あの後、れいかとのぞみさんは二人でみんなの輪の中に戻って行った。何を話していたのか聞かれていたが、二人共上手く言葉に出来ないようで少しはぐらかす様に応じていた。
もちろん?緑川は新しいハンカチを噛んで日野になだめられていた。今日はフュージョン探しで疲れていた筈なのだが、それも嘘のように元気におしゃべりに興じているのはやっぱり女性の
そしてその輪の中にも入らずに俺が何をしているのかと言うと……
「ちょっと聞いているの?!」
「はいはい……ちゃんと聞いてるからでかい声出すなよ……」
未成年だから酒なんて飲んでもいないのに雰囲気に当てられたのか、酔ったように絡んで来るくるみさんの相手をしていた……
「ココ様もナッツ様もパルミエ王国の国王様なのよ!そんな方々にぶつかっておいて許されると思っているの!?」
「え……マジで?」
あのイケメン二人とも王様かよ……王族でイケメンとか……
「おおマジよ!全く貴方もそうだけどみんなお二人への敬意が足りないわ!あの方達は……」
……くるみさんすげぇな……二人の話を始めた途端もう止まらねーの。
……三十分くらい話してたか?適当に相槌を打って話を聞いてるとだんだん話す速度がゆっくりになり、とうとう寝息をたてはじめてしまった。
ポフンッ!
眠ってしまったくるみさんから煙出たと思ったら、そこにはくるみさんの代わりに寝息をたてる妖精がいた。
「みるぅ……みるぅ……」
えー……どうしろと?
「ミルクは疲れて眠ったようだな」
どうしようかとあたふたしているとナッツさんが来てくれたので任せる。
「あっ、ナッツさん……ところでミルクって?」
「美々野 くるみは人間の姿の時の名前だ。本当の名前はこの妖精の姿の時のミルクだ」
「へぇ……」
「ミルクの相手をしてもらって悪かったな。のぞみもかれんも今は向こうで話しているから拗ねていたんだろう」
「いえ、ほとんど話を聞いていただけだったので大丈夫です」
「それでもだ。ミルクも疲れて寝入った様だし向こうにもそろそろ解散してもらうとしよう。ここに来た目的はフュージョンの欠片を探すためだ。それが遊んでて疲れて見つかりませんなんて事になったら目も当てられん」
確かに……いくらあいつらでも今日は一日歩き回ってたんだし疲れも残っているだろう。しっかりと休んでもらわなくちゃな……
「分かりました。続きはフュージョンを見つけ出して倒してから……ですね」
「……あぁ」
「みんな!そろそろ解散にしよう。あまり遅くなって明日に影響が出るのはよくないからね」
『はーい!』
ココさんに言って解散の号令を出してもらった。俺?いやいや、初対面の人達に指図なんて出来ねぇし……
軽く片付けを手伝ってから自分達の部屋に戻ってきた。
「んー楽しかったー!おやすみー」
「こらっ!みゆき布団に入る前にお風呂に行くで!」
「あーん、そんなに引っ張らないでよー」
星空が日野に引きずられるように連れていかれた……まぁ女子なんだから風呂は忘れずに入ろうな……
「アタシ達も行こっか?」
「うん」
緑川と黄瀬も日野達に続くように風呂へ向かう。
みんなが風呂へ向かって部屋には俺とれいかの二人だけが残された。
「……のぞみさんとの話はどうだった?」
「ええ……とっても楽しかったです。のぞみさんと話していると今日初めて出会った筈なのに、不思議と懐かしく感じるのでついつい話題を広げてしまって……」
そう話すれいかは本当に嬉しそうに話すものだからこちらまで嬉しくなる。
『そうですか?私は特に何も感じませんでしたけどね」
「きょうかか、そういえばさっきは出て来なかったけどどうかしたのか?」
みんなで話している時、きょうかが出てくる事はなかった。
「私、あまり初対面の人が多いところは苦手ですもの」
「あー、そっかぁ……」
せつなさん達の時は四人だったけどさっきはその倍だもんな……
「ふふっ、そうでしたね。……さて、私達もお風呂をいただきましょうか……八幡君も一緒に入ります?」
「いやっ!?ちょっ、それは無理だろ!?」
『ここのホテルは家族風呂も従業員の方に言えば使えるみたいですよ♡」
「……なっ?!でもそれなら……いやいやいやいやっ!さっ、先に風呂行くから!」
一瞬流されそうになった思考を慌てて追い出し、逃げるように男湯へ向かったのだった。
夜。みんな風呂から上がり、髪を乾かすと今日一日の疲れが一気にやってきたのか、目を擦りながらの緑川の提案ですぐに消灯となった。星空が持ってきたトランプの箱も封も切られずにテーブルの上に鎮座したままだ。
各々がベッドに潜り込んで、ゆっくりと今日会った先輩達の事などを話していたが、いつの間にかその声も途切れ静かな寝息だけになる。
俺もだんだんと意識が途切れだし……………チュッと、首筋に鈍く走った痛みに目が覚めた……
「はぁ……はぁ///……ちゅ…じゅぅ……んばっ♡」
掛け布団との間、今の今まで目を覚まさなかったのが不思議な程に、俺に覆い被さるようにして首筋に貪るように口付けを落とす
「………きょうかか?」
初めはかなり驚いたが
『起こしてしまいましたか?ごめんなさい。ですが直ぐに私を疑うのはちょっとだけ傷付いてしまいますね」
「えっ?じゃあ……」
きょうかじゃないとなると今も俺に覆い被さっているのは必然的に……
「八幡君、申し訳ありません///……その、のぞみさんと会った時に思い出した喪失感でなんだか眠れなくて……」
れいかの声は震えていた。
その顔は消灯した暗い部屋では、伺う事こそ出来なかったが、その震えた声とポタッ……ポタッ……と、落ちてくる雫によって、れいかが泣いていることだけは察する事が出来た。
「……今、れいかの心情が、どういう状態なのかとか……俺には詳しくは分からないけど、一応俺ってれいかの彼氏なわけだからさ……上手く言えねぇけど、受け止める事は出来るから……な?」
そう言った瞬間、強く抱きしめられる。
「はいっ……!はいっ……!……ありがとう……ございます……!……やっぱり大好きです」
そこからはひたすら俺を求めるれいかを、ただ受け止め続けていた。
体温すら混じる程に強く抱きしめられたり、延々と首筋に口付けを落とされ続けたり……自分の理性がゴリゴリと削られるのを感じながら、れいかの背中や頭を撫で続ける。
「……もう少しだけ貴方を感じさせてください……!私だけの
「大丈夫……全部受け止めるから……」
数分……いや、数十分だろうか?いつの間にかれいかからも静かな寝息が聞こえ始めた。
「……大丈夫……大丈夫」
れいかの寝息に合わせるようにゆっくりと頭を撫で続ける。
『……八幡君はやっぱり優しいですね」
「……れいかは寝てるのか?」
『ええ、泣き疲れたのかもしれませんね。私は起きていますけど……」
「……きょうかは何か知ってるか?」
『私も詳しくは……ですが、きっと彼女とは不思議な縁があったのでしょう。それが何かまでは分かりませんけどね」
「そうか」
きょうかも俺と同じ見解のようだ。……プリキュアだって知らない奴から見たら不思議な存在だろう。れいかとのぞみさんとの不思議な縁も、もしかしたら自覚出来てないだけで、そんなに珍しい事でもないのかもしれないな……
『ただ……」
「ん?」
『ちゅぷ……」
「んむっ?!」
『んっ……ぱぁ///……れいかばっかりはズルいのでこれでチャラです。……ふふっ、おやすみなさい♡」
最後に強烈な置き土産を残し、きょうかもれいかの内へと戻ったのか、またれいかは静かな寝息を立て始めた。
やられた……少し落ち着いてきていた筈の胸の鼓動が、また早くなるのを感じながらも俺も目をつむり、傍らの……大切な人の体温を感じながら意識を沈めていった………
おっしゃ、次回から映画二日目だここからの先輩キュアとのお話はバトル前に一回でそれ以降は基本バトル中になると思います。……多分