黒き星と白き翼   作:吉良/飛鳥

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何だかんだで20話だなByなのは     マダマダ、これからですよByクローゼ


Chapter20『最後の地獄門の戦いと、そして……』

・王都グランセル:北街区

 

 

西街区の地獄門は稼津斗達に、東街区の地獄門は京達によって破壊され、残るはグランセル城に続くゲートがあるこの北街区の地獄門だけだ。

此処を担当するのは、悪魔専門のハンターであり、最早趣味で悪魔を狩っている『悪魔も泣き出す男』と噂されるダンテと、稼津斗によって鍛えられた『鬼の子供達』の一夏と一夏の嫁ズであり、戦力的には問題ないだろう。

 

その北街区には、既に巨大な悪魔が姿を現していた。

神話に登場する、半人半馬の怪物『ケンタウルス』に酷似した身体をしているが、その大きさは頭の高さまでで軽く5~6mはあるであろう巨躯で、頭は人のモノではなく、獅子に似た頭の口からは鋭い牙が覗き、頭には鋭い角が二本生えている。手にした巨大な剣は、一撃で人間どころか象ですら両断出来るだろう。

更に其の身には灼熱の炎を纏い、周囲に陽炎が現れている――この悪魔の名は『ベリアル』。西街区に現れたエキドナ、東街区に現れたバエルも上級悪魔だが、ベリアルは其の二体とは格が違う。

実力絶対主義で、種族の格など関係ない悪魔界に於いて、『炎獄の覇王』と呼ばれていると言う時点で其の実力の高さが分かると言えるだろう――属性の相性的には不利となるバエルが相手であっても、余裕で勝てると言えば分かり易いか。

 

 

『人間風情が悪魔を使役するか……其れだけならば未だしも、悪魔の力を其の身に宿そうなどとは、身の程知らずも甚だしい。』

 

「その意見については、俺も諸手を挙げて賛成だね。」

 

『!……貴様、何時の間に!』

 

 

グランセル城の方を向いてそう呟いたベリアルに対して、其れに相槌を打ったのは、他でもないダンテだった。燃え盛るベリアルの尾に涼しい顔で座っている辺りに余裕と言うか、若干ベリアルを馬鹿にしている感じが見え隠れしている。

ダンテの存在に気付いたベリアルは、激しく尾を振ってダンテを振り落とそうとするが、ダンテはその尾から華麗に飛び降りると、コートの端の炎を掃って消す。

 

 

「さっさと気付けよ間抜け。コートが燃えただろ?」

 

「自分で燃えてる身体に座っておいて、その言い草はなくないかオッサン?」

 

「燃えたと言うよりは、焦げたの方が正しいわよね此れ……つまり、このコートは本革製の高級品って事よね?安い人工革だと、焦げないでホントに燃えるって言うか、溶けるから。」

 

「嬢ちゃん、一流の男ってのは金が無くても身に付けるモンは一流品じゃなきゃならねぇ……って、そんな事言ってるから、金が貯まらないのか俺は。」

 

「自覚されているのでしたら、生活を改めてみては如何なモノかと……」

 

「家計を管理してくれる奥さんが居た方が良いのかも知れないね?」

 

「この小父様の破天荒っぷりに付いて行く事の出来る女性が、果たして存在するのか、問題は其処だろう……其れこそ、『普通じゃない生き方上等』と言う位の女性でなければとても無理だろうさ。」

 

 

其処に一夏達が現れ、上級悪魔を前にして此の遣り取りだ。

ダンテはデビルハンターだから今更上級悪魔を前にして怯むと言う事はないのだが、一夏達もまた幼い頃にライトロードの襲撃を受けて命の危機を感じ、其れから生き延びた事と稼津斗に鍛えられた事で肝が据わっており、上級悪魔が目の前に居ても怯みはしないのである。

 

 

『赤い服の男……貴様、スパーダの血筋か?……其れに、そっちの人間も、人間にしては可成り高い力を持っていると見える。此れは、久しぶりに腕が鳴る。』

 

「意外だな?悪魔のくせに人間の力を認めるのかい?」

 

『裏切り者のスパーダは許せんが、逆にスパーダが同胞を裏切ってまで守ろうとした人間の力と言うモノには些か興味もある……人間とは、果たして本当にスパーダが同胞を裏切ってまで守るに値する存在であったのか、我が直々に確かめるのもまた一興。』

 

「そうか……なら、ゲップが出るまで喰わせてやるよ、人間の力って奴をな!」

 

 

エキドナやバエルとは違い、ベリアルは人間の持つ力と言うモノに興味があるだけでなく、相手の実力を見抜く事も出来るらしい……如何やら、グランセル城前の地獄門の門番は、文字通り別格の存在であるらしい。

だが、其れでもダンテは余裕の態度を崩さずに愛用の二丁拳銃『エボニー&アイボリー』を構えて不敵な笑みを浮かべ、一夏達は気を開放して戦闘力を上昇させる。

最後の地獄門を巡る戦いの火蓋が、切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒き星と白き翼 Chapter20

『最後の地獄門の戦いと、そして……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北街区での戦闘は、機動力で勝るダンテ達がベリアルに対して攻撃を叩き込んでいるのだが、ベリアルはマッタク堪えた様子が無く、その顔には薄い笑みすら浮かべている。

ダンテがリベリオンで切り付けても、エボニー&アイボニーでマシンガンの如き超連射を叩き込んでも、一夏達が夫々必殺の波動拳をブチかましてもベリアルには大したダメージにはなっていないのだ。

 

 

「だったら、コイツは如何だ?」

 

 

エボニー&アイボリーではダメージを与えられないと判断したダンテは、コートからショットガンを取り出して至近距離から一発ぶっ放す!

ダンテのショットガンに使われている弾は、通常のショットガンに使われている小さな弾が詰め込まれた散弾ではなく、ビー玉サイズの大粒の弾が詰め込まれた特別製で、近距離での破壊力は抜群で、其れこそ鉄製の扉ですら破壊する程の威力があるのだが――

 

 

『ふん、温いな。』

 

「マジかオイ。」

 

 

其れを喰らってもベリアルはマッタク持って余裕其の物。

手にした剣で、ダンテに斬り付けたが、ダンテは其の攻撃を、ジャンプ→エアハイク→スカイスターのコンボで華麗に回避すると、攻撃後の隙に渾身の兜割りを叩き込むが其れもまた大したダメージにはなっていないみたいである。

 

 

「攻撃が効かないって、そんなの有り?攻撃が効かないんじゃ、どうしようもないわよ?」

 

「無敵や不死身って訳じゃないだろうが……俺達の攻撃が効かないのは、アイツが身に纏ってる炎のせいだろうな。

 アイツが纏ってるのは、普通の炎じゃなくて悪魔界の炎だ。水でも消せないその炎が、奴を守る鎧になっていやがる。……ち、ケルベロス持ってくりゃ良かったぜ。」

 

 

その原因は、ベリアルが身に纏っている悪魔界の炎にあった。

炎と言うモノは、本来であれば固体として存在するモノではないので、物理的な攻撃に対しての防壁にはならないのだが、ベリアルが纏う悪魔界の炎は岩石ですら溶解させるだけの熱量があるので、銃弾も本体に到達する前に略溶けてしまい、大したダメージにはならないのだ。

例え速度が同じでも、鉄球と綿では威力が大きく異なるのと同じと言う訳だ――だがしかし、攻撃が効かないのは冗談抜きに笑えない状況だ。有効打を当たる事が出来ないのでは、倒し様がないのだから。

 

 

「なら、アイツが纏ってる炎さえ無くなっちまえば、俺達の攻撃は効くって事だよな?……なら、此処は俺の出番だな。」

 

「坊主、何か秘策があるのか?」

 

「まぁね。

 コイツは千冬姉が編み出した必殺技で、俺はちゃんと教えて貰った訳でもないから見様見真似にもならないモノかも知れないけど、技の特性だけはちゃんと理解してるから、アイツが身に纏った炎の鎧を吹き飛ばす事くらいは出来ると思うぜ?」

 

 

此処で一夏が雪片弐型に手を掛け、居合いの構えを取る。

一夏には、まだ不完全ながらも、其れでもベリアルの炎の鎧を吹き飛ばす事が出来る技があるとの事で、其れを此れから使うのだろう――居合いの構えなのは、確実に当たる為には、己の最速の剣を使うべきだと考えたからだ。

その状態で爆発的に気を高めると、一夏はレーザービームの如き勢いでベリアルに突撃!地面を蹴ると同時に気や魔力の塊を足元で炸裂させて、爆発的な推進力を得るイグニッションブーストと呼ばれる高等技法を使ったのである。

イグニッションブーストによる加速は、其れこそ使われた側からしたら瞬間移動かと思う程に速く、ベリアルも一夏の姿を捉えたのは、自身の目の前で抜刀しようとしている時になってからだった。

 

 

『見事な動きだ小僧……だが、其の攻撃も獄炎を纏う我には効かぬ!』

 

「あぁ、未完成な俺の技じゃアンタには効かないだろうが、アンタが纏ってる炎の鎧は如何だろうな?力を貸してくれ千冬姉……此れでも喰らえ!!」

 

 

そして渾身の居合いを放つ!

抜刀された雪片弐型の刀身は一夏の気でコーティングされて光を放ち、更に稲妻を纏っている。気で強化された刃と、電撃のコンボは其れだけで充分に強力だが、其れが最速の剣術である居合いで放たれたとなれば、威力は更に数倍となる事だろう。

 

 

「…………」

 

 

その居合は見事にベリアルにヒットし、居合いを決めた一夏は雪片弐型を一振りすると逆手に持ち替えて納刀する。――が、この居合いもベリアルにダメージを与えたようには見えないが。

 

 

『小僧……貴様、一体何をした!?』

 

 

しかし、ベリアル自体にダメージはなくとも、ベリアルの身体を覆っていた灼熱の炎は綺麗サッパリ消え去り、ベリアルの漆黒の本体が完全に顕わになっていた……一夏は、見事にベリアルの炎の鎧を吹き飛ばして見せたのだ。

 

 

「物理的な盾や鎧に対しては強化された斬撃に過ぎないけど、気や魔力みたいな物理的じゃない、エネルギー体で構成されている鎧や盾なら問答無用にぶっ壊して、同じモノを使えなくしちまう千冬姉の必殺技……零落白夜を叩き込んだんだ。

 本来なら、エネルギーで構成された防御体だけじゃなく、本体にもダメージを与えるモンなんだけど、今の俺には防御体を吹っ飛ばすのが精一杯だけどな。」

 

 

其れこそが、一夏の姉である織斑千冬が編み出した必殺技、零落白夜だ。

一夏は幼い頃、何度も千冬がこの技で炎を消したり、魔法を斬る場面を見て来た……千冬からは、『お前が十歳になったら教えてやる』と言われていたのだが、十年前のライトロードのハーメル襲撃で、その約束は果たされる事はなかったのだけれど、一夏は独学で零落白夜がどんな技であるのかを考え、そして稼津斗に修業を付けて貰う中で気の扱い方をマスターして、自分なりに零落白夜を、千冬には及ばないながらも使えるようになったのである。

 

 

「だけど、これでもうアンタを守る鎧は無くなった……だからさ、改めてその身で味わって貰うぜ人間の力って奴をな!喰らえ、神龍拳!!」

 

 

炎の鎧が剥がれたベリアルに対し、一夏が錐揉み回転する昇龍拳、『神龍拳』を叩き込むと、ベリアルは僅かに後退する……其れは、炎の鎧が無くなった事で攻撃が効くようなった証でもあった。

 

 

「もう無敵ではない訳ね……なら改めて喰らいなさい!覇ぁぁぁぁぁ……氷龍波動拳!!」

 

「此れが人間の力です!タイガァァァ……キャノン!!」

 

 

追撃として刀奈とヴィシュヌが強烈な気功波を叩き込む!

刀奈の氷属性の波動拳は炎の鎧が無くなったベリアルには効果抜群だろうが、ヴィシュヌの気は炎属性なのでベリアルに逆に力を与えてしまう気がするが、ヴィシュヌは無属性の気弾や気功波も放てるので、稼津斗の滅殺豪波動を自己流にアレンジしたタイガーキャノンを放ったのだ――先刻の攻撃の時も、無属性の波動拳を使って居たのだが、其れは炎の鎧に阻まれてしまったが、其れが無くなれば攻撃は有効なのだ。

 

 

「炎の鎧が無くなれば攻撃は有効……ならば、此処からはずっと私達のターンだ!」

 

「ファイヤー!オリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャ……破壊力ーー!」

 

 

更に追撃としてロランが気で作った竜巻を喰らわせると、グリフィンが肘打ち→裏拳→連続パンチ→アッパーカットのコンボを叩き込んでベリアルにダメージを叩き込んで行く……グリフィンが使った技の技名が『バリバリバルカンパンチ』と言うのが、若干ダサい気もするが、グリフィンのパンチは確かにバリバリだったので技名に関しての突っ込みは入れるべきではないのかも知れない。

 

 

『ぐがぁぁ……此れが、人間の力……スパーダが同胞を裏切ってでも守ろうとしたモノか……!』

 

「そう言うこった……Catch This!Rising Dragon!!」

 

「コイツで決めるぜ……真・昇龍拳!」

 

 

トドメは、ギルガメスを装備したダンテのリアルインパクトと、一夏の真・昇龍拳だ。

ダンテは強烈な右のショートアッパーを叩き込み、その拳を一気に振り抜いたジャンピングアッパーを繰り出し、一夏は右のショートアッパーを喰らわせた後で左のショートアッパーに繋ぎ、其のまま左のジャンピングアッパーに繋ぐ技だが、その破壊力は凄まじく、ベリアルの巨躯を数メートル後退させるだけのモノがあったのだ。

其れでも、炎の鎧があればこの猛攻にも耐える事が出来ただろうが、炎の鎧が無くなった今、ベリアルにはダイレクトにダメージが叩き込まれて、もう真面に戦う事は出来ないだろう。

 

 

「決まったな……お前さんの負けだよ。汚いケツ見せてさっさと帰んな。大人しく帰るってんなら、命までは取らねえよ。」

 

『逃げ帰るなど、そんな事が出来ようか……逃げる恥を曝す位ならば、いっそ貴様等を道連れに!!』

 

「……悪いが、地獄は一人で楽しんでくれ。俺はまだ死ぬ気はねぇんだ。」

 

 

戦闘不能になったベリアルは、しかしダンテ達を道連れにすべく、己の頭に全ての力を注ぎこんで突撃したが、其れはダンテのハンドガンによって粉砕されてしまった。

炎獄の魔王も、『悪魔も泣き出す男』と『鬼の子供達』が相手では分が悪かった、そう言う事なのだろう。

 

 

「そんじゃ、コイツをぶっ壊すか。」

 

 

そして、最後の地獄門を前に、ダンテは『無尽剣ルシフェル』を展開すると……

 

 

「いきり立ったモノを、突き刺す!

 ピストン!

 角度を変えて、ピストン……からの激しいグラインド!最後の一突き!」

 

 

若干R指定になりそうな事を言いながらルシフェルの剣を地獄門に突き立て、その中心に最後となるであろう剣を突き立てる――でもって、着地した時には薔薇を咥えて居た事には突っ込み不要だろう。

そのダンテが手を打つと、中心に刺さった以外の剣が炸裂して、地獄門をハート型に型抜きする。

 

 

「そして全て終わった時、俺は言う……満足したら帰んな。」

 

 

最後にその薔薇を地獄門に刺さったままになっている剣に向かって投げると、薔薇が当たった瞬間に剣が炸裂してハート形の地獄門は綺麗に真っ二つに割れ、割れた先にはグランセル城の姿が。

 

 

「此れで地獄門は全部ぶっ壊した。……後はアンタだけだぜ、王様。」

 

「おい坊主、そいつは俺が言おうと思ってたセリフなんだが、何でお前が言っちゃうかねぇ?」

 

「地獄門をカッコ付けてぶっ壊したのは良いとしても、その最中のセリフが女の子がこの場に居る事に全く配慮が無かったからさ……また、R指定になりそうな事を口にする前に俺が決めただけだ。」

 

 

一夏がグランセル城に向けて拳を固めて行ったセリフに、ダンテが若干物申したのだが、確かに地獄門破壊時のダンテのセリフは、この場に居たのが野郎だけなら兎も角、女性が居る場で言う事ではなかっただろう。結構直接的な表現もしている訳であったし。

そんな一夏に、ダンテは『一夏君の意地悪ぅ。』と、とっても気持ち悪い声を出し、一夏と嫁ズをドン引きさせただけでなく、『自分で言っといてなんだが、気持ち悪いな?悪乗りはし過ぎるもんじゃねぇか。』と言っていた……四十過ぎのオッサンが、裏声で甘えた声出すとか、大分アウトである。

 

 

「取り敢えず、これで此れ以上悪魔共が王都に出て来る事はねぇ訳だから、俺達は一足先にお城に乗り込むとするか――きっと城では、俺達の為のイカレタパーティが準備されてるだろうからな?」

 

「どうせなら派手に行こうぜオッサン?……コイツで城に突撃するってのは如何だ?」

 

「荷台付きのジープか……悪くないセンスだ。」

 

 

此のまま城に乗り込む事にした一行だが、一夏の提案で道端に止めてあった荷台付きのジープに乗り込んで城に突撃する事に……キーは刺さってないが、ダンテがキーボックスを破壊して、直接スイッチを動かす事でエンジンを掛け、一夏が助手席に、嫁ズが荷台に乗り込むとアクセルを踏み込んで一気にグランセル城を目指して驀進!

進路上に居た悪魔や魔獣は、『避けるのもメンドクサイ』と言わんばかりに轢き殺して行く……そんな時でも、只突っ込むのではなく、ドリフトやら急旋回を入れてスタイリッシュに決めるのがダンテらしいが。

 

 

「あはは、此れは大迫力ね?」

 

「見事なドライビングテクニックだよ小父様。」

 

「ですが、此れ持ち主に怒られませんかね?」

 

「もしも壊れちゃったら、悪魔に壊されたって事にすれば大丈夫じゃない?」

 

 

此れだけのアクロバット運転をしていたら、荷台に乗った刀奈達はキツイだろうと思いきや、マッタク持って余裕綽々であり、寧ろ此の状況を楽しんですら居る様にも見える位だ……心臓の強さが本気で相当だと言えるだろう。

そんな一行の前に、三体のフロストが行く手を阻まんと現れるが……

 

 

「このまま突っ込めオッサン!!」

 

「確り捕まってろよ坊主、嬢ちゃん!イィィヤッハー!!」

 

 

問答無用で轢き殺しアタックをブチかまして氷の身体を粉砕!玉砕!!大喝采!!!し、砕けた破片はヴィシュヌがキッチリと灼熱波動拳で溶解させていた……ダンテと一夏達のチームは、中々良い化学反応を起こして強力なチームになっているようだ。

こうして一行は、グランセル城前広場を突っ切って城門の前まで到着したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

・グランセル城地下

 

 

エレベーターで地下に降りたなのはとクローゼは、迷宮のような地下空間を進んでいた。

その道中には、機械兵や悪魔が居たのだが、その程度ではなのはとクローゼを止める事は出来ない――なのはの魔法とクローゼのアーツがクッソ強いだけでなく、ヴァリアスとアシェルと言う上級のドラゴンも居るので、機械兵と悪魔程度は敵ではないのである。

 

 

「城の地下にこんな物があるとは思わなかったが、一体如何して城の地下にこんな物を作ったんだ?」

 

「いえ、この地下空間はグランセル城が建設されるよりも前に存在していた古代の遺跡で、その遺跡の上に城を建てたらしいんです……私は、お祖母様からそう聞きました。」

 

「アリシア前女王がそう仰ったのならばそうなのだろうな……そして、五つに分けられたお前の精霊の一つも、此処にあると言う事か。」

 

「そう言う事になりますね。」

 

 

地下室と言うには、余りにも複雑な構造なのだが、其れが城を建設する前から存在していた古代遺跡だと言うのならば、其れも納得出来る話だろう――その遺跡を守る為に、遺跡の上に城を建てて一般の目に触れないようにすると言うのは、遺跡保護の方法としては最善とも言えるのだから。

 

そんな地下迷宮とも言える場所を進んで行くと、突然開けた場所に辿り着いた。

其処はちょっとしたホールくらいの広さがある場所だったのだが、其れは特に問題ではない。問題は、其処に誰が居たかだ。

 

 

「デュナン……!」

 

「叔父様……!」

 

「ぐぬ、もう追い付きよったのか!!」

 

 

其処に居たのはデュナン。

この階層には、更に地下に降りる為のエレベーターが存在しているので、此処が最深部ではないのだが、最深部ではない場所で一体何をしていたのやらだ……何をして居たのかは分からなくとも、此処でなのは達に追い付かれると言うのは、あまり良い状況とは言えないだろう――単純な戦闘力で言うのであれば、なのはとクローゼの方が、デュナンよりも圧倒的に上なのだから。

 

 

「チェックメイトだなデュナン?

 王国軍の兵士の他に、悪魔まで王都に配備していたようだが、残念ながら私達の敵ではなかったようだ……何よりも、城内に一人も兵を配備していなかったのは悪手過ぎたな?」

 

「先程、広域通信で簪さんから悪魔を呼び出している装置があると言う事を聞きました……ならば、其れが破壊されれば悪魔の召喚は止まり、何れ全てが王都から消え去る事になります。

 叔父様、もう貴方に勝ち目はありません。大人しく降参して下さいませんか?」

 

 

なのはとクローゼ、そして夫々が従えているドラゴンに対し、デュナンは一人であるので、如何考えてもデュナンが勝てる筈はないので、クローゼは無用な戦いをしないようにする為に降参するように言う。

普通ならば、この圧倒的な戦力差を前にしたら勝機はない事を悟り大人しく降参する、或はこの場では降参して生き延び、暫くは息を潜めて再起を図ると言う二つの選択肢の何方かを選ぶ事だろう。

 

 

「降参……何故余が降参などしなくてはならないのだクローディア?

 お前達は余を追い詰めた心算かも知れぬが、其れは逆だ!お前達は此処に誘い込まれたのだ、余に殺されるためにな!」

 

 

だが、デュナンはその何方も選ばずに笑みを浮かべると、足元に巨大な魔法陣を展開し、其処から無数の悪魔を呼び出す。

呼び出されたのは、背びれと尾びれが鋭い刃になっている魚のような悪魔、刃の翼を持つトカゲのような悪魔、鉄のような体に炎に包まれた頭部を持つ犬のような悪魔だった。

 

 

「魔力を有した剣と魚を融合させた『カットラス』、魔力を有した剣とトカゲを融合させた『グラディウス』、魔力を有した銃と猟犬を融合した『バジリスク』……こ奴等が徒党を組むと中々に厄介だぞ?」

 

「人造悪魔か……デュナン、貴様一体何処で人工的な悪魔の作り方など覚えた?悪魔を作り出すなど、スパーダによって打ち倒された魔帝ムンドゥスでなければ出来ない芸当の筈だが?」

 

「其れもですが、ロレント襲撃時に使った移動要塞、アレは一体何処で手に入れたのです?少なくとも、お祖母様はあんなモノを軍に配備して居なかった筈です。」

 

「其れは、この場を切り抜けて最深部に居る余まで辿り着く事が出来たら教えてやろう。」

 

「この程度で私達を足止め出来ると思っているのか?数だけの烏合の衆など、私達の敵ではない……其れに、此処は其れなりに広いので、ヴァリアス達も本来の力を発揮出来るからな。」

 

「そうですね。」

 

 

自ら生み出した悪魔を大量に呼び出してご満悦なデュナンに対し、なのはとクローゼはヴァリアスとアシェルに掛けていた縮小魔法を解除し、黒と白の二体のドラゴンは本来の姿を現す。

 

 

『ガァァァァァァァ!!』

ヴァリアス(真紅眼の黒竜):ATK2400

 

 

『ゴガァァァァァァ!』

アシェル(青眼の白龍):ATK3000

 

 

……二体のドラゴンの下に何か表示されたような気がするが、デュナンが『アナライズ』を使って、その情報の一部が表示されたと言う事にしよう、そうしよう。

 

 

「魚とトカゲと犬、其れで二体のドラゴンと、そして黒き神魔と白き聖女を止められると思うのか?貴様が作り上げた人造悪魔は、ソコソコの力があるみたいだし、これだけの数が居れば、並の人間ならば脅威になり得るだろうが、私達の前では塵芥……いや、其れ以下でしかない。」

 

「時間稼ぎと言うのであれば、往生際が悪いですよ叔父様?」

 

 

ともあれ、デュナンが呼び出した悪魔は三種で其の総数は百を超えるのだが、なのはとクローゼにとっては全く問題ない相手だった。

ヴァリアスとアシェルの攻撃で撃滅出来るだけでなく、なのはの砲撃魔法は一撃必殺であるし、クローゼもトレーニングを積んで、あらゆるアーツを駆動時間なしで放てる様になっているので、数の差なんてモノは問題にもならないのだ。

 

 

「結論を急ぐな、カットラスとグラディウス、バジリスクはあくまでも本命の尖兵に過ぎん……貴様達の真の相手はコイツよ!」

 

 

真の姿を開放したヴァリアスとアシェルに怯む事無く、デュナンが指を鳴らすと魔法陣が展開され、其処から人が一人入りそうなポッドが現れる……そのポッドには複数のコードが接続されており、何とも嫌な予感しかしない。

この手のポッドに収容されているのは、大抵トンデモナイ力を持ったグロテスクな生態兵器と言うのがお約束なのだ……其れを踏まえると、同じようなポッドから誕生したと言うのに、割かしイケメンなクリザリッドは稀有な存在であるのかも知れない。

 

 

「さぁ、目覚めの時だ!千年の時を経て、蘇るが良い、古代ベルカの聖王よ!」

 

 

デュナンがそう言うと、ポットに罅が入り、次の瞬間に砕け散った。

 

 

「…………」

 

 

その砕け散ったポッドの中から現れたのは、漆黒のボディスーツを身に纏い、ハニーブロンドの髪をサイドテールに纏めた、翠と紅のオッドアイが特徴的な女性だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued 

 

 

 

 

 

 

 

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