腐り眼と黒の剣士がギルドを作りました   作:〈L.K〉

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初投稿。


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 ららぽにラノベ新刊を買いに行くだけで、まさかこんな時間になるとは...。迷子の親探しを手伝うとか、我ながら珍しいことをしたものだ。小町や京ちゃんと重なって見えて、放っておけなかったのもある。

そういえば俺の目を見ても怖がらなかったな、と少しだけ嬉しく思いながら帰路を急ぐ。今日のスタートダッシュは大事だからな。折角β版に当選し正式サービスの優先権が貰えたんだから、どうせなら最前線を走りたいし。

 

「ただいま。小町...は出掛けてるのか」

 

玄関には一足の靴以外は見当たらない。片方の社畜は今日も今日とて悲しく出勤。お袋は泥のように眠っているはずだし、小町は何処かに出掛けたのか...食材の買い出しだったら外出してる俺に頼む(使う)はず。なのでおそらく遊びに出掛けているのだろう。友達と出掛けてるなら男友達がいないかお兄ちゃん心配だ。大志とか川崎(弟)とかたーちゃんとか。

 

「手洗いうがいOK。水分補給にトイレ完了。昼食は...夜食に取って置くか」

 

食べる時間はあるが消化とかの心配があるから後回しにさせてもらう。すまない小町、いつも以上に味わって食べるからな......。

 

「冷蔵庫にしまってっと、もう45分過ぎちゃったのかよ。早く準備しないとな」

 

自室に入ってヘルメットのような機械をベッドに置いた。地味に重いんだよな...コードも結構太いし。仰向けで使うとはいえ、寝返りうてないだろこれ。コードの端子歪まないか心配なんだけど。...体は動かなくなるから大丈夫なのか?心霊映像撮影番組ばりにスマホで撮っておこうか。どっかの検証系YouTuberが動画投稿しないかな。

余計なことを考えながらも準備を終える。一応小町宛に置き手紙でも書いておくか。寝てると勘違いして急に起こされたりしたら問題だ。後遺症とかの心配もあるが、何より冒険の邪魔をされたくはない。攻略組に、俺はなる!

 

11:58

 

メモ用紙を机にでも置いておこうと思ったが、小町がわざわざ見るとは思わないので部屋のドアに張り付けておいた。机の上は信用ならないことを某復活で八幡は学んだ。まぁ?俺には起こしてくれる居候はいないけど世界一可愛い妹がいるから。世界一可愛い妹が。

 

「いよいよだな。今回は何をしようか」

 

『あの世界』の光景が目に浮かぶ。βの時は攻略(戦闘)ばかりで検証班や生産職とはあまり関わらなかったし、景色やオブジェクトが現実よりも綺麗だったので色んな所を歩きまわっていたライト層やエンジョイ勢とは情報交換もしたりして交流があったから、ハンターやトレジャー系も楽しそうだな。

そこ、人見知りを弄らない。画面を通してキョドらないように、アバターを通して関わっていると意識すれば問題ない。...最初はどもったりしたけど。

 

PVP(対人)も面白そうだ。一つの武器を極めるのが楽そうだが、複数使いこなす器用貧乏もロマンがある。中層や上層のまだ見ぬ武器も使ってみたいな。魔法が無いとはいえ、弓やボウガン等の遠距離武器も無さそうなのは残念だ。

 

「まぁ、あいつは片手直剣オンリーだろうからな。それ以外にするか」

 

戦闘中の反射速度や数多の経験(ゲーム歴)からなる頭の回転、生粋のゲーマーのあいつは手強いどころじゃないからな...。同じ武器じゃ知識量や経験で勝てないし、面白みもないからな。

 

11:59:50

 

そろそろだ。

幻想的な世界、果てしない道のり。魅せられ心奪われたあの仮想世界(世界)へ今!

 

 

 

噛まずにいられたのは練習したからとかじゃないぞ。そんな黒歴史は存在しない。ハチマンウソツカナイ。

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 準備を終えた俺は自室の椅子に座り、『あの世界』で身に付けた動きをイメージトレーニングして時間が訪れるのを待っていた。

 楽しみじゃないわけがない。今日までの間、他のベータテスター達が掲示板サイトや【MMOトゥデイ】等の大手ゲーム攻略サイトに上げられているβ版の、自分自身で得た以外の情報をかき集め予習までもしてきた程だ。

 

   11:30

 

 それにしても、準備するのが早過ぎたな。いや、遅れるよりはマシだが。...もう少しサイトでも覗いておこうか。もう始まる30分前だが、新しい情報が更新されないとも限らない。

 

 

「もう30分!?部活に遅れちゃう!」

 

 

 そう考えていると隣の部屋から妹の慌てた声が聞こえた。物音が凄いがどれだけ慌てているのだろう...昨日の内に用意は終わらせたと言っていたはずだが。

 

「お兄ちゃん、私もう行くね!」

 

「お、おう。気を付けてな」

 

 妹の急ぎ様に呆然としながらも返事をした。本当に怪我しなければいいんだが...。

 玄関のドアを閉める音が確り聞こえるのを確認してからパソコンを操作し、いくつものタブで別々のサイトを開いていると俺もやっているPCゲームの、まあMMORPGだが、記事が視界に入った。

 

~~ジャパンサーバー第八回最強ギルド決定戦開催日決定!詳細は......~~

 

 

「ギルドか」

 

 

 【ギルド】

 この場合はゲーム用語だが、同じ志を持つ者達が集う集団。まあ、プレイヤー同士の集まりだ。【クラン】という場合もある。

 俺は大人数と協力、なんてのは性格上少し苦手なので基本一人...独り......ソロでのプレイが好みで、一時のパーティ程度の規模なら良いがギルドとなると躊躇いが生まれる。ボス戦時等のレイドなら我慢するけど。

 今までで手を出したゲームでギルドに入った事は、一時的以外にはなかった。

 

 

「......考えては、みるかな」

 

 

 興味は少なからず有りはしたのだ。頼れる仲間と冒険、なんてのも面白い。作るだけ作って、問題があれば解散すれば良い。入るなら入って、合わなければ脱退すれば良い。それにギルド限定のクエストやアイテムもあるらしいので、それも気にはなる。ゲーマー気質というやつなのか。

 

ふと脳裏を過った姿に思いを馳せる。あいつは元気かな。向こうで無事にまた会えて、一緒に遊べるだろうか。ソロ同士として気が合うし、あの鋭い観察眼や奇抜な発想は剣を交えたくないほど頼もしいからな。

 

それから少しの間『あの世界』でのギルド関連の記事を探っていた。

 

 

 

 

「っと、もう50分か。もうそろそろだな」

 

 そうだ、一応母さんにでも書き置きしておこう。時間を忘れる程熱中して、戦闘中にナーブギアを外されでもしたら笑えない。

 

 

 量子物理学者の若き天才、茅場晶彦が1から設計したフルダイブ型VRマシン。頭部全体をすっぽりと覆い、電気信号を脊髄から遮断し...等と小難しくなるような話は置いておき、つまり現実の体は動かず仮想世界の中で動き回れるという世のゲーマーからすればまさに夢のような、夢であった機械。それが【ナーブギア】である。ジェットヘルメットを想像してくれればいい。

 

 

 まぁ、こいつの発売時の特集で一旦落ち着いたみたいだけど、それでも帰ってくるのは早くても6時7時だろう。妹の方が早そうなので二人ともに書いておこう。

 

 58分、そろそろ横になるか。

 PCの電源を落とし椅子から立ち上がる。十分に充電していたナーブギアを手に取りコンセントを確認し、ベッドへ横になる。しっかりと被り頭の位置を安定させ、落ち着いたところで視界の端に表示される時間を見る。

 

11:59:42

 

 ついに、ついにだ。

ベータテストが開始しあの世界へ降り立ったその瞬間から虜になり、最終日から今日まで待ち焦がれた仮想世界(世界)へ今!

 

 

 

 夢の世界への合言葉が大声になってしまったのも、しょうがないことだ。うん、妹がいなくて良かった。

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 「「リンクスタート!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               桐谷 和人

───2022年11月6日正午、俺、比企谷八幡は〔ソードアート・オンライン〕通称SAOへと旅立った。

 

 

 

 ベータテスト時、共に背中を預け合っていた「相棒」を思い浮かべながら。

 




転生要素は八幡のみ。この先使うかわからない。
八幡の転生内容は作者の別作品でも使い回します。
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