黒き星と白き翼   作:吉良/飛鳥

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悪魔も泣き出す男……が借金に泣いていると言うのは……Byなのは      とっても笑えないと思いますByクローゼ


Chapter64『Am Crimson Tower ereignete sich ein Zwischenfall』

予想外の乱入者はあったがKOFは無事に終幕し、同時に乱入者が転移術で会場から消えた事で、乱入者には協力者がいて、乱入者は健在だと言う事を同盟国と共有し、其の後は平和な日々が続いていたのだが――

 

 

「陛下、少しお時間を宜しいでしょうか?」

 

「ユリア、何か急を要する事か?」

 

「はい……ツァイス地方の紅蓮の塔にて、新たな行方不明者が……」

 

「またか?今月に入って何件目だ?」

 

「既に四件目ですね……塔の内部には魔獣も生息していますから、訪れる際には遊撃士に護衛を頼むモノなのですが……出費を惜しんで、魔獣の餌食になってしまったのでしょうか?」

 

「確かに四件の内、一件は遊撃士に護衛の依頼をしていなかった事が分かっているのですが、残る三件は何れも遊撃士ではありませんが護衛が居たようだとの目撃証言がありますので、魔獣の餌食になったとは考え辛いのですが……」

 

「其れもそうだが、その行方不明者に関する手掛かりが一切ないと言うのも妙な話だ……仮に魔獣に襲われて命を落としたとしても、其処には何らかの痕跡が残る筈だからな?

 其れすらも無いとなると、魔獣が原因ではないのかもしれん。」

 

 

最近、ツァイス地方にある『紅蓮の塔』にて行方不明者が出ると言う事件が発生し、最初の一件が報告されてから一カ月の間に今回で四件目と、決して低くない頻度で発生しているのだ。

魔獣に襲われて命を落とした可能性も無くはないが、護衛を付けていた者が護衛ごと姿を消していると言うのは些か不可解であると言わざるを得ないだろう。

遊撃士ではないとは言え、個人で抱えている護衛も武術には精通し、魔獣相手に戦う事が出来る程度の戦闘力を有しているのが普通である事を考えれば尚更だ。

 

 

「魔獣ではないとすると、陛下は何が原因とお考えで?」

 

「魔獣よりも遥かに強大で強力な存在が紅蓮の塔に住み着いている可能性がある……だが、だとしたら此の件は遊撃士や軍よりも専門家に任せた方が確実と言えるかも知れん。

 クローゼ、ヴィヴィオ、ルーアンに行くぞ。」

 

「ルーアン?何しに行くの?」

 

「ルーアンに……成程、『彼』ですか。」

 

 

今回の件は『専門家』に任せた方が良いと判断したなのはは、クローゼとヴィヴィオと共にルーアンへと向かう事に。

その目的は只一つ、裏社会の便利屋達をして『悪魔も泣き出す男』、『生きる伝説』と言われている、『Devil May Cry』の店主にして、伝説の魔剣士・スパーダの血を引く『ダンテ』に今回の件の解決を依頼する為だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒き星と白き翼 Chapter64

『Am Crimson Tower ereignete sich ein Zwischenfall』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィヴィオの『飛行船に乗ってみたい!』との頼みもあって、ドラゴンも飛行魔法も使わずに飛行船でルーアンに到着したなのは達は早速『Devil MayCry』までやって来て店の扉を開けたのだが……

 

 

「おや、なのはではありませんか?」

 

「なたねにネロ?お前達、こんな所でなにをやっているんだ?」

 

 

店内にいたのはなたねとネロだった。

話を聞いてみると、ライトロードとの戦いの後、二人はリベールを離れずにダンテの仕事の手伝いをしており、ダンテの代わりに受けた仕事では依頼料と仲介料を六:四で分けてダンテの金欠を解消しているとの事だった――腕が立つのにダンテが金欠なのは、依頼料と仲介料を九:一や八:二に設定した上で、コイントスで取り分を決めると言う、勝てばデカいが負けたら大損なギャンブルをして、勝率が一割以下でだからなのである。

其れに対してなたねとネロは『取り分は滅茶苦茶多くはないが確実に確保出来る』設定で依頼料を貰っているので、損する事だけは絶対になかった――移動式の便利屋をやって来た二人にとっては、確実な収入を得るのは絶対的に必要な事であったのだ。

 

 

「成程な……だが、お前達が元気そうで安心したよ。」

 

「なのはママの妹だから……なたね叔母ちゃんだね!」

 

「……出来ればお姉さんと呼んで欲しいです……」

 

「コイツは難しい問題だな……叔母さんの方が関係的には正しいんだが、なたねの歳で叔母さんってのもなぁ?」

 

「まぁ、其れはまたの機会に考えるとして、ダンテは如何した?彼に依頼したい事があって此処に来たのだがな?」

 

「あぁ、オッサンなら二階で寝てるから起こして来る。ちょっと待っててくれ。」

 

 

そして、なのはからダンテに用があると聞いたネロは二階に上がると……

 

 

「オラァ、何時まで寝てんだオッサン!王様が直々にアンタに依頼があるって来てくれたぜ!だからさっさと目を覚ませやぁ!!」

 

 

 

――バッキィィィ!!

 

 

 

ベッドで寝ているダンテに悪魔の右腕で渾身の一発を喰らわせ、其れを喰らったダンテはベッド諸共床をぶち抜いて一階にコンニチワと言う結果に……普通の人間だったら間違いなく死んでるだろうが、其れでも無傷な辺り悪魔の血を引いているのは伊達ではないようだ。

 

 

「なんとも刺激的な目覚ましだが……待たせちまったみたいだな王様?其れで、どんなご依頼で?」

 

 

そして、サラッと至極普通に対応するのがダンテの凄いところだと言えるだろう。

此の豪胆さと不死身っぷりも、裏社会の便利屋達が畏れる要因であるのかもしれないが。

 

 

「ツァイス地方にある紅蓮の塔にて行方不明者が出ているのは知っているか?」

 

「紅蓮の塔って、あの真っ赤な遺跡かい?紅蓮の塔は知ってるが、其処で行方不明者が出てるって事は知らねぇな……何だ、護衛もつけずに塔に入って魔獣にでも襲われたか?」

 

「一件はそうだが、他は違う……護衛が付いていたにも拘らず、その護衛共々行方不明となっている――となると、大凡魔獣が原因とは考えられん。

 此れはあくまでも私の予測に過ぎないのだが、紅蓮の塔には魔獣よりも遥かに強大で強力な『何か』が住み着いていて、其れが訪れた者達を襲っておるのではないかと考えているんだ……もしもそうだとしたら、如何だ?」

 

「そいつは、暇潰しにはなりそうだ。」

 

「お前ならばそう言ってくれると思っていた。

 だが、紅蓮の塔でこんな事が起きたとなれば翡翠の塔、琥珀の塔、紺碧の塔でも似たような事が起きないとも限らんのでな……翡翠の塔は、別途ロレントの方に依頼を出すとして、琥珀の塔と紺碧の塔の方も調査を頼みたい。

 報酬は、紅蓮の塔の件で百万ミラ、琥珀の塔と紺碧の塔で五十万ミラもあれば足りるだろうか?」

 

「OK、充分過ぎるぜ王様よ。」

 

 

報酬額が中々にぶっ飛んでいるが、国民の安全の事を考えれば此れ位の出費は逆に安いと言えるだろう。

報酬は充分で暇潰しにもなりそうだと言う事でダンテはなのはの依頼を快諾し、自身が紅蓮の塔に向かい、なたねは琥珀の塔に、ネロは紺碧の塔に向かう事になったのだが、なたねが琥珀の塔なのは、紺碧の塔は内部には水が多く、水属性の魔獣が多く炎属性のなたねでは不利だと考えたらだろう。適当に生きているように見えて、ダンテは意外と物事はちゃんと見ているのである。

 

ダンテへの依頼を取り付けたなのは達は、今度はロレントに向かって、エステルとヨシュア、そしてBLAZEのメンバーに翡翠の塔の調査を依頼していた――DevilMay Cryの面子には負けるかも知れないが、史上最年少でA級遊撃士となったエステルとヨシュアの実力は疑うべくもなく、またBLAZEのメンバーも全員がA級遊撃士に匹敵する力を持っているので問題はないだろう。特に志緒は、パワーだけならばダンテをも凌駕し、暴走庵の八稚女を喰らっても平然としている頑丈さがあるのだから。

 

そして、依頼を終えたなのは達はボースまで足を延ばして、レストランで家族団欒のランチを楽しんだ。

因みに、メニューはフルコースで、此れは良い機会だとなのはとクローゼはヴィヴィオにテーブルマナーを教え、ヴィヴィオも其れを速攻でマスターしたのだった。この学習能力高さもまた、ヴィヴィオの強みだろう。

本日のフルコースのメインディッシュは、『骨付き子羊肉の香草塩固め焼き』であり、柔らかく焼き上げられた子羊肉と香草の香りがベストマッチしていた逸品だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

依頼を受けて紅蓮の塔にやって来たダンテだったが、塔に到着するまでに魔獣に襲われはしたモノの、そんな魔獣は軽く蹴散らして塔内部に入り、塔を調べて行ったのだが、魔獣が住み着いている以外は特に何もなく、三階の一部屋を調べて出ようとしたのだが……部屋から出ようとした刹那、ダンテの横をナイフが通り抜けて行ったのだ。

 

何事かと思い、ダンテが振り返ると、其処には先程まで部屋の隅に転がっていた等身大の操り人形が立って動いていたのだ。

 

 

「マリネットか……悪魔でも最下級であるお前等が居るって事は、王様の予想は当たってたかもな!」

 

 

その正体はマリオネット。

人間の世界では姿を保つ事が出来ない最下級の悪魔が等身大の操り人形を依り代にして活動しているモノだが、其れでも素人には脅威の存在なのだ――だが、それもプロであるダンテからしたら準備運動の相手にならない雑魚でしかない。

 

 

「イカレタパーティは大歓迎だ!」

 

 

愛剣リベリオンを背中から抜くと、袈裟斬り→払い斬り→ハイタイムジャンプ→ハンドガン連射→エリアルレイヴ→ハンドガン連射→兜割りのコンボをマリオネットの群れにブチかますと、ネロから預かっている閻魔刀を取り出して、次元斬一閃!

その一撃でマリオネットの大群は文字通り糸が切れたように動かなくなり、全てがレッドオーブへと姿を変えた。

個々の能力は低くとも、徒党を組んで対象に襲い掛かる事で脅威となるマリオネットは、そうやって行方不明者達を葬って来たのだろうか?

 

 

「遊撃士や軍人じゃなくとも、護衛業をやれるだけの腕がありゃ、マリオネット如きにやられるって事はないと思うんだが……コイツは、こんな雑魚とは比べ物にならない『大物』が絡んで居やがるのかもしれねぇな?」

 

 

ダンテは『もっと大物が居るのかも知れない』と考えて紅蓮の塔を進んで行ったが、最初のマリオネットを皮切りに、三階の別の部屋ではマリオネットの上位種であるブラッディ・マリーの群れ、四階では仮面を依り代にして身体は霊体になっている巨大なハサミで襲い掛かって来るシン・シザースの群れ、五階では牛の頭蓋骨を依り代にした、依り代を必要とする悪魔の中では最強クラスのデス・サイズが襲い掛かって来た……シン・サイズレベルになると上級の遊撃士でも苦戦するレベルなのだが、歴戦のデビルハンターであるダンテにとっては、これまたウォーミングアップ程度の相手であり、依り代である牛の頭蓋骨に効果の薄い銃弾をリズミカルに撃ち込んで即興の音楽を奏で、投げ付けられた四本の巨大鎌をアグニ&ルドラの二刀流で弾き返し、竜巻攻撃にはケルベロスで氷を乗せた上で打ち返し、最後はデス・サイズの頭でエネミーステップで跳躍してから、其処からエアハイクで更に跳躍し、遥か上空から渾身の兜割りを叩き込んで頭蓋骨を木っ端微塵にしてターンエンド。

依り代を必要とする悪魔は依り代さえなくなってしまえばドレだけ強力であっても此方側の世界では存在出来なくなってしまうと言う訳である。

 

そうして屋上までやって来たダンテだったが……

 

 

「コイツは、小規模だが悪魔界化してやがるな?

 閻魔刀は俺が持ってるから強引に悪魔界と人間界を繋ぐ事は出来ない筈だが……となると、何らかの影響で自然に境界に綻びが出来たって、そう言う事か?だとしたら何が原因で……って、そう言えば此処って姫さんの精霊の一部が封印されてたんだよな?

 でもって先のライトロードとの戦いで姫さんは精霊の封印を解いた……まさかそん時に解放された精霊の魔力がデカすぎて境界の綻びが出来て、其れが何時の間にか此処までデカくなっちまったって訳か?

 だがまぁ、そう言う事ならその綻びを直してやりゃ良いだけの事だ。坊主から閻魔刀を預かっといて良かったぜ……『人と魔を分かつ刀』なら、繋がっちまった人間界と悪魔界を切り離すのは容易だからな……其の力を逆利用して、強引に繋ぐ事も出来るんだけどよ。

 取り敢えず、ビザなしの渡航はお断りだ。其処で大人しくしてな。」

 

 

其処で人間界と悪魔界を隔てている境界の綻びを見つけると、その綻びが何故生まれたのか見当を付けた後に、閻魔刀を一閃して綻び其の物を切り飛ばして人間界と悪魔界の繋がりを断つ。

繋がりが断たれた事で、悪魔界化していた屋上の様子も元に戻り、此れで一件落着――とは行かない。まだ紅蓮の塔で行方不明者が続出した元凶が分かっていないのだから。

 

 

「しかしまぁ、見れば見るほど不思議なモンだなこの塔は?

 この謎の装置みたいのは一体何なのか俺には皆目見当も付かないな……考古学の先生方なら色々と仮説を立てるんだろうが、生憎と俺には仮説も立てられねぇと来たもんだ――古代の英知にロマンは感じるけどよ。」

 

 

ダンテがそうして屋上を色々と探索していると、背中のリベリオンに突如魔力が迸り、剣に赤黒い稲妻が走る――ダンテも何かを感じたらしく、後ろを振り向いた次の瞬間、巨大な何かが目の前に降って来た。

 

 

『キシャァァァァァァァァァァァァァ!!』

 

 

其れは戦車に匹敵する程の巨大な蜘蛛の化け物だった。

強固な岩石の外骨格の間からは灼熱の溶岩が滾っている様が窺え、赤く染まった八つの目と、本来蜘蛛には無い尾――其れも、サソリの様な鋭い棘が付いた尾が特徴的だ。

その威圧感と魔力、纏ったオーラは依り代を必要とする下級悪魔とは異なり、『リベール革命』の際に地獄門を使って召喚された上級悪魔と同じモノであった。

 

 

『強い闘気を感じたと思ったが、人間か。』

 

 

その蜘蛛の化け物――上級悪魔『ファントム』はダンテへと詰め寄って来る。

巨大な蜘蛛の化け物が迫って来ると言うだけでも、普通に人間には恐怖の光景であり、遊撃士や軍人であっても恐怖に固まってしまうのは想像に難くない――尤もエステルや志緒ならば怯まずに対応してしまいそうな気もするが。

 

 

「なんだ化け物。筋肉以外にもちゃんと中身は詰まってるのか?」

 

 

そのファントムに対し、ダンテは目の前に突き立てられた足をドアをノックするように叩き、挑発するように言う。

ド派手な兄弟喧嘩を経て母の仇である魔帝を打倒したダンテにとって、悪魔を倒すのは最早趣味の領域になっており、其れだけに相手は強ければ強いだけ大歓迎なのである。

 

 

『ほざいたな!踏み潰してくれる!!』

 

 

ダンテの挑発に激高したファントムは、その巨体からは想像も出来ない位に跳躍し、全体重をもってダンテを押し潰さんとするが、巨体故に攻撃の軌道は丸分かり故にダンテは余裕綽々で回避し、屋上にある謎の装置の上に降り立つ。

 

 

「成程、行方不明者は全員この化け物に喰われちまったって訳か……だが、魔界との繋がりは斬り飛ばしたから、後はコイツをぶっ倒せば任務完了って奴か――否、依頼達成の方が正しいか?

 だがまぁ、取り敢えず百万ミラの報酬に相応しい奴が出て来てくれて良かったぜ……もしも元凶が取るに足らない雑魚だったら、俺も超高額な報酬を受け取るのを躊躇っちまっただろうからな。さぁ、ショータイムだ!」

 

 

あくまでもスタイリッシュに。

ダンテは装置からジャンプすると瞬間移動の一種である、ダウントリックでファントムの前まで移動し、不敵な笑みを浮かべて背からリベリオンを抜き、ショータイムを宣言し、紅蓮の塔の屋上で最強のデビルハンターと上級悪魔の戦いの火蓋が切って落とされたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued 

 

 

 

 

 

 

 

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