すいません。長引いたので切りました。
バッドエンドビューティの左半面を覆い隠す様にアカンベェの顔の仮面がつけられている。その事実に愕然としていると――シュルッ
「っ……!?」
その時身体の違和感に気づく……先程まで俺を拘束していた縄が切れているのだ。
「どうして縄が?……もしかして?」
バッドエンドビューティは俺を吹き飛ばした後、ゆっくりとビューティが吹き飛ばされた方へと近づいている。まだ砂埃が漂っていてビューティが動いた様子は無い。
そのバッドエンドビューティの顔をよく見てみると仮面に覆われて居ない部分が悲しげに歪んでいる。
「やっぱり……」
バッドエンドビューティは今、元のバッドエンドビューティとジョーカーに操られている部分でせめぎ合っているのだろう。俺の縄を切ってくれたのも俺を慕ってくれている元のバッドエンドビューティの部分なのかもしれない
ゆっくりと砂埃に近付いていたバッドエンドビューティが、何かに気付いた様に急に身構えるとその瞬間、砂埃を突き破ってビューティが飛び出してきた。
「はぁぁっ!」
「くぅっ?!」
ビューティは先程の仕返しかのようにバッドエンドビューティをその勢いのままに蹴り飛ばした。先程の繰り返しの様に今度はバッドエンドビューティが反対の壁まで吹き飛び砂埃に包まれる。
「ビューティ!」
「っ?!八幡君!?無事だったのですね!」
ビューティはこちらに駆け寄って来ると、優しく抱き起こしてくれる。
「ありがとう……とっそうだ。ビューティは今のバッドエンドビューティがどういう状況かわかるか?」
「……いえ、ジョーカーが何かしたというのは分かるのですが突然の事で詳しくは……それに今も動きを止めさせようと少し強めに蹴ってしまったので……」
ビューティは言いながらジョーカーを睨みつけるが、それに気づいたジョーカーはこちらを煽る様に手を振ってくる。
「……くっ!」
「落ち着けって。今あいつは手を出す気は無さそうだし、それよりもなんとかしなくちゃいけない相手が居るだろ?」
「……ええ、すみません。彼女の事を思うとどうしても許せなくて……」
「気持ちは分かるが今はバッドエンドビューティの事だ……一連の流れは俺も見てたが、どうもジョーカーはバッドエンドビューティをアカンベェの様に変えようとしているみたいだ」
「何ですって……」
ビューティが慌てて視線を砂埃に向けると丁度ゆっくりとした足取りでバッドエンドビューティが砂埃の中から抜け出して来たところだった。
「……そんな」
現れたバッドエンドビューティを見てビューティが思わず口を覆う。
バッドエンドビューティの顔は先程見た時よりも仮面の侵食が進んでいて、目元は既に全てアカンベェの仮面に覆われており、残っているのは右側の頬から顎にかけてのみ……それすらも時間が経つにつれて仮面に覆われてしまうのは想像に難くない。
「ビューティ……さっきまでのバッドエンドビューティはまだ抗ってるみたいなんだ。今はもう隠れちまってるが目元が見えてた時には泣きそうな顔で……それに俺の拘束を解いてくれたのもバッドエンドビューティなんだ」
「……そう、ですか」
話を聞いたビューティは何かを堪えるように唇を噛んでいた。
「でしたら尚更、どうにかして彼女を救い出さなければなりませんね。……そうして彼女にも、温かい……仲間というものをしっかりと教えて差し上げませんと」
ビューティはそう言うとスっと立ち上がりバッドエンドビューティに向かって足を踏み出す。
「八幡君は、そこで待っていて下さい。必ず私が彼女を救ってみせます」
「……頼む」
「ええ、お任せ下さい」
バッドエンドビューティへ向けて足を進めるビューティの後ろ姿を見つめながら、俺は自分の無力さに打ちひしがれていた。いつも俺はビューティやハッピー達が戦っている中で気づいた事を伝えるくらいで後は戦いの邪魔にならない様に隠れて居ることしか出来ない。
そして今回もビューティはバッドエンドビューティを助けに向かっているのに俺にはただ待つ事しか出来ない。いくら俺が攫われた身だとしても、その理由が俺の事が好きだったからとか、あんな安心しきった寝顔を見せられたら情が湧かない筈が無い。
「俺に出来ることは……」
何時でも動けるようにして、向かい合うビューティとバッドエンドビューティを見守るのだった
side:れいか
ゆっくりとこちらに向かって歩いてくるバッドエンドビューティ。彼女の顔は趣味の悪いアカンベェの仮面に覆われていて、殆ど表情を読み取ることは出来ませんが、苦しんでいることは雰囲気から察することは出来ます。
「……酷い。……私は私のできる限りの事はします。ですから貴女も最後まで抗って……そして打ち勝って下さいね」
バッドエンドビューティの動きが駆け足に変わりどんどん距離を詰めてきます。
「……いきます!」
『………ンベェ!』
「はぁぁっ!」
バッドエンドビューティが拳を振り上げ殴りかかって来ます。私も迎え撃つようにその拳を内側から弾き、肩に掌底を叩き込みます。
『アァ………ベェ!』
一撃で勝負を決めるような攻撃はしません。出来るだけ戦いが長引くように……彼女が仮面に打ち勝てるように……
『ア……!ア…………ベェ!』
「ふっ!はっ!……甘いです!!」
『ンベェ……!?』
バッドエンドビューティの攻撃を上手くいなし、弾き、反撃をしているのですが……しかし、なんでしょうか……なんだか上手く行き過ぎているように感じます……
『…カ……ェ!?』
「その攻撃も見切っています!」
彼女の攻撃が次にどう来るのかがなんとなくわかるのです。この感覚は……そうです!彼女と一緒にウルフルンと戦っていた時の感覚に似ているのです。……なんとなく次に彼女がどう動くのかわかる……この感覚。
「貴女には感じませんか!?この感覚!そしてこの気持ちが!!」
『アア……!!…………ンベェ?!』
そしてひたすらにこの気持ちを込めて打つのです。肩を膝を腕を足を……貴女と仲良くなりたい!貴女と分かり合いたい!貴女と笑い合いたい!貴女を救いたい!同じ男性を愛する者同士、そして元は私のバッドエナジーから生まれたという私の片割れ……
「はっ!ふんっ!やぁぁぁ!!」
『ンベッ!?ア……!?アカッ?!………ああ!!』
その時、私の気持ちが通じたのでしょうか……顔の右面にまで侵食していた仮面が砕け散ったのです!
『……ベェ!!……か、カッ手な事を…言わないで下さい!」
「おやおや……」
砕け散った仮面の下から現れた右目から、涙を流しながら彼女は叫びます。
「貴女のたスけなんて!!八幡クンの為に!ワタしィいアア!』
「無駄に頑張りますねぇ。もう諦めちゃいましょう?そのまま続けてもいつかは呑まれてしまうんですから、苦しいのは辛いでしょう?」
「お黙りなさい!貴方は私達同士を戦わせたいのでしょう!?ならば手を出さずに黙って見ていなさい!」
「ワタシが出しているのは口ですよォ?」
「ああ言えばこう言う……!」
なんなのですか!この状況で人をおちょくるように……!
「余所見デスかアア!』
「きゃあああ!」
ジョーカーに気をとられている隙に彼女から反撃を受けてしまいました。
『ああアア!!まだ私はァアアカアカ……!?』
「ほうらやっぱり。苦しいでしょう?辛いでしょう?耐えれば耐えるだけそれが続くのですよ?もう辞めちゃいましょうよ?」
『いやァアア!』
「負けないでください!」
ジョーカーが何かしているのでしょうか……。先程まで押し返していた仮面の侵食がまた進み始めてしまったのです。
黒れかちゃんの言葉が乱れているのは仕様です。
れかちゃんが黒れかちゃんの事ボッコボコにしてますけどあくまで愛の鞭です。思いやりの清らかな心です。
……大丈夫ですって……きっと八幡君が何とかしてくれるはず……
次回こそ今章完結!!