俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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この章の為に何度もジョーカーが出てくる回を見直しました。……アイツまじ性格悪すぎですよね……


(8)

「きゃあああ!」

 

 ジョーカーに気を取られてしまっていたビューティがバッドエンドビューティに攻撃を受け少し吹き飛ばされる。

 

 その時だ……ジョーカーが何かをバッドエンドビューティに向かって投げたのは……

 

『ああアア!!まだ私はァアアカアカ……!?』

 

 何かは分からなかったが、それがバッドエンドビューティの仮面に当たった瞬間彼女が頭を抱え苦しげに叫び出す。

 

「ほうらやっぱり。苦しいでしょう?辛いでしょう?耐えれば耐えるだけそれが続くのですよ?もう辞めちゃいましょうよ?」

 

 原因の癖に白々しい……

 

『いやァアア!』

 

「負けないでください!」

 

 ビューティの悲痛な声が響く。よく見ると先程砕けた筈の右目周りまで仮面の侵食が進んできていた。

 

「こんな風に貴女という存在が消えて……それで貴女は満足できるのですか?!」

 

『いやァ……アァいやァ!!』

 

「貴女も私と同じ人を!八幡君を愛しているのでしょう!もう会えなくなってもいいのですか!?」

 

「ンッフッフッフ……!そんなに語りかけてないで倒してしまったらどうです?ほらほらァ動けない今がチャンスですよォ」

 

「っく!………………」

 

「無視ですかァ?真面目な委員長がいじめは良くないですよォ?」

 

 ジョーカーは本当に直接手を出す気は無いようでビューティ達の周りをグルグルと回りながら煽っている。

 

「ァア……八幡君……どこ?八幡君はどこなんですカ……」

 

 弱々しく虚空に手を伸ばし俺を必死に呼ぶバッドエンドビューティ……

 

「もう見てられねぇ……!」

 

 バッドエンドビューティに向かって駆け出す。

 

「おやァ?」

 

「八幡君?!」

 

 ジョーカーとビューティの脇を抜け、バッドエンドビューティを抱きしめる。

 

「……俺はここにいるから……だから安心しろ。自分をしっかりと持て……」

 

「アアァ……八幡君っ……あぁ八幡君。……暖かい、優しい暖かさです……」

 

 カランッ……

 

『………?!』

 

 バッドエンドビューティの背中をゆっくりと撫で、落ち着かせていると後ろから何か軽い物が落ちる音が響く。

 

「……ふふっ、流石は八幡君ですね」

 

「はぁっ?!なっ……なんじゃそりゃ?!」

 

 聞いたことも無いようなジョーカーの声に振り向けば、地面に落ち、徐々に崩れていっているアカンベェの仮面が目に入った。

 

 弾かれるようにバッドエンドビューティに視線を移せば、元の綺麗な素顔を涙で濡らしていた。

 

「高々感情一つでここまでされるとは……意外を通り越して屈辱ですよっ!……しかし所詮は(まが)い物、もって数日の命……ここで私の手で散らして差し上げますよォ!」

 

 ジョーカーの叫びに呼応する様に観客席にいた大勢のジョーカー達がぞろぞろと俺達を囲む様に近付いてくる。

 

「くそっ!」

 

「卑怯なっ……!」

 

「卑怯で結構!あなた達に生まれた希望をぐちゃぐちゃに潰せるのならばねェ!あっ、モチロンあなた達二人には一切危害を加えるつもりはありませんよ?ワタシが攻撃するのはそこの出来損ないだけですから」

 

 ジョーカー達はゆっくりと包囲を狭めてくる。

 

「……八幡君……最後に貴方の温もりに包まれて、私……幸せでした……」

 

 バッドエンドビューティは(はかな)げな笑顔を浮かべて俺の腕を()こうとする。

 

「やめろ!絶対に離さないぞ!」

 

「……八幡君」

 

 俺は逆に強く抱きしめ、バッドエンドビューティの馬鹿な考えを否定する。

 

「ええ、そうです絶対に諦めません。……こんな結末、認める訳にはいきません!!

 

 ポウッ……

 

 ビューティが強く言い切るとスマイルパクトから淡く光り出す。

 

「これは…………そういう事ですか」

 

 ビューティは一人頷くと俺達を二人同時に抱きしめる。

 

「ビューティ……?」

 

「安心してください。彼等には決して、指一本触れさせません」

 

「貴女……ええ、お任せします」

 

「……はい!」

 

「何をごちゃごちゃと……もういいです。無理矢理にでも引き離してあげましょう!」

 

「プリキュア……」

 

 ビューティが祈るように手を組むと、その手の中から青い光が溢れ出す。

 

「ビューティブリザード・ドーム!!」

 

 その光は吹雪となり、俺達を中心に渦を巻くように広がっていく。

 

「なっ?!なんですかコレは!?」

 

 俺達を囲う渦はどんどんと広がり、巻き込まれたジョーカー達を消し去っていく。

 

 吹雪で囲われた中は静まりかえり、先程のジョーカーの声を最後に外の音は一切聞こえなくなった。

 

「ふぅ、これで大丈夫ですね」

 

 ビューティはそっと、息を吐き出し笑顔を見せた。

 

「……はぁぁ、敵いませんね……紛い物の私では」

 

「そんな事ねぇだろ。紛い物なんてジョーカー勝手に言っただけだ……バッドエンドビューティはお前だけだろ」

 

「やはりとても優しいのですね……ただ、バッドエンドビューティと呼ぶのはやめてください。そう呼ばれるのならまだ名前の無い方がましです」

 

「す、すまん……」

 

 確かにバッドエンドなんて酷い名前だよな……

 

「私も気をつけますね。っと、話を断ち切るようですが、貴女に聞いて置かなければならない事があります」

 

「……どうぞ。もう抗う気力もありませんもの」

 

「もって数日の命……と言うのは本当ですか?」

 

「っ……!そういえば……」

 

 そうだった……!確かにジョーカーがそんな事を言っていた……

 

「……ふふっ、もって数日……ですか。本当にそこまでもつのでしょうか?」

 

 そう薄く笑うバッドエンドビューティ……いや、彼女の掲げた手の指先は黒い光の粒となり(ほど)けるように薄くなっていた。

 

「なっ?!」

 

「……そうですか……」

 

「そんな……どうにかできないのか!?」

 

 せっかく助かったのに……これから仲間になれると思っていたのに……!

 

「八幡君……泣かないで下さい。思い返して見れば私は自分の事しか考えていなくて八幡君にはかなり迷惑をかけてしまいましたね」

 

「迷惑なんていくらでもかけていいから……!そんな最後みたいな事……言わないでくれよ………」

 

「ええ、許しません……」

 

 言葉と共にビューティが俺の腕から()()を抱き起こす。

 

「なっ………最後くらいは八幡君の腕の中で終わりたいのですけど?」

 

「いいえ、貴女には迷惑を掛けた皆さんにしっかりと謝っていただきます」

 

「ビューティ……それは……」

 

 ビューティは俺の問に答えることなく()()を真っ直ぐに見つめる。

 

「貴女は私です。……たとえバッドエナジーとして分かたれようとも元は私の一部だった事には変わりありません」

 

「ええ、そうですね。もうすぐ消えることには変わりありませんけど……」

 

「いいえ、消させません。貴女は私……そして私は貴女です」

 

「貴女……一体どういう……」

 

「戻りましょう?私の中に……」

 

「それは……」

 

「貴女は私……私は貴女。ですが……私と貴女は既に鏡合わせの別人です」

 

「……………」

 

「それでも……私の中に戻って来て下さい。貴女の名前は鏡華(きょうか)。鏡合わせの私です」

 

「………ふふっ、そういう事ですか……」

 

 上手く理解が出来ないまま二人の話が進んでいく。

 

「……っ!?」

 

 先程まで指先だけだった黒い光の粒が()()の全身から放たれ()()の存在がどんどん薄くなっていく。

 

「まって!待ってくれ……」

 

「八幡君、安心してください」

 

 そう言い、ビューティが彼女の額に口付けを落とすと、放たれていた黒い光の粒はビューティの身体へと吸い込まれるように消えていく。

 

「これからは二人で八幡君を愛していきましょう」

 

「ああ……でも……」

 

 そうして彼女が完全に光の粒となり消えてしまうと……

 

 コロンッ

 

 遅れてビューティの腕の間から落ちたキュアデコルだけが()()がそこに存在した事を証明していた……

 

「そんな……そんな……」

 

 悔しさと寂しさに涙が溢れてくる……

 

 チュッ……

 

「え?」

 

 ビューティが俺の目元にキスをして涙を吸っていった。

 

『私の為に涙まで流してくれるなんて……やっぱり私達、相思相愛だったのですね」

 

「ちょっと!いきなりナニをしでかしているのですか!」

 

『なんですか?私を受け入れたのは貴女でしょう?私達の愛を邪魔しないで下さらない」

 

「それとこれとは話が別です!それに二人で愛していきましょうと先程言ったばかりではないですか!」

 

「……え?……えぇ?……どういう事?」

 

 目の前で急にビューティが急に一人漫才のような事を始めて頭が追いつかない……

 

『そんなことよりも今は八幡君に説明をした方がいいのではないですか?」

 

「あぁもう!そうなんですけどもぉ……もお!」

 

「あー、取り敢えずビューティ……落ち着こうぜ?」

 

 テンパってる時に自分よりもっとテンパっている人を見ると落ち着くって本当なんだな……

 

「……はい。もういいです……改めまして私がキュアビューティであり青木麗華(れいか)です」

 

『そして私が青木鏡華(きょうか)ですね。八幡君……これからも宜しくお願いしますね♡」

 

「……お、おう」

 

 ビューティ一人から行われた雰囲気の少し違う二つの自己紹介に、俺はただそう短く返す事しか出来なかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 吹雪が晴れると辺りは闘技場では無く普通の公園だった。ジョーカーも既に居なくなっており、やっと気を抜くことが出来そうだ……

 

「れいかー!」

 

「れいかちゃーん!あっ!?比企谷くーん!!」

 

 声の方を見ると緑川達が駆け寄って来るところだった……そういえばれいか一人はだったけどコイツら何してたんだ?

 

「なお達にはアカンベェとウルフルンの相手をしてもらっていたんですよ」

 

 俺の怪訝な顔を見て察したのかれいかが補足してくれる。

 

「そうだったのか」

 

 ジョーカー以外にウルフルンも出てたなんてかなり大変な事になってたんだな……

 

 

「れいかー!比企谷ー!」

 

「きゃ!?」

 

「ぐふっ?!」

 

「無事で良かったよぉ!比企谷の事、みんな心配してたんだからね!」

 

 緑川が俺とれいかを片手ずつで抱き締めてくる。ただ、顔は完全にれいかの方を向いて俺への注意が散漫になっているせいか……

 

「ぐぅ……!」

 

 締まってる締まってる……!!

 

「なおーっ?!締まっとる!!首っ!比企谷の首締まっとるって!?」

 

「あぁっ?!ごめん比企谷!」

 

「ごほっ……大丈夫だ」

 

 日野のお陰で直ぐに解放されたが……緑川力強ぇな……

 

「あれ?もう一人のれいかちゃんは?一緒じゃないの?」

 

「ほんとだ……どこに行ったの?」

 

 黄瀬の言葉で思い出したのか星空も辺りをキョロキョロしている。

 

「実はそのことなので『私ならここに居ますよ?」

 

「いや、れいかの事じゃないって」

 

『それくらいわかっています。ですから私がそのもう一人だと言っているのですよ。因みに私の事は鏡華と呼んでくださいね」

 

 おいおい……

 

「え?じゃあれいかちゃんは?!」

 

「あのぉ……鏡華がかなり混乱させてしまったと思うのですが私もれいかです。なんと言いましょうか……二重人格と言うような状態でして」

 

『まぁ私は基本あまり表に出る気はありませんけどね」

 

「もうっ、唐突に変わるのは止めなさい。私は良いですが周りが混乱するでしょう」

 

「いや、ウチらもう混乱してるし……」

 

 まぁ、慣れたら賑やかで良さそうだよな……ああは言っているがれいかも楽しそうだし……

 

「ほらみなさい……それに貴女は皆さんに謝る事があるでしょう?」

 

『うぅ……わかっています。その、貴女達には迷惑を掛けたみたいですね……その、ごめんなさい……悪かったと思っています……………これで良いでしょう!?」

 

 最後のは照れなのか緊張なのか判断がつかねぇけど、まだ俺達以外には慣れねぇのかも知れねぇな……

 

「あっ、もう……すみません、彼女には私の方からも言っておきますので許して上げてください」

 

「全然!れいかちゃんときょうかちゃん?が仲直り出来たならわたしはおっけーだよ!」

 

「せやな……まだ混乱してるけどれいかが良いならウチも大丈夫やで」

 

「……二重人格……なんだかかっこいい!」

 

「アタシも大丈夫だよ。でもきょうかとはもっと仲良くなりたいかな」

 

「……だそうだぞ。改めてこれからよろしくなきょうか」

 

『はい♡私ともっとよろしくして下さいね八幡君♡」

 

「比企谷には直ぐに反応すんねんな……」

 

「貴女は……いえ、今日はもう何も言いませんけどこれからちゃんとルールを作っていきますからね?」

 

『わかっています……私を受け入れてくれた貴女にだって感謝しているんですから///」

 

 そう言った切り、照れたのか暫くきょうかは出て来なかった。

 

 

 

 

 

 

 こうして俺達に新しく一人?仲間が増えた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




先に後書きから読む人なんていないですよね?


はい!ということで黒れかちゃん改めきょかちゃんは二重人格としてれかちゃんと二人で八幡くんを愛して行くことになりました!

 初めから察してた方もいるかもしれませんがキュアデコルを生まれる時に使われている以上 、五体満足の状態での生存はほぼ無しだったんですよね……

因みにきょかちゃんの台詞は『 」感じの表記でいこうと思います。

それではまた次章もよろしくお願い致します。
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