ドーン! ドーン!
小町と朝食をとっていると遠くから花火の音が響いてくる。
「おー、鳴ってるねーこれお兄ちゃんとこの体育祭の花火でしょ?」
「多分なぁここら辺で今日ある行事なんてうちの学校の体育祭くらいだろうし」
「ふーん、まぁ見に行くから頑張ってよ。お義姉ちゃんにも会いたいし」
「……お前、それ後者の方が本命だろ」
「もちろんだよ!お兄ちゃんを探してくれたお礼もまだ出来てないしね」
あー、そういえば小町は俺が捕まってた時以来れいかに会ってねぇのか。……やっべぇ、小町に鏡華の事伝えてねぇわ……
「あー、小町ちゃん?今日れいかに会ったら分かることなんだが……」
「んー?なんかあったの?」
「……やっぱれいかに聞いてくれ」
言えねぇよぉ!!忘れてたとか言ったら絶対暫く口聞いてくれなくなるもん!八幡わかるもん!もんもんっ!!……うん、キモイな……
「え?何その間……お兄ちゃん小町になんか隠してない?」
「いやいやいや、そんな事ないぞーお兄ちゃんからのサプライズがあるだけだから楽しみにしとけよ」
動け!俺の表情筋!小町に動揺を悟られないように自然体を装うんだ!
「……ふーん。まいっか、お義姉ちゃんと話せるなら小町はそれでいいし」
ふぅ……小町がれいか大好きで助かったぜ……まぁ俺の方がれいかの事は好きだけどな!……何張り合ってんだろ俺……
「ごちそうさまー、小町お母さん達にお義姉ちゃんの出る競技の録画頼まれてるからその準備してるねー。だから片付けはよろしくー」
小町は食べ終えると席を立ち、手をひらひらと後ろ手に振るとそのまま居間から出ていった……
「……そこは嘘でも俺を撮るって言わね?」
体育祭で息子よりもその彼女の勇姿を撮るとかどうなんよ?…………まぁ、俺も後で見せてもらえば良いか……
「みんなおはよう!今日は先生も精一杯応援するからみんなも頑張ってね!!よーし、頑張るぞー!」
『おおおおおお!!!』
佐々木先生の号令でクラスの奴らの声が大きく響く。柄にもなく俺も一緒に声を出してしまったのは、先週からみんなで続けてきた練習があったからだろう。
登校前と放課後、そして休日にはみんなで集まって沢山走り込みやバトンの受け渡し練習等をして今日という日に備えてきたのだ。去年までは、ただ早く終らないかと適当な競技に出て、後は時間を潰すだけの体育祭だった。
それがこんなにも楽しみになるとは……人は変わるもんだと自分の事ながら驚いている。それもこれもれいかやきょうか、そして緑川達のおかげだ。
「……あっ比企谷いた」
特殊な形でのホームルームも終わり、密かに感謝の気持ちを抱いているとその本人がやって来た。
「もうみんな集まってるよ!」
「……おう、今行く」
緑川の背を追いながらも、俺は自然と頬が緩むのを感じていた。
「お義姉ちゃーん!」
……集まりってこの集まりかよ……
体育祭はクラス毎に待機場所が決められているので、緑川もそこに向かっていると思っていたんだが……
なんと集まって居たのは各自の家族だった。見慣れない人も何人か見受けられるが俺と面識がない星空か黄瀬、緑川の家の人達だろう。
『きゃっ?!……もう、誰です?この子は?ん?……スンッスンッなんだか嗅ぎなれた匂いが……」
「うぇええ?!お義姉ちゃんいきなり何を!?って誰って?えっ?え?」
「はぁ……きょうか……この子が小町さんですよ?……と言うより、いきなり人の匂いを嗅がないでください///」
しかも運の悪い事に、丁度小町ときょうかのファーストコンタクトの瞬間に立ち会ってしまったようだ。
『まぁ!では貴女が八幡君の妹さんですね!初めまして、鏡華と申します。れいかのもう一つの人格と考えて下さいね?」
「え?……あっ、小町は小町です。そのぉ初めまして?……あっ!お兄ちゃんっ!ちょっとこっち来て!!」
やべっ!見つかった……
「……へぇ、それじゃあきょうかお義姉ちゃんもお兄ちゃんの彼女さんって事なんだ……」
『ええ、物分りの良い子は好きですよ。ふふっ」
「あっ///なでなでうまっ///……ふひっ」
結局小町はれいかお姉ちゃん、きょうかお姉ちゃんと呼び分ける事にした様だ。現在進行形であまり人に見せられない顔をしている我が妹様だが意外とすんなりと受け入れてくれた。俺が小町に言い忘れていた事も有耶無耶になったので個人的には万々歳だ。
小町からのさらなる追求を警戒してゆっくりとその場から離れていた時だ。
「比企谷さん」
「はいっ……!」
急に後ろから掛けられた聞き覚えのある声に背筋が伸びる。
「お、お久しぶりです……」
「ええ、お久しぶりです。……れいかがプリキュアなるもののだという事……教えてくれました」
「っ!……そうですか、ではきょうかのことも?」
いや、きょうかの事があったからこそ、れいかはプリキュアの事を家族に話したのか……まぁ小町も知ってるし、れいかの母ちゃんなら大丈夫だろう。
「……ええ、家族で知っているのは私だけですが……。それよりもうちの娘が比企谷さんにはご迷惑をお掛けしてしまっていたようで……」
「迷惑なんてそんなこと思ってないです!」
つい、カブリ気味に否定してしまう
「……ふふっ、ありがとうございます。れいかは幸せ者ですね。比企谷さん、私ではあまり手助けする事は出来ませんがうちの
「はい、それは勿論……って二人って」
「……どの様な経緯があろうと、れいかから分かたれたのなら、きょうかも私の娘である事に変わりはありません。……もう少しお話する機会が増えると良いのですけどね……」
そう言ってれいかの母ちゃんは優しい眼差しで小町を撫でているきょうかを見つめていた。
【これにて午前の部を終了いたします。只今から一時間お昼休憩となります。皆さん、午後の部までにしっかりと英気を養いましょう】
『お昼だー!』
午前中最後の競技だったクラス対抗玉入れが終わり、お昼休憩の放送が流れるのと同時に星空と日野が駆け出して行った。……アイツらリレーの練習の時よりも速く走ってねぇか?……流石に気の所為だよな?だよな?
「八幡君、私達も行きましょう」
「ああ、俺も星空達程じゃねぇが結構腹減ってきたしな」
れいかと教室に弁当箱を取りに戻る。俺達が教室に入る頃には既に昼食に飢えた男子達と一部女子(星空や日野)は教室から出ていった後の様で緑川や黄瀬を含めた数人の女子が自分の荷物からお弁当を取り出していた。
「あれ?れいかに比企谷も、遅かったね」
「別にそこまで遅くはねぇだろ?確かに少し出遅れた感はあるけどな……」
「……うん、言われてみればそうかも。みゆきちゃん達が走ってたからわたしも少し釣られて早歩きになっちゃってたし……」
遂に黄瀬にまでも影響が出ていたらしい。え?昼飯ってそんなに焦るもん?
「ふふっ、早くご飯を食べたい気持ちは分かりますが食事はゆっくり、良く噛んで食べてくださいね?」
「う、うん。でもれいかちゃん、なんだかママみたい」
「まっ……ママ……ですか?」
「くふふっ……」
つい、笑いが零れてしまう。確かに……なんだか母親の小言みたいだな。
「なっ///八幡君まで……もう!知りません!」
「あっ!いや、そんなつもりじゃなくてだな……」
「あはははっ!もう最高……!れいかも許してあげなよ。れいかがママって事は比企谷はパパって事でしょ?」
「ぱっ?!」
「それなら……ええ、許して上げます。ね?パ〜パ♡」
パッパパぱぱパパぱぁ?!
「ヒュッ……」
「……比企谷くん、固まっちゃったね?」
「あ゛ぁぁ……良いはちれいだわぁ」
「あっ……なおちゃんもダメそう……れ、れいかちゃん私達はもう行くね。比企谷くんとお幸せに?ね」
「ええ、ありがとうございます!午後の部でもみんなで頑張りましょうね!」
「うん!」
「ちゅっ♡」
「はっ?!」
なんか今一瞬意識が飛んでた気がするわ……
「おはようございます。八幡君」
「お、おう……おはよう?」
「少しの間、ぼーっとしていましたよ?あまり長く教室に居てもお弁当を食べる時間が無くなってしまいますから、私達もそろそろ行きましょう?」
「あ、ああ、そうだな。そうだよな……」
「ええ、こういう行事でのお弁当は特別美味しく感じるので楽しみです♪」
なんかあった気がすんだけどなぁ……まぁいっか、今はれいかと弁当を食べる事を楽しもう。
れいかママンにきょかちゃんを甘えさせたい!!
ちなみに小町はお義姉ちゃんと言ってますが八幡君はお姉ちゃんと言ってると思い込んでます
そういえばれいかママンの紹介をちゃんと作ってなかったので
名前:青木 静子(原作同様)
一人称:私 余り登場回数が多い訳でも無いためれかちゃんと一緒