら眠り続けるのだった。

 

 

 




書いてて胸が痛かったんや!

こんばんわ、自滅してる作者です。

今回は前半八幡君、中盤れかちゃん(壊れ気味)、後半ジョーカーの三視点でお送り致しました。

後半で分かる通りに黒れかちゃんは空っぽです(あ、心痛い)

あのド腐れ外道化師がバッドエナジーこねくり回しただけあって黒れかちゃんには八幡への愛しかないのでただ一つ、縋れる者に執着している感じですね。(まぁ、それもあのド腐れに取られちゃってる訳ですが……)

次回!相反する白と黒の出会いって感じで来週もお楽しみに!
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