黒き星と白き翼   作:吉良/飛鳥

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ゲオルグ・ワイスマンとジェイル・スカリエッティ……腐れ外道の極みだなByなのは      酌量の余地はありません……!!Byクローゼ


Chapter78『悪辣なる目的の真意~覚醒する力~』

グランセル周辺に現れた二人の女騎士、其の実力は非常に高ったのだが、その仮面の奥から現れた素顔になのはと一夏は驚愕する事になった――仮面の奥から現れた素顔はなのはの姉である『不破美由希』と、一夏とマドカの姉である『織斑千冬』だったのだから。

十年前のあの日に家族を喪ったなのはと一夏にとって死んだ筈の姉が目の前にいると言う有り得ない状況な訳だが、此処でなのはのレイジングハートと一夏の通信機に通信が入った。

 

 

『私とドクターからのプレゼントは気に入ってくれたかな、高町なのは君。織斑一夏君?

 初めに言っておくが、君達の目の前にいるのは君達の姉君のコピーではなく本人だ……死した肉体を再生しただけではなく強化改造を施してあるがね――因みに身体は操っているが彼女達には自我は確りと存在しているから自分が今誰と戦っているのかと言う自覚はある。

 ククク……感動の再会が守るべき妹や弟との命の遣り取りになるとは……何とも悲劇的とは思わないかね?』

 

 

その相手はワイスマンだ。

死者の蘇生と言う禁忌を侵しているだけでも既にアウトであるのだが、其の上で美由希と千冬は身体は操られて言葉を発する事も出来ないが自我はあると言って来たのだ……姉妹、姉弟での殺し合いをさせるだけでなく、無理矢理蘇らせた死者に守るべき者を殺させようとした上でそれを自覚させると言う悪辣さ極まりない事をやって来たのだ。

 

 

「テメェ……この腐れ外道が……!」

 

 

其れを聞いた一夏は怒りを顕わにし、怒りと共に殺意の波動が身体から溢れ出して闇色のオーラを纏う……そうであっても殺意の波動が暴走せずに制御出来ているのだから修業の成果は出ているのだろうが。

 

 

「姉さんに私を殺させる、そして姉さんには自我があるか……ククク……ハハハハハ……ハァッハッハッハッハ!!

 大した悪辣さだ教授とやら!家族を失ってあの日から十年間、色々な人間を見て来たが貴様のように悪意が服を着て歩いているような人間は初めて見たぞ?ドレだけ狡猾な悪魔でも脱帽してしまいそうだ。

 だが、其の悪意を向ける相手を間違えたな貴様?確かに仮面の下から姉さんが現れた事には驚いたが、よもやこの程度で私や一夏が動揺して殺られるなどと考えた訳ではあるまいな?

 此の程度の計略程度、貴様等の思惑を超えて攻略してやる……同時に、貴様等に対する一切の手加減をする気が無くなった。貴様等は此の私が直々に殺してやるから精々首を洗って待っていると良い。」

 

 

そんな一夏とは逆に、なのはは尊大かつ不遜な態度で返し、逆にワイスマンの事を煽る。

しかしなのはの声には『静かな怒り』が込められており、そのせいで普段より幾分トーンが低くなっているので威圧感がハンパなかった……其れこそ、一般人が此の威圧感を喰らったら速攻で泡吹いてKOされているだろう。

 

 

『ククク、其の時を楽しみにしていようではないか……まぁ、精々頑張ってくれたまえ。』

 

「ふん、腐れ下衆が。腐り果てて朽ち果てろ。」

 

「腐れ外道は此れ以上腐るんですかねぇ……」

 

 

通信を強制的に切ったなのはと一夏は美由希と千冬に向き直り構える。

自我の無い操り人形であるのならばただ倒すだけだったのだが、自我があるのあれば何とか身体の自由を取り戻してその自我を表に出した上で生かして取り戻したいと思ったのは当然の事と言えるだろう。

 

 

「死者の蘇生は禁忌だが、其れをやってくれたお陰で十年前に死んでしまった筈の姉を取り戻す事が出来るか……一夏、必ず取り戻すぞ私とお前の姉を!」

 

「ウッス、了解ですなのはさん!」

 

 

ワイスマンとスカリエッティの悪意の元に蘇った美由希と千冬だったが、なのはと一夏は姉を取り戻すために戦う事を決意して夫々の戦いに向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒き星と白き翼 Chapter78

『悪辣なる目的の真意~覚醒する力~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏と千冬の戦いは近距離での剣戟が展開され、何方も一歩も退かない展開となっていた。

一夏の剣は千冬の剣を見様見真似で再現したモノだったが、其れは十年の間に独自に昇華されて千冬のコピーではなく一夏の剣となっており、それ故に千冬とも互角に打ち合えるレベルとなっていた。

更に一夏は稼津斗によって無手の格闘も鍛えられていたので近距離戦に関しては千冬よりも切れる札が多かったりする。

 

 

「竜巻……旋風脚!」

 

 

千冬の斬り下ろしを斬り上げで弾いた一夏は其処に竜巻旋風脚を叩き込む――膝で顎をカチ上げてからの連続蹴りは普通なら必殺になるのだが、身体を操られている千冬はダウンする事なく技後の一夏にカウンターとなる一文字切りを繰り出して来た。

竜巻旋風脚は技後の隙が決して小さくないのでダウンを取れなかった場合は反撃必至であり、千冬の反撃は必殺なのだが――

 

 

「兄さんはやらせん……まさか生きていたとはな姉さん。」

 

 

其処にマドカが割って入り、ナイフで刀を受け止めていた。

マドカは『鬼の子供達』の中でも一番の小柄でパワーも最下層なのだが、その小柄な体格を生かしたスピードが持ち味で、ナイフの二刀流での戦い方はそのスピードを最大限に活かしたモノであり、マドカのナイフ二刀流を完全に捌き切る事が出来るのは稼津斗ぐらいだ。

 

 

「ふぅ、今のはちょっとヤバかったから助かったぜマドカ……しかしまさか千冬姉が敵になるとはな……」

 

「マッタクだが、どうしてこうなったんだ兄さん?詳しい説明を求める。」

 

「今はそんな暇ないから詳細は後でな……今は先ず、千冬姉を教授とドクターから解放して取り戻す……協力しろマドカ。」

 

「言われずともその心算だよ兄さん。彼女が本当の姉さんだと言うのならば、是非とも取り戻さねばだからな。」

 

 

詳しい説明は後としつつも、一夏とマドカは千冬と向き合い、そして次の瞬間に一気に距離を詰めて凄まじい近距離戦が展開されたのだった――互いに直撃は許さないが、紙一重での回避も多かったので浅い切り傷が幾つも刻まれてはいたが、其れでも止まる事はなく、その究極の剣戟は続いて行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

一方でなのはは美由希と遣り合う事になったのだが――其処にはルーアン地方からやって来たなたねの姿もあった。

仮面の女騎士の片割れが美由希だと知ったなのははそれをなたねに伝え、其れを聞いたなたねは速攻でグランセル付近までやって来ていたのだ――なたねにとっても美由希は敬愛する姉であったので、其れが穢されたとなったと聞いたら黙ってはいられなかったのだ。

 

 

「姉さんを穢すとは……教授とドクターとやらは万死に値しますね……滅殺一択です。」

 

「私も同じ気持ちだが、先ずは姉さんを取り戻すぞ。」

 

「無論、その心算です。」

 

 

そうしてなのはとなたねはタッグで美由希に向かって行ったのだが、美由希は『神鳴流』の中でも特殊な『小太刀二刀流』を修めていた事もあり、二方向からの攻撃に対しても完璧に対処して見せたのだ。

腐っても鯛ではないが、近距離戦では美由希の方が一日の長があったのだが、なのはとなたねは何度目かの攻撃を弾かれた所で――

 

 

「スマッシャー!!」

 

「ブレイザー!!」

 

 

美由希のカウンターに対してカウンターのカウンターとなる近距離砲撃を繰り出して美由希を吹き飛ばす……ダブルカウンターとなる攻撃を喰らったとなれば其の時点で問答無用にKOされている所だが美由希はKOされるどころか二刀小太刀を逆手に持って突撃して来た。

其れに対してなのはとなたねも身構えたのだが……

 

 

「お前の剣は、妹達を殺す為に鍛えられたのか?……悪魔の鏡に囚われて、父さん達を死なせてしまう原因を作ってしまった俺が言っても説得力はないかも知れないがな……!」

 

 

其の攻撃は美由希の気配を感じ取った恭也が駆け付けて見事に防いで見せてた。

なのはは恭也にも当然連絡を入れていたのである。

 

 

「遅いですよ兄さん。遅刻はダメです、印象が良くないです。」

 

「道中、中々に敵が多くてな……俺にはお前達みたいに大量の敵を一撃で葬る技なんてないんだ、大目に見てくれ――鏡に取り込まれる前に気功波の類を会得しておくべきだったな。」

 

「兄さんは剣で戦う方が似合っていると思うがな。……さてと、身体のコントロールはされているが自我はあるとなれば、コントロールさえ解けてしまえば万事解決な訳だがその方法が思い付かん。

 強力な魔力ダメージを与えればとも思ったがダブルカウンターの近距離砲でも無理だったのを見る限りもっと別の方法でなければダメなのだろうな……取り敢えず無力化してから考えるか。」

 

 

ワイスマンとスカリエッティのコントロールを解除する方法が思い付かず、取り敢えず先ずは無力化する事にしたのだが、美由希もそして千冬も蘇生された際、只蘇生させられただけでなく強化蘇生されておりパワーとスピードは十年前よりも格段に上がっていた。

特に千冬は十年前よりも肉体的に成長した状態で完全な大人になっており、全盛期とも言うべき充実した状態となっていたのだ。

 

この強化により『もう一度死なせたくはない』と思う高町/不破兄妹と織斑兄妹は全力での攻撃が出来ず数の上では有利ながらも苦戦を強いられる事になっていた。

 

 

「(如何する?殺意の波動を使えば千冬姉を上回る事が出来るけど、殺意の波動を使ったら千冬姉を殺しちまう……如何にかして殺さずに無力化した上でクソ野郎のコントロールから解放するにはどうすれば良い?

  考えろ……殺意の波動は死した魂をも殺す力……触れる事の出来ない魂をどうやって殺す?……触れる事の出来ないモノを殺す……無に帰す……無に……そう言う事か!!)」

 

 

此処で一夏が何かを閃き、次の瞬間に殺意の波動特有の闇色のオーラが溢れ出す――が、一夏の姿は殺意の波動に目覚めた時のモノにはならず、通常の状態のままであり同時に殺意の波動ではない通常の波動も其の身に纏う。

そして其の状態で『電刃錬気』を使い、殺意の波動と通常の波動が混ざり合い、異なる力が反発してスパークし、そして一夏は混ざり合った波動を其の身に宿すと一気に解放する。

その解放された力は一言で言えば透明……殺意をも超えた無の境地――無の波動。殺意の波動を宿しながらも其の力に飲まれる事も、殺意の波動を極める事もなく純粋なる力の一つとして受け入れた者のみが到達出来る殺意の波動の対極に位置する力だ。

 

 

「これなら行ける!

 なのはさん、美由希さんを誘導してくれ!此の力なら二人を解放出来る!」

 

「一夏……何かを掴んだのか?ならばお前の策に乗らせて貰おう!」

 

 

一夏の声を受けたなのははアクセルシューターで美由希の動きを制限すると、なたねがアクセルシューターとは異なる軌道のパイロシューターで誘導し、恭也が近距離戦で進路を修正する。

一夏が気を高めている事でマドカは一人で千冬の相手をする事になり、可成り厳しい状況だったのだが、其処は夏姫と刀奈がフォローに入ってくれた事で押し切られずに済んでいた。

そして遂に美由希と千冬は一箇所に集まり……

 

 

「今だ、ブチかませ兄さん!!」

 

「おぉぉぉぉぉ……絶・波動けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」

 

 

一夏が全力全壊の『絶・波動拳』を叩き込む。

極大の気功波は『真空波動拳』を始めとした波動拳の上位版と同じなのだが、『全てを無に帰す無の波動』である『絶・波動拳』は美由希と千冬の身体の自由を奪っているワイスマンとスカリエッティのコントロールを無に帰していた。

其の上で肉体的にはノーダメージ……『無の波動』は悪しき力に対してのみ『全てを無に帰す力』を発揮するのである。

 

 

「一夏……マドカ?……大きくなったな……ふふ、またこうしてお前達と会えるとは、其れに関しては教授とドクターに感謝すべきかも知れん。――だが、解放してくれた事には礼を言わねばだ。

 あのままでは生き返ったにも拘らず、生きて汚名を晒すところだった……強くなったな一夏。マドカもな。」

 

「簡単に操られてるんじゃねぇよ千冬姉……でも、解放出来て良かったぜ。」

 

「姉さん……!!」

 

 

「あはは、やっと解放されたかぁ……大きくなったねなのはもなたねも。恭ちゃんはなんでか変わってないけど。」

 

「兄さんは十年前に悪魔の鏡に閉じ込められて其処で時が止まっていたので十九歳のままだ……そして姉さんも生き返っても十七歳のままだ……私となたねの方が年上になってしまったぞ?」

 

「年下の姉さんと言うのも其れは其れで良いと思います……兄さんが私達よりも年下の女性と結婚しない限りは有り得ない年下の姉が実の姉妹で経験出来ると言うのは中々に貴重な体験だと思います。」

 

「前々から思っていたがお前の感覚は中々に独特だななたね……」

 

 

こうして美由希と千冬は解放され、十年振りとなる家族との再会に暫し浸っていた――が、今は戦場に其の身があるので直ぐに意識を切り替えたのだが……

 

 

「リベールを守る為ならば手加減はしません。

 我が身に眠りしリベールの守護神よ、今こそ其の身を現出し、リベールに仇なす者達に業火の裁きを与えよ!現れなさい、『エクゾディア』!!」

 

『グオォォォォォォォォ……!』

エクゾディア:ATK∞

 

「全てを焼き尽くせ!怒りの業火、『エクゾ―ド・フレイム』!!」

 

『ゴォォォォォ……ガァァァァァァァァァ!!』

 

 

 

――バガァァァァァァァァァァァァァァン!!

 

 

 

此処でクローゼがその身に宿る最強の精霊『エクゾディア』を召喚してトワイライトロードも人造悪魔も纏めて一気に灰燼に帰して見せた――アリシア前女王が危惧して五つに分割した上で封印した強大な精霊は、成長したクローゼによって完全にリベールの守護神と化していた。

そしてエクゾディアが降臨した以上は最早リベールが負ける可能性は億どころか超を超えて京に一つも無くなったのだが……

 

 

『ククク、実に見事だリベールの諸君。』

 

 

此処で空中に映像が映し出され、其処にはワイスマンとスカリエッティの姿があった。

 

 

『まさか織斑千冬君と不破美由希君が解放されるとは思っていなかったが……君達が其方に気を向けてくれたお陰で、私達は目的を達成する事が出来た。』

 

『彼女は貰って行くよ。』

 

 

だが、其処に映し出されたのはワイスマンとスカリエッティだけでなく、椅子に縛り付けられてグッタリとしているヴィヴィオの姿があった――此の混戦のドサクサに紛れてワイスマンとスカリエッティが放ったガジェットドローンが遠方から麻酔銃を撃ちこんで眠らせ、なのはとクローゼの意識が敵に向いている隙に連れ去ったのだった。

 

 

「「ヴィヴィオ!!」」

 

『ククク……彼女を返して欲しければ、エサーガ王国の『ヒノカミ国』にやって来たまえ……但し、高町なのは君とクローゼ・リンツ君の二名のみで来る事が条件だ。

 其の二人以外が来た場合は、彼女の安全は保障しかねるからね。』

 

「「……!!」」

 

 

更には明らかに罠としか思えないなのはとクローゼのみで来いと言うヴィヴィオの引き渡し条件……しかし、ヴィヴィオの命が握られている以上は其れに従う他はないだろう。

この広域通信の後に、リベールからエサーガ国の戦力は撤退し、リベールは国を守る事は出来たが、王と王妃は最も大切な存在を奪われると言う、『勝利』とは言い難い結果となったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued 

 

 

 

 

 

 

 

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