黒き星と白き翼   作:吉良/飛鳥

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魔王の揃い踏みか……迫力が違うなByなのは     此れが、魔王の覇気……!Byクローゼ


Chapter27『魔王達との邂逅。新たなる同盟関係!!』

ユリアからの通信を受けたなのはは、『正体不明の飛行船は、レイストン要塞に着陸させろ』との指示を出すと、自らもレイストン要塞に急行して、件の飛行船が到着するよりも前にレイストン要塞に到着して、件の飛行船――スカイノアの到着を待っているところだ。

王室親衛隊の隊長であるユリアも、王室親衛隊の新メンバーを引き連れてアルセイユで急行し、レイストン要塞に到着している。

 

 

「陛下、件の飛行船は知り合いの者が有しているモノとの事ですが、どの様な御関係だったのでしょうか?」

 

「私の父、不破士郎が同盟を結んでいた魔王だよ……子供の頃には随分と可愛がって貰ったものさ。特に、あの飛行船の持ち主であるルガールには、妹共々随分と可愛がって貰ってな、私達も良く懐いていた記憶があるよ。

 ルガールだけでなく、アーナスは従魔と遊ばせてくれたし、悪魔将軍は戦いのイロハと言うモノを父とは異なる観点から教えてくれた。幼少期の私の記憶の半分は彼等が占めている感じだな。」

 

「前に話していた魔王の方々ですか……時に、悪魔と魔族は別物なんですよねなのはさん?ならば何故、魔王の一人である悪魔将軍は、『悪魔』を名乗っているのでしょうか?」

 

「其れは私も疑問だったので、子供の時に聞いてみたのだが、将軍曰く『魔族将軍では語感が良くないし、悪魔将軍の方が強そうだから』との事だった。凄く納得してしまった私が居るのを否定出来ない。

 序に、本名は別に有るらしいが、将軍の配下の者であっても本当の名は知らないらしい……どころか、人前では常に鎧を纏って金属製のマスクをしているから、素顔を知る者すら存在しないらしい。」

 

「其れは、可なりミステリアスな方ですね……?」

 

 

嘗て士郎と同盟を結んでいた魔王達、取り分け悪魔将軍は個性的である様だ……魔王であり、魔界で過ごしているから兎も角として、人間界で常に鎧と金属製のマスクを装着して過ごして居たら、不審者其の物であるが。

しかし、其の実力は魔王の中でも随一とされており、純粋な戦闘力だけで言えば士郎を上回るのだ。尤も士郎は、その戦闘力の差を戦闘技術でゼロにしてしまう事が出来るので、戦闘力では自分よりも上の悪魔将軍やルガールとも互角以上に戦えたのだが。

魔王の中ではアーナスが基本の戦闘力は劣るのだが、彼女の場合は従魔と、制限時間付きの変身によって他の魔王と互角に戦う事が出来るのである。

 

 

「ミステリアスさではルガールも引けを取らんがな……私が知っているだけでも、確実に二回は死んでるのだが、誰かが蘇生魔法を使った訳でもないのに何時の間にか生き返っていた。」

 

「蘇生魔法を使わずに生き返るって、何ですか其れ……?」

 

「『私の趣味は復活だ!』と言っていたな。」

 

「陛下、其れは絶対に趣味とすべきモノではないかと……そもそも趣味で復活は不可能ではないかと思われますが……?」

 

「確かにそうなんだが、何が恐ろしいって復活するたびに強くなってた事だな……二回目に死んだときは、オロチの力を其の身に宿して、身体が其の力に耐えられずに消滅した筈だったのに、復活した後はサラッと至極普通にオロチの暗黒パワーを其の身に宿していたからな。

 次に死んで復活する事があったら、一体どんな力を身に付けて来るのか正直見当も付かん。」

 

「オロチの力……何だか複雑。」

 

 

そうした雑談をしている内に、レイストン要塞の上空にスカイノアが現れ、其のまま垂直に着陸して来る――多くの飛行船が斜堤離着陸をしているのを考えると、垂直離着陸が出来るスカイノアは可成り高い技術が使われているのだろう。

 

スカイノアは其のままレイストン要塞のドッグに着陸すると、ハッチが開き中から三人の人物が姿を現した。

一人は赤い服と赤みを帯びた銀髪と額のゴーグルが特徴的な女性、一人は燕尾服の様なスーツを着込んだ紳士然とした大柄の男、そして一人は白銀の鎧と金属製のマスクを装着し、鎧からマントをなびかせた身長が優に2mを超える大男である。

この三人こそ、嘗て士郎と同盟を結んでいた魔王、アーナス、ルガール、悪魔将軍――其の三人が、なのはの前に現れたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒き星と白き翼 Chapter27

『魔王達との邂逅。新たなる同盟関係!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔王たる三人は、その場に存在しているだけで凄まじい迫力があり、百戦錬磨のリシャールとユリアですらその迫力に少しばかり気圧された程だ……だが、視線を逸らさずに微動だにしなかったのは流石と言えるだろう。

逆に鬼の子供達は気圧された感じはなかったが、一夏達は魔王に勝るとも劣らない『鬼』に育てられたので、魔王の迫力に気圧されると言う事も無いのだろう。慣れと言うのは中々に馬鹿に出来ないみたいである。

アルーシェは、その迫力に驚きはしたモノの、リベリオンでトンデモナイ化け物みたいな連中と接して来たので気圧されはしなかったようである。尚レオナだけは、相変わらずの無表情で気圧されたのかどうかすら分からない。

クローゼも、なのはと共にリベリオンで其れなりの時間を過ごしていた事で、魔王の迫力に気圧される事はないみたいである……尤も、クローゼの場合は子供の頃に魔族の証である黒い翼を持っていたなのはに恐れる事もなく声を掛けたので、元々胆は据わっていたのだろうが。

 

 

「アーナス、ルガール、悪魔将軍……まさか、三人揃って登場とは思わなかった。」

 

「やぁ、十年ぶりだね。まさか君が生きていて、リベールの新たな王様になるとは思わなかったよ。」

 

「君と君の妹は、何れ大きな存在になると思っていたが、一国の王になってしまうとは……黄泉の国で士郎殿と桃子殿も、愛する娘が立派に成長した事をきっと喜んで居る事だろう。」

 

「其の力は嘗ての士郎に引けを取らぬほどにまでなったか……日々研鑽を怠らなかったと見える。あの小さき少女が、良く成長したモノだ。」

 

「十年もあれば成長もする。『男児三日遭わずば刮目して見よ』と言うが、其れは女でも同じと言う事だ。」

 

 

スカイノアから降りて来た三人の魔王となのはは再会を確かめるように握手を交わす。……その際に、ルガールは握手後になのはの手の甲にキスをすると言う中々に気障な事をしてくれたのだが、此れはルガールなりの譲れない美学と言う奴だろう。

己の秘書に美女を採用しているルガールだが、魔王として『女性には常に敬意を』と言う思いを持っており、立派な女性へと成長したなのはに対して、『敬意』の意を示す手の甲へのキスをしたと言う事である。

 

 

「君達姉妹は、将来は必ずや見目麗しい美女に成長するだろうと思っていたが、私の目に狂いは無かった様だ。

 尤も、士郎殿と桃子殿の娘が美人にならない筈がないがね。……まぁ、私が想像していた以上の美女になっていた事には少しばかり驚いてしまったが。」

 

「素直に褒め言葉と受け取っておくよルガール。

 さて、リベールに何用だと言いたい所だが、こんな所で立ち話と言うのも何だから、レイストン要塞のブリーフィングルームに移動するとしようか?

 本来ならばグランセル城の謁見室に行くべきなのだろうが、グランセルの発着場ではスカイノアは着陸出来んし、此処からグランセルまで移動すると言うのは二度手間でしかないからな。スマナイが其れで良いか?」

 

「うむ、其れで構わんよ。」

 

「ではリシャール、ブリーフィングルームを使わせて貰うが構わんか?其れと簪、客人に茶と菓子を用意してくれ。」

 

「はい、問題ありません陛下。」

 

「うん、了解したよなのはさん。」

 

 

魔王達との会見はレイストン要塞のブリーフィングルームで行う事にし、なのははリシャールに是非を問うと、リシャールは問題無く了承し、茶と菓子の用意を言い渡された簪も其れを了解。

なのはとクローゼとヴィヴィオは、それぞれヴァリアスとアシェルとバハムートをミニマム魔法で縮小させるとレイストン要塞のブリーフィングルームへ向かって行った。

 

 

「ヴァリアス、またなのはママの頭の上……」

 

「余程居心地が良いのでしょうか?」

 

『ピカチュウ。』

 

「だから嘘吐けぇ!お前は電気ネズミじゃなくでドラゴンだろうが!」

 

 

取り敢えず、縮小されたヴァリアスはなのはの頭の上がお気に入りであるのは間違い無いだろう。因みに縮小されたアシェルの指定席はクローゼの右腕で、バハムートはヴィヴィオの左肩であった。……右腕をアシェルに奪われた白ハヤブサのジークは新たにクローゼの左肩が定位置になったとか。

序に言うと、ジークを突進させる『ケンプファー』が、相手の物理攻守をダウンさせるの対して、アシェルを突撃させる『ケンプファーD』は防御と魔防の値をゼロにすると言うトンデモクラフトだったりする。白きハヤブサも白き龍もマジでハンパないな……フルサイズ時のアシェルのブレス攻撃は、全てを灰燼に帰す事も出来る事を加味すれば尚の事だ。

其れだけの竜を従えておきながら、其れをも上回る精霊を其の身に宿しているクローゼは、マジでハンパない。……ある意味で、デュナンがクローゼを恐れて排除しようとしたと言うのも分からなくはないかも知れないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

レイストン要塞のブリーフィングルームに移動した一行は、椅子に腰を下ろし、簪が用意した茶と菓子を口にしていた――紅茶がリベールで最高級とされている、『ダージリン』で、菓子はなのはが料理の腕で一目置いたBLAZEのリーダーである志緒が作った『黄な粉と大納言小豆のシフォンケーキ 抹茶クリーム添え』で、此れが実に紅茶にマッチしていた。志緒は、丼物だけでなくスウィーツも得意なようだ。

室内にはなのはとクローゼとヴィヴィオ、アーナスとルガールと悪魔将軍の他に、レイストン要塞の責任者であるリシャールと副官のクラリッサ、王室親衛隊隊長のユリア、王室親衛隊の新メンバーも揃って居る。

 

 

「それで、改めて問うが、何故彼方達は此処に?」

 

「其れは君がリベールの新たな王様になったからかな?十年前、士郎さんが魔界を去る時に、私達に『私にもしもの事があったら娘達を頼む』って言ったんだ……私達は同盟を結んでいたから、そのお願いを聞かないって言う選択肢は無かったんだけど、十年前のあの日に君となたねは生死不明になっていたから、そのお願いを果たす事は出来ないって思ってたんだ。」

 

「だが、アーナス殿の従魔が持ち帰ったリベール通信の最新号で君がリベールの新たな王になったと言う事を知ったと同時に、少なくとも双子の片割れは生きていると言う事が分かったのでね――ならば、私達が君と新たな同盟を組みたいと思っても別に不思議はあるまい?」

 

「私達は、士郎殿の遺言に従っただけだが、今のお前を見て同盟を組んでも問題は無いと判断した……アーナスの従魔が持って来たリベール通信のインタビュー記事を読んで、お前が士郎殿と桃子殿の遺志を継がんとしている事は知っていたが、実際に会ってみて、あの二人の遺志を完遂すると言う確固たる決意が見て取れた。

 彼等の理想としていたモノは、我等にとっても共感出来るモノであった……ならば、その遺志を継がんとするお前に力を貸しても罰は当たるまい。」

 

 

魔王達がリベールにやって来たのは、なのはが新たなリベールの王となったと言う事が大きかったみたいだ……まぁ、士郎に『自分にもしもの事があったら』と頼まれていた娘の片割れが、一国の主となり両親の遺志を継ぎ、其れをやり遂げようとすると言うのであれば其れに協力する気もあるらしい。

簡単に言えばなのはと、もっと言うのであればリベールと同盟を結びに来たと言う事なのだろう。

 

 

「彼方達との同盟か……其れは嬉しい申し出ではあるが、此れは流石に私の一存で決める事は出来ないな?……クローゼ、お前は彼等との同盟について如何考える?率直な意見を聞かせてくれ。」

 

「そうですね……まず、仲間と戦力は多いに越した事はありませんから、そう言う意味では同盟を結ぶのは良いと思います。

 魔族は嘘を吐けないとの事ですから、裏切る様な事も無いと思いますし。其れに、なのはさんが新たなリベールの王となったのを知って態々魔界から来て下さったのですから、折角の申し出を受けないと言う選択肢はないかと思いますよ?

 ユリアさんは如何思いますか?」

 

「私ですか!?

 そうですね……私も同盟を組む事に何の問題も無いと考えます。同盟を組む事でリベールの国力はより強固なモノになると同時に、魔王との同盟を結ぶと言う事は魔界と同盟を結ぶも同義と言えますので、其れだけでも諸外国への牽制になるかと。

 其れ以外にも、魔界との交易が可能になれば新たな外貨を開拓出来ますし、少なくとも同盟を結ぶ事で発生するデメリットは皆無かと。」

 

「ま、良いんじゃないですかね?

 その人達強いんでしょ?ルガールさんと将軍さんは、カヅさんと同じ位強いだろうし、アーナスさんもルガールさんと将軍さんには劣るとは言え、俺等よりはずっと強いだろうしな。」

 

「ルガール・バーンシュタイン……その赤い右目、途轍もなくシンパシーを感じる!」

 

「クラリッサ君、少し黙っていたまえ。」

 

 

同盟について、なのはがクローゼに意見を求めると、クローゼが己の見解を述べた後にユリアにバトンパスし、更に一夏が追撃し、クラリッサはルガールに謎のシンパシーを感じている様だった。

取り敢えず、発言しなかった者達も反対意見を出す訳でもないし、魔王達との同盟に関しては、締結しても問題ないと言った所だろう。

 

 

「反対意見は無いか……ならば、私は今此処でアーナス、ルガール、悪魔将軍の三名の魔王との同盟を締結する事を宣言する!

 アルーシェ、リベール通信社に連絡を入れて、至急ナイアルとドロシーをレイストン要塞に寄越すように要請してくれ。魔王達との同盟締結の事を、号外で伝えて貰わねばならないからな。」

 

「任せて、なのはさん!」

 

 

ならばと、同盟締結を決めたなのはの行動は素早かった。同盟締結を宣言すると同時に、アルーシェにリベール通信社に連絡を入れるように言い、此の事を一早く国民に知らせようとする。

カルバート共和国と、エレボニア帝国との間で結ばれていた不戦条約の更新調印式の際も、ナイアルとドロシーを同行させて、国民に一早く知らせたのだが、国に関わる事柄は、最速で国民に知らせるべきだと考えているのだろう。

 

 

「同盟締結だね……なら、矢張り此れだよね?」

 

 

なのはの同盟締結を聞いたアーナスは、バッグから酒と四つのグラスを取り出してテーブルの上に置く。

なのはは魔族と神族の血を引くハーフだが魔族としての一面が強く出ており、魔王は言うまでもなく魔族なので、同盟締結の場で魔族の誓いの義を行うと言うのは道理であると言えるだろう。

 

 

「申し訳ありませんがアーナスさん、もう一つグラスはあるでしょうか?なのはさんだけでなく、なのはさんのパートナーである私もまた誓いを交わしたいので。」

 

「予備で持って来てあるけど、そんな事を言うなんて面白いね君も。」

 

 

クローゼも共に誓いを交わしたいと良い、アーナスは予備として持って来ていたグラスを用意すると、炎を操る事の出来る『デモンフォーム』に変身して、酒を熱する!アルコールが飛んでしまわないように沸騰させず、しかし喉が焼けるほどの温度にまで持って行く!

絶妙な加熱によって、沸騰直前の激熱に熱された酒はなのは、クローゼ、アーナス、ルガール、悪魔将軍が持ったグラスに注がれる……酒が注がれた瞬間に、グラスは持っていられない程に熱くなったが、そんな事はお構いなしに全員が灼熱の酒を一気に飲み干す。――悪魔将軍はマスクをしたままで飲み干したのだが、一体如何やってマスクの上から飲んだのか謎である。若しかしたら、金属製のマスクには、飲食の際にだけ口部が開く機構が備わっているのかも知れないな。

 

 

「ふぅ……喉を焼くほどの酒と言うのは矢張り効くが、だからこそ同じ痛みを持ってして交わされた誓いは絶対だ。リベール王国は、今この時を持ってして魔界と同盟関係になった!」

 

「此れから宜しくお願いしますね?」

 

「其れは此方のセリフだよ。」

 

「此れで、士郎殿の願いに応える事が出来たと言う所だな……尤も、此処がスタート地点なのだろうが。」

 

「道はまだ始まったばかりだ……士郎と桃子の二人の理想を実現するのは簡単ではないと思っていたが、なのはとその仲間達ならばきっと成し遂げるであろう。我等はその手伝いをしてやるだけよ。」

 

 

今此処で誓いの義を行ったと言う事は、ナイアルとドロシーにはまた別の形で同盟締結を伝えると言う事なのだろう……その場で酒を飲み干して誓いを交わした事で同盟が締結されたと言うのは、余りイメージとしては良いとは言えないので、形式的な調印式を行うと言うのは、其れもまた仕方のない事なのかも知れないが。

 

 

「ナイアル達が到着するまでにはまだ時間が掛かるだろうから、到着するまでの間に魔界の現状を聞いておきたいんだが、今の魔界はどんな感じだろうか?」

 

「士郎殿が去ってから、一時期は不安定な事もあったが、今は概ね平和であると言って良いだろう。

 士郎殿が魔界を去った事で空席となった魔王の座を狙う者達も居たが、そう言った連中は私達で排除して来たからね……その中には士郎殿の代役を務められる程の者は存在して居なかったら、排除して正解だったと思っているがね。」

 

「その中には、桃子を殺害した魔族も居たので、キッチリと粛清しておいた。」

 

「そうか……私の手で討ちたかったが、奴も魔王に葬って貰えたのならば本望だろう。少なくとも、自分の半分も生きていない小娘に討たれるよりは、な。」

 

 

ナイアル達が到着するまでの間に、なのはは魔界の現状を聞いたのだが、現状は極めて平和であり、士郎が魔界を去った事で空位になった魔王の座を付け狙う者も居たが其れ等はアーナス、ルガール、悪魔将軍が返り討ちにし、桃子を殺した魔族に関しては悪魔将軍がキッチリと粛清をしていたようだ。――士郎による粛清は、命までは取らなかったが、悪魔将軍による粛清はその限りではないので、その魔族はもうこの世には居ないだろう。

其れを聞いたなのはは、皮肉気な笑みを浮かべると、これまた皮肉たっぷりのセリフを口にしてくれた……自分の半分も生きていない小娘に討たれるよりも、魔王に粛清されるのならば魔族として本望だろうとは、何とも言えないモノがある。身の丈以上の野心を持った者は、最終的には碌な死に方をしないのだろうな。

 

その後、ナイアル達が到着するまでの間に、同盟締結の文書を作り上げると、レイストン要塞に到着したナイアルとドロシーの前で、同盟締結の調印式を行い、なのはが三人の魔王夫々と握手をしている所をカメラに収めさせ、号外の発行準備は完了!

同時に、明日の朝刊の一面記事も確定したと言えるだろう。――こうして、リベールが魔界と同盟を締結したと言うインパクト抜群の一件は、瞬く間にリベール国民全員が知る事になるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、シェンはユーリを連れて、なのはから教えて貰ったある場所に来ていた。

其処は廃墟同然の場所だったのだが、なのは曰く『レイジングハートに匹敵するアーティファクトが眠って居るかもしれないので、ユーリを連れて其処に行って、ユーリに最適な武器を見付けてこい』との事だったので、デュナン討伐の数日後に、シェンはユーリと共にこの場所を訪れていたのである。

 

 

「人の気配はするが、真面な奴の気配じゃねぇ……ユーリ、俺から絶対離れんじゃねぇぞ?俺から離れたら死ぬと思え。」

 

「は、はい!分かりましたシェンさん!」

 

 

その場所はスラムが天国に思えるほどのアウトローの溜まり場になっており、ユーリが単身で訪れていたら、あっと言う間にアウトロー達の慰み者になっていただろう。

女に飢えているアウトローにとって、相手が子供か如何かなんてのは関係ないからね……己の性欲の捌け口があれば其れで良いのだ。

が、シェンが一緒ならばそうなる事はないだろう――シェンは士郎に師事していた事もあって人間としては可成り高い戦闘力を有しているだけでなく、喧嘩無敗の百戦錬磨なので、アウトローのチンピラ風情ならばワンパンで滅殺出来るのだから。

 

 

「けっへっへ、そのお嬢ちゃんだけ置いて行って貰おうか?そうすりゃ、見逃してやるぜ兄ちゃん?」

 

「誰が置いて行くか!ガキに手を出そうとする下衆野郎が!!テメェみたいなのは秒で死んどけ!!」

 

「ペギャっぱ!?」

 

 

そして実際に、一人のアウトローのチンピラをワンパンで沈めた事で、他のアウトローは何も言えなくなったみたいだ……シェンの顔面パンチを喰らったアウトローの顔は完全に潰れていた訳だから、此れは黙るしかないだろう。一応、殴られたアウトローは生きて居る様だ……辛うじてではあるみたいだが。

シェンの喧嘩技もまた、全てが必殺であるのは間違いなかろうな。

 

その後は、アウトローに絡まれる事なく武器捜しをしたのだが、中々ユーリが『此れだ』と思う武器は見つからず、『此処にユーリが求める武器はないのか?』と思い、シェンも『暗くなって来たし、そろそろ帰った方が良いか?』と考えていたところ、ユーリが一冊の魔導書を見付け、其れを手に取った事で状況は一変した!

 

魔導書と共にユーリの身体が発光し、そしてあっと言う間に周囲をその光で満たして行く……目の前で両親を喪った、悲劇の少女は、如何やらその身にとても大きな『力』を宿す事になりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued 

 

 

 

 

 

 

 

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