「キャーッ!!」
朝の静寂を引き裂く様に響き渡る悲鳴。
「……っ!?どうしたッ?!」
突然、近くで上がった悲鳴に反射的に跳ね起きる。辺りを見回せば、寝転んだ緑川とその近くで腰を抜かす黄瀬の姿があった。
「……なっ、なおちゃんが倒れてて……血、血が出ててっ……!」
黄瀬の言葉に緑川の事をよく見ると確かに顔の下辺りの床に血が少し溜まっている。
「緑川?……おいっ、大丈夫か?」
頭を打っていた場合、体を揺さぶるのは逆効果だ。意識の確認のために声をかけながら、傷口を見ようとゆっくりと頭を抱え起こす。
「……………はぁぁ……」
心配して損したわ……
「……なおちゃんは大丈夫そう?」
俺の様子に疑問を感じたのか黄瀬が恐る恐る緑川の容態を聞いてくるが……
「あー、全く問題無さそうだな……ほれ」
黄瀬の方へ緑川の顔を向ける。
「…え?……えぇ………」
すると、直ぐに黄瀬の顔も心配から呆れへと移り変わってしまった。
「……幸せそうな顔して鼻血出してやがるぞコイツ」
そう。緑川が倒れた?原因は転んだり頭を打ったりした訳では無く単に興奮しすぎて鼻血を出しただけのようだ。そりゃ呆れるわ……
「……でも、なおちゃんは何でそんなに興奮したのかな?」
「……さぁ?そんな事よりみんなを起こすぞ。もういい時間だしな」
まぁなんで興奮したのかは大体想像がつくので話を変える。
「……うん、わか「ふぁ……はう……あら?おはようございます。八幡君、やよいさん、お早いですね」
「あ、れいかちゃんもおはよう…………ってあれ?そこって比企谷くんが使ってたベッド…………っ?!//////」
コレとんでもねぇ事考えてんな?
「勘違いするなよー?一緒のベッドを使って寝てただけだからな」
「……などと容疑者は供述しており?」
「それはやめろ」
結局あの後すぐに誤解は解けたが
ホテルの前。
昨日ホテルで知り合った、のぞみさん達先輩方に妖精の方達と集まって今日のフュージョン探索の際に探す場所が被らないように打ち合わせる。
「よーし!今日こそフュージョンを見つけるぞ〜!けって〜い!」
「けってーい!」
『いえーい!』
のぞみさんと星空は掛け声の後でハイタッチをしていた。昨日会ったばっかなのに仲良くなるの早ぇ……
「比企谷君、少しいいかしら?」
「あ、はい」
呼ばれたのでかれんさんの近くへと行く。
「わたし達は今日、昨日貴方達がフュージョンの欠片を倒したっていうコンテナ置き場に行ってみようと思うわ。そこを始点として手分けして探すつもり、貴方達は?」
「俺達は逆に今日は全員で探すつもりです。……目を離すと迷子になりそうな……というより、実際に昨日は迷子になったので今日はそうならないようにって感じです」
「そう、それなら一日に何度も同じ所を探すことにはならなさそうね……お互いに頑張りましょう」
「はい、……まぁ俺は戦えないんですけどね」
「戦う事だけが全てじゃないわ。貴方はそれ以外の面で彼女たちを支えてあげるつもりなのでしょう?違うの?」
「いえ!もちろん支えますけど……」
「ならそれで良いじゃない。しゃんとなさい!」
「は、はい!」
そうだよな……戦うこと以外に俺にも出来ることはまだあるもんな……
って思うじゃん?
「あっ!あっちにフュージョンが居そうな気がする!」
「ちょっ!?星空ァ!一人で走り出すのはマジでやめろ!」
「……あっ、このヒーロー懐かしい……欲しいなぁ」
「あれ?やよいちゃんは?」
「は?黄瀬?……って居ねぇし?!」
「……クンクン……めっちゃええ匂いやん!なぁなお、ちょっと早いけどお昼ここにせえへん?」
「わぁ……!本当にいい匂い……比企谷?いいかな?……あれ?」
「比企谷?……みんな?」
昼食後……取り敢えず説教な。
「……はい、危うくフュージョンを探す時間よりも、お前らを探している時間の方が多くなりそうでした。……どう思うよ?」
『あはは……』
「あんまり指図するような事は言いたくねぇが、立ち止まったりする時は誰か一人とかじゃなくてみんなに声を掛けてくれよな……気付かないで置いて行っちまうかも知れないんだからな?」
急に一人居なくなるとか心臓に悪すぎるんだよな……最初はフュージョンに襲われたのかと思っちまったし……
「……なんだか比企谷くん、お父さんみたいだね」
はぁ?
「体育祭の続きですか?では、私がお母さんですね?ね!」
反応が早い……あと圧が強い……
「れいか落ち着いて……ふひ///」
緑川はお前が落ち着け……
「おほんっ、そういうことでこの後のフュージョン探しでの約束な?一、勝手に立ち止まらない。二、怪我をしない。三、他の人に迷惑をかけない。分かったか?」
『はーい!』
……れいかとの子供かぁ……流石にこいつら程やんちゃじゃないよな……
「あー!」
「どうした?フュージョンの手掛かりでも見つけたか?」
星空が何か見つけた様なので振り返ると……
『あ、あー……』
居ねぇ……
「比企谷すまん!みゆきのこと止められんかったわ」
「声をかける間もありませんでしたね」
「はぁ……追いかけよう」
言ったそばからかよぉ……
俺達が追いついた時、星空は見知らぬ少女と楽しそうに話をしていた。
「みゆきちゃーん!……やっと追いついた。比企谷もうカンカンだよ!」
俺を引き合いに出すなよ……
「……パパに怒られちゃうよ!」
「……え?その設定まだ続けんの?」
「えへへ……」
『やよい……ママですよぉ」
きょうかが悪ノリなのか黄瀬を後ろから抱きしめる。
「え?!あ、わ、わーいわーい?」
え?この茶番続けんの?
「あ、え///………ママ!アタシも!アタシも!」
『なおもどーぞ」
「やった!!」
きょうかの広げた腕の中へ飛び込む緑川……あいつだけガチで喜んでねーか?
「もー!お母さんもお父さんもわたしを除け者にしないでよ!はっぷっぷー!」
「お前もかよ……つかそもそも星空が勝手に走り出したからでな?」
「……あう……じゃなくて!みんなに紹介したい子が……」
『あゆみ……悲しませた……!』
「なに?!」
「声……?」
「あゆみって………あゆみちゃん?!待って!」
謎の声に俺達が驚いた隙に逃げるように走り出す少女。
「……んん?!」
「背中のあれっ……!」
日野が驚き、指さす先、あの不定形な感じは間違いなくフュージョンの欠片だ……!
『あゆみ悲しませた……敵!』
「フーちゃん?!」
フュージョンはその不定形な姿を触手の様に伸ばすと勢いよく星空に向けて振り下ろしてきた。
『敵ぃぃぃぃ!!!』
「みゆきっ!」
間一髪……日野が飛び込むように星空を押し倒した事で二人は叩きつけを避けることが出来た。
「……びっくりしたぁ!あかねちゃんありがとう!」
「お礼は後やで!今はアイツに集中せな!」
「なんなのアレ?!」
「フュージョンクル!」
うぉ?!いつの間に出てきた!?
「アレが?フュージョン!?」
「皆さん!変身しますよ!」
れいかの掛け声で五人が光に包まれた。
個人的に今回の話では、なおちゃんのママ!が一番気に入ってます!
キリが悪いので少しだけ短め!許してね!
次回はバトルスタート!